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ACT.180続き妄想
深ー夜のテンションふぃーふぃー!←頭を打っておかしくなった訳ではありません。

打ちだしたら止まらなくなった続き妄想なんですが、明日の朝になったら消したくなる予感がするので、とりあえず上げといてみます。
賛否両論だったりするんだろうか・・・いや、うん。みんなの心が広いって信じてる!!

明日も仕事なので吐きだしたらとりあえず寝よう。






本誌続き妄想 act.180







あれは誰が微笑んでいたのか……

カインでも、
敦賀さんでも、
BJでもない。

だけど……。
だとしたら、……他に誰がいるのだろう。




ずっと考えてはいたが、答えはキョーコの中には無く、かと言って蓮に聞く事もはばかられ、と言うよりは、何と質問すればいいのかも分からない。
分からない事が漠然と積み重なっているので、キョーコの心の中で消化不良の石ころがぐるぐる転がり続けているようだった。
結果、キョーコは気を紛らわせるために買い物を理由に外出をしていた訳だが、時間が時間なので気ままにという訳にもいかず、買えるものとて限られてくる。

「ふう……」

ホテルの部屋は息が詰まるとまではいかないが、雪花・ヒールでいなければならない緊張感をずっと持続するのはやはり精神的に堪える。
気合いでこなしているとはいえ、連日の寝不足が響いてきている事は紛れもない事実なのだろう。

並んだ数字のボタンをポチリと押して扉を閉める。

そうして、チンと音を立てて開いた扉の先に『彼』は佇んでいた。

「っ…………さ……ん」

本能的に蓮の意志で佇んでいるのではないかと思ったのだ。
キョーコが辛うじて飲み込んだ名前はソレだったのだから。

「どう……したの……?」

エントランスでシーツ一枚にくるまって佇んでいるなんて光景は、異常すぎて心臓が口から飛び出すんじゃないだろうかと思うぐらいには驚いた。

「君……が…………セツが……いない……から、心配で」

(君って……やっぱり……これは敦賀さんだ……)

けれど、この胡乱な瞳はどう考えても『らしく』ない。蓮としても、カインとしても。
まるで迷子の子供が行くあてを無くして、今にも泣き出してしまうのではないかと思わせる瞳はキョーコの心を不安にさせた。

(って、私は何を考えてるのかしら。敦賀さんが迷子みたいだなんて……)

「や……やだ、ちょっと買い物に出てただけよ?っていうか、何この格好」

「……寒いから……」

引っ剥がしてきたらしいシーツにくるまり佇んでいる、新手の照る照る坊主と言うには激しく無理があり、幽霊か不審者にしか見えない有り様にキョーコは早く部屋に入らなければと固まる己を叱咤して足を踏み出す。

「シーツはベッドを覆うものであって、洋服じゃないのよ?ほら、部屋に入って、暖房つけてあげるから、ほらほら行って行って!」

そう言って広い背中を押して部屋の中に入る。

ベッドの上に腰を下ろした蓮は変わらずシーツを頭からかぶったままで、落ちる影の相乗効果もあり、表情は殊更暗く見えた。
隠者のフードのようなそれを取ろうと右手を伸ばしたのだが、キョーコの手首は蓮に掴み取られ、蓮の真意が見えないキョーコは「兄さん?」と問う。

「……寒いんだ」

だから取らないで、という事なのだろう。けれど、キョーコにはなんとなくそれを許してはいけない気がした。
シーツ一枚。たったそれだけの存在が、外界を遮断する為の意志のように思えてしまう。
ともすれば、雪花である自分すら彼の世界から弾き出されようとしている。そんな気がして仕方がないのだ。

「……手、冷えてるわね」

蓮の手が外に出ていたキョーコよりも冷えていてドキリとした。
どうしても昼間に見た姿がよぎる。
どうしてこうも『らしくない』と不安が渦巻くのだろう。
蓮の演技に自分ごときが心配する必要は無い……

(……こともなかった……わね)

嘉月の恋心が分からないとドツボにはまっていた事を思い返せば、蓮だから大丈夫だとも言い切れなかった。

「寒いの?」

「……ああ……」

「なら暖房強くするから、兄さん」

だからこの手を一度離して欲しい。
伝えたかったのはそれだ。

「……ああ……」

返事をするものの蓮の手が緩む気配はない。

「兄さん?」

「……ああ……」

繰り返される返事にキョーコは引っかかる。

「ねぇ。シーツかぶってたら暑いんじゃない?」

「……ああ……」

「っ!?」

返ってきた答えは全く同じ。
つまりは聞いていない、ただの生返事だと気づいてキョーコはキュッと表情を曇らせた。

雪花に構う事が演技以外の唯一の楽しみだと公言したカインが、その雪花を前にしてよそ事に気を取られている。

「敦賀さん」

やはりどう考えても異常すぎるのだ。

「…………え?……」

じっと床を見つめていた蓮が、ようやくキョーコの声に面を上げ、キョーコは空いている左手でもって蓮の頭を包み込むように抱き締めた。

「敦賀さん……」

確かめるように名前を呼びかけ、その髪をなぞる。

「……最上……さ……」

いきなりの事に硬直し、蓮は思わずキョーコの右手を解放したので、キョーコは蓮の背中をやわやわとなでながら言った。

「何を考えてるんですか?」

「え?」

「雪花がここにいるのに雪花を見ないカインなんて、NGモノですよ?」

「……っ」

キョーコからの指摘に息を飲む蓮にキョーコはカットです。一度ゆっくり深呼吸でもしましょう?と静かに言った。

「……俺……は……」

苦しげな蓮の声に、キョーコは蓮の背を撫でながら続ける。

「大丈夫です。敦賀さんは大丈夫ですよ。ちゃんと出来ます」

「………………うん」

そうして蓮は瞼を閉じ、キョーコは背中を優しく撫で続けた。



しばらくの無言が続き、蓮の纏う空気が和らいできた事を感じたキョーコはポツリと言う。

「これ。軽井沢で敦賀さんがかけてくれた魔法と同じなんですよ?」

「俺……?」

不思議そうな蓮にキョーコはクスリと笑った。

「言ってくれたでしょう?コーンはちゃんと大人になって、空だって自由に飛んでる。大丈夫だよって……」

「……あ……」

「だから、私はコーンを信じてるんです。他の誰でもない、敦賀さんが言ってくれたから」

「っ…………クォ……ンを……君は……」

「信じてます。敦賀さんが言ってくれたから」

蓮はそれきり黙ってしまい、キョーコがただ背中を撫でるだけの時間が続く。



(……ど、どうしよう)

時間の経過と共に、勢いで蓮を抱き締めている自分の行動を冷静に把握出来るようになったキョーコは、今の自分達の構図がどえらいものだという事に気づき、こみ上げてくる執着心と戦っていた。

(敦賀さんの頭が……は、肌に……)

むにゃむにゃ、うにゃうにゃと理性で気持ちを誤魔化そうが、結局は好きな男の頭が自分の胸元ど真ん中にあり、髪の毛が地肌を擽る感触に、心拍数が隠しようもなく上がっていく。

(どうしようーっ!!)

蓮が微動だにしないのだから、自分からは動けない。

「……ねぇ、最上さん」

「ふ、ふぁああい!!!」

「俺的には名残惜しいんだけど、可哀想なぐらいドキドキしてるから、もう離してくれて大丈夫だよ」

クスリと笑う蓮からキョーコはドピュンと飛び跳ねるように後ろへ一歩距離を開け、床上に正座した。

「あ、あの……その……私っ、すみません。敦賀さん相手に大それた事をっ」

自分のしでかした事に真っ赤になっているキョーコに蓮はいやと首をふった。

「最上さんの感性は本当に鋭いね」

「え?そ、そうですか?」

「うん。俺が息を出来なくなった時にすかさず空気をくれる」

そう言って苦笑する蓮の表情は、やはりぎこちなさが残っていて、キョーコは勇気を振り絞る事にした。

「……何が、苦しいんですか?」

自分が力になれる事ならば力になりたい。

「……苦しい……か……そうだね。俺は苦しいのかもしれない」

まるで他人事のように口にする蓮の姿にキョーコは柳眉を寄せた。

「過去という魔物にあっさり飲み込まれて……情けない……」

そう言って力無く笑う蓮にキョーコの心はズキリと痛む。
過去の傷で身動きが取れなくなるほどにどうしようもない衝動というのは自分にも覚えがありすぎる。


『さあ……この魔物を片付けてしまおう』


たかだかオムライスを食べるだけで口にした一言が蘇った。
ゲン担ぎか何かだろうかと思っていたあれも、やはり繋がっている。
蓮は過去に何かの傷を持っている。それがキョーコの得た確信だ。

「敦賀さ……」

「最上さん」

「は、はい!」

声をかけようとしたキョーコよりも早く蓮が口を開いた。

「今からもう一部屋押さえるから、今夜は別の部屋で寝てくれるかな?」

「え……?」

蓮の真意が分からないキョーコは何故?という気持ちで体をこわばらせた。

「自信がないんだ。君を傷つけない自信が」

「どういう……」

「…………」

蓮の端正な顔に疲れの色が滲んでいる事に気づく。
キョーコと同じで蓮もよく眠れていないのかもしれない。

「信じてくれる君を……裏切るかもしれない自分が怖い。決壊してしまったら、クオンの闇が……そうなる前に離れ」

「い、いやです!」

「最上さ……」

まるで別れの言葉のような重みに、ここで離れてはいけないと本能的に悟っていた。
蓮がどんな過去を持っていようと、キョーコにとっては自分が知る敦賀蓮が全てで、失う事は何より怖いと感じた。

「一緒に……敦賀さんの側にいたいんです」

「最上さん……」

自然と涙が頬を伝い、視界がぼやけてゆく。
キョーコの涙を拭う為に差し出された蓮の手のひらが、先ほどよりも温もりを帯びている事にキョーコは喜びを感じた。

「貴方の為なら傷ついてもいいんです……一人に……しないで……」

「っ!!」

震える声で伝えれば、蓮の腕がぐいとキョーコを冷たい床の上からすくい上げ、抱き締めた。

「馬鹿だな……」

どちらへ向けたとも分からない小さな呟きにキョーコは蓮の背中をぎゅうと抱き返す事で応え、どちらともなく二人は唇を寄せ、互いの体温を甘受した――。










言葉の無い告白。




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| | 2011/09/23/Fri 00:06 [編集]
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