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SS・ラブミークエスト11
前書きだけ古いまま変わってないよっていう事にやっと気付いた・・・←アップしてから二日・・・orz









ラブミークエスト 11







キョーコに抱き締められた蓮は眉根を寄せ、暗い顔をしていて、これまで見た事のない表情にキョーコの胸は締め付けられた。

「そんなに自分を追い詰めないで下さい」

腕の中でなすがままになっている蓮の広い背中を撫でながら言えば、蓮はそれに身を任せたまま、ポツリと零す。

「……でも、いくら後悔しても、時間は巻き戻せない。……犯した罪は消えない、失われた物は取り戻せないんだ」

「何があったんですか……?」

キョーコの問いに対し、蓮は逡巡の後に覚悟を決めるように一つ息を吐いた。

「……この国に降りかかった呪いは、俺が……招いたんだ……」

「呪い……ですか」

「気の遠くなる昔、俺がこの国の王妃の……母親の龍玉を割った……」

「割っ……た……? え? 母親って……」

驚くキョーコの肩に手をやり、蓮は少しだけ距離をあける。これから話す事でキョーコの瞳に嫌悪の色が浮かぶかもしれない。それはとても恐ろしくて、自然と口調は重たい物になったが、そんな蓮の危惧を察するようにキョーコは蓮の両手をそっと取り、優しく握り締めた。

「敦賀さんって、王子様だったんですね」

「うん……一応ね……」

柔らかく笑い、握り締められた手から伝わる体温は温かく、緊張で冷たくなっていた指に温もりが戻り、蓮は少しだけホッとした。

軽蔑される事が怖い。それはこれまで誰に対しても全く抱かなかった感情だ。
キョーコにだけは嫌われたくない。そんな思いを抱きながら、何とか吐き出した声は喉が乾いていたせいで掠れてしまった。

「あまり……驚かないんだね」

「そりゃ、敦賀さんがただ者じゃないって事は何となく気付いてましたから。ただの剣士さんより王子様の方がなんだかしっくりきます」

蓮の痛いほど張り詰めた空気を和ませようと、おどけたようにクスリと笑うキョーコのお陰で重苦しい雰囲気が優しく柔らいだ。

「……龍は気高い生き物だから、正々堂々と戦いに敗れ、納得が出来たなら、自分にとって大切な龍玉を奪われてもたたらない」

そう言われ、キョーコは自分がそれを手に入れた過程を思い出し納得する。

「そう……ですね。私の場合は龍玉を手に入れたいって事に必死で、正々堂々とは違った気がします……だから呪われたんでしょうか……」

「うん。多分ね。……そして俺は、それを割った……この国に伝わる聖剣を突き立てたんだよ」

「どうしてですか?」

「どうして、だろうね……いっそ国なんて壊れてしまえと……自暴自棄の果てだったからよくは覚えていないんだ。ミス・ウッズが言うには恐らく、龍玉と一緒に俺の魂も割れたせいだろうという話だけど……」

「魂が割れた?」

苦笑混じり言葉の意味が分からないとキョーコが首を傾げ、それを補足するために蓮は続ける。

「俺はどちらかというと影みたいな物なんだろうね。虚像……というのかな。いや……偽物が正しいのかな」

「偽物? え?」

「魂が割れて、どこか不完全な生き物になってしまったんだよ。いくら生きていても歳を取らなかったし、どんな怪我をしても死ぬ事もなかった」

その言葉にキョーコは驚いた。それが確かなら、蓮は一体どれほどの時を過ごしてきたのだろう。

「じゃあ……」

「半分に割れた片方は城のどこかにあるはずなんだ……気配は感じる。……ただ、それに気付いた頃には俺は封印に阻まれてもう国内に戻る事が出来なくてね……」

「封印……ですか……」

「母さんを守る為に父さんがかけたみたいなんだ……国を追われた民達が言うには、王と王妃は呪いを受けた……呪いが民に降りかからないようにする為に国を丸ごと封印する必要があるのだと説明を受けたと言っていて」

「じゃあこの国の呪いは。これも龍玉のせいなんですね……でも……世に出てるお話とは随分違うと思うんですけど……」

「大魔王はモンスターを狂暴化させて世界を混沌に陥れた?」

それはキョーコが小さな時から耳にしていた御伽噺で、それが史実だと思っていた事だ。

「はい。でもこうしてお話に聞く王様は思慮深い方のようですし、とても自分から世界を何とかしようとする方には……」

御伽噺の中の大魔王は悪人だったはずだが、どう聞いてもこの国の王を悪い人物だとは思えない。

「そうだね……、物語の中にある本当の事はモンスターを狂暴化させた。そこだけだよ。父さんがそうなったのも俺の引き起こした事態のせいだしね」

「一体……何が……」

新たに知る事実の連続にキョーコの頭はパンクしてしまいそうだったが、ぐっと堪え蓮の話に真剣に聞き入っていた。

「……この国に降りかかった呪いの形は『餓え』だ……」

「うえ……?」

「母さんはいくら眠っても満たされないから起きられない。……父さんはいくら食べても満たされない。……ずっと渇いているはずだ……」

ちょうどその瞬間に唸り声に似た件の音が響き、キョーコは顔を上げた。
獣の唸り声に聞こえなくもないが……。

「じゃあこれって……」

「父さんの腹の音、なんだろうね。これにモンスターを狂暴化させてしまう音波が含まれている……という事らしい。……割れた龍玉を元に戻す術があるならなんとか出来るかと思って世界中を旅していたんだけど。今日まで何も見つけられなかった」

「……何も……ですか?」

手掛かりすら何も無いのですかというキョーコの問いに蓮は苦い笑みを浮かべる。

「割れた龍玉を直す条件は、その破片を揃えるか、共鳴できる龍玉を見つける事らしいんだけど、俺じゃあ、いくら旅をしても龍に出会う事すら出来なかった……」

「それって……」

「龍は気高い魂に惹かれるからね……魂が欠けた、不完全な俺では引き寄せられないようだよ……」

「じゃあ私の龍玉を取り返せたら……ひょっとしたら、使えるかもしれないって事じゃ」

「どう、かな……可能性はゼロじゃないだろうけど、それは分からない」

蓮は重い溜め息を吐き、疲れた顔を隠す事なくキョーコに見せた。

「本当は、断罪される為に、終わる為にここに帰って来たかったんだ……」

「そんな事っ……」

「……ごめん…………」

それきり部屋の中は重い沈黙に支配され、キョーコは蓮の手を握り締めたまま俯き、かける言葉を失っていた。

「でもね……」

「でも……?」

長い沈黙の末に口を開いたのは蓮の方で、キョーコはそれに答えるように顔を上げる。するとその頬に蓮の両手が添えられ、二人の視線は交差した。

「君に出会って……俺は初めて許されたいと思ったんだ。お願いだから、こんな俺の為に泣かないで?」
蓮の言葉で初めてキョーコは自分が泣いている事を自覚した。温かい透明の雫が両の目からぼろぼろと零れている。

「ごめんね……」

「いいんです。そんな事より……」

ぐずりとしゃくりあげ、キョーコは乱暴に自分の頬を伝う涙を拭う。

「私も一緒に謝りますから、お城に行きましょう」

「……一緒にって……」

「悪い事をしたのならごめんなさいって心を込めて謝らないと」

「ごめんなさい……?」

そんな事考えてもみなかったという顔の蓮に、キョーコはコクリと頷く。

「敦賀さんのお父様は心の底から悔いている人間を突き落とすような方では無いのでしょう? だったら……」

「…………そう……だね……付き合って……くれるの?」

「勿論です」

心の底に溜まっていた物を吐き出すことができた蓮は、ホッと息を吐き出して微笑む事が出来た。

「ありがとう」

二人が見つめ合い、微笑み合う事で生まれた穏やかな空気だが、場の雰囲気を壊すガタンという物音で二人はビクリと反応し、思わず身構えた。

「や……社さん!?」

いつの間にか帰って来た社に驚きキョーコと蓮がそちらへ駆け寄れば、物音を立てて床に崩れ落ちた社は、その白い法衣を赤い鮮血で染めている。

「一体どうしたんですか!?」

浅い呼吸の社に蓮が問いながら、傷の深さを確かめた。

「ご……めん……不破達に、琴南さんが……」

「モー子さんが!?」

社の言葉にキョーコが衝撃を受け、一体何がと声を荒げた。

「返して欲しかったら……マリア姫を連れて来いって……」

「え?」

「アイツら、城の扉が開けられなかったらしくて、俺達に姫を助けさせておいて、自分達が連れて帰る気だ……」

荒い呼吸の中語られる言葉にキョーコは目を見開いた。
また自分の大切な物は奪われようとしていると言うのか……。

「社さん、モー子さんは……松太郎は一体どこに……」

「教会で……待ってるって」

「アイツっ!!!」

社の言葉を聞いた瞬間、キョーコは憤怒にかられ、宿を飛び出した。

「最上さんっ!!」

蓮がキョーコを呼び止めようとするも、すでにキョーコは扉の向こう側で、蓮の制止は虚しく空を切る。

「……うっ……」

「社さん!! 大丈夫ですか!?」

痛みに社が顔を歪め、蓮が気遣うも、社しか回復呪文の使い手がいない以上、どうする事も出来ず、蓮は自分の無力さを痛感し、悔しさに唇を噛んだ。

「…………社さん。手当てを受けに城に行きます。肩に捕まって下さい」

「れ……ん……?」

「彼女は不破の元へ行ったでしょう。早く追いかける為にも急ぎますよ」

「え……あ、ああ……」

蓮はすぐにでもキョーコを追い駆けたい衝動をなんとか踏み留め、社を連れて路地へ出る。

「……ヘタレている場合じゃないな……俺」

蓮は苦笑して、城へ向かうべく足を踏み出した。それはキョーコが向かった方角とは完全に反対となったのだが、それでも蓮はまっすぐに歩いていった。




***



「ちょっと!! これ、外しなさいよ!!」

ギシギシと音を立て、教会の柱と自身の腕を繋いでいるロープを外そうと、奏江が抗議をしながらもがいているのだが、魔法であつらえてあるそれは一向に緩む事もなく、そんな奏江の様子を麻生春樹が苦笑しながら見つめていた。

「ごめんなさいね。王子殿下の御指示だから、まだしばらく解いてあげられないわ」

「あなたの仲間がマリア姫を連れてきたら解放してあげるんだから大人しくしてればいいじゃない」

七倉美森も必死の形相で抵抗を続ける奏江を呆れたように見ている。

「大人しくしてたら解放? あんたんとこの馬鹿王子が社さんに何したか分かった上で言ってるんでしょうね」

キッと二人に噛みつくような視線を向ければ、そんな奏江の様子を笑う男の声が割入った。

「あれは、アンタを庇おうと下手に入ってきたからモロに当たったんだよ」

俺は威嚇のつもりだったんだ。俺のせいじゃねぇよと言う尚に、奏江は怒りも露わに厳しい視線を向ける。

「ワザとじゃない? 口ではなんとでも言えるわよね。それに、その後の要求は最低だと思うわ。なんでアンタの為に私達が姫を連れてこないといけないのよ」

「って言われてもな。っつーか、なんで俺の為に働くのがそんなに嫌な訳? キョーコのやつなんて喜んで働いてたもんだぜ?」

そうまで拒む奏江の心境が理解出来ないと大袈裟に肩をすくめる尚に、奏江は怒鳴り散らしてやりたい思いをなんとか押し殺す努力をした。

「これだから苦労を知らないボンボンは……。アンタがキョーコにした事を知らないとでも思ってるの? 嫌に決まってるでしょうが!」

「けっ……」

奏江によってバッサリ斬り捨てられた尚は、悪態をつきながら後頭部をガシガシと掻き、奏江に背をむけてポツリと言った。

「つーか、あんた。キョーコなんかのどこが良くてパーティーを組んだ訳?」

「は??」

「頭良い癖にアイツ、馬鹿みたいに尽くすから便利だったけどさ。いちいち俺の為に俺の為にって、聞いててイライラするんだよ。ったく。なんで俺じゃなくてキョーコなんかに勇者になれる素質があるんだ」

俺が勇者になるべきなのに、そう言う尚に奏江は不快感に眉間に皺を寄せた。

「呆れた。つまり完全にあの子への僻みが入ってるんじゃないの。だからあの子を利用したのは悪い事だと思わないなんて言われて、賛同してもらえるとでも思ってるの? アンタは間違いなく、あの子の人生を歪めた張本人なのよ?」

「ふん。なんとでも言え。おれはアカトキの国を今以上にデカくして、将来は楽をするっていう野望があるんだ。キョーコ一人に構ってられっか」

「本当に最っ低……」

開き直っているようにも見える尚に奏江が嫌悪を露わに言葉を続けようとした時、教会の扉がバタンと音を立てて勢いよく開かれた。

そこに立つキョーコの姿を見つけた奏江は、その無謀さを瞬時に察し、その身を案じる。

「キョーコ!!? 馬鹿っ、なんで来たのよ!?」

「モー子さん……無事……?」

誰が予想するよりもはるかに早く、息を乱し乱入してきたキョーコに、その場にいる誰もが驚き、尚も目を見開いていた。

「……姫を連れてきた訳じゃなさそうね」

祥子がキョーコの姿をとらえ、その右手に握られた刀に事態を冷静に把握して呟く。
刃の厚みがあり、両刃のそれはその見た目のままに重量もかなりありそうで、銀色に光る鋼の光沢が、名のある騎士が使う上質の業物であるように見えた。

「なんだよ。お前、一人で俺らと戦いに来たの?」

どう見ても踊り子の姿に不釣り合いな刀は、通りがかった広場の彫像が構えていたものであり、明らかに女の力で使いこなせる代物ではない。常用していた愛刀ならばともかく、それでどうしようと言うのか。尚は小馬鹿にした頬笑みを浮かべてキョーコを見やる。

「……そうよ。私の大切な物、みんな……みんな返して貰うわよ」

尚の皮肉など気にせずキッと殺気を含んだ眼光を飛ばすキョーコに、尚も浮かべていた笑みを引っ込めて真顔で睨み合った。

「……へぇ……」

どうやら本気で自分に戦いを挑みに来たらしい、と尚が目を細めてキョーコの様子を観察すれば、シャランという音を立て、キョーコの手首にある踊り子の装飾が鳴る。
両手で握り、構えられた刀の切っ先が尚へ向いたのだが、その重みは華奢な体では支えられず。小さく震えていた。

「どこで拾って来た刀だか知らないが、そんな調子で俺をどうにか出来るとでも? お前、馬鹿だろ」

「馬鹿? アンタにだけは言われたくないわね。モー子さんを今すぐ解放して、私の龍玉を返すなら引いてあげてもいいわよ?」

睨み合う尚とキョーコだったが、尚はキョーコの虚勢を見抜き、余裕の態度は崩さない。

「っ……キョーコ、やめなさいっ!」

キョーコの不利を見て取った奏江が制止の声を上げるが、キョーコが構えを引く事は無く、端で見ている奏江の心中に嫌な予感がよぎる。

「ふん。お前の相手なんてコレを使うまでもねぇな」

教会の片隅に立てかけてある自分が愛用している西洋刀を使う必要もないと、美森に彼女が装備しているダガーを寄越すように指示をする。
クルクルと放物線を描きながら落ちてくるダガーを軽く受け止めた尚は鈍色に光る短刀をスラリと鞘から抜き出し
て笑う。

「お前なんぞ、コイツで十分だ」

握り拳三つ程度の長さの尚のそれと、キョーコの腕の長さに近い程の刃の刀、普通に考えれば有利なのはリーチの長いキョーコになるのだろうが、構えているだけでうっすらと汗を浮かべているような状態は、キョーコの不利を如実に表していた。

踊り子が装備出来ない武器を無理矢理使用している為にキョーコの体力は目に見えて奪われていく。それでもキョーコの尚を真っ直ぐに睨みつける眼光は衰えないのは、強靭な精神力の賜物と言える。

「もうアンタには何も譲らないんだから」

「減らず口を……」

「っでやあああ!!!」

一足飛びで間合いを詰め、キョーコが尚に切りかかる。
ギン、ギンとキョーコが渾身の力を込めた斬撃は、尚のダガーに易々と受け流され、幾度も空を切った。

「ほら、今度はこっちから行くぜ?」

「キョーコっ!!」

余裕の尚の切り返しにより、徐々に押し戻され、後退していくキョーコの姿に焦りを覚えた奏江は、ふりほどけないロープを力の限りでもがき、武道家とは思えない細く女性らしい手首からは血液が滴り落ち、床に赤い染みが広がる。

「ほら、やっぱりお前は俺に勝てねぇよ」

「っ!!!」

キョーコとて手に入れた武器が今の自分では使いこなせそうにない事は分かっていた。だからと何も考えずに突っ込んできた訳ではなかったのだが、予想以上に強い尚の剣撃によりキョーコは教会の外へと押し出されていった。

「おら、よっ!!」

「きゃっ!!」

「やり返せるもんならやり返してみろよ」

愉快そうに笑う尚にキョーコは反撃のタイミングを計り続けている。押されながらも尚との距離を少しずつ取り、構えを崩さない事もその一つだった。

「くっ……」

かつての龍との戦いの最中、なりふり構っていられなくなった時に使用した技だったが、それを使う為にキョーコには太陽が必要で、キョーコはチラリと位置を確認する。

「ほら、いくぜっ!!」

「あっ!!」

それを隙と、距離を詰めて来た尚に切りこまれた事でキョーコは大きく弾かれ、さらに後退りながらもなんとか踏み留まって、余裕の表情で追撃に来ない尚を睨みつけた。
よろめきながらもキョーコは自分の立ち位置が都合の良い場所まで追いやられた事を把握し、持つ刀の刃を返し、目指す光をその刀身に宿らせる。
キョーコはキラリした輝きを尚の瞳に向けて反射させた。

「うわっ!!!!」

太陽の光を予期せず網膜に叩きつけられた尚は、その眩しさに思わず瞼を閉じ片手で瞳を覆い隠したがすでに遅い。

「ってめっ、キョーコ!!」

思い切り正面から見てしまった為に、眩んだ瞳はすぐには開く事が出来ない中、尚の耳はキョーコが刀を地面に落とした音と、こちらへ向かい地面を蹴る足音を聞いた。

「……くそっ……!!」

身を引こうにも眩んだままではどうにもならず、キョーコが尚の首の龍玉を無理矢理に奪い取ろうと駆け寄る気配が伝わると、尚はこれまでの余裕をかなぐり捨て、キョーコを近寄らせない為、手に持つダガーを見えないままに振るう。

「っ、返して!!」

尚の手から武器を取り上げようとキョーコはその手に飛びつき、二人は揉み合い状態になった。

「離せっ!」

「きゃっ……!!!」

胸元からブチリという鎖が切れる音の後に刀が何かに食い込む嫌な感触とキョーコの悲鳴が響き、尚は訳が分からないまま小さな段差に踵を取られ、背中から地面に落ちると、着地の衝撃による痛みで眉を顰める。

「っあ!! いってぇ……くっ」

ようやく尚の瞳が少しずつ落ち着きを取り戻し、開眼がかなうかという刹那、そこに蓮の声が響いた。

「最上さん!!」

「…………んだよ……仲間が来たのか」

明滅する視界で早く現状を把握しなければとまばたきを繰り返した尚が身体を起こそうとすると、地面についた手に生暖かい水が触れる。

「なんだ……?」

チカチカと眩む視界の中、どうにか手のひらを確認すれば、それは赤黒く滴っている。

「最上さん、最上さん、しっかり!! キョーコちゃん!!!」

声の主の元へと視線をやれば、そこには先ほどまで尚が持っていたダガーが腹部に突き刺さったキョーコが蓮の腕に抱かれていた。








毎度ながら、尚ちゃって可哀想な悪役ポジションにしか座れないねぇ・・・。

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