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SS・100万回好きだと言って。13
最終話になりませんでしたーーーーーorz
のっけから・・・wでもって、表紙絵の下絵は描いたので、近々アップできるかと・・・多分。

しかし、あれ・・・なんでだ?と思いながら、鬼退治をもう少し・・・と思ったら話が伸びました。
・・・見通しが甘いんだろうね。チョロ甘なんだろうね・・・。締めは苦手です(汗)でも、次がほんとに最終話。


あ、本の到着報告、裏庭到着報告、拍手コメント、本当ありがとうございます><
まだまだ返せてないのですが、どれも嬉しく読んでますv
感想いただけてうれしいですv最上ノ華~の書き下ろしで蓮がかっこよかったと言って頂けると、正直ほっとしますwだって・・・本当、自分でハードルあげたせいか、難産だったから・・・wwそして、自分でこの展開でいいのかと一人不安に陥ってました・・・w現在進行形で今度は100万回~に悩んでますけどな←おいおい。

某さまー、プレッシャーになんてならないのですよお気遣いありがとうございます!
今日も元気にがんばりますともー!!





100万回好きだと言って ACT.13






 LMEのモットーとは、

 『貴方に愛と、

  至福の時間を、

  そして最上級の持て成しを…』


 訪れる彼女達は一時の夢を買う、だからこそ『夢』を壊す事は、何人たりとも許されない……。

 それは夢の世界に生きる者の鉄則である―――――。



――――――――――――――

敦賀蓮の引退宣言に店内は騒然となり、そこは嘆き悲しむ者、涙を流す者、目を伏せてただ静かに受け入れる者。各々の心情のままにざわめき、動揺が広がっていた。

「蓮、…どうして引退するの?」

悲嘆に暮れる者が多い中、一人の女性が声を上げる。
彼女の問いは至極最も事であり、誰もが疑問に思った事だった。

『何故………?』…と。

「実は…、前々から決めていた事があります。」

穏やかに話す蓮の言葉に皆が固唾を飲んで一様に注目し、聞き入る。
今この空間を支配するのは蓮の声であり、醸し出す空気だった…。穏やかに頬笑む。そんな表情の蓮を前に周囲を囲む女性客達はその姿をじっと見つめ、言葉の続きが発せられる瞬間を待つ。

「…小さい頃から俺の尊敬する…目標とする人物は、父親でした。」

スッとクーを見つめて苦笑する蓮の表情にクーも釣られて苦い笑みを浮かべる。
これから話す内容は二人にとってはそれほど愉快な思い出話ではない。

「小さい頃から父の背中を見ていて、いつか父のようになりたいと…デザインをしてみたいと筆を握りました。けれど、ある日突然、憧れは越えられない壁に変わり、俺はどうしようも無くなったんです…。」

過去の蓮の苦悩を知るクーは、それを穏やかに話している今の蓮の表情にほっとした顔を浮かべる。クーは蓮の決めた事を見届ける為に今夜此処に呼ばれた。最後まで蓮の言葉を聞き届けなければならない。そして、蓮の話しを静かに聞き入る聴衆の中の一人であるキョーコも、蓮の過去、この話は初めて聞く事で、だからこそ、蓮の言葉も表情も何一つ見落とすまいとじっと静かに見つめていた。

「何をしても楽しめず、…誰かの為に心を尽くすという事が分からなくなった…独りよがりでは決して良い結果は生まれないというのに。」

「……。」

蓮の言葉以外、この場には沈黙が張り詰める。

「今なら…そんな当たり前の事が何故分からなくなったんだ…と、笑えるんですけどね…」

固唾を飲む客達を前に蓮は淡々と語る。

「荒んでいた俺を、宝田社長が拾ってくれて、奇しくも父の古巣である此処、LMEでかつての父と同じ職につきました。」

グルリと周囲に視線を巡らせ、最後にキョーコと瞳を見合わせ、少し自嘲めいた笑みを浮かべ、まだ、此処では特別扱いは出来ないと心中で自身に言い聞かせながら視線を伏せる。

「ここで沢山の方に愛して頂き、そしてそれは大切な出逢いに繋がりました。…とてもかけがえのない……俺の人生に欠かせないだろう出逢い……」

「蓮…」

口々に蓮を労る声が上がり、蓮はその声に応えるように伏せた瞼をもう一度開き正面に向ける。

「誰かの為にまた書きたいと思う気持ちを取り戻したら家に帰る。それは両親と約束していた事です。」

「皆さんに愛して頂いたおかげで、俺は『敦賀蓮』から『久遠ヒズリ』に戻る決意が固まりました。…今月いっぱいを持ちまして、敦賀蓮は引退させて頂くつもりです。」

決意を述べる蓮の表情は穏やかで、皆、これは蓮の選んだ道なのだと受け止める。
けれど、敦賀蓮を追い続けた彼女達にとって、この告白は悲しい事実には変わりなく、まるで世界の終わりが近づいたかのように皆の表情は陰る。この場にいる女性客は全て『敦賀蓮』のファンであるのだから、彼女達の受けた衝撃は計り知れない…。

「…そして……最後に皆さんに俺から贈らせていただきたい物があります。……最上さん、こちらへ。」

蓮はキョーコの元へ歩み、ソファーに掛けたままのキョーコの手を引き、立ち上がらせて一同の視線を集めた。

「この、彼女のドレスは俺のデザインになります。」

蓮の言葉にクーが横から補足する。

「彼にはうちが新設するアールマンディーのレディース部門の専任デザイナーとして帰ってきてもらうから、彼女のドレスはそのデビュー作にあたる。」

その言葉に静まり返っていた店内はまたザワつきはじめた、これまで何も知らなかった蓮のバックグラウンド、突然の衝撃の告白の数々に、皆、ただ驚かされている。

「はい、父の言う通りです。これが俺の第一作目になります。……そして、『敦賀蓮』を愛して頂いた皆さんにも、貴方の為だけの一着…プレゼントさせて頂きたいと考えています。」

「えぇ!!プレゼント!?」
「蓮……」
「そんなに私達の事を思ってくれるの…?」

口々に反応する客達の後ろでじっと蓮を睨んでいる松太郎の姿を捉えた蓮は微笑みを一層眩しいまでに深くする。

(そこで悔しがるといい……君には逆立ちしても出来ないだろう?…こんなパフォーマンス。)

「勿論です。…俺を生かしてくれた皆さんに、せめてもの感謝の証を……」

蓮の微笑にその取り囲む客達のボルテージはさらに上がる。世界的なトップブランドであるアールマンディーのオートクチュールのドレス、それを手ずから用意し、プレゼントしたいと申し出る男を前に、喜ばない女はいない。

「また、今回モデルとなってもらった彼女、最上キョーコさんと縁があり、うちと最上財閥は来期より提携する運びとなりました。」

ザワリとまた空気が揺れる。

「ヒズリのメンズ部門が『アールマンディー』ですが、俺が専任デザーナーとして新しく作られるレディース部門のブランドネームは『レン』となります。」

これで敦賀蓮の『蓮』という名は彼女達の中に確実に残る…。
少々計算高かったかもしれないが……。蓮の常連客はみな一様にセレブばかり、ならば彼女達のニーズは全て自分が攫ってゆくべきだろうと思い、この名前をつけた。

「これからも皆さまに愛して頂けるように頑張りますので、『レン』をよろしくお願いします。」

にっこり最上級の微笑みを投げ、周りを見渡せば、

「勿論よ!私、ずっと蓮を愛してるもの!」
「こんなに私の事を気にかけてくれた貴方を応援しない訳ないでしょう?」
「蓮さまは絶対高貴なお生まれだと思っていたけど……本当に素敵だわ…。」

口々に蓮を讃える声が響く。
蓮はスッとキョーコの手を離し、そのエスコートをクーに預け、この舞台の最後の締めにとバーカウンターの方へと歩く。蓮が歩を進めれば、周囲は割れるように道を開け、蓮と松太郎は対峙する。

「……そういう訳だから、お互い新人同士…これからよろしくね、不破くん?」

これでもかという程に眩い笑顔を向ければ、松太郎はヒクリと頬をひきつらせ、差し出された蓮の手を凝視していた。

「君の家とは、いわゆる商売敵になるんだろうけど…、俺は君の歌手になる夢は応援してるんだよ。」

「っ…てめぇ…」

白々しい蓮の言葉に噛み付きかけて松太郎はハッと言葉を飲み込んだ。今、ここでこのままこの男を敵に回す発言をすれば、間違いなくこの場にいる富裕層の女達を全て敵に回す事になり、間違いなく不利なのは自分なのであると…。
そして、蓮にこれほどの行動を取らせたのが、間違いなくキョーコの影響なのだと悟る。これ以上ここに止まれば、軽い火傷ではすまないような焦燥にかられ、松太郎は精一杯虚勢だけは張っておく事にした。

「フン、アンタにノシ付けてくれてやるよ。猫の一匹ぐらい、俺には無くても問題ない。」

蓮の手をパシリと跳ね除けて松太郎は笑う。

「猫は譲っても、ウチのブランドは譲らねぇぞ?」

レディースが強い不破ブランドに対し、新たにソコへ進出すると宣言してくれたのだ、これは挑戦状であると言える。けれど、世界的なシェアを誇る『ヒズリ』のアールマンディーと、日本ではトップシェアを誇るとは言え、世界的に見れば弱い『不破ブランド』勝負は明らかに自分に不利で、そもそも家業の戦線離脱を宣言している自分に受けて立てるとも思えない。

「猫を譲ってくれただけで十分だよ、今夜はわざわざ来てくれてありがとう、不破君。」

最上財閥との提携が決まっているというなら、それこそひっくり返すのは容易ではないだろうという事を悟り、松太郎はさっさとこの場を後にする事を選ぶ。

「チッ。」

舌打ちして踵を返していく松太郎の後姿を蓮はそれまで浮かべていた笑みの一切をかき消し、色を無くした表情でじっと見送った……。


――――――――――――――


「では、私は一度、社へ帰る。お前は今月中はこちらで忙しいだろうから、また落ち着いたら連絡をしてくれ。」

「分かりました、今日はありがとう、…父さん。」

一連の事態が何とか収束し、来店客はすべて帰宅し静まり返った店内で、蓮はクーを見送り、待たせていたキョーコを振り返った。


「さて、待たせてごめんね、お家へ帰ろうか…最上さん。」

「あ、いえ、か、帰りましょっ…きゃっ!」

わたわたと立ち上がり、蓮の元へ歩もうとしたキョーコはドレスに合わせたピンヒールにより絨毯の裾につんのめり、蓮の腕の中へと倒れこむ。

「大丈夫?」

受け止めたキョーコの身体の無事を確かめてから蓮はその軽い身体を抱き上げる。

「さて、お仕事も終わったし、帰ろうか。」

「あ、歩けます、自分で歩けますから!」

「だーめ。このままじっとしておいで?」

「今夜はまだ、みんなの前で君を自慢出来なかったからね…このぐらいしないと俺が落ち着かない。」

くすりと笑う蓮の姿に思わず頬を染めたキョーコは、蓮の腕の中から降りようともがくのだが、その動きはあっさりと蓮に封じられた。

「さ、帰るよ?」

「は…はい。」

蓮は軽々とドレス姿のキョーコを抱えて歩き、幸いなことに、あまり人通りの無い時間だったので、この目立つ取り合わせは、さして注視される事はなかったのだが、慌てるキョーコを横目に、蓮は堂々としたもので朝日の煌く中、タクシーを拾い、いつもどおりの住所を告げて、彼らはこの長かった一日を終え、家路へとついた。





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