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濡蓮企画「RAIN」後編
ということで、前編を投下した足で戻ってきました。
前編からの引用ですが。

濡蓮企画内容は一天四海のAKIさんからバッチリして頂いてますが、萌えシチュを考えてごり押しし、我らが絵師様、桃色無印のきゅ。さんに描いてもらいました。
でもって、その萌えた絵を元に、さらにSSも書いてみようっていう。ざっくり語ればそういう夏の突発企画です。
シチュを限定してありますので、台詞など、若干の被りは予想されますが、それは有る程度しょうが無いもの、と思ってますのと、わりと書き手は被るのが怖くて、まだよそ様読みに行ってなかったりしますので(笑)そのあたりはスルー推奨です。
ということで、後編どん!

この後の寝蓮企画への流れは裏なので、そっちは箱庭のアップはございません(笑)
裏!!!ってなった方はパス請求どぞ。って・・・まだ一文字も書いてないけどな←




※ BJ編のお話になります。ネタバレになると判断される方は閲覧をご注意下さい ※








RAIN 後編




深夜、ポツポツと小雨の降りしきる中、蓮は傘を持たず、カインとしてコンビニへと来ていた……。

カインのコートも雪花の衣装と同じくジャンヌダルク製の製品で、中でもかなり値の張る部類の物であり、材質的に撥水性もあり少々の雨ならば問題ない……。
袖の作り的な問題で二の腕からインナーは濡れるのだけれど、そこはファッションなので目を瞑るとして…であるが。


(傘は………いらないか…このぐらいなら濡れた方が頭も冷えそうだし…)

手を伸ばしかけたビニール傘の購入を踏みとどまり、そんなカインの風体に顔を引きつらせながらもきっちり仕事をこなす店員に、『ありがとうございました』と見送られ、缶ビール数本と煙草を1カートン購入した蓮はコンビニを後にするのだが、客の入店、退店を知らせる特有のファンシーなチャイム音がこれほど不似合いな男もそういない。
周囲のギョッとする視線を綺麗に無視して蓮はゆるりと店を後にした。


時間が深夜で有ることも手伝い、人気の無いホテルへの帰り道、少々雨足の強くなってきた空模様にも焦る事なく緩慢な動作で歩き、今この瞬間もカインであろうと蓮は意識をそちらへとむける。

カインであるのに共演者の台詞一つで久遠の抱える闇が引き出されてどうしようもない……だから眠りが浅い…アルコールに頼らなければ眠れないなんて、とんだ笑い種だと自嘲する。

(俺は…カイン・ヒール……そうだろう…?)

そう言い聞かせるように考えた時点で今の自分はまるでカインでは無い事に気づかされる。

(義務みたいに役について考える……なんて…あの時と同じだな。)

嘉月の恋心が理解出来ずに苦しんだ時……

(でも…あの時は鶏くんと………あの子に助けられた…)

けれど、その恋心と今悩んでいるコレは蓮にとっては全くの別問題で、誰かに話せるはずもなかった。

(もしも話して疎まれたら………軽蔑されたら…)


きっと自分は立ち直れない。



ふーと重い息を吐いた刹那、蓮の耳はドンという鈍い音を捉えた。

その瞳が映した物ライトが片方つぶれた状態で走り去る大型のトラックだった………。



――――――――――――――


あたりのビルの照明は付いていない物の方が多く、街灯のオレンジ色の光りがあたりを照らすものの、真っ暗な空から降る雨で視界は悪い。
土地勘が無く、蓮のいる場所に予想がつけられないキョーコは途方に暮れながらも周囲を見渡し、必死に目を凝らしていた。



(こんな時間に開いてる所……コンビニ?)

少しずつ強くなる雨足に立ち寄ったコンビニで傘を買おうと手を伸ばしかけた所で、慌ててホテルから出てきた為に自分が財布を忘れている事に気づく。

(…やだっ……私の馬鹿っ…………)

溜め息を吐いて、店員にカインらしき男が来なかったかを尋ねれば、『今し方帰られましたよ』と返事が返り、蓮の足取りを追えた事にキョーコはホッと息を吐いた。

(って事は、来る時に会わなかったから別の道から帰ったって事かしら。)

一応は胸をなで下ろしたものの、それでもなんとなく様子がおかしいと感じている日々が続いていただけにキョーコは店員に『ありがとう』と言いながら踵を返しコンビニを後にする。

(普段の敦賀さんなら万が一、私が起きた時を考えて『ちょっとコンビニに行ってきます』くらいのメモは残すだろうし、カイン兄さんなら『兄さんの携帯電話』は持って行くはずだもの。)

嫌な予感がする。
何故か分からないが、今の蓮から離れてはいけない…
そんな危うさを感じてしまう。

(考えすぎよ…だって敦賀さんだもの、敦賀さんならなんだって出来るし、敦賀さんに限って心配する事なんて……)

そう考えてハタと気づく。

(なんでも…は言い過ぎね……食事に関しては油断ならないし、敦賀さんだって人間なんだから弱る事だってあるはずだわ…)

自分がどれだけ敦賀蓮を神格化しているのかという事に思い至る。

そして、最近の敦賀蓮らしからぬ溜め息の数。
敦賀蓮らしからぬアルコールの量。

それはカインだからだろうと納得しようとするのにキョーコの中の何かが『蓮』に違和感があるのだと訴えてくる。

「敦賀さん……」

雨音にかき消されるような声で呟いて、不安に騒ぐ心をそれでも自分の心配のしすぎだなのだと思いたくてキョーコはかぶりを振る…。

気を取り直し蓮を探す為に、来た時とは別の道に足を向ける。そしてキョーコの瞳は電球が切れかけて明滅する街灯の光を視認し、その下に雨に打たれる白い袋を見つけた。

「え…?」

コンビニの袋が雨に打たれて灰色のアスファルトに張り付いている。
あたりに散乱するのは、缶ビールが数本に、雨に濡れて、もう煙草としての機能は果たせないだろう物……。

「…こ…れ…。」

その煙草は明らかにカインの吸っていた同じ銘柄の洋モクで、これはカインの物だと雪花としての確信が生まれる。

「つ…るが…さん!?」

周囲には誰もおらず、ただ雨音だけが響く。
チカチカと明滅する光が最後の力を振り絞るかのように一時の光源となって灯った瞬間、キョーコの視界には血に濡れた縁石が飛び込んで来た。

(これって…!!?)

雨に掻き消されていない血痕が、それがまだ真新しい事を語る。


「っ、敦賀さん!!?敦賀さん!!!!!どこですか!!?」

嫌な汗が滲む、蓮の身に何かよからぬ事が起こっていたとしたら……

「敦賀さんっ!!!!!」

想像したくも無い不安が胸中に募る。心臓が凍りつくかと思った。

(敦賀さんがいない世界なんて……有り得ない!!!!)

あたりの路地裏を片っ端から覗き込む。真っ暗で何も見えない。けれど暗闇の恐怖よりも蓮のいない恐怖の方がキョーコを突き動かし、キョーコはバシャリと水溜まりを跳ねながら、あたりを捜索する。

「…敦賀…さん?」

そして、路地裏の片隅でしゃがみこむ蓮の背中を見つけ、キョーコは駆けた。

「敦賀さん!?」

「…………。」

返事の無い蓮の様子にキョーコは今の蓮は『カイン』なのかと思い至る。
すっかり最上キョーコに戻ってしまっている自分を急いで封印し、キョーコは雪花の魂を宿し、瞳を開く。

「兄さん?」


すっかり雨足は強まり、何もかもがずぶ濡れになった雪花と、雨に打たれ、ただそこにしゃがみ、少し先を見つめているカイン。
暗さでその表情は分からなかったが、キョーコには雨に濡れた蓮は泣いていたように感じられた。

「兄さん?心配したのよ?こんな所で…なにして…」

なにしているの?と言いかけて、蓮の視線の先に転がるモノに気づく。

「……それ…」

血にまみれた…黒い犬……だったものがそこにはあった。

もはや命が失われてしまったそれは、おそらくはキョーコが見た血痕の主。
蓮がここへ運んで置いたのだろう…打ち付ける雨の中、ただそこに…有る。

「………取れないんだ…。」

何が?…問う前に蓮が口を開く。

「染みついた血が…取れない…。」

地面に手袋を脱ぎ捨て、手のひらを雨にに晒していた。

「血なんてどこにも…」

その大きな手の平には血なんて付いてはいないのに、蓮はじっと己の掌を見つめて胡乱な表情で動かない。

「俺は……」

「兄さん?」

雪花の声に反応は返らず、その呆然とした表情にキョーコは初めてヒール兄妹になった夜に起こった事件をリフレインさせた。

(あの時と…同じ…?)

「…敦賀さん?」

壁に手を付いて呆然としたあの夜と同じく、蓮は凍ったように固まっている。

そんな蓮の表情に、キョーコは自分の心がギュッと握られたような息苦しさを感じ、佇む蓮を前に、考えるよりも先にキョーコの体が動いた。

「敦賀さん…貴方の手に血なんてついてませんから。」

蓮の前に立ち、蓮の正気を呼び戻す為にその肩を揺する。
その頬に手を伸ばしその瞳をまっすぐ見つめる。



「貴方の手はいつだって優しくて、強くて、温かい…」

「………も…がみ…さん…?」

キョーコに揺さぶられた衝撃で、蓮の瞳はやっと光を取り戻す。

「何をそんなに苦しんでいるんですか?」

「お……れ…は…」

自分の肩に手を置くキョーコの身体を受け止めようとして蓮の手が動く。
けれど、キョーコの肩にその掌が触れる寸前、ピタリと止まり、その硬直してしまった手をキョーコは見つめる。

「敦賀さん…」

「…離れて…君が……穢れる。」

苦しげに絞り出される声にキョーコはもうどうすればいいのか分からなかった。
蓮が自分に触れてくれない事がこんなに泣きたくなる程に悲しい。

寂しい。

蓮の苦しみを取り除いてあげたいと強く思った。


「君を…汚したくない…」

「敦賀さん?」

「俺は…罪人なんだ…」

蓮の言葉にキョーコは息を飲む。
キョーコの身体に触れないように蓮は立ち上がり、一歩後ずさる。


「俺は汚い…綺麗な君に触れる事は赦されない…」


(赦されない…?)

(誰に…?)


次に動いたのはキョーコの本能だった。


「敦賀さんが触らないなら私が触ります!」

そう言って蓮との間に出来た距離を詰め寄り、その腰にキツく抱き付いた。

キョーコの行為に蓮の身体がビクリと跳ねる。

「っ!」

「敦賀さんが汚れてる…なんて、馬鹿な事言わないで下さい!貴方は…貴方は私の……」


(私の何だと言うつもり…?)


自分が何を言いたいのか分からなかった。

「俺は…君の…?」


(妹…?御守り…?…後輩…?…どれも…違うわ…)


それでも…キョーコの口からは考えよりも先に言葉が漏れる。

「貴方は私の大切な人です。」

大切な人…そう口にした瞬間、キョーコの中にストンと答えが落ちる。

「大切…?」


(ああ…そっか……私…敦賀さんが好きなのね…)


その想いはキョーコ自身、自分でびっくりするぐらいあっさりとキョーコの心に馴染んだ。

「俺が?」

「敦賀さんが罪人だと言うなら、私が赦します!誰が責めても私は最後まで貴方のそばにいます、私なんかじゃ敦賀さんの力にならないかもしれませんけど…だけど…っ」

キョーコの言葉を耳にした蓮は、その身体をキツく抱き返した。

「君が力にならないなんて…あるわけないだろう?」



「私…敦賀さんの力になれますか?」

「うん………君はいつだって俺を掬い上げるのが上手だね…」

痛いくらい抱きしめる蓮の腕の力強さに、キョーコは自分の心臓が痛いくらいに高鳴っている事を自覚する。


(どうしよう……ずっと…このままでいたいなんて…思っちゃいけないのに…)


「なら…良かった。」

そう言ってキョーコの気が抜けた瞬間、思わずクシュンとくしゃみが出てキョーコは自分の口を指で覆う。

「ごめん…寒いよね。」

真冬に露出の高い雪花の衣装。
長時間ずぶ濡れの状態で寒くない訳がない。

蓮はキョーコの身体を一度離し、自分のコートの前を開きキョーコを抱き寄せその中へと招く。

「っ!?敦賀さん!!?」

蓮のコートの中は辛うじて濡れていない事に気づいたキョーコは焦る。

「だ、ダメです!これじゃ敦賀さんが濡れちゃいます。」

その腕の中から抜け出すべくもがくけれど、蓮の抱き寄せる腕は力強く、ほどけなかった。

「もう十分濡れてるよ、少しでも君が温もるならそれでいい。」

「で、でも…」

「俺…温かくない?」

蓮の声はいつもの穏やかさを取り戻していてキョーコの胸はキュンと締め付けられた。

「あた…温かいですけど…これじゃ…歩けません、早く帰りましょう?」

「…そうだね…ごめん。」

そう言った蓮はキョーコを解放し、コートをその身体にバサリと被せる。
華奢なキョーコにカインのコートは大きくて、まるでサイズがあっていないその姿に蓮の顔に笑みが浮かぶ。

「だっ、だめです!これじゃ、敦賀さんが風邪…」

「大丈夫、早く帰ってお風呂に入れば問題ないよ。君がずぶ濡れなのは俺のせいだから、お願い。」

「っ…」

しぶしぶコートを受け止ったキョーコは、少し先にある黒い犬の骸を痛ましげに見つめる。

「可哀想ですけど…明日…弔いに迎えにきてあげましょう?」

キョーコの言葉に「うん、そうだね。」と蓮はそれを見て唇を噛んだ。

「帰りましょう、敦賀さん、一緒に。」


キョーコは蓮の手をぎゅっと握り、雨の中を歩き始める。

少し呪縛を解けた蓮の心情を表すように、激しかった雨足は、いつの間にか小降りなものとなっていた……。









いかが…でしたでしょうか…がくぶる。
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