スキップ/ビート二次創作のブログ。 二次創作に理解の無い方の閲覧はご遠慮下さい。初訪問の方ははじめまして記事を御一読ください

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SS・名前を持たない恋物語6
はーい、こんばんはー!
只今絶賛原稿修羅場&衣装修羅場しております惣也です。
実は10月の三連休にねずみの国に人生初大冒険しておりましたネズミ年の私。そんなこんなで今が大変だっていう…w
あ、ねずみの国はめちゃくちゃ楽しかったです^^そして二人で行ったので、交代で時間待ちしてる間に携帯片手にSS進める私・・・orz
ジェットコースター一つで120分待ちとか面白い事態だったので、ある意味有意義な時間つぶしでした。はい。
今度は平日に行こう。
関係ないですが、10/23のスパークにちょっくらサークルでおります。スキビじゃないけど。
新刊はタイバニで今描いてます。終わり見えないけど…orz
そんでもって冬が受かったらスキビです^^こっちの個人誌もがんばりますとも!アンソロもがんばりますとも!!
冬の個人誌は裏庭ネタをがっつり加筆修正して一冊にしようかなぁ…なんて考えてます。パラレルだから需要があるかは分かりませんが、というやつですね。はい。







名前を持たない恋物語 6






雪花・ヒールとしてのスイッチを入れたならば平然と蓮の側にいる事は出来る。

だからこそ、キョーコはずっと雪花の状態のままでいたいと思っていたりもしたのだけれど、意図的に続ければ、キョーコが蓮を避けている事を他の誰でもない蓮自身に気づかれてしまうだろう事は簡単に想像できていた。

ならばどうするべきか、散々頭を悩ませた難問ではあるのだが、しかしながら世の中という物は上手く回っていく事もあるもので、地毛からカインに変貌してしまった蓮と違い、髪型からメイクに衣装にと全てを一から作り込んで用意しなければならないキョーコの支度には時間がかかる。

結果として、蓮より早く起きて雪花になり、蓮が寝静まってからキョーコに戻るという生活リズムが自然と出来上がっていき、キョーコの状態で蓮やカインと顔を合わせないで済むという奇跡的なタイミングで数日を過ごしていた。




バイブレータが振動する音に反応して、ゆっくりと瞼を開ければカーテンの隙間から光がこぼれている。

「……ん……」

キョーコがヒール兄妹の滞在するホテルに持ち込んだ私物は二つあった。
一つは携帯電話。ヒール兄妹は極秘ミッションであるから、最上キョーコへの連絡は普通に入ってくる。連絡が付かない状態にしてしまう事はトラブルの元にもなりかねないので雪花として使う携帯電話の他に、自分の物をマナーモードで鞄の隅や枕元にそっと忍ばせていて、今、キョーコを起こしたバイブ音の発生源はそれだ。

(……朝……ね。起きないと)

キョーコはちらりと隣のベッドを伺い見る。

「………………」

こんもりと小高い丘のようになっているアチラは蓮が寝入っているはずなので、起こさないようにそっとキョーコはベッドを抜け出した。

「本当、よく眠れるわよね……」

隣に蓮がいる事を意識しすぎて連日寝不足になっているキョーコと違い、蓮はいつでも早々にベッドの住人になっていて、ホッとする反面、自分だけが動揺しているのかと恨めしくも思えた。

「あっ」

起こさないように気を付けて動いていたのだが、クローゼットの扉に引っ掛けて鞄を取り落としてしまった。
ドサリという音が響き、大慌てで拾い上げる。

(危ない危ないっ)

そうしてベッドを振り返るが、蓮はやはり繭になっていて反応はない。起こさなくて良かったとキョーコはホッと息を吐く。
拾い上げた後に残っている鞄からこぼれた物を静かに拾い、戻す。と、鞄の中に入れっぱなしになっている砂時計が視界に入った。

(……いつ返そう……)

他の私物はきちんと置いてきたのだが、なんとなくどうしようも出来ずに持ってきたソレは、貰った日からずっと鞄の中に入ったままだ。

『俺は、君の事が……す』

蓮が何を言おうとしていたのか、流石に理解はしていたし、

『……聞いてもくれないの?』

中途半端な状態にしているのが自分だという事も分かってはいる。
この砂時計は告白の残滓で、夢ではなかった確かな証明だ。

進んでいるのはさらさら流れていく目の前の砂だけで、自分が立ち止まったままである事は理解していたが、やはりキョーコには進む事は考えられなかった。

(恋なんて……いらない……まだ…………いらない……)

目を閉じたまま、ふうと一つ息を吐いて、意識を集中させて雪花として瞳を開く。


「兄さん。朝よ。起きて」

繭の上に手をやり、ゆさゆさと揺さぶるが反応はない。

「起きて、朝ご飯食べる時間が無くなるでしょっ」

ゆさゆさともう一度揺さぶれば、ようやく繭のてっぺんから頭だけがポスリと飛び出す。
まるで巾着袋に立てこもってでもいるかのような光景にキョーコは思わず言葉を失い、そんなキョーコに向かってカインは言った。

「……まだ7時半……だろう」

それだけ言うと、また布団の中に潜り込んだカインにようやくキョーコはハッと自分を取り戻して声を荒らげた。

「って、もう7時半なのっ!いいから起きて!!」

けれど紐の閉じられた巾着袋はピクリとも動かず、山と化したそれにキョーコはハアと諦めの息を吐く。

(寝汚いにも程があるわ!今はまだ本番じゃないからいいけど、撮影が始まったら遅れちゃうじゃないのっ!!!)

ぐっと拳を握りしめ、繭を見下ろす。

すーはーと深呼吸をして雪花がブレないように幾通りかの脳内シュミレーションをしてから繭へと手を伸ばした。

「起きてって……言ってるでしょうがーっ!!!!」

力いっぱい引っ張れば、まるで蓑虫がほどけるようにズルリと布団が剥けていく。

「うりゃあ!!!」

持てる力を振り絞って最後の最後までズルンと引っ張れば、キョーコの手は体重を感じなくなり、握りしめた布団が剥ぎ取る事を成功したと知らせ、

「ほら、朝なんだか……らっ!!」

そうして寝台を見れば、繭の中に生息していたカインが片頬に手をついてどどんと横たわった状態でキョーコを見上げ、綺麗にはだけたバスローブからは見事に露出した上半身が視界に飛び込む。

「朝から積極的だな。抱かれたいなら布団に入ってくればいいのに」

「ひああああ!!!!」

鍛え上げられた男の身体は朝から見るには刺激的で、キョーコの中の雪花を崩すには十分な破壊力だった。

「っ!!」

真っ赤になってグルンと勢い良く後ろを向いて視線を逸らす。

「な。何言ってるのよっ!早く着替えて支度してよね」

(あああー。せっちゃんならここは目を反らさずに言わなきゃいけない所だったわ……)

ブンブンと首を振り、頭を抱えたい衝動を辛うじて堪え、手のひらと瞼をぎゅうと閉じて反省の念にかられる、と。するりと肩口に腕が伸びてきたかと思えば抱きすくめられ、背中に体温を、耳元に吐息がかかりキョーコは硬直する。

(近い、近い、近いっ!!!!)

「分かったよ。起きるからそう拗ねるな」

「っ!!!」

ドキンドキンと鼓動が高鳴り、ぎゅうと閉じた目蓋が上げられない。

「……拗ねてなんて……」

「ないのか?」

「ないわ……」

「そうか」

喉の奥でクスリと鳴る声に、もうこれ以上は壊れてしまうと思う程に心臓がバクバクと跳ね、体温が上がる。

「っ……」

どうかバレませんように、と祈っていたが、とっくに雪花の顔はどこか遠くへいってしまっていて、握りしめた拳に爪が食い込んだ。
そんな二人の間に割り入ったのはベッドサイドにセットされているアラームの電子音で、ピピピピピと鳴り響くそれを受け、ようやくカインの腕は解かれ、キョーコの身体にかかっていた重みが消えた。

「……しょうがない。そろそろ起きるか」

渋々といった声で立ち上がり、バスルームの扉がガチャリと音を立てる。

「…………ふぅ……」

ようやく目蓋を持ち上げる事が出来たキョーコは、自分が呼吸を忘れていた事に気づき、深呼吸するようにゆっくりと大きく息を吐いた。

(本当……心臓に悪い)

脳内シュミレーションしきれない事態の連発は心臓によろしくない。

「今日は夕方まで……か。何をするのかしら……」

よりヒール兄妹らしくなるために。という目的のために設定された予備日。初日は買い物、二日目は映画館と、内容だけならどこのカップルのデートですかと言えなくもないが、カインの選んだ行動に雪花が文句を言えるはずもなく、そして最終的にはそれらを楽しんでいる自分がいる事も確かなので、ふうっと息を吐いてから出かける為の支度を再開する事にした。



――――――――――――――


「兄さん、ちょっと待ってよ」

「早かったか?」


ホテルのエントランスを抜け、カインの背中を追いながら言えば、振り返ったカインは当然のように手のひらを差し出した。

「兄さんは足が長くてかっこいいから歩くのが早いのよ」

「なんだ?誉めてるのか?」

雪花の言い方にクスリと笑ったカインは雪花の手を取ると、今度は歩幅を合わせて歩き始める。

「誉めながら怒ってるのよ」

「なんだそれ」

「ふふ」

自然と絡んできたカインの指にキョーコは内心で動揺したが、雪花の顔には出さない。

「ね。今日はどこいくの?」

「ああ、身体がなまってるからな。撮影が始まる前にボスの紹介してくれたジムに行こうかと」

「へぇ……ってアタシ手ぶらで来たわよ?」

何の用意もしてないんだけどと言えばカインは雪花を見て「だろうな」と笑う。

「先にウェアを買いに行こうかと思っているからな」

「また買い物っ!?」

先日散々買い物で散財しているのにまた買い物をするのかと抗議の声を上げたのだが、あれはあれ、これはこれだと一蹴され、丸め込まれるように雪花はカインに連れられて歩いていった。










本誌のちゃぶ台返し起床させる1コマをもっとじっくりエピソードとして読みたかったからの犯行です。はい。
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