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SS・ラブミークエスト12
おはようございます。朝ですよ。
さてさて。最近朝、寒くないですか。日中暑くないですか。っていうか、何着ればいいのか分からないよ!!な惣也です。
朝起きたら喉が痛い二回目とか勘弁してほしい。←どうやら治った端から二回目の風邪手前です。
サプリメントがぶ飲みして今日も元気にいってみよう。






ラブミークエスト 12





「っ……あ……」

激しく焼けるような痛みで呼吸もままならず、地面に崩れ落ちたキョーコが、次に感じたのは、蓮の声と温もりだった。

「最上さん? 最上さん!」

「つ……るがさ」

揺さぶられる事でなんとか重たい瞼を持ち上げて、蓮の姿を視認する。

「バカな事を……すぐに手当てに連れて行ってあげるから」

未だに突き刺さったままのそれが蓋となり、現時点での流血は少ないものの、みるみる青くなっていくキョーコの顔色が、それが社の傷よりも深いであろう事を物語っていて、蓮を激しく動揺させていた。

「それより……これ……を」

浅い呼吸の中、キョーコは尚の元から引きちぎった龍玉を差し出す。
ピンク色の石がついた銀色の鎖は震えるキョーコの手のひらの中で、赤い血の色で汚れていて、見咎めた蓮の双眸が見開かれた後に苦しげに歪む。

「これ……があれば、呪い……解ける、かも……しれないでしょう……?」

キョーコの手からそれを受け取りながら蓮は絶句する。
そんな事の為に無茶をしてほしくは無かった。

「中に……モー子さん、縛られて、ました。助けてあげて」

「っ……」

けれど腕の中のキョーコから目を離すなどと考えられず、蓮の身体はその迷いから地面に根が張ってしまったようにその場に凍りつき、一歩も身動きが取れない。

「敦賀さ……」

「だ……駄目だ、行けない。今すぐ帰るよ」

要求がマリアの身柄であるのだから、一刻を争うのはキョーコで良いはずだ。

「モー子さんも、怪我……してるみたいなんです」

それでもキョーコは奏江の事を何よりも案じ、苦しい呼吸の中で訴えるのだが。

「そこまでだ」

チャキリという金属音を立て、いつの間にか尚が蓮の正面からその喉元へキョーコが落とした刀の切っ先を向けて佇んでいる。

「帰るってんなら龍玉は置いてけ。それは俺のもんだ」

「きさま……」

「置いてくならこのまま見逃してやってもいいんだぜ?」

どこまでも上から目線の尚に蓮の視線にも殺気が籠もる。
それこそ普通の人間ならばその眼力だけで腰を抜かし、立ち上れなかっただろうが、自分の圧倒的優位を確信している尚はそれに負ける事なく悠然と嘲笑した。

「そんな事よりお前は彼女の怪我が心配にならないのか? 仮にも昔馴染みだろう」

「ってもな。アンタが龍玉を置いていけばキョーコは治療を受けられる。簡単な話だと思わねぇ?」

「彼女は龍玉をお前の手に戻す事は望まない。……そこをどけ」

「どけと言われてどく訳無いだろう? 第一、キョーコがまとわりついて来たせいなんだから、その怪我だって自業自得じゃねえか」

どこまでも自分勝手な尚の言い分に、蓮は自分の心の中でブチリと堪忍袋の緒が切れる音を聞いた。

「どけ」

怒りに声が震え、地を這うような低い声が鋭い眼光と共に射抜くように尚を見据える。

「っ……だから、龍玉を置いてけっつってんだろ!!」

蓮の気迫に気圧されながらも、尚は蓮を見下ろし、その喉元にピタリと刃を当て、自分の行為が単なる脅しではないとほんの少し皮膚を裂くつもりで、蓮の喉元に触れた。
けれど、その切っ先が微かに触れた瞬間、尚の手にバチリと激しい電流が走り、尚はその突然の衝撃に後ろへ飛びずさった。

「っ!? 今の……」

刀を通じて痛みが走った右手と、元凶であろう蓮を見やる。
辛うじて刀を取り落としはしなかったが、尚の腕は電流により痺れ、すぐに動かす事は困難なダメージを受けていた。

「なんだ……?」

パチパチと音を立て、蓮の周囲を取り巻くように白い雷が数本走り、尚は驚きに目を見張る。
尚の視線の先で蓮の髪色がみるみる黄金へと変化しているのだ。

「一体なんなんだ?」

まるでバリアのように蓮の周囲に走るそれは、次第に大きくなってゆき、尚は本能的な恐怖を察知し、さらに後ろへと引く。

「アンタ……ただの戦士じゃねぇのかよ!?」

尚が声を上げた刹那、その足元ギリギリの場所に白い雷が鼓膜をつんざく程に大きな音をたてて落雷した。

「っ!!!!!」

あきらかに強力な魔力が籠もった一撃は、その一発で地面を深くえぐり、ギリギリで当たらなかったものの、尚が顔面を蒼白にするには十分な破壊力だった。

「ぁ……りえねぇ…………なんだよ、これ……」

明らかに不味い状況だという事は分かっているのに恐怖で身動きが取れないのだ。

「……尚? 大丈夫!?」

大きな物音に驚いたのだろう、祥子、春樹、美森が教会内から飛び出してきて、尚はその声でようやく蓮から視線をそらすことに成功した。

「ミルキちゃん、どこでもいいから移動呪文! 今すぐ!!!」

「え!?」

「逃げるぞっ!!!!」

尚のあまりの剣幕にあっけにとられつつも、そのただならぬ様子に、春樹はすぐさま呪文を詠唱し、次の雷が尚の立つまさにその場所に落ちる寸前。四人の痕跡は跡形もなく消え去った。




***




「…………んっ……」

キョーコが目をあければ、見慣れない天井は真っ白で、豪奢なシャンデリアが煌めいていた。

その景色に戸惑ったキョーコは二、三度のまばたきを繰り返し、手のひらで瞼をこする。

「キョーコちゃん!? 気がついた!?」

社の声が聞こえ、キョーコが身体を起こせば、そこは寝台の上で、肌触りのよいシーツが身体の上にあった。

「私……一体」

あの焼けるような痛みが嘘だったかのように消え失せていて、キョーコは困惑を隠せない。

「社さんが助けてくれたんですか?」

回復呪文を操れるのは僧侶である社だけ。だから目の前にいる社に問うたのだが。社は違うよと首を振る。

「アンタを助けたのは社さんじゃなくて、ほら」

「モー子さん!」

社の後ろから現れた奏江に瞳を輝かせ、奏江に「そっち」と促されるまま反対側へ視線をやれば、キョーコの隣のベッドには蓮が横たわっていた。

「敦賀……さん?」

まだ眠っている蓮の髪色が金色であることにキョーコは大いに驚き、そのまま蓮のベッドの隣に駆け寄る。

「どうして……敦賀さん!?」

「眠ってるだけだよ、大丈夫」

「あ……良かった…………でも」

社の言葉にほっとしたキョーコは、改めて蓮の顔を覗き込んだ。
伸ばした手にさらりと絡む髪の毛は、やはり金色でキョーコの見間違いではない。

「蓮のやつ。どうも呪いを強制的に跳ね飛ばして、潜在していた魔力を爆発させたみたいなんだよね」

「爆発?」

「結果としてはキョーコちゃんが助かった訳なんだけど、詳しい話はマリア姫と蓮のお父さんに聞いた方がいいね」

社がそこまで言った時、扉の外からグルルルル……と、クーの腹が鳴る音と共に、扉の取手でもってコンコンコンとノックする音が響いた。




「おや、キョーコ。目が覚めたようだね。良かった」

「は、はい! 初めましてっ!」

扉から入ってきたクーの放つ華やかなオーラにやや圧倒されながら、キョーコはぺこりと頭を下げた。

「かしこまらなくてもいいよ、君は私の息子の妻。つまりは私の娘なんだからね」

「あ……はい」

優しい笑顔のクーにキョーコはほっと胸をなでおろし、娘という言葉に面映ゆい微笑みを浮かべる。

「私の息子を呪縛から解放してくれてありがとう」

そう言ってクーが頭を下げたものだから、今度はキョーコがあたふたと動揺した。
一国の王にそんな事をさせるわけには……とクーにやめて下さいと懇願すれば、クーの後ろから小さな少女が「クー様、お姉さまが困っておられますわ」と間に入り、キョーコはその少女に目を丸くした。

「お、お姉さま?」

「お気に召しませんか?」

フランス人形もかくやといった愛らしさの少女は何か問題でも? と小首を傾げ、その様にキョーコは抗議するのもどうかと返す言葉を見つけられず黙り込んだ。

「彼女がマリア姫だ」

「あ、はい、初めまして!」

クーの紹介でキョーコがぺこりと頭を下げる。

「かしこまらなくても構いませんわ。今の私は呪術師としてヒズリの国を訪れている一客人ですもの。……パパにはちゃんと置手紙で説明してあったのに……もう、心配性なんだから」

「は……はぁ」

しっかりした物言いのマリアの後半の小さな呟きに面をくらうキョーコがどう反応したものかと考えていると、ク
ーからまたグルルルル……と空腹の腹の音が鳴り響き、キョーコはやるべき事を思い出した。

「あのっ!! マリア姫! 私の龍玉っ」

キョーコがそう言えば、マリアも心得ているとばかりに頷いて返す。

「お姉さまの龍玉は私が預かっております」

マリアが掌を差し出せば、そこにはキョーコの龍玉がちょんと乗せられ、輝いていた。

「それを使って呪いを解く事は出来ますか!?」

蓮の苦しみを和らげてあげたいという一心で取り返したのだ、どうか叶ってほしいとキョーコは祈る気持ちでマリアへと問う。

「可能ですわ」

「本当ですか!?」

その言葉にキョーコの表情が喜びに輝いた瞬間、次のマリアのセリフに固まる事になってしまった。
「ただし、解ける呪いは二つだけなのですけれど……」




***



「二つだけ……?」

マリアの言葉はキョーコにとって予想外で、キョーコがその意味を問えば、今度はクーが口を開いた。

「今この国で呪いを受けている人物は四人いる」

「四人……」

「私と私の妻、私の息子、そしてキョーコ、君だ」

「あ……」

クーの言葉でキョーコは自分もそもそもはこの龍の呪いを解こうとしていた事を思い出した。

幼い時から魔法使いに憧れて、勉強を重ねてきたのだ。

それが失われた時の絶望はキョーコの胸の中にまだ疼いている。
けれど……。

「あの、敦賀さんは一体どうなったんでしょうか」

「久遠……いや、蓮と言った方がキョーコには分かりやすいかな」

「久遠?」

「あの子が呪われる前、王子だった時の、つまり今のその金色の髪だった時の名前だ」

「ああ……」

蓮は自分の魂が割れたと言っていた。それが尚との対峙をするうちに弾みで戻ったようだが、つまり今の状態が蓮の本来の有るべき姿だということか。キョーコはそう納得し、頷いた。

「蓮は今、目覚めたばかりの魔力を大量に消費し、眠っている状態だ」

「良かった……」

ほっと息をつくキョーコにマリアが続ける。

「ただ、蓮様はクー様が封印していた久遠王子の部分を御自分で呼び戻して、無理矢理に呪いを解いてしまった状態なので、解呪方法としては完璧ではありません」

「え?」

その言葉でキョーコの胸に不安が沸き起こり、キョーコは事情を説明するマリアをじっと見つめた。

「今の状態は不安定で、蓮様と久遠王子、どちらかに固定できずに変化を続ける事がありえます」

「蓮の時は呪いで受ける渇きの影響は少なかったようだが、こうなった久遠の状態では、その影響を大きく受ける可能性もあるんだよ」

だから久遠を丸ごと封印していたんだが……と呟くクーに、キョーコは分からない事を素直に問う。

「あの。久遠王子にかかっていた呪いっていうのは一体……」

キョーコの言葉にクーは眉根を寄せ、苦しげに言った。

「……分からない。あの子が何かの餓えをこらえていた事は分かっているが、私に封印されるその瞬間まで何を耐えていたのかは教えてもらえなかった」

「そう……ですか……」

重苦しい空気があたりを支配し、沈んだキョーコの声が室内にやけに大きく響いた。

「私としては」

「はい」

クーが口をひらいた事で全員の視線が集中する。

「私としては、キョーコ、君と久遠の呪いを解いて欲しいと思うんだよ」

「え……でも!!」

「私と妻はまた何かの手段が見つかるまで封印の眠りにつこうと思う。もう国は無い。私達は久遠が幸せであってくれればそれでいいのだから」

「だ、だめです!!!」

穏やかに笑んでいるクーにキョーコは目を見開いて驚き、そしてすぐさま声を荒げて抗議をした。

「え?」

「敦賀さん、お父さんとお母さんに自分がしてしまった事、ものすごく悔やんでたんです! このままお二人が眠ってしまったら敦賀さんは取り返しのつかない後悔をする事になります」

「キョーコ……」

キョーコはまだ眠る蓮の髪をさわりと撫で、そしてクーをひたと見返した。

「呪いを解くのはお二人にして下さい」

「しかし、それでは……」

蓮とキョーコが呪いを受けたままになってしまう。それを誰よりも案じているクーがキョーコを再び説得しようとするも、クーを見返すキョーコの瞳には強い意志の輝きがあり、クーは言葉に詰まる。
覚悟を決めた人間の決意を覆す事ほど難しい事はないのだ。
沈黙が落ち、じっと視線を交差させ続けた後にキョーコが口を開く。

「私、敦賀さんと一緒なら呪いなんてどうって事ないんです。私は勇者になりたいと思っている訳でもないですし、魔法だって使えないままでもいいんです。敦賀さんが笑顔でいてくれる方が大切ですから」

「キョーコ……」

はっきりそう言い切り笑顔すら浮かべるキョーコを前に、その決意の硬さを察したクーは、分かったと短く答え、小さく息を吐いた。

「だから呪いを解くのは敦賀さんのお父さんとお母さん。それでいいですよね? 敦賀さん」
キョーコが寝台に向けて微笑めば、いつの間にか意識を取り戻し、瞳を開いていた蓮が柔らかく笑っていて、一同は驚いて蓮とキョーコのやり取りに見入る。

「うん……ありがとう、キョーコちゃん」

こうして、人々を震撼させていた大魔王の復活劇は、正確な情報と共に、その脅威の終息が世界中を駆け巡る事になった。







この話を書いてて、一番コメントを貰ったのは
腹の音wwwっていう突っ込みだった記憶がありますw
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