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SS・ラブミークエスト2
二話目ですー。
予約投稿しておくけどはてさて大丈夫かなぁドキドキ。
ドキドキが止まらない1000ry
今季は見るアニメがいっぱいありすぎてワタワタしてます。

あ、スパコミのスペースは改めてお知らせしますが、
初日の5/3 東4ホールす28a 光の箱庭 です。
現在前編書き下ろしの蓮キョ原作設定派生話を書いてます・・・。
がんばるーっ。





ラブミークエスト 2










『四名様~ご案内~っ』

太陽の日が落ちて間も無く。四人はジェリー・ウッズの宿屋にたどり着き、どこか間の抜けた挨拶に出迎えられた。

「あら、社ちゃんに蓮ちゃんじゃない。お久しぶりね」

 魔女の宿というからには、おどろおどろしい雰囲気も想像していたが、キョーコと奏江の想像に反し、ジェリーの宿屋は白を基調に整えられ、タカラダ国でもそうそうお目にかかれない高級感を漂わせていた。

「お久しぶりです、ミス・ウッズ」

ウッズと呼ばれた女は、どう見てもキョーコや奏江とそう大して変わらないような、むしろそれより年下にすら思える幼い外見をしている。

それゆえにこれが本当に話に上った凄腕の魔女、ジェリー・ウッズなのかと二人は首を傾げ、そんな二人に社はひそりと耳打ちした。

「二人共、魔女ジェリーはこう見えて132歳だよ?」

「「 ひゃくっ!!? 」」

「社ちゃぁ~ん? レディの年齢を言いふらすなんて感心しないわよ~?」

「えっ? あっ、す、すみません!」

じとりとした視線を向けるジェリーに社は大慌てで謝罪する。この魔女を怒らせると怖い事を社はよく知っているからだ。

「でも、お若い……ですね」

キョーコが心底そう思った通りに心の内を零せば、奏江もコクコクと頷く。

「あらーん、良い子ね~」

この一言ですっかり気を良くし、キョーコと奏江を気に入ったジェリーはニコニコと笑み、そんなジェリーの隣から蓮が口を開いた。

「魔力が高いと年齢が止まる人間は稀にいるよ。ジョブチェンジやクラスアップを司るLME神殿のローリィ卿もその一人で、確か……893歳だったかな」

「うふふ。ダーリンは良い時に止まったわよね。全部がアタシ好みだもの」

「だ……ダーリン?」

思わず奏江が突っ込んでしまった。

「えぇ、ローリィは私のダーリンなの、すっごーく素敵なのよー」

「へ……へぇ」

ふふふーと笑うジェリーだが、893歳の人物が素敵だと言われても、キョーコにも奏江にも人物像が全く想像出来ず、激しく反応に悩む。

「あっと、いっけない。お部屋はこっちよ~」

いつまでもエントランスで立ち話じゃいけないわねと、案内の途中だった事を思い出したジェリーに促され、四人は部屋に入った。
するとそこにはシングルのベッドがでんと四つ並んでいて、あまりの衝撃に全員の思考がピタリと停止する。

「って、四人一部屋なんですか!?」

飛び込んできた光景にびっくりしている全員の心境を代表してキョーコが叫びを上げた。

「そうよ。だってパーティーの結束を強めるには共同生活が一番だもの」

これってダーリンの教えなのよねぇ、フフフフと不敵に笑うジェリーの台詞により、まだ見ぬローリィに対して、キョーコと奏江が殺意を覚えたのは言うまでもない。

「あぁ、流石にお風呂は男女別にしてあるから」

「「 当たり前です!! 」」

「あらあら、キョーコちゃんと奏江ちゃんは息がピッタリねぇ」

「「 え? 」」

これも言うまでもなく、キョーコは嬉しそうな「え?」で奏江は嫌そうな「え?」である。

「なんでモー子さんそんなに嫌そうなのよーっ」

「いや。……だって、ねぇ」

ひどいわぁと嘆くキョーコを後に残し夜は更けていった。



***



「じゃあ、モー子さん。私、先に上がってるね」

風呂上がりのキョーコが大浴場の暖簾をくぐり、部屋に戻る途中。通路に本棚を見つけ、思わず足を止めた。

「えっと……」

どう見てもレア魔導書だというのに本棚にはご自由にご覧下さいと可愛らしい文字で書いてある。

「コレって……太っ腹にもほどが……」

そうひとりごちながら、分厚い一冊を手に取り開く。
年代物のそれは重厚な背表紙にインクで綴られた手書きの物だ。内容から見るに、これをしたためたのはジェリー本人なのだろう。

「んーっと。氷系呪文は……アイスシールドにアイス……うーん。……せめて中級はマスターしたいんだけどなぁ……習得方法は……っと……」

初級魔法は使えれど、中級魔法はまだこれからと発展途上中の魔法剣士であるキョーコはふうと溜息をつく。

「勉強熱心だね」

「うきゃああああ!!!」

突然背後からかけられた声にキョーコは飛び上がらんばかりに驚いた。

「つ……つ……敦賀さん」

「うん? どうかした? 最上さん」

「い、いえ。びっくりしただけです」

パタンと閉じてそそくさとソレを本棚に戻すと、なんとか笑顔を作ってみせる。

「じゃ、じゃあ私はこれでっ」

そのまま踵を返そうとした所でキョーコは蓮に呼び止められた。

「君はそんなに俺が嫌いなのかな?」

「……え?」

「初めて会った時から、さり気なく俺を避けているだろう?」

「……あ……」

キョーコは気づかれていないつもりだったのだが、蓮からすればキョーコのさり気なさを装いつつも自分を避けている行動はとても分かりやすく。一方のキョーコはバレていたという気まずさに、うろたえた表情で蓮を見上げた。

「パーティーを組んだからには、チームとしての信頼関係を築くべきだと思うけど、君は俺にそうできないみたいだから。……正直、今の君に、俺は背中を預けることが出来ないんだけど?」

「す、すみません」

蓮の言う事は至極最もで、キョーコの表情は陰ってゆく。

「俺。君に何かしたのかな?」

「い、いえ! 敦賀さんが何かしたという訳では! …………その……私……私……」

困惑を浮かべる蓮の様子に、キョーコは慌てて否定をするが、その先の言葉は言い淀み、今にも泣き出しそうな悲しそうな表情に、問いかけた蓮の方が息を呑む事になった。

「……その……戦士タイプの人に良い思い出が……無くて……これは決して敦賀さんのせいではなくて、……私自身の問題なんですけど。…………ごめんなさい」

なんとかそれだけを口にしたキョーコの姿に、蓮は苦しさを覚えた。

過去に捕らわれる事は蓮にも覚えがある。

「いや、だったら……いいんだ。責めるような言い方をしてごめん」

「いえ、私がいけないんです…………アイツと敦賀さんは違うんだって分かってるのに……」

「アイツ?」

最後の小さな呟きを蓮は耳聡く捉えたが、その答えが返されることはなく、キョーコはただすみません……とだけ頭を下げる。

「あの……敦賀さんからちゃんと信頼して頂けるように頑張りますから、このまま私をパーティーに置いて頂けませんか?」

「あ……いや、俺だって解散させたい訳じゃないんだよ? 君も琴南さんも俺が最初思っていた以上に強いから」

「本当ですか?」

「うん」

この時、キョーコは初めて蓮に正面から向き合い、きちんと視線を合わせた。
背の高い蓮を見上げる為にキョーコは自然と上目遣いになったのだが、その瞳に見つめられた蓮は己の心臓がドキリと跳ねるのを感じ、驚く。

「良かった……ありがとうございます!」

ほっとしたのであろう、キョーコは満面の笑顔になり、初めて見たキョーコの笑顔に、蓮の視線は釘付けになった。

「あ、では私、ちょっとモー子さんの所に行ってきますので」

「……あ、ああ……」

それじゃと駆け出すキョーコを見送り、一人残された蓮は自分の中に湧き上がる気持ちに左胸を押さえて狼狽する。

「……なんだ……今の……」

呆けたように佇む彼の脳内に『恋』という単語はまだ存在していない――。



***



深夜。ふいに眼を覚ました蓮が寝返りを打つと、そちらは女子が寝ているベッドだと気付き、見てはいけないと根っからのフェミニストはもう一度反対側――社の方へと向き直ろうとしたのだが、そこでキョーコのベッドが空である事に気付いて動きが止まった。

「最上さん……?」

この時間になると、ジェリー・ウッズも就寝している為、よほど特別な事が無い限り、宿への出入りは出来なくなる。という事は、キョーコは宿屋内のどこかに居るはずだ。
危険は無いだろうがやはり心配になった蓮は身体を起こすと、寝入る社と奏江を起こさないように部屋を後にした。


「三百三十一、二、三、――っ」

中庭に足を踏み入れたところでキョーコの声が聞こえ、蓮はそっと様子を伺った。どうやら月明かりの中、キョーコは噴水の横で素振りをしているようだ。
鎧は部屋に置いてきたらしく、ラフなTシャツとスラックス姿で一心不乱に剣を振っている。

(……あれは……)

じっと剣先に神経を行き届かせながらまっすぐ振り下ろす剣筋は、今日見たばかりのキョーコのがむしゃらさを感じる剣さばきとは違い、蓮の太刀筋を意識している事が見て取れ、思わず蓮は柱の陰で足を止める。

「四十五っ、六、しーちぃ、っ!」

汗まみれのキョーコはそこで力尽きたらしく、刀をドスリと土に刺し、お尻からへたり込むと、ぐったりと大地に転がった。

「うぅう。難しいーっ」

ただでさえ日中の冒険で疲れているだろうに、他人の剣筋を意識しながら素振りをするなど疲れるに決まっている。

「こら。そんな無理をしていたら明日のクエストに響いてしまうよ?」

「っ! 敦賀さっ」

誰もいないと思っていたのだろう、自分を見下ろして来た蓮にキョーコは目を丸くして飛び起きた。

「ほら。ちゃんとクールダウンしないと」

中庭の噴水の上に置かれていたキョーコの物らしいタオルを取り上げると、キョーコに手渡し、汗を拭うように促す。

「起きていらっしゃったんですね……」

「いないからびっくりしたよ。……それから。一生懸命なのは良い事だけど、今は外界を歩いている真っ最中。体力の回復と温存も立派な仕事なんだけど?」

外界を歩いている最中に疲れから戦えずに全滅などという事になっては笑えないだろうと蓮が苦言を呈すると、しょぼんとしたキョーコは素直にすみませんと頭を下げた。

「それで、どうして俺の太刀筋を真似ているのかな?」

「っ!!」

途端に見られていたと気付いたキョーコの顔に赤味が差す。

「こ、これは、そのっ、あのっ!」

「ん?」

真似ていた当人に見られたと相当きまりが悪かったのだろう。キョーコは口籠ったが、きちんと答えるように目で訴えると、うぅうと呻き、とうとう観念して口を開いた。

「………………敦賀さんの剣、強くてきれいだなと思ったので」

上目遣いで自分を見上げてくるキョーコに今度は蓮が固まる番だった。

「・・・・・・・・・・・・・・。」

「どうかされましたか? 敦賀さん?」

「……いや、なんでも……」

思わずそうやって誤魔化すのが精いっぱいで、ゴホリと咳払いをした蓮は、褒められた事への照れを表に出さないように大きく息を吐いた。

「褒められて光栄だけど、俺の刀は大刀だから、真似るには最上さんの刀には少し無理があるかもしれないよ」

流れるように刀をさばくのは、蓮の刀が大きく、無理な動きをしないようにと突き詰めた結果だ。逆を言えば、キョーコの細身の剣で決まった動作をすれば太刀筋が読まれてしまう事につながりかねない。

「え? あ、確かにそうかも……ですね」

「俺と最上さんだと体格差もあるしね。他流派を意識して自分の型を崩しすぎると、せっかく習得している技の調子も崩す事になりかねないよ」

「はい」

「君のお師匠はそういう事はあまり口にしない方だったのかな?」

それは特に意識せずに蓮の口から出た言葉だったのだが。

「あ、私は誰かに師事した事は無いんです」

「独学って事?」

街ではお師匠様に縁が無くて我流なんですよねと苦笑するキョーコに蓮は面を食らった。独学で力をつけてきたのならば、それは恐るべき根性というよりないからだ。

「なるほど。だから時々大振りなのか……」

「え?」

キョーコが蓮の戦い方を見ていたように、蓮もキョーコの戦いぶりを見ていたのだから、気になる点もある。
ふむと考え込んだ蓮は、ならばと一つの提案をした。

「良かったら一緒にトレーニングしようか」

「え? いいんですか!?」

俺が教えられる事もあるだろうしねと蓮が笑ってみせると、キョーコが瞳を輝かせ、そんなキョーコの反応に蓮はただしと一つ付け加える事も忘れない。

「今日はもう休もうか。特訓は明日からだね」

すでに今日は疲労困憊だったはずのキョーコは、今すぐにでもといった勢いだった自分のがっつきように恥ずかしそうな笑みを零すと、一変。花が綻ぶような微笑みでよろしくお願いします! と深々と頭を下げたのだが、同時にすでに深夜である事を思い出し、大きな声を出してしまった自分の口をはわわと覆う。

そんなキョーコの姿が予想外にツボに入ってしまった蓮がこらえきれず小さく噴き出すと、そんなに笑わなくてもいいじゃないですかというキョーコの恨みがましい呟きが小さく零れる。
それが寝入っている宿泊客への配慮からの小声なのだと分かってしまうと、微笑ましくもあり、蓮は最上キョーコという仲間への好感をまた一つ高めたのであった。









昔のあとがきだと、最初五話で終わると思ってたらしいです。
・・・まじか。
本当、長くなる人ですいません。
あ、この辺りからだいぶ加筆が入ってきます^^
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