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キョコ誕SS・君の為にできる事【後編】
あけきりまして、おめでとうございます。
今年最初のSS更新であります。キョコ誕を年またいでしまったーorz
とりあえず、二人のいちゃいちゃ話が書きたかった私としては、楽しかったのでいいんですけどね。ええ。

拍手下さる皆様本当にいつもありがとうございます!
今年はレス返す年にしたい・・・。有言実行の中にこれも入れよう。という新年の抱負でありました!




君の為にできること 後編







「手作り……か……」

社の何気ない言葉は、蓮の中で感銘を受けるものがあり、蓮はプレゼントは゛買う″のではなく、作れないだろうかと考えるようになっていた。

「……誕生日なんだから、ケーキ……とか?……いや。さすがに俺一人じゃ無理か……食中毒でも起こしたりしたらマズいしな」

何か記憶に残る物を作ってみたいとひたすらに考える蓮だったが、残念ながら良案は何も思いつかず、思案にふけるうちに、最近のキョーコと交わしたやり取りを思い返す事になった。


『敦賀さぁん、ちょっとこちらへ来て頂けますか?』

『なに?どうかした?』

キョーコの声に反応した蓮がキッチンへ向かえば、キョーコは戸棚の一番上を指差して言った。

『蒸し器がそこにあったと思うので、取って頂いてもいいですか?』

以前、キョーコが不安定な椅子に乗って戸棚の上の物を取ろうとして、転げ落ちそうになった事があり、その後からキョーコが使うであろう物はキョーコの手が届く位置に配置換えされてはいたのだが、あまり使わないと思われる物。
つまり蒸し器は戸棚の上にあった。

『――――これでいい?』

戸棚の上から目的の物を取り出し、調理台の上へと乗せる。

『ありがとうございます!』

そう言ってはにかんで笑うキョーコだが、蓮と付き合う前ならば、やはり助けを求める事なく不安定な椅子に乗っただろう事を考えれば、自分を頼ってくれたという事に蓮の心は喜びに満ちた。

『どういたしまして』


(そう言って作ってくれた茶碗蒸しはとてもおいしかった……)

キョーコを想うと、まるで暖かい羽毛につつまれるように、心が温かくなる。
心地良すぎて手放せないぬくもりは、いつだって蓮をどうしようもなく夢中にさせるのだ。

(あの手捌きを見ていると、彼女の方が魔法使いみたいなんだけどな)

そんな事を考えるようになっているあたり、自分は大分キョーコ色の思考回路に染まっているらしい。
思わずクスリと笑う。
そうして楽しそうに料理をしているキョーコの姿を思い返しながらふと気づいた事があった。

「あ。そうだ。踏み台とかがあればいいのか……っていう事は、木材にノコギリと釘……かな?」

あれから踏み台を買う訳でもなく今に至るので、これからを考えるのならばあった方が良いだろう。そう考えてハタとした。
蓮が自分の脳内に描いている完成図は、撮影中に良く見る美術のスタッフが作っている一種の装置だ。
彼らはプロで、踏み台一つなど造作もなく作っているが、もちろん蓮には経験があるはずもない……。

「駄目だ。下手な物を作ってあの子が怪我でもしたらどうするんだ。……買おう。今度」

はあ……とため息をつきつつ、けれど、自分が何かする事で、キョーコが喜ぶ顔が見えるかもしれないという思いが蓮から手作りという選択肢を捨てる事を躊躇させた。

「結局、あの子は盛大なパーティーやプレゼントじゃなくて、大切な人に心から祝ってもらえる事が嬉しいんじゃないか?」

ハッピーグレイトフルパーティーでの笑顔を思い返せば、おめでとうと祝ってもらえる事をキョーコは心底喜んでいた。
けれど、今年はマリアも、奏江もそれぞれの理由で東京を離れている筈で、年末で忙しいだろうだるまやを訪ねる事も気が引けるし、本音を言えば初めての恋人の誕生日なのだから、誰にも邪魔されずに二人きりで過ごしたい。

「俺一人でも……彼女の為の一日がセッティングが出来るかな」

キョーコが一日中幸せな気持ちでいられる時間を作る。それが出来ればキョーコは喜んでくれるのではないか。
思いついてしまえば、それを用意する為には何が必要か、蓮は自然と試算を始めた。
食事の用意、部屋の飾りつけ、プレゼント選び。やらなければならない事はたくさんある。
そして、

「んー。秘密で練習してみようかな」

普段、家事を業者頼みにしている蓮は、料理はおろか、掃除機一つかけた事がない。

綺麗に片付けられた自室を見渡せば、それを片付けていたキョーコの姿が浮かんだ。

『私がやりますから業者の方を呼ばなくても大丈夫だと思いますよ』

むしろ、誰かが来れば自分達の同棲がバレるかもしれないから誰も呼ばないでほしい。それがキョーコが越してくる条件だった。

『お口に合いますか?』

『とても美味しいよ』

『良かったぁ、ふふふ。実はいつもよりたくさん味見しちゃいました』

(…………無意識の一言が男殺しなんだよなぁ……)

『あ、お洗濯終わりましたからこっちに置いておきますね』

『え?あ、ありがとう』

後でクリーニングに出そうと思っていたシャツはキョーコによってアイロンがかけられ、クリーニングに出した物と変わらない程綺麗に仕上げられ、たたまれていた。
そこまでやらなくてもいいんだよ?と言うと、キョーコはこのぐらいなんでもないですものと笑う。

『最近の洗濯機はお利口なので、スイッチポンで仕上げまで全部やってくれて楽チンですから平気です』

『へえ……』

自分の家の家電の話しだというのにそうなんだとしか返せない。

「……俺も努力しないとな」

なんにでも一生懸命なキョーコは、家事にしても、芝居にしても手を抜かない。
蓮とて芝居に手を抜いた事など一度もないが、こうも家事能力に決定的な差があると、家の中の事を何もできない蓮がキョーコに一方的な負担をかけるだけだ。

「……よし。とりあえず買い物にいくか」

立ち上がった蓮は地下のスーパーへと向かう為、エレベーターへと乗り込んだ。




――――――――――――――




翌日。社の前には風呂敷に包まれた箱らしき物体が異様な存在感を放っていた。

「なあ、蓮?これ……何だって?」

机の上に置かれたそれの隣には、銀色に光る魔法瓶らしき水筒が一つ。

「ですから。お弁当です」

聞き間違いではなかった返答が繰り返され、社はええっとと考えた。

「…………キョーコちゃん帰って来た?」

「いえ、彼女が帰ってくるのは4日後ですよ」

「だ……だったよな」

しかし、そうなると社の頭は混乱を極める。

(じゃあ、この見るからに手作り弁当は一体何なんだ!!!?)

助けてキョーコちゃぁぁんと叫びたい思いをぐっと堪え、社はゴクリと唾液を飲んだ。

「で……誰から貰ったんだ?」

(下手な名前が出てきたら揉める事に……いや、蓮に限って浮気なんてありえないだろうし……いやいや、でもでも)

難しいタイムスケジュールを調整する時よりも激しく脳をフル回転させ、さまざまな推理をしてみるが、身構えた社をよそに、蓮は至って普通に言い放った。

「俺が作りました」

「………………っええええ!!!!!」

蓮のセリフにたっぷり考え込み、そして驚愕する。

「お前、料理なんて出来たっけ?」

「んー。まあ人生で三回目ですけど、初めてレシピを見ながらきちんと作りましたから、大丈夫だと思いますよ」

そう言うと、蓮はシュルリと風呂敷を解いた。

「プレゼントは今から何か探すとして、彼女の誕生日には朝ご飯を作ってから起こしてあげようかなと思いまして」

「朝……ご飯?」

カパリと開いたお弁当箱には白米に卵焼きに焼き魚。そして銀色のカップにおひたしが入っていた。

「朝起きた時に朝食の良い匂いがしてくると、幸せだなって思いましたから」

「はいはい。ごちそうさま」

つまりキョーコちゃんにそうやって甘やかされてる訳ね、と口の中が砂糖でじゃりじゃりしている錯覚を覚えながら社は「んじゃ俺はロケ弁、こっちもらうな」と二つある内の片方を取る。

「あの、社さん?」

パキンと割り箸割り、いただきますと合掌する社に蓮は言った。

「よければ味見してみてもらえませんか?」

「う?お、おお……もちろん構わないぞっ」

蓮の言葉で社はまじまじと弁当箱の中をのぞき込んだ。
三度目の手料理だというそれは、見る限り至って普通で、消し炭が存在しているという訳でもない。
心の隅で安堵した社はそっと箸を伸ばし、おそるおそる卵焼きを一切れ取る。
程良く黄色いそれはプルンとしていて、

「蓮……なんでこの卵焼き、四角じゃなくて三角形な訳?」

一体どうやったらこうなるの?という不思議な形をしている卵焼きを一口で頬張りながら問う。

「ああ、卵焼き用のフライパンで焼いたんですが、返し方が悪かったみたいで、途中までは順調だったんですけど、最後に返す場所が足りなくなって……角にパタン……と」

なんとなく理解はしたが、そんな事あるんだ……と、一人暮らし歴に相当する程度には料理経験値を持ち合わせている社はフォローの言葉を探した。

「そ……そうか。うん。まあでも程良く半熟っ気があって、味はいいんじゃないか?……って、おい。この鮭は中が焼けてないぞっ」

「あれ?本当ですね。すみません」

「いや、いいんだけど……」

こうして二人は蓮が作った弁当を口にし、休憩時間いっぱいに改善策を話しあっていた。



――――――――――――――



(昨日は生焼けだったけど、今日のはちゃんと焼けたな。意外となんとかなる、か)

鮭の切り身を割って中を確認し、コンロのスイッチを切った。
と、そこでピピピピという電子音が届く。

「あ。終わったな」

優雅に歩行する足で向かうのは洗濯機のある方角で、たどり着いた蓮は洗濯機の前でピタリと足を止める。

ガチャンと蓋を開ければ、そこには当然ながら洗濯物が入っていた。

「本当にスイッチ一つなんだな」

キョーコが口にしていた通りで、あまりなも簡単すぎて拍子抜けしながら、腕を伸ばす。

「色物は分けたし、洗剤も柔軟剤も書いてる通りに入れた。うん。よしよし」

なんだ、俺もやれば出来るじゃないか。なんて蓮が考えたのかはさて置き、蓮はまだほんのりと水気を帯びた洗濯物を取り上げた。




――――――――――――――




キョーコが帰路についたのは、予定よりも一日早い夕方だった。
現場の都合で早く終わったので、早く蓮の顔が見たいと、連絡をせずにこっそり帰ってきた。

「ただいま帰りました」

何度使っても緊張するカードキーで扉を開け、キョーコが持っている靴を全部広げても空間が余る玄関に靴を揃えた。

「敦賀さん?」

蓮の靴もある辺り、部屋に帰っているようだ。
どうせなら驚かせようとひっそりこっそり足音を忍ばせ、音を立てないように扉を開けようとリビングに繋がる扉へ手をかけた。

「あれ?いない」

そしてダイニングのテーブルの上には出来たばかりだと思われる食事が二人分。

「……誰か来てるの?」

けれど靴は無かったのにと不思議に思っていると、「あ!!」と珍しい事に蓮の大声が届いた。

どうやらバスルームにいるらしい。と、そっとのぞきこめば、大きな背中がなにやら悲哀を漂わせている様子が見える。

「敦賀さん?」

「っ!!!」

バッと振り返った蓮の反応に目を丸くしながらキョーコはその手のひらにある物にきょとりとした。

「私の……セーター?」

ハッとしたらしい蓮が今度は勢い良くそれを背中に隠し、なんでまた。と謎に首を傾げる。

「……………………ごめん」

沈黙に耐えかねたらしい蓮がそっとセーターを差し出し、キョーコが受け取る。……すると。

「縮みました?」

「ごめん」

蓮ほどの大きな身体がしょんぼりしている姿は、どうにも大型犬が主人に叱られてしゅんとしているようなそれに重なって見え、キョーコは思わずぷっと噴き出してしまった。

「え……?」

そんなキョーコの反応に驚いて目を丸くしている蓮の様子が殊更ツボに入ってしまったキョーコは肩を震わせる。

「ふふ、あははは」

「最上さん?」

「ふふふ、いえ、すみません。なんだか敦賀さんがすごく可愛くて……」

「か、可愛い?」

キョーコの笑いのポイントが理解できなかった蓮は困惑した顔でキョーコを伺った。

「これ、帰って来てから手洗いしようと思っておいておいたんです。すみません」

笑いすぎて涙をそっとぬぐうキョーコに対し、蓮は心底申し訳なさそうに詫びた。

「いや、本当にごめんね」

それはキョーコが蓮と揃いで作った手編みのセーターで、それを駄目にしてしまったという自責の念で蓮の表情は暗い。

「大丈夫ですよ。これぐらいなら元に戻りますから」

「そうなの?」

「はい。だから、そんなにしょんぼりしないでください」

キョーコがそう言うのならば元に戻るのだろうとようやく蓮はほっと息をつき、表情を和らげることができた。

「……ありがとう」

「いえいえ。ところで敦賀さん」

「ん?」

「食卓に並んでたご飯。私の大好きな物ばかりだったんですけど……」

ひょっとしなくても、敦賀さんが作って下さったんですよね?とおずおずと言うキョーコに、蓮は練習して驚かせようと思っていたのに、と苦笑する。

「十分驚きましたよ」

「なら、良かった」

見つめ合って頬笑みあう二人には穏やかな空気が流れ、どちらともなく手を繋ぎ合った。


(本当に……君は魔法使いのようだ……)


その後、言葉通り縮んだセーターを元に戻してみせたキョーコは、蓮の作っていた食事を美味しそうに頬張った。

こっそりとする筈の練習が早々にばれてしまった蓮が、キョーコの誕生日にどういう魔法を起こすのか。それはまた改めてお話したいと思う。







ただ、いちゃいちゃする二人が書きたかっただけです。なんて・・・
欲望に従った結果です。

あ。ちなみに縮んだセーターですが、ほんとに元に戻ります^^
ざっくり言うと、毛糸のパーセントにもよりますけれど、トリートメントでぬるま湯でもみもみして、ゆるーくしぼって、有る程度からドライヤーで乾かすと、あら不思議。ふかふかになるのです。
・・・というのをテレビでみました。キリ!
クリーニング屋さんで使ってる裏技ですって紹介だったんで、間違ってはないだろう^^という。


このお話にはNG裏話があるので、また改めて投下にきまーす^^
よし。満足!




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