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オフ本サンプル「OnemoreKISS」
おこんにちはー!
休憩中に帰宅して、ぎりぎり入稿してきました。
ということで、そのままサンプルをアップでございます。

one-h1h4.jpg

蓮×キョーコなのかカイン×雪花なのか、かなりあいまいな話になったんですが、がっつりR18の本になりました。
P26 ¥400 でっす。
表紙を白黒にする代わりにタイトルを金文字にしてやろうと思ってたら、うっかり締め切りすぎてて出来ませんでした・・・orz





 One more KISS


この日の最上キョーコはこれ以上無く浮かれていた。
ラブミー部の仕事ではあるが、近頃では仕事の都合でめっきり顔を合わせる機会のなかった親友、琴南奏江に久しぶりに会えた事で、喜び、舞い上がる勢いのキョーコは喜色満面。いうなればご機嫌である。
そしてそんな彼女はラブミー部の部室で、奏江の近況についての質問を投げかけていた――。
「ね、モー子さん。モー子さんは最近のお仕事はどう? 楽しい?」
背後に花を飛ばしているような満面の笑みのキョーコに対し、奏江はどこまでもクールな姿勢を崩さなかったのだが、この一言で奏江の眉間に深い皺が刻まれる。
「……そうね。社長から回されたアレの台本が昨日届いたわ」
「アレが届いたって……もしかして〝泥臭いの〟っていう例のアレ?」
渋い表情の奏江に、キョーコは一体どれほどの物が送られてきたのか、聞くべきか聞かざるべきか思い悩む。
自分に割り振られたミッションが、あの衝撃的なカインとのハチ公前での対面から幕を開けた事をかんがみれば、奏江に宛がわれたミッションとてそれ相応の破壊力を持っているだろう事は想像に容易い。なにせ、依頼主があの社長なのだから、一筋縄で行くようなもので有る訳がないのだ。
「そう。絡まれてる所を助けてくれた浪人に好きだと言ってまとわりつくストーカー娘の役よ。……オファーの段階から嫌だったけど、台本読んで更に頭が痛くなったわ。割と出番があるから三カ月ぐらいは京都のロケ地を中心に生活する事になるんだけど、それだけの時間をあれに費やさないといけないなんてイラっとするわね」
「好きになれそうにない役なのね……」
「あの役は逆立ちしたって好きになる事はありえないわよ」
 あんな役と三カ月も向き合わないといけないなんて……と苦々しく呟く奏江にキョーコはかける言葉に迷いながら言った。
「ありえないって……モー子さん、まさか……」
奏江のあまりの嫌がりように、降りるなどと言い出すのではなかろうかという危惧にキョーコの表情が曇る。
「事務所が引き受けている以上、ちゃんと演技はするわよ」
「良かった」
キョーコの表情から考えている事を見通した奏江は、心配いらないわよと補足してキョーコを安堵させた。
「で? あんたはどうなのよ」
「へ?」
「へ? じゃないわよ。あんただって社長から渡されたでしょう?
〝危ないの〟っていうアレ。どうだったのよ。もう終わったの?」
「あ、ああ~。うん……」
終わったかと問われれば、BJの映画撮影は半年ほどかかるので、ヒール兄妹としての日々はまだ始まったばかりだと言える。
「何よ、歯切れが悪いわね」
「うん……」
話してしまいたいが、極秘プロジェクトだと言われている手前、雪花・ヒールの事を口にするのは、例え奏江が相手だとしても躊躇われ、キョーコは言葉を濁した。
「私は半年ぐらい付き人っぽい事をする事になるかなっていう感じ、かな……」
「ぽい事ってなに? 歯切れが悪いわね。誰の付き人なの? 本当に危ない仕事させられてるんじゃないわよね?」
 最初から仕事内容が具体的だった奏江や千織と違い、キョーコのミッションの内容は不明瞭で、奏江が心配するのは至って普通な事ではある。けれど、守秘義務という物に思い悩むキョーコには、奏江を上手く誤魔化す方法がすぐには考えつかない。
「だ、大丈夫よー。あ、ほら、そろそろ帰り支度して帰ろう! ね?」
 それは多少どころか大いに不自然であったが、ほらほら、と奏江をロッカールームへ急かし、自分もユニフォームから私服へ着替える為に細長いロッカーを開ける。
「あっ!」
 バコンと勢いよく開けたロッカーから、中に入れてあったキョーコのバッグと、今夜必要になる着替えを入れておいた紙袋がドサリと飛び出して来た事までは問題は無かった。けれど、
「あ……んた……」
「ひあぁぁぁああ!!」
 その着替えが雪花・ヒールの物で、下着を入れてあったビニール袋の封が甘かったらしく、ペロンと床に飛び出し、それが奏江の視界に晒されたのだからたまらない。
真っ青になったキョーコが大慌てで紙袋に叩き込むも、激しいインパクトを残すそれが無かった事には当然なる訳も無く、それをしっかり見咎めてしまった奏江は目を見開いて驚いている。
「虎柄のTバックって、ア、ア、ア、アンタっ! なんて物持ってるのよ!!?」
「っ!! こ、これはそのっ!」
見られてはいけないものが見つかったキョーコはどう弁明するべきかにパニックな頭のまま、ああ、いや、うーっ、えーと、と意味を持たない声を発するが、それ以上の言葉は何も出てこない。
「アンタにこんなの着る趣味が無い事は良く分かってるわよ!? 一体何させられてるの!!」
「何って、えっと……そのっ……」
「ハッキリ言いなさい! 場合によったら私は今すぐ社長に怒鳴りこみに行くわよ!」
 このまま濁す事は許さないとキョーコの腕をひしと掴む奏江の瞳に映っているのはキョーコを案じる心だけで、誰かに心底心配されるという事にあまり免疫の無いキョーコは面映ゆい心地に駆られた。
「心配かけてごめんなさい、モー子さん。でもね、本当に大丈夫なのよ?」
「大丈夫かどうかは話を聞いた私が判断する事よ! 話しなさい」
 真っ直ぐに見詰めてくる奏江の迫力に押され、キョーコは引き結んでいた口を開いた。
「内緒にするって約束してくれる?」
「――――分かったわ」
 こうしてキョーコはカイン・ヒールとの出会いから、自分が雪花・ヒールになった経緯をおずおずと語り始めたのだった。

 
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