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SS・名前を持たない恋物語5
こんばんは★そーやです。
なんか、もう見通しの甘さにおろおろしながら、気がつけば火曜日終わってたって言う。…誰だ日曜の夜に更新できると思ってたやつはー!私だー!!っていう。
そんなわけで、原稿を前に無力さを痛感し、ぐったりしたり、不貞寝したり、無理やり突き進んでみたりと水面下でごっそごそしてました。いや、まだ一冊あるんだけどね!!がんばります!!!

家政婦さんを更新しようとしてたんですが、日をあけて原稿見たら「ちょ!なんだこれ!」ってなったので、保留したりしました。はい。・・・書いた時に勢いでアップするべきだった。おろろん。

しかし、もう七月も終わりますよー!
・・・夏の祭りはもうそこですね・・・ぐほーっ!






名前を持たない恋物語 5









「おーい!最上くーん」

後ろから聞き覚えがありすぎる声がして、思わずギクリと反応した。
できるなら気付かないふりをしたい。
そんな事を思いながら振り向けば、そこにいたのはやはり予想通りの人物だった。

「社長さん。お疲れ様です。でも、あの……そのコンセプトは一体……」

朝に見た素肌に貴金属に革ジャン。そしてトドメに真っ黒なサングラス。
あれも相当なレベルで不審人物だったけれど、わざわざ着替えてきたらしい今の格好は、またさらに怪しい職種の人間そのもので、私の表情は自然と引きつった。
お願いだから、BOX”R”のスタッフがドン引きしませんように。なんて願いを込めてみるけれど、きっと無駄な願望になるだろう事をざわついている周囲の気配から肌で感じる。

「よくぞ聞いてくれた!これのコンセプトはイタリアンマフィアのボスなんだよ」

ダークグレイにストライプ入ったスーツに胸元を大きく開いたサテンシャツ。そしてご丁寧に持ち合わせている葉巻がいかにもすぎてリアクションに困る。
まあ、今朝の『闇のブローカー』じみた恰好で来られるより幾分かマシなのだろうけれど。

「はあ……」

「って。そんな事より、最上君。安南君には許可を得ているが、ちょっといいかね?」

「はい?」

振り向けば、監督が手振りで離れて良いという許可をくれていたので社長さんに続いて人がいない隅の方へ向かって歩く。

「君が今朝思ったより急いで現場に行ってしまったから幾らか説明しそびれていてね」

「あ。……すみません」

素に戻った状態で敦賀さんと対面する事が怖くて時間が迫っているからと言って移動してしまったのは私の勝手だ。
そして社長さんの言っておかなければならない事というのがヒール兄妹についてなのだろうという事は想像に容易い。

「いや。かまわんよ」

「ありがとうございます」

怒られる訳ではなかったのかとホッと息をついた私に社長さんは「ところで」と続けた。

「はい?」

何事だろうかと思わず目をパチパチと瞬かせる。

「昨夜の初夜はどうだったかね?」

「ぶっ!!!?しょっ!!!!な、な、なっ!!!!」

突然の言われように言葉が出ない。

「間違えてはいないだろう?」

確かにヒール兄妹として過ごした初めての夜だから『初夜』と言えなくもないだろうけれど、絶対違う!いかがわしい臭いがする!そう声を大にして言いたい。

「どう……と言われましても……」

「蓮のやつもあらかたカイン・ヒール、そしてBJの演技の方向を決めているようだが、やはりリアリティの為にはバックグラウンドをもう少し作り込ませたい。その為には雪花が必要なのは分かってくれるかね?」

「あ、はい。それは……」

社長さんが珍しく真面目な表情だったから、どう返していいか分からなくなって神妙に頷きを返す。

「で、だ。これは一つでもボロが出れば敦賀蓮の正体が見破られかねない『危険』なミッションなのでね。開始前に予備日をもう少し設ける事にしたのだよ」

「予備日……ですか?」

「トラジックマーカーの現場に合流する前に、二人で煮詰めてどんなアクシデントが起きても対応できるようにしておいてほしい。要は君たちの息を合わせてもらうと言う事だが……」

「は……はい」

そこまで言い終わると、社長さんは表情をニヤリと緩和させ、私の背筋にゾクリと嫌な予感がよぎる。

「カインに甘える為にはどうすればいいか、とかな。色々考えてみてくれ」

「は……はい……」

「じゃあこれ。よろしく頼むよ」

社長さんから渡された紙には京子としてのスケジュールが綺麗に並べられれていて、その合間を縫うようにほとんどの時間が雪花に割り振られていた。

「これ全部泊まり……なんですか?」

馴染む為の予備日、と言うにはびっくりするぐらいヒール兄妹の時間は多く裂かれていた。
こんなに練習しないと雪花が出来ると信じてもらえないのかしらと思わなくもない。
そしてさすがにこの外泊の数には不安がもたけだ。

「ああ。君の下宿先にご挨拶と事情説明は私からしてあるから気にする事なく打ち込んでくれ」

「は……はあ……ありがとうございます」

一体どんな挨拶をしたのか……、考えると恐ろしい結論しか思いつきそうになくて私は考える事を放棄した。






「ショックだわ……まさか京子さんがそんなエグい肉食系の下着を好んで着用する人だったなんて……」

「へっ!?い、いやいや!これは……」

次のロケ現場へ移動の合間に雪花の為の下着やらナイトウエアをぼんやりしながらでもしっかり選んでいるあたり、私は雪花・ヒールが知りたくて、作りたくて仕方ない程にのめり込み始めているらしい。

「そういえば京子さん。今日はやけにがっちり鞄を抱えてるけど、何かあったの?変よ?」

「え?ああ……」

敦賀さんから貰った砂時計が高価な物らしいと知ってしまってからどうにも家に置いておくにも悩んでしまって持ち歩いている。
だから自然と緊張していたのかもしれない。

「ちょっと……ね」

「そう……」

それっきり思考回路が沈んでしまい、私は天宮さんの言葉に相槌を返すだけになった。





「……フェアリー」

「えっ!!?」

その単語は聞き逃す事なんて出来なくて、私は周囲をブンブンと見渡した。
いるのなら見逃してはいけない。
きっと向こうにいる野次馬は妖精に騒然としているんだわ!
なんて思いながら人集りに突撃すれば、そこにいたのは敦賀さんだった……。




――――――――――――――


「天宮さん。ちょっと時間貰ってもいいですか?ダークムーンが撮影しているみたいなので陣中見舞いしてきます」

敦賀さんに会うのは怖い。
だけど、敦賀さんのこれからの予定がカーアクションのようだと知ってしまえば、会わずにはいられない衝動に駆られた。

気づきたくなんてないけれど、やっぱり敦賀さんの事を考え始めてしまえば、自分でも驚くほど敦賀さんの事しか考えられなくなる自分がいる。

「……こういうの、良くないんだけどな……」

「何か言った?」

振り返った敦賀さんの問いに首を振った。

「え、いえ。なんでも……」

ロケバスから離れて人気の無い方向へ歩いていた自覚はあった。
やたらと早くなり始めている鼓動に「平常心、平常心」と言い聞かせ、敦賀さんと目と目を合わせて会話する為の心構えをする。



「プリンセス・ローザ様の魔法じゃないかと!!」

「それはないよ」

ナツの姿の私を誉めてくれたから、敦賀さんにこの魔法の力を……と、プリンセスローザ様の事を話しのだけれど、あっさりきっぱり言い切られて、しょげている所に敦賀さんが私を見下ろして口を開いた。

「白状するとね、実は俺もちょっと驚いた」

瞬間、心の内で警鐘が鳴り、瞠目した。

「……本当に……すごく」

耳の奥でドクリと鼓動が跳ねる音がする。

「そういえば、敦賀さん」

「え?」

「カーアクションやっぱりご自分でされるんですよね?」

内心は大慌てで敦賀さんの言葉を遮れば、敦賀さんはクスリと笑った。その瞳は以前、敦賀さんの告白を私が遮った時にも見たように思う。

『まだ聞いてくれないの?』

そう……瞳の奥で語っている気がした。





――――――――――――――



こういうのは良くない。
そんな事は分かっていたけれど、尋常ではないブレーキ音や悲鳴。
真っ白になった頭が勝手に体を突き動かした。

心配だから。そんな理由で電話をかけた。

『マウイオムライス』が食べたい。そんな言葉一つで夜も遅いって分かっていたけど敦賀さんの元に向かった。

敦賀さんの口から出かかった確信の一言には耳を塞いでいるのに私は敦賀さんから離れられない。そんな自分をおかしく思うけれど、どうしようもなかった。

ただ、敦賀さんは何か悩んでいる様子だったのに優しい瞳を向けてくれて、手のひらの温もりを感じた時、カチリと鍵が外れた音は心の中で確かに響いていた……。

もう何度も開いては閉めていた枷が限界を告げている。
それでも、やっぱり認めたくないと足掻く心は止められない。
私が私である為には、恋心だけはあってはならないものだと気づいてしまった気持ちに蓋をする為の何度目かの決意をした。




――――――――――――――


「セツ。ただいま」

「おかえりなさい、兄さん」

敦賀さんの方がスケジュールの都合でカインになる事が遅くなって、私は先に部屋に入ってぼんやりとしていた。

「疲れたでしょ?座って、飲み物入れるから」

冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出せば、ライターのカチリという音が聞こえた。

「ふー」

「お疲れ様」

煙りをくゆらせるカインの座るテーブルの前にグラスを置いた。

「いや。疲れてる訳じゃない」

「そ?じゃあご飯の支度するね……っひゃ!?」

踵を返してミニキッチンに向かおうとしたのだけれど、

「に、兄さん?びっくりするじゃない」

後ろから腕を引かれ、気がつけばカインの膝の上に乗せられている。

「やっと帰ってきたのに、さっさと離れようとするとは何事だ?」

「な……何事って……」

じっと見つめられれば心拍数が上がる。
カインの双眸の奥に敦賀さんがいて、じっと見つめられている感じがしてどうしようもなく落ち着かない。

「兄さんの体調管理はアタシの仕事なの!ご飯はアタシが食べさせないと兄さん一人じゃ食べないでしょ」

だからよ。そう言い捨てて、少し強引にカインから身体を離した。






「兄さん」

「なんだ?」

テーブルの向かいで頬に肘をついて一向に箸を握る気配のないカインにテーブルマナーを説いた所で聞き入れられはしなかった。

「俺の体調管理はお前の仕事で、お前は俺に食事をさせてくれるんだろう?」

「そうよ……」

だからそろそろ食べてくれない?そう言うはずだったのだけれど、

「だから待ってるんだが?」

「はい?」

食事ならテーブルの上に出来上がっているにも関わらず、何を待っているのか……。

(……まさか……)

ちょいちょいと口腔を指し示すカインに、むしろ私の口の方があんぐりと大きく開いた。

(食べさせろ……ってコト!!!?)

「兄さん……子供じゃないんだから」

「セツ。ヒールの家訓を忘れたか?」

「へ?」

「嘘はつかない。だろ?」

初めて聞きましたけど!!なんて口答えも出来ず、結局私は……

「分かったわよ。はい。あーん」

なるようになれ!そんな気持ちで箸を掴んでカインの口に食事を運んだ。









親鳥キョーコさんこんにちは。ぴよぴよ。



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