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SS・名前を持たない恋物語8
こんばんはー^^すごく久しぶりな通常運転ですね。そうですね!
ということで、のろのろ書き進めていたのがやっとこさ書き上がったので、出来上がった分を投下であります!
毎度ながら、ゴールどこよ!という亀の歩みでありますが、ちゃんと進んでる・・・・・・はずだ!←あやしい。
書きたいものを書きたいように書く我儘スタンスですが、お付き合い下さるみなさま、本当いつもありがとうございます!
連載物は久しぶりに更新したりすると、待ってましたって言って下さる方もいたりするので、そういう声をかけて頂けると本当うれしいのです^^
・・・レスを返さず申し訳ない限りですが。平伏。

また、アンソロ&楼閣到着報告&感想をちらほら頂くようになっていて、本当に嬉しい限りですvありがとうございまーす!!わざわざコメントして下さる皆さま本当大好きですvv読み応えありましたか?うふふふvv
どなたからも楽しんで頂けてる様子が伝わってくる愛に溢れたコメントばかりで本当うれしいですv全力で最低な人になった甲斐があります!←なにやったしw

あ。関係ないですが、今日、めっちゃ雪が降りました。徳島にもとうとう雪が!と珍しがりながら、寒いのでこたつから出れない子になりそうです。いやほんと。やらないといけない事はいっぱいあるのに、こたつってどうして一度入ると何もできない子にする魔法を使ってくるんだろう。←私の意思がこんにゃく以下なだけです。
ということで、まずメールレスから行ってきます!しゅた!











名前を持たない恋物語 8







俺の物に許可なく触れるな。

そう口にして雪花を抱きしめるカインを前に、スタジオ内にいる出演者、スタッフ、監督の空気は総じて凍りついた。

(ちょっ、ちょっと、敦賀さんっ!何、火にガソリンぶっかけてるんですかっ!!)

カイン……蓮の起こしたアクションに度胆を抜かれたのはキョーコも同じで、とっさに何の言葉も出ない。

「セツが汚れたらどうしてくれる」

(だからーっ!!)

驚き、泡を食うキョーコにすらお構いなしで蓮、もとい、カインは我が道を進む。

「汚れるって、俺はバイ菌かよ」

カインに煽られたらしい村雨は、射殺さんばかりの鋭い目つきでバチバチと火花を飛ばす。
そんな村雨をカインは煩わしいと言わんばかりに不快感も露わな表情で見下ろしていて、キョーコの心臓は一層冷えていく。
一触即発な空気を醸し出して対峙する両者に、誰も割って入る事など出来ない。
痛い程に張り詰めた空気は撮影スタジオ特有の雑音や機械音さえ黙らせた。

「……なぁ。黙ってないで、なんとか言えよ」

カインが日本語を発した事は、村雨にとっては想定内。けれど、スタジオに居合わせたそれ以外の人間には驚きの新事実で、みながカインが発するであろう次の一言を待つ。
けれど、続いてカインの口から出た言葉は、一同の希望を裏切り「フン」という鼻で笑うさまと、日本人には耳慣れない英単語だった。

「〈くだらんな〉」

「また英語(それ)かよっ!」

「〈はっ……日本人はこれだから〉」

「っだー!!お前っ!いい加減にしろよっ!?」

悪化の一途を辿るカインと村雨の対話に、キョーコは内心でハラハラしながら成り行きに固唾を飲んで見守るも、カインが自分から謝るようなキャラクターではない事を最も理解しているが故に、沈黙している事にも早々に限界を覚えた。

「悪いのはムラサメよ」

「はあ?なんで俺がっ!?」

乱入者から向けられた矛先に村雨は戸惑いの声を発し、そんな村雨をじとりと見上げる雪花に、村雨は困惑の視線を返した。
村雨の怒りの向かう先を阻む事に成功したキョーコはたたみかけるように続ける。

「兄さんは仕事の鬼だけど、アタシの事はそれ以上に大切なんだからさっきのムラサメには怒って当然なのよ。っていうか、アタシたちのプライバシーを詮索してる暇があるなら台本の一行でも覚えてなさいよね」

「なっ!」

「兄さんはまばたき一つ、髪の毛の一筋までBJになるために集中してるわ。それに引き換えアンタたちは何なの?主役なら撮影に集中なさいよ。雑音をたてて邪魔するような真似しないで」

村雨と対になる主役、愛華がNGを出していた事を当て擦る発言をするのはあまり気が進まなかったが、このままカイン一人を糾弾する流れを許すわけにはいかない。
きっぱりと言い切ったキョーコだが、自分を抱きしめるカインの腕に力が籠もるのを感じた。
そうして、ぽんぽんと頭に大きな手が乗せられ、幼子を誉める仕草に驚いたキョーコはカインを見上げる。

「っ!!」

これまで撮影スタジオで振りまき見せていたカイン・ヒール、そしてBJの顔とも全く違う柔らかな微笑みに、キョーコはもちろん、居合わせた人間の全てが総じてざわめきたつ。

(敦賀さん……)

ガラリと表情と雰囲気を一変させたカインに、キョーコはハッとして大声を上げた。

「あ……あーっ!兄さんの集中が切れちゃったじゃないーっ!!」

雪花の声にビクリとする外野をよそに、キョーコはカインの腕から抜け出して手首を取る。

「監督っ、兄さんをBJにする為に時間を貰うわ!いいわね!!」

「はっはい!もちろんどうぞっ」

雪花の勢いに飲まれている近衛はコクコクと頷き、十戒よろしく割れた人波をキョーコはカインの腕を引き歩いた。

(あんな笑顔見せちゃって、カインが敦賀さんだってバレたらどうしようーっ)

完璧なポーカフェイスを保ちながらも、恐ろしく早足になっている姿が、キョーコがどれほど内心で動揺しているかをカインに伝え、雪花に腕を引かれるカインの表情に浮かぶのはほんの少し後悔による苦笑。

カツカツとヒールを鳴らし、二人の為の控え室へと雪崩れ込むと、ここまで堪えていたらしいキョーコの精神力はさすがに限界を迎え、重力に引かれるままに両足からは力が抜ける。

「ごめんね。ついやりすぎた」

崩れ落ちようとする雪花を抱き止めたカイン、蓮は、その細い身体を抱きしめて耳元に囁くように唇を寄せた。

蓮の言葉に応えるようにキョーコはふるふると頭を振った後、大きな背中にそっと腕が回る。
互いに伝わる温もりが、沈黙の続く中、二人の心の中にあるはずの距離を不思議と縮める力をもたらし、瞳を見交わした二人がどちらからともなく目蓋を閉ざし、そうする事が当然の事であるかのように、唇は触れ合おうとした、その瞬間だった。

――――ドンドンドン

「っ!!」

はっとしたキョーコが弾かれたようにカインの腕から抜け出せば、二人の返事を待たずに扉は勢いよく開かれた。

「……ムラサメ?」

乱入者を見やれば、それは村雨で、先ほどと変わらない険しい表情に、沈黙するカインを様子を見比べるキョーコの中で緊張が走る。

「……監督に聞いた。誤解して悪かったよ」

謝罪の言葉とは裏腹に、ぐぬぬぬぬと引き結ばれた唇が、歩み寄ろうとしている気持ちと、まだ納得がいかないのだとくすぶる、相反している村雨の心の内を如実に露わしていて、こうした行動に出るという事にキョーコは虚を突かれた。

「〈ふん。誤解しようがなんだって構わんさ。俺の邪魔をしないならな〉」

「おいっ、そうやっててもなんとなく分かるぞ!鼻で笑うなっ!俺は演技でお前を負かしてやるから覚悟しろって言ってんだぞっ!」

村雨がカインに向ける視線は、先ほどまでの猜疑心に満ちた物ではなく、好敵手と認めた故のライバル心に変わったように見受けられ、キョーコはそっと息を吐いた。

「おらっ!もういいだろっ、行くぞ!!さっさと来いよっ」

「〈やれやれ。面倒な男だ……〉」

「やかましい!撮影はとっくに始まってんだよっ」

言葉の壁により、伝わらないはずの二人の会話は、なぜだか通じ合っている。
大声をあげているのは村雨だが、カインもそれに淡々と反応を返し、控え室をあとにする二人を見送る格好になったキョーコは、冷たい床にペタリとへたり込んで大きな溜め息を吐いた。

(私……もう少しで……敦賀さんと……キス……)

「って、やだっ、行かなきゃっ!!」

今は目の前のミッションに集中しなければとキョーコは立ち上がり、先を行くカインの後を追う。

キョーコの心配をよそに、カインの変化を目の当たりにした結果、カインの演者としての真剣さを悟り、撮影関係者たちの空気が変わった事を知るのはこの直後の事であった。




――――――――――――――



「はああああ……疲れた」

ボスリと鞄をベッドの上に放り投げ、続いて自分も座り込みながら思わず零れた声に、後ろから「大丈夫か?」とカインの低音が問いかける。

「あ、ああ。大丈夫。ごめんなさい、兄さんの方が疲れてるのに」

「いや、俺とセツじゃ基本的な体力から差があるんだ。たまには休んでもいいんだぞ?」

気遣いからの言葉だが、今のキョーコには頷く事も躊躇われ、肯定する事も出来なかった。

「……休まないもん」

雪花でいる事をやめてしまえば、残るのはただの最上キョーコで、それは見ないふりをしてきた心に向き合わなければならなくなってしまう事を意味している。

「休まないんだから……」

キョーコ自身に言い聞かせるように呟いた言葉に心は沈み、視線は床へと落ちた。

「君はいつだって頑張りすぎるところがあるね」

「っ!!」

日本語で呟き返された事に驚いて顔をあげれば、カインというよりは蓮が目の前で苦笑を浮かべている。

「……つるがさ……」

何故このタイミングで蓮でいてしまうのか。
自分の気持ちも弱さも見透かされているようでキョーコの心は苦しいのか切ないのか、きゅうと鷲掴まれてしまったような心地だ。
そして、何を言いたいのか纏まらないままのキョーコの口からは明確な言葉は出ない。

二人だけの無言の空間の中、次に響く音は無機質な機械音だった――。


「〈はい〉」

カインが胸元から取り出した携帯電話を耳に当て、何かしらの会話の後にパチンと閉じる。

「ボスが来ているから少し出てくる」

「じゃ、アタシも……」

反射的に雪花になり、後を追おうと腰をあげようとすると、カインが手をあげてそれを制した。

「駐車場までだし、仕事の話だ。セツは休んでろ」

「仕事の話ならなおさらアタシがっ」

尚も食い下がったキョーコだったが、カインには雪花の可愛らしいわがままだと映ったらしく、ぽんぽんと頭を撫でられ勢いを封じられた。

「セツを他の男に見せる機会は少ないほうがいい」

「男って、ボスに会うんでしょ?」

「ボスだって男だろう?セツ」

「それは……そうだけど」

だけど、と不平に口を尖らせれば、トドメと言わんばかりにカインはキョーコの顔の高さに屈み、まっすぐに視線を合わせて口を開く。

「良い子にしてろ」

「……はい」

じっと覗き込まれ、その距離の近さに凍りつく。

キョーコがカチンコチンに固まった事を見て取ったカインは、くすりと笑んでドアに向かって踵を返す。

パタンというドアの音はカチンコのそれと同じく、キョーコは雪花からキョーコに戻り、ふぇぇぇと情けない声と共にへたり込んだのだった。







出歯亀=ローリィ宝田w
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