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SS・名前を持たない恋物語7
11月ももう終わりですね、こんばんは。
私は何やってたかといいますと、原稿をやっているふりをしてみたり←え
ペンタブを紛失して新しく買い直したり←なにやってるの
衣装を作るための布をひろげたまま放置して、踏んで滑って頭を打ったり。←あほか。
れっぐまじっくとふらふーぷでダイエット作戦を展開して、特に成果がなかったり。
やっぱり梅こぶ茶と生梅肉入り飴とチキンらーめんが駄目ですか?そうですか…orz
多少締まっても、体重は減りません。いや、もういっそ体重は無視して割れた腹筋を目指すべきなのか←女子としてどうかと思うけど男装という視点においては腹筋は一度は割ってみたいものです。はい。
そんなわたくし、最近やっと、冬の個人誌のめどという物がたちましてございます^^わーいw
いや、今頃?と言われればそれまでなんですけどね…。
書き下ろしが30P超えましたのです、はい。近々サンプル投下したいと思います。
あとは、告知OKが出たら告知するゲスト先があったり、ですかね^^
もうすぐクリスマス。クリスマスは穏やかに迎えたいなぁ…w

さてさて、パスワード返信は25日までの方は終わりました。26日以降の方はこれからです。すみません。
到着報告、拍手コメント、などなど、本当にいつもいつもいつもありがとうございます!!
お付き合い下さるみなさまがだいすきでございまするーっ!!








名前を持たない恋物語 7






雪花ヒールの役所は、
『一に兄さん
 二に兄さん
 三、四がなくて
 五に兄さん』
この言葉に集約されるように、兄、カインヒールが世界の中心として回っている。

(……誰か一人だけを盲信的に好きでいる……なんて、割と簡単なものね。昔の自分に通じる物があってちょっとどころかかなり頭が痛いけど)

キョーコの体験と違うところは、不破松太郎と違い、カインは雪花の肉親であり、裏切らないという確かな繋がりも示される愛情もある事だろう。
カインが雪花を溺愛しているであろう事は端々の態度で分かるのだから。

(って、別に……アイツの事は今更だからもういいんだけど……やっぱり雪花って羨ましいな)

確かな絆を持っている事と愛されている事がうらやましいと思ったのは雪花を演じて気づいた感情だった。

(……でも……)

けれど、カインとじゃれ合う時や、ふとした時に雪花の胸によぎる切なさに気づいていない訳ではない。

(兄妹っていうのは絶対に超えられない壁だから、……やっぱりかわいそうなのかも)

雪花という少女を考えれば考える程、キョーコには深く同調した事がある。
キョーコが蓮に抱く気持ちも、雪花がカインが好きだという感情も行き着く先が同じように思うのだ。

たった一人だけの特別な存在。心にこみ上げる感覚には覚えがある。
目をそらし続けているがこれは愛であり、恋なのだろう。

(……この壁を、関係を壊す事は怖いわ……)

立ち止まって、今のままでいたい。

(恋心が憎しみに変わる瞬間なんて一度の経験だけで十分だもの)

今の心地良い関係が続けられたなら、失う事に怯える必要も無いのだろうから――。







透明の水がジャーっという音をたてて洗面台に落ちていく。
それを途中ですくい、洗顔をする。と、キョーコは鏡の前でパンっと自分の両頬を叩き、集中するべくじっと鏡の中の自分と視線を交わす。

「頑張るわよ。今日からトラジックマーカーの現場なんだから」

他の出演者や現場スタッフとのコミュニケーションを取る為の通訳から始まり、スケジュールの管理、食事の用意は全て雪花の担当だ。本腰を入れて頑張らなければと決意して、キョーコは水滴をタオルで拭った。





「それでは、この控え室には30分後にADを寄越します」

「はい。よろしくお願いします。監督」

「こちらこそよろしく、敦賀くん。京子さん」

蓮の会釈に対し、トラジックマーカー監督の近衛は、そのふくよかな身体を軽く曲げて答え、人の良さそうな笑みを浮かべる。

「はい。よろしくお願いします」

キョーコも丁寧な礼で答えると、近衛は廊下に人気が無いことを確認してから退室していった。

あとに残る二人の間に無言が落ち、キョーコはせめて間を保たせようと控え室のお茶を煎れにかかる。

「兄さん。ジュースとコーヒーとお茶。どれがいい?」

雪花として英語で問うと、思った通り、蓮はカインの返事を英語で返ってきた。

「ああ、コーヒーにしてくれ」

「はーい」

コーヒーメーカーのスイッチをパチリと入れると後にはする事がなく、キョーコは手持ち無沙汰になってしまった。

(うーん。落ち着かない)

これまで、ヒール兄妹の姿になった時に蓮とキョーコに戻って会話した事はなかったのだが、近衛と会話する為に素に戻った事でキョーコの心にほんの少しの動揺があった。
なんとなく沈黙でいる事も気持ちが悪く、かと言って他に適切な話題もポンとは思いつかない。
室内はコーヒーメーカーが立てる煮沸音がコポコポと響き、落ち着かない心地のキョーコはあたりに視線を巡らせた。

(ああ、そうだ)

ふと楽屋に取り付けられているTVを視界に止めたキョーコは、リモコンに手を伸ばしスイッチをいれる。
これで沈黙からは解放されるとほっと息を吐いた時だった。

「っ……」

TVに映し出されているのはどう見ても自分であり、蓮だ。

(ダークムーンって再放送してたんだ……)

もちろんキョーコとてオンエアは欠かさずに見ている。だるまやの大将夫妻などはわざわざDVDデッキを購入して録画保存した上で発売されているDVDをボックスで予約購入までしてくれているぐらいだ。
映っているのは未緒と嘉月が一触即発なシーンであったが、嘉月である蓮に思わず見とれ、チャンネルの操作が一瞬遅れた。

「なんだ。この男に興味があるのか?」

「っ!!!!」

いつの間にか真後ろにいたカインにリモコンを取り上げられ、驚いて頭上を見上げれば、カインは少々不機嫌な顔で雪花を見下ろしている。

「お前、こういう男が好きなのか?」

「い、いやーね。アタシが好きなのは兄さんだけよ?」

「でも今、見とれていただろう?」

こういう男の言葉にあたる嘉月は蓮で、蓮はカインでつまり同一人物なのだけれど、今は完全に別人でなければならない。

(ど、どう返事をすれば……)

「そんなことないわ。変な事言わないでよ。何?兄さんってばジェラシー?」

一体なんだってこんな会話をしなければならないのだろうと、自分を役者として飛躍させてくれた作品ではあるが、再放送されていた事にすら恨み言を言いたい気分になってくる。

「そうだな」

「え?」

予想外な返答に、聞き間違いかとまばたきをして再度口にしてもらえるように促す。
すると、手袋をはめたままの指がするりと雪花の髪の毛をすくい上げ、そしてその指の持ち主、カインは口角を上げた。

「俺はお前の視界に入る男全てに嫉妬している」

頬をついと掬われ、真っ正面から視線を合わせる事を促される。

「っ!!!!」

カインの言葉は体に電流が走ったような衝撃があり、思わずビクリと跳ねたキョーコの体はふらつく。

(駄目っ)

蓮の手のひらに触れられているだけで、自分の中に閉じ込めているまだ認めてはいけない気持ちが溢れ出してしまいそうで、キョーコは反射的に後退りして距離を守ろうとした。

「……あっ」

刹那、足元にある己の鞄にヒールを引っかけてつんのめる。すると、カインは逃げようとしていた身体をやすやすと掴み、転びかけたキョーコを腕の中へと一気に引き寄せた。

「危ない」

「あ……ありがとう」

全身の血液が顔に集まってしまったのかと思うほど、頬が熱い。

「足元に物を置くな」

「う、うん……ごめんなさい」

俯き見れば、中身が半分以上飛び出している。

「あ。兄さん、アタシ自分でっ」

大きな身体が屈んだ事で雪花の荷物を拾おうとしているのだと気づき慌てて止める……が、黒革の手袋の指は、すでに床に散らばる物を手にした後だった。

「なんだ?これは」

「そ……れは」

鞄から飛び出していたのは砂時計の入っている袋だったのだが、どうも蓋が緩かったらしい、カインの手の中にはズバリそのものが転がっている。

「お前の趣味じゃなさそうだな」

「……それは……その」

(敦賀さん、あなたがくれた物ですけど何か?って言ってしまいたいぃーっ)

趣味じゃない、それはそうだろう。キョーコが扱いを決めきれずにずっと持ち歩いていたのだから、これは雪花の持つべきアイテムでは無いのだ。

「誰かから貰ったのか?」

「そ……そうね!貰い物ね」

「趣味じゃない?」

「もちろん。趣味じゃないわ!」

必要以上に語気が強くなった気がしたが、キョーコはブンブンと頷いて肯定した。
そんなキョーコを、読めない表情でじっと見つめるカインは一言そうかと呟く。

「じゃあ捨てるか」

「へ?」

ごみ箱に向かうカインに大きく焦ってキョーコは声を荒らげた。

「だ、だ、駄目駄目駄目っ!これっ、大事なんだからっ!!」

むんずと奪い返し、両手で握り締めると、そんなキョーコの様子をカインは無表情でじっと見つめていた。

「そうか。大事な物か。それは悪かったな」

「っ!」

カインはクルリと踵を返し、パイプ椅子に腰掛ける。
その声色にはなんとなく喜色が浮かんでいるような気がするのはキョーコの気のせいではない気がする。

(今のって敦賀さん……カインと混同してたような……え?敦賀さんなのに??)

「セツ」

「は、はい!」

「コーヒーは?」

「あ、はいはい」


問答無用でカインのサポートに回る事を余儀なくされたキョーコは雪花としての演技に集中していく。
考え事にふける時間が無い事は幸か不幸か、答えを出しかねているキョーコにとって、考える事を先延ばしにする免罪符となっていた。





――――――――――――――




「カットカット!!愛華ちゃん、硬い、硬いよーっ、そこはもっと強気な顔してくれなきゃ。ここはまだ目の前の彼を蘇ったBJだとは誰も信じてないんだよ―?」

「すみませんっ……」

撮影が開始した為、キョーコはスタジオの壁にもたれて撮影風景を見ていた。

(あー。あの子ガチガチ。敦賀さんのBJは本当に死神に見えてくるから分からなくもないけど……)

「もう一回いくよ、ヒールさんももう一度構えてください」

監督がカインへと言葉を投げたのを聞いて、カインに近づいたキョーコは耳元で同じ事を英語で話す。
無言でコクリと頷いたカインはゆらりと開始位置へと移動し、キョーコは再び壁に背中を預けた。

「日本語喋れるのに、なんでまだ通訳してるの?」

キョーコの隣にやってきた男も雪花の姿に倣って壁に背をあずけ、声で誰であるかを悟ったキョーコは視線を動かす事なく答えた。

「あんたに話す理由はないわ。ムラサメ」

にべもない雪花の返事に村雨ははあと溜め息を吐く。

「あんたらは未知の生命体に近いな。俺は撮影中の雰囲気を良くしたいだけなんだけど?今だって愛華ちゃん、あいつのせいで萎縮してNG出してるの分かってんの?」

カメラに音を拾われないようにボソボソとした会話する村雨は雪花の肩に触れるか触れないかの位置まで近づいてきた。
仕方なく村雨の方へ振り向いた雪花はフンと鼻で笑う。

「あのぐらいで萎縮して演技できないなら、役者なんて辞めた方がいいんじゃない?兄さんは得体の知れない殺人鬼。監督のオーダーを体現しているだけよ」

ついてこれていないのはお前たちの方なのだと言い捨てれば、村雨は息を飲んだ。

「っ!ちょっと待てよ!」

手厳しい雪花の言葉に村雨は顔色を変える。

「何?」

食いついてくる村雨に対し、うっとおしいという感情を隠さずに睨みつけるが、村雨は負けじと雪花を睨み返した。

「映画ってのはチームワークで撮るんだよ。ちょっとは気を使ってみろよ!」

「カットカットカットー!ちょっと村雨くん、どうしたの!?」

堪えきれなかった村雨の激昂がマイクに拾われたらしく、慌てた監督がカットをかける。

「あ……す……すみません……」

本番を邪魔してしまい、バツが悪い村雨が謝るも、村雨の声から理由を悟ったスタッフ達が口々に囁きあっているのは村雨への擁護と同意。そして。

(……まずいわ……スタジオの雰囲気が……)

ヒール兄妹の仕事はこの映画を大作にする事であり、妨害したい訳でも質を落としたい訳でもない。けれど、強過ぎる個性は間違いなく、今このスタジオ内では邪魔者以外の何でもない。
辛うじて雪花のポーカフェイスを保ってはいたが、雪花とカインを非難するたくさんの視線を前に、キョーコには良案が浮かばなかった。

(どうすれば……)

「くだらない」

このどうしようもない空気を破ったのはカインの一言だった。

「……くだらない!?」

村雨こそ反応したものの、ざわつくキャストやスタッフたちは、初めて聞くカインの声に一気に静まり返る。

「お前たちは悪役の人間とも仲良しこよしにならなければ映画一本の撮影もできないのか?」

「っ!!」

カインは村雨を小馬鹿にした目で見下ろしながらゆっくりと二人の方へ歩み寄り、雪花をぐいと腕の中へ引き入れた。

「俺の物に許可なく触れるな」

緊迫するそこで、カインは凶悪な顔で嘲笑する――。







やっとここまで来た…>□<
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