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SS・ラブミークエスト5
予約投稿でこんにちは。
二話分投下したので、明日もあるよ^^
SCC新刊原稿ラストスパートしとります。
も、もうちょっとなんだーっ。

ということで、追記よりどぞー。




ラブミークエスト5








「次の方……は、敦賀キョーコさん、やね。レベル17ですか」

「はい」

そうこうした四人がアカトキの関所までたどり着けば、予想以上に役人のチェックは厳しく、最上キョーコのままでは確実に門前払いだっただろう。

「キョーコさん? ちょっとそのマスク、外してもらってもかまいません?」

石橋光という名札を付けた役人は、列に並んでいた時点から職務熱心な様子が伺えていたのだが、彼はキョーコという名前にひっかかりを覚えたらしく、訝しむ様子を見せる。
思わずキョーコは肝を冷やし、役人の手がキョーコの眼前に伸びようとした刹那、キョーコの身体は真後ろに立っていた蓮に攫われることになった。

「きゃっ」

「君。私の妻に何か問題でも?」

蓮は自分の長身を存分に生かし、人の良い笑みを浮かべながらも少々威圧的に役人を見下ろす。
笑顔の筈なのに、なぜだかうすら寒い物を悟った石橋は、まるで金縛りにあったような心地で冷や汗を流した。

「え、あ……いや……」

抱きかかえられたキョーコは蓮の腕の中で蓮の広い胸に顔をうずめる格好になる。

「職務熱心なのは結構な事ですが、私も妻も連日の野営で疲れています。早く宿で休みたいんですが……」

そう言った蓮の手がキョーコの尻を鷲掴めば、驚いたキョーコが悲鳴を上げ、蓮の腕はさらに大胆にキョーコをまさぐり、それをモロに見てしまった石橋が、まるで茹であがったタコのように顔面を真っ赤に染めた。

「ひゃん!!」

「申請書に書いてあるように、私達の旅は新婚旅行も兼ねていましてね」

ようやくベッドで眠れると楽しみにしているんです。察して頂けませんか? と、キョーコの身体を大切そうに抱え直し、首筋に顔を埋めた蓮は流し目で役人を見やる。

「ちょっと……れ、蓮さん……恥ずかしいです。……っやぁ……」

キョーコが甲高い声を上げると、キョーコに手を伸ばしかけていた役人は顔を赤くしたままブンブンと首を横に振り、慌てて手を引っ込めてゴホンと大きな咳払いを発し、キョーコの姿と蓮の色気に溢れた流し目にぽかんと見とれてしまった己を誤魔化そうとした。

「も……もう結構です。中へどうぞ」

「それはどうも」

蓮はキョーコを抱きかかえたまま、悠然と街の中へと歩き始める。



「……独り身っぽい彼にはちょっと刺激が強かったかな」

「しっ……知りませんっ。なんて事するんですかっ!!」

「けど、結果的に街に早く入れたんだからいいじゃない」

「そ……それは…………って私、自分で歩きます!」

「ああ、ダメだよ。最上さん。もうちょっと引っ付いてた方が良い」

「な、なんでですかーっ!!」

「んー。勘?」

クスリと笑う蓮はキョーコを軽々と抱えたまま、合流の約束をしている宿へと向かい歩いて行った。



***



「もーっ、アンタ達、後ろから見ててハラハラしてしょうがなかったわよ、特にキョーコ!」

「う……モー子さん、ごめんなさい」

「謝るぐらいなら、設定通りにイチャイチャ新婚バカップルになりきりなさい! 旦那に尻の一つや二つ触られたぐらいで動揺するんじゃないわよ!」

「ってそんな事言われても……」

いきなりああいう目に合えば悲鳴の一つや二つ上がると思うのだけれど、奏江としてはそうでは無いらしい。

「胸の三つや四つ、自分から出す心意気じゃなくてどうすんの!」

「む、胸は三つも四つも無いわよ、モー子さぁぁんっ!!」

「まあまあ、琴南さん。そのぐらいにして、さ、街で集めた情報をみんなで共有しよう?」

宥めるようにまあまあと言う社が間に入ると、これには奏江も落ちつかざるを得ない。

「それで? この街の自称勇者様の評判は?」

蓮が促せば、念の為にと蓮とキョーコを宿に残して街の中を散策した社と奏江が口を開く。

「手っ取り早く言えば、外面は完璧ね。ざっと聞く限り、王子で勇者の不破を讃える声はあれど、悪く言う人間はアカトキにはいないわ」

「そうだよね。国民はみんな騙されちゃってるよ。この国の国民は不破信者と言っていいね」

「……そうですね。あのバカ、昔から自分を格好よく見せるのは得意でしたから……」

何度自分が身変わりに叱られた事かとキョーコが溜め息混じりに言うと、蓮も苦笑しながら答えた。

「まあ、王族の人間なら諸外国に向けて自国の良い面だけを見せたい訳だから、その才能が間違っている訳じゃないけど、今回に関しては頂けないよね」

「蓮。不破をフォローしてどうすんだよ。まあ確かにそれはそうなんだけどさ」

全面否定は出来ないが、けれど納得は出来ない。

うーんという様子の社に蓮は続けて言った。

「別に俺は彼がどうなろうと知った事ではありませんが、ただ不破から龍玉を取り返すとなると少し骨が折れそうですね。王宮への侵入は難しいでしょうし」

「そうだよなぁ、どうやって不破に近づくかが問題だよ」

「う……すみません……」

自分の為に皆に余計な手間をかけているとキョーコは小さくなって謝罪する。

そんなキョーコに今度は奏江が口を開いた。

「不破もタカラダのコウキ王からの要請を受けて大魔王城へ向かう事になったらしいから。アカトキの城から出たところを狙えばなんとかなるんじゃないかしら」

「へぇ……不破も大魔王城を目指すのか」

奏江の言葉に蓮がふむと考え込み、宿の壁に貼ってあったアカトキ国内の地図をじっと見つめた。
王宮、市街地、商店街、そして国の外壁をと黒曜石を思わせる双眸がぐるりと追ってゆき、一点で止まる。

「旅の出立前は、教会で他国へ入国する為のパスポートを発行してもらわないといけません」

「ああ」

奏江がポンと自分の手を叩く。

「この街の教会は一軒です。教会に滞在して待ち構えましょう」

奏江と社がそれなら大丈夫そうだと口にする中、キョーコは一つの問題に気付く。

「それって……どういう理由で滞在を申請するんですか?」

街に宿が存在する以上、ただの旅人が教会に滞在できるはずはない。
教会に滞在できる資格と言えば、教会に逃げ込まねばならない事情の者、教会の助けを必要とする者でなければならない。
例えば夫の暴力に耐えかねて逃げた妻だったり、災害で家を失った者だったりすると無条件に受け入れてもらう事が出来るが、なかなかそう言った理由は作れないだろう。他に考えるとするならば、神の力に縋る為にしばらく祈りを捧げたいという名目で寄付をすれば滞在できるかもしれないが、何のために祈りを捧げるかというのが問題だ。

「そうだねぇ……」

社が考え込む傍ら、奏江があら、簡単じゃないのと口を開く。

「え? 簡単なの?」

「アンタ達に子供が出来なくて、神の力に縋りたいとでも言えばいいじゃないの」

「……へ? それって」

どんな悩みでも真剣な悩みならば、それを受け止めるのが教会の仕事だ。確かにそれで滞在出来なくはないだろうが……。

「じゃあ、最上……いや、キョーコちゃん。俺と頑張ろうね」

「え……えぇーーーっ!!!!!」

蓮はキョーコの悲鳴など何でも無い顔で笑い、社と奏江はもう慣れたそれから、耳を塞いで自分達の聴覚を守ったのだった。



***



「はあーーっ」

アカトキの街での初日はとりあえず宿を二部屋押さえ、蓮と社、キョーコと奏江でそれぞれの部屋に入る。その一室に着くなりソファーにどっかりと座り込み、重い溜め息を吐く蓮の様子に社はギョッとした。

「れ……蓮? お前、大丈夫か?」

まさか教会にキョーコちゃんと二人きりで滞在する事になったというのが実は嫌だったのか? と、社はうろたえ、そんな心配をかけてしまった事に気付いた蓮は苦笑した。

「え、ああ。大丈夫です……一応」

「無理してるのか? 駄目なら違う作戦も考えるけど」

「いえ……大丈夫ですよ」

「いやいや、大丈夫っていう顔色じゃないぞ?」

まるでこの世の厄災を全て背負い込んだみたいな深刻な顔で溜め息を吐いておいて、大丈夫と言われても説得力が無い。

とにもかくにも話を聞いてみなければ、と社は部屋に備え付けのポットから二つのカップに茶を入れ、その片方を蓮に差し出した。

「キョーコちゃんと二人きりなのが嫌……ってんじゃない……よな?」

蓮がキョーコを気に入っているから何かにつけて構っているという事は、傍目に見ている分には明らかだったので、社からすれば念の為の確認だ。

「え? ああ。それは勿論ですよ。単に教会が嫌いなのと……」

「なのと……?」

「……あの子を襲わないように堪えるのに限界を感じてるだけです」

「だけ……ってお前!?」

確かに踊り子の装備をしたキョーコの露出度は目の毒で、その気の無い社からしてもドキドキしてしまう。
好きな相手と二人きりで滞在するなんて事になれば、鉄壁の理性だろうと健全な男子ならば揺らぐのも仕方がないというものだ。
そう言えば最近の蓮は腕組みをしているのをよく見かける。……あれは耐えていたのだろうかとなんとなく察すると、同情的な気分になってくる。

「ひょっとしなくても、お前って頑張って紳士的にやってたんだな」

「当たり前じゃないですか。ただでさえ俺は最初、彼女に苦手だって言われてたんですよ? 嫌われないように必死なんです」

至極真面目な顔で言う蓮に、社は思わず噴き出してしまった。

「…………ぷっ」

「社さん?」

「おま、ぷっく……そんな恋愛百戦錬磨みたいな顔しといてっ」

さっさと口説いてしまえれば良かったのだろうが、偽装結婚でそちらだけ先に進んでしまった手前、今の関係から気まずくなるのは避けたい訳で。

どう距離を詰めていけばいいものかと考えながら、キョーコから寄せられている感情は、パーティー内で最も腕が立つ蓮への尊敬と、仲間としての信頼そのものであり、異性として意識されている気があまりせず、その場しのぎの顔をしていたツケがそろそろと押し寄せている気がしなくもない。

「……これから頑張りますから大丈夫ですよ」

「頑張るって、無理強いとか力任せは駄目だぞ! ちゃんと合意の元でだな……」

「大丈夫ですよ。……多分。いくら夫婦だからって教会も男女を同室にはしないんじゃ……」

「……いや……どうかな……そればっかりは向こうの神父がどういう人かによるだろうし……」

教会の方針はそれぞれに任されているので、神父の人柄が大いに反映される。僧侶の社にも実際の所、この街の教会がどういう受け入れ方をするかは分からない。

「しかしお前、本当にキョーコちゃんの事、好きなんだな」

「え? はい。そう見えませんか?」

「いや。俺はさておき、キョーコちゃんは完全にお前にからかわれてるって思ってそうだから……さ……」

「……ですよね……はぁーー」

再び重い溜め息を吐いた蓮に社は慌ててフォローの言葉を探す。
今まで一緒に旅をしてきた中で、蓮は女性の扱いに長けていると思っていたが、どうも本命には不器用らしい。

「あれだよ。キョーコちゃんがお前を苦手だったのは不破も戦士だったからだろう? これからだって!」

「そうですね。不破との禍根を絶たない事には仕切り直して告白も出来ないですし……」

「そうだなぁ。とりあえずそっからだよなぁ」

「えぇ。……とりあえず俺、風呂入って頭冷やしてきます」

「ん。あぁ、行ってらっしゃい」

蓮が浴室へ向かい、一人残された社は手に持つコップを机に置き、その視線は宙を仰いだ。

「……あとで琴南さんに強力してくれるように頼んでみるか……」

面倒見が良い彼は、どうした物かとアレコレ考えていた。







サイト公開していた時より加筆分でお話掲載枠が押してるんですが、コピペ挿入とか下書きの日付かえちゃったりでもう初稿のオリジナルがどうなってたのか分からなくなりました←これだからざっぱな性格は・・・。
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