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SS・最後に聞くのは貴方の声で
はい、こんばんはー!台風ひどかったですが、みなさまお元気でおられますでしょうかー?
私の所は直撃だった割に、特に何も無く、むしろ雨も少ない方で、警報出てても普通に仕事してました。お休みほしい・・・。

さてさて、連載中の物、すんごい前に頂いているリクエスト物、色々書いてる途中ではあるのですが、どれも中途半端で・・・orz 携帯の中の未送信ファイルが40超えちゃったヨっていう。うふふ。
そんなこんなですが、今日も元気に生きてます。

毎度ながら、拍手レスは出来てないし、メールレスも遅いし、ツイッターでコメ貰っても返せてませんが・・・w
コレ見るとどこまで駄目人間なのか・・・w
無理しない程度にがんばりますので、生温かく見守って頂ければさいわいでござりまする。
ということで、久しぶりに短編。

追記よりどぞー。





最後に聞くのは貴方の声で







最上キョーコという人物は、いつだって敦賀蓮の予想や願望の斜め上をいく少女なのだけれど、この日もやはり蓮からすれば斜め上な発言が飛び出していた。


「なんていうか、そう。敦賀さんって耳あたりが良いんですよ」

「え?」

移動の合間、訪れたラブミー部の部室は、どうやらの気を利かせてくれたらしい社からの情報通り、キョーコ一人がなにやらの事務作業をしていて、それも特別急ぎの仕事ではないからと蓮の来訪に笑顔で椅子を勧め、備え付けのポットを使いコーヒーを入れた。
お茶菓子をつつきあいながら交わす会話の中で不意の流れで飛び出したキョーコの言葉を受けた蓮はふむ、と自分の耳たぶを指でいじりながら考える。
目の前の少女が耳フェチだったなんて話しは聞いた事がないが、まさか……などと思いながら問うてみる。

「耳辺り?耳の形が……って事?」

芸能界一良い男の称号を冠する蓮は、褒められる事にはある種の慣れがある。
容姿について、かっこいい、素敵、スタイルが良い、はてはセクシーですねと外見を誉められるというのは常なのだが、耳が良いと褒められた事はさすがに今のところ記憶に無い。

「あ、いえいえ。耳元じゃなくて、敦賀さんの声は私にとって耳あたりが良いっていう意味なんですけど」

「ああ、そっちの意味か」

つまりは耳元の辺りが良いでは無く、耳あたりが良い、聞こえ心地が良いと言われている訳だ。

「なるほど。……って、そうなの?自分では普通の声だと思うんだけど」

「自分の耳に聞こえる声って実は他の人に聞こえている声とは違うって言いますからね。敦賀さんの声って低くて優しいじゃないですか。だからセラピーみたいな癒やし効果があると思うんですよ」

常々そう思ってましたと拳を握り、力説を始めてしまったキョーコの言葉に面映ゆくなってきた蓮は表情筋をフル稼働させてポーカフェイスを保つ。

「そう?ありがとう」

ふふふと無邪気に笑うキョーコからすれば、ワインの口あたりが良いというのとさして変わらない類いの誉め言葉だったのだが、キョーコに恋心を抱く蓮からすれば、好きな相手に誉められるのは、例えそれがどんなにささいなポイントだろうと喜ばしい。
そして好かれているポイントがあるのならば、それを使って自分に対する好感度をさらに上げられないものだろうかと考えるのも至極当然なのだが。

「って、敦賀さん。そろそろお時間なんじゃないですか?」

「え?ああ、本当だ」

楽しい時間というのはあっと言う間に過ぎていくもので、蓮はそのままラブミー部をあとにする時刻を迎えていた。

「じゃ、そろそろ行くよ。コーヒーご馳走さま」

「いえいえ。行ってらっしゃいませ」


キョーコからすればなんとなく交わしていた会話だが、これがこの後の蓮の行動に影響を与えたのだと気づくのは、もうしばらくの時間を必要とする。





「はい。最上です」

『もしもし、俺だけど、今大丈夫かな?』

「あ、敦賀さん!お疲れ様です。大丈夫ですよ。どうかされましたか?」

零時になるかならないくらいの時刻。非通知設定の番号が着信音を鳴らした。
表示される文字に蓮からの電話だろうかと思うキョーコの予想は見事に的中し、キョーコは笑顔で電話口で応答する。

『いや。今日の撮影、どうだったのかなって』

「あ、はい!問題なく一発OK頂けました」

『そっか。最上さんは頑張り屋さんだね』

「いえいえ、ありがとうございます」

このところ、ダークムーンの現場は撮影シーンの都合上、蓮とキョーコは全く被らない日程が続いていた。

「ちょっと大原さんがハマりこんじゃって調子悪かったみたいですけど……」

『そうなんだ。じゃあ明日の様子を見てフォローが必要ならしてみようかな』

「はい。ありがとうございます」

『最上さんは明日って……』

「BOXRですね」

蓮の言葉を継いで答えれば、蓮が向こう側でクスリと笑った。

『そっちの撮影はどう?ナツさんは順調?』

「そうですね、なっちゃんの調子は、まあまあ……でしょうか」

少し歯切れの悪いキョーコの反応に蓮が柔らかく『何かあった?』と問えば、蓮の言葉に誘われるようにキョーコは原因を素直に口にした。

「明日はいじめのシーンの撮影なんですけど、初めて私が主人公に反撃される番なのでちょっと不安で……」

『不安?』

「BOXRのいじめのシーンは役者のアドリブ任せになってるんです」

だから何が起こるか分からないんですよねと言うと、蓮は『なるほど』と返す。

『しかし、それはまた、豪快な監督だね』

「はい。私、うまくやられる事が出来るかなって……。敦賀さんみたいに自分が演技させます!って言えれば格好いいんですけど、私、BOXRでは色々やらかしている身ですから、ちょっと考えちゃいました」

そこまで言うと、キョーコの口から物憂げな吐息がひとつ零れ、一瞬の沈黙が二人の間に落ちる。

『……大丈夫だよ』

「え?」

『最上さんなら大丈夫。俺が保証してあげる』

「っ……」

蓮の言葉には優しさや慈愛が惜しみなく溢れていて、それは魔法のようにキョーコの心に浸透していき、キョーコは自分の頬に熱が灯るのを感じた。

『大丈夫。最上さんならやれるよ。大丈夫』

「……本当に敦賀さんはセラピストというか、むしろ魔法使いですね」

胸がほんわか温かくなる心地と共に、なぜだかほんの少しの気恥ずかしさに駆られたキョーコは、誰もいない自分の部屋だというのに電話口の向こうにいる蓮に向かってペコリと頭を下げた。

「ありがとうございます、弱音を吐いてすみません」

『いいんだよ。俺相手でいいならいくらでも聞く』

「そんなっ」

『だから、俺に何かあった時は最上さんが話しを聞いてくれたら嬉しいな』

無条件に優しい言葉ではキョーコが引いてしまう事を察した蓮は、すぐさまおどけるように笑い、受け取るキョーコの心が軽くなるように余裕を作る。

「敦賀さんに何かなんて、なかなか無いじゃないですか」

『いや、そうでもないよ』

「そうですか?気を使われていません?」

疑ってかかるキョーコの様子に蓮はクスリと笑う。

『いやいや、本当だよ。例えば、最上さんが一昨日の現場に手作りクッキーを差し入れしてたって聞いて、俺は食べそこねてた事が悲しい。とかね』

「へ……?」

確かにキョーコはダークムーンの現場にクッキーを作って持っていった。
それは大原や逸美といった女性陣のリクエストで、蓮がスタジオに来ない日だった事もあり、彼女たちの分だけを用意したのだが、それを蓮が知っていて、食べれなかったと悔やんでいる事に目を丸くした。

『最上さんの手作りなら絶対おいしかっただろうし。食べたかったな』

「ふふ。でしたら近い内に何か作りますよ」

『本当?本気にするよ?』

「もちろんです」

食という概念をどこかに落っことしてきたとしか思えない蓮が『食べたい』という意志を見せた事に驚き、しかもそれが自分の作った物を食べたいのだと言われた事にキョーコの胸は高鳴り高揚感すら覚える。
蓮に『美味しい』と言わせたい。そして言ってもらえる事が出来る位置にいる自分を誇らしく思えたのだ。

「またスケジュールの空いてる時を見計らってお邪魔します」

『うん。ありがとう。待ってるよ』

「いえいえ」

ありがとうと言われる事に充足感を感じる。
そしてそんなキョーコに蓮はクスリと笑い、耳を擽る柔らかな声音にキョーコもふふふと笑んだ。

『ああ。もうこんな時間だね。遅くにごめんね』

「いえ。丁度あとは寝るだけでしたから。……本当にありがとうございました、なんだか敦賀さんのおかげでとてもスッキリしました」

『だとしたら嬉しいな。じゃ、もう遅いからおやすみ?』

「ふふ、おやすみなさい」

『おやすみ。良い夢を……』

「はい……」

パチンと携帯電話を折り畳むと、キョーコは背中から背後の布団へゴロリとダイブした。

「顔……熱い……」

きっとこれは蓮の低音の引力にやられている。そんな自覚はあった。
それこそ蓮の声には魔法の力でも宿っているのではないかと思う。

「電話越しだっていうのになんて破壊力なのかしら」

ドキドキと高鳴っている自分の鼓動を感じながらも、鼓膜にはまだ蓮の「おやすみ」の余韻が残っていて、なんだか気分が高ぶって睡魔なんて訪れそうにない。

「寝れないじゃないーっ」

ボスンと枕に顔から押し当てて呻くも誰もいない部屋では何の反応もない。

「……なんでこんなにドキドキしちゃうのかしら」

枕をぎゅうと抱きしめて、ポツリと漏らしても静まりかえった部屋には白熱球の明かりだけが煌々と煌めいていて、キョーコはふぅと溜め息をひとつ零して眠くもない目蓋を強制的に閉じた。

そうしてキョーコが寝不足に陥ったのは言わずもがななのだが。これより一週間、毎夜蓮から電話がかかってくる事を、この時のキョーコはまだ知る由もない。









敦賀蓮プレゼンツ。女子は耳から恋をするかもしれないね作戦。
しかし、相手はキョーコだ、どうなる次回!←いや、続くの?






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