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SS・トラブルメーカー3
ビッグサイト行きバスからおはようございますw
物だけアップーなのです。
読み返して微妙な気持ちすぎてトラブルメーカーは下げたくなりそうだからもうアップしてしまえ(>Σ<)という。

ということで、家に帰宅したので、追記へ収納しました^^






トラブルメーカー 3






まるで包むように、抱きしめるように。
ふわりと香る蓮の香りは、キョーコの心を落ち着かせる事もあれば、胸を騒がせる時もある。

今現在がどうかと言えば、間違いなく後者であり、キョーコの心臓はバクバクと激しい鼓動を刻んでいた。

一体いつから蓮はここにいたのだろう。
どこから話しを聞かれていたのだろうか。

嫌な予感で背中に汗が伝う。


自分のような魅力に欠ける人間に、好きだの好きにならないだのと言われていた所で、蓮にとってはさして気にならない事かもしれないが、それでも聞かれたくない話題には違いなかった。

尚の言葉の中にキョーコがずっと鍵をかけていた真実の気持ちが混じっていたのだから……。




「不破くんも。仮にも芸能人がこんな往来で立ち話しをするものではないよ。TPOを考えた方がいいね」

そう言うと、蓮は地面に落ちていたアルバムを拾い、キョーコの腕の中へ戻すと、エスコートするようにキョーコの肩を抱き促す。

「事務所で打ち合わせなんだろう?」

「は……はい……」

「だったらそろそろ急がないとね」

「そうです……よね」

何事もなかったように微笑みを浮かべている蓮に、ひょっとしたら何も聞かれていないのかもしれないと、キョーコは暗闇の中で希望を見いだした気分だ。
けれど、普通にしようと意識すればする程、緊張が身体を支配してしまい、表情は強張り、上擦った声しか出ない。
そんなキョーコに対し、蓮は苦笑しながらキョーコの瞳を覗き込んで言った。

「それから。ほら、女の子がそんな怖い顔をするものじゃないよ」

「す、すみません!!」

いつもと変わらない蓮の様子からは、蓮の感情は読み取れない。
けれど艶のある微笑みは健在で、蓮の微笑に釣られてキョーコの表情がカアアと赤らむ。
そんな二人の姿に、尚の苛立ちは決壊させられ、矛先は蓮へと向いた。

「……偉そうに」

尚はずんずんと歩み、キョーコの手首を取ると、肩を抱く蓮に向かい、お前の手を離せといわんばかりにギロリと睨みつける。

「悪いがまだ話しの途中でな。関係ない外野は引っ込んでて貰おうか」

「だからっ、私にはアンタとする話なんて無いって言ってるでしょっ!?アンタこそさっさと帰りなさいよ」


尚の手を振り解こうとキョーコは懸命にもがき、そんなキョーコを逃がさないようにと握りしめた尚の心には、心底拒絶される事で、例えようのない喪失感が込み上げた。
自分にはもうこれ以外のキョーコの感情を向けられる事はないのか……と。
思わず奥歯をギリリと噛み締め、キョーコの手首を握る手のひらには更に力が籠もる。

「いたっ」

キョーコが痛みを訴えるが、それはもう尚の耳には届かなかった。

「俺はお前が……っ!!」

必要なのに。

そう口にするはずが、今度は尚の手首が蓮によって取られ、思わず苦悶の声に変わる。

「女の子の体はそんな風に乱暴に触れる物ではないよ」

「……にすんだっ!!」

飄々とした表情の蓮に、痛みで顔を歪ませる尚。間に立つキョーコは結果的に尚の手から解放され、睨み合う二人を前にオロオロとするしかなく、それでもなんとかこの場を収めなければと蓮を見上げて言った。

「だ、駄目です敦賀さん、こんな所を誰かに見られたら敦賀さんにご迷惑がかかりますからっ」

スキャンダルになってしまう。そう言って気を揉むキョーコに対し、蓮は再びこともなげに笑った。

「大丈夫だよ。あっちは不破くんのマネージャー、そっちは社さんがいる」

「へ?」

蓮が道の前後を視線で示せば、ハラハラとしているらしいマネージャー二人が遠目に確認された。
状況を一番把握しているのが蓮だという事は、まるで手のひらの上で転がされているような感覚で、尚にとってことさら勘に障り、思わず舌打ちが飛び出す。

「不満そうだね」

クスリと笑う蓮に対し、尚の気分は最低最悪。
敦賀蓮という人物が絡んだ時点で尚にとって面白いと思えた出来事が皆無であるので今更、と言えなくもない。
が、これはお互い様な事実でもある……。

「あんたは楽しそうだな」

「どうかな。そうでもないよ」

のらりくらりとしながらも、余裕を持って微笑む蓮に、尚の中で何かがさらに弾け飛んだ。

「キョーコみたいな……こんな面倒な女のどこがいいんだか」

蓮が抱いているだろうキョーコへの気持ちは以前から気付いている。
キョーコへの執着心という意味でならば、自分と張り合うものがあるのかもしれない。

「面倒?……そんな事はないけど?」

そして、キョーコの反応を見る限り、キョーコの心のベクトルも蓮へと向いている。
蓮には触れられる事を拒まない。それが何よりもキョーコの答えに見えた。

「ちょ、ちょっと!敦賀さんに難癖つけないでよね!敦賀さんは関係ないでしょ!!」

「最上さん?俺は関係ないの?」

どちらにしても、尚にとっては面白くない。全く。微塵も。

「え?でも……」

自分に矛先が向くとは思っていなかったキョーコは、蓮の問いに慌てて言葉を探すのだが、嘘をつく事が得意ではないキョーコには『関係無い』と言い切る事も出来ず、見る間にしどろもどろに陥ってしまう。

「えっと……そのですね……」

「最上さん?」

「はいぃぃっ」

きゅらりんと満面の笑みになっていく蓮に対し、良い言葉が思いつかないが故に次第に追いつめられていくキョーコは、半泣きの顔で慌てふためいた。
蓮のこの類の笑顔には、何故だかキョーコにてきめんの効果を放つ威圧感がある。
そしてそれを十分に自覚している男は更に追いうちをかけた。

「俺は無関係なの?」

「その……なんと言いますか……、お馬鹿な後輩なんぞの為に敦賀さんにご迷惑をおかけする訳にはいかないので」

「お馬鹿な後輩って誰が?」

「それは私めでありますが」

「んー。君が気になって仕方がない事は認めるけど、君はお馬鹿ではないよ」

「はあ。ありがとうございます」

やっぱり敦賀さんは面倒見がよろしいですねと続けるキョーコを前に、尚の苛立ちは最高潮だった。

(俺を無視した挙げ句、話しは脱線するわ、野郎が告白じみてるのにこの阿呆はまるっとスルーするわ……なんなんだコイツらっ!!!)

「だーっ、なんなんだよ!!」

見せつけられた二人の距離に、喪失の虚しさ、そして敗北感が満ちる。

「なっ、何よいきなりっ!!」

突然大声にキョーコが驚きの表情で尚を見る。と、尚はキョーコをぎんと睨みつけて言った。

「馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、ここまで阿呆か、お前は!!」

「ちょっと!なんなのよ!失礼ね!!」

「こんな詐欺野郎にコローっと騙されやがって!この単純コロリ女がぁぁ!!単純なのもいい加減にしとけよ!」

半分八つ当たりも良い所ではあったが、きっかけを得てしまった尚の口撃は止まる事を知らない。
まどろっこしいやり取りは普段相手にする業界の海千山千の人間だけで腹いっぱいで、また違った意味合いになるだろうが、蓮の遠まわしなアピールは、本性は直球勝負な傾向にある尚にとってはストレス以外の何物でもなかった。

自然を装ってキョーコを自分の元に手繰り寄せているあたり、それは立派な独占欲なのだ。
確信犯で主張と牽制をしてくるくらいなら、さっさと唾をつけてしまえばいい。そうすれば自分がこんなにも中途半端な気分に追いやられずに済むのに。
ぐっと握りしめた拳で己を鼓舞し、勢いをつけた。


「この男はお前に気があるんだよ!だから、んなとこまで追いかけてきてんだ!いつまでもすっ飛ぼけてんじゃねぇ!!」

「ちょっ!!アンタこそ馬鹿な事言わないでよ!敦賀さんが私みたいな冗談を冗談と受け止める余裕のない女、相手にする訳ないでしょうがっ!!」

キョーコはキョーコで蓮の好みは大人の余裕のある女。曰わく、『歩く純情さん』な自分は完全に対象外なのだと思い込んでいるので、尚の言葉を信じる事は出来ない。

「え?」

「私は対象外よ!!」

蓮の驚きの声は小さかった為にキョーコの耳には届かず、鼻息も荒く「そうに決まってるでしょ!!」とまくしたてるキョーコに尚は息を飲んだ。

「お前はっ……」

それだけアピールされて、何故気付かない。何故気付けない。尚は軽い頭痛を覚えながら溜め息を吐く。

「最上さんはこれでいいんだよ」

「ああん?」

割り込んできた蓮がキョーコの肩にポンと手を置き、キョーコは蓮を見上げる。

「それに。悪いんだけど、他人に感情を勝手に代弁されるのは好きじゃないんだ」

「はんっ。面倒な男だな、アンタ」

「自覚はあるよ、ありがとう」

「馬鹿にしてんのか?」

「いや全く。意外と目が良いんだねと賛辞を送るところじゃないかな」

「やっぱり馬鹿にしてんじゃねぇかっ」

相容れられない者同士、冷たい視線を交えるも、会話に決着も見えない。
不毛なやり取りと化してる事を自覚している蓮は「ふう……」と一つ溜め息を吐き、そうだなと腹をくくった。

「まだ言うつもりはなかったんだけど、……君は俺を煽るのが上手だね」

「はっ」

蓮は溜め息をついたが、尚の側からすれば、現状は不満だらけだ。
蓮に誉められても嬉しくないし、こんな陰鬱な気分になるためにわざわざ出向いてきた訳ではない。

「……キョーコ」

「何よ」

「本当に自分がその男に思われてないと思ってんのか?」

「当たり前でしょ?」

何を言うのかとキョーコの顔に緊張が走った。

「じゃあ俺がお前の事を好きだって言ったら?」

「寝言はよそで言って頂戴」

ピシャリと拒絶された事にもはや乾いた笑いがこみ上げた。

「そうか……寝言……か」

「不破……」

「なぁ、アンタも俺もコイツに信用されてないらしいぜ?」

クックックと笑う尚に、蓮は不快感を露わに難しい顔をした。

「敦賀さんとアンタを」

「一緒にしないで貰いたいな」

キョーコの言葉を半ば遮るようにであるが、言わんとしていた言葉を継いだ蓮をキョーコは目を丸くして見上げる。

「ねぇ、最上さん」

「は……はい?」

「俺はね、君を……歩く純情さんの君をどうにかしたいと思っているんだけど」

「う……そですよね?」

丸々と大きく開かれた瞳に動揺が走った。

「冗談は言ってないよ?」

「いやいやいや信じませんよ?」

「不破くんは信じてないけど、俺の事は信じてくれるんだろう?」

「それは……そうなんですけど……」

けれど、そこに恋愛感情を持ち込まれては困るのだ。
せっかく鍵をかけ直したのに。固く、強く。
そんな困惑が見て取れるキョーコの慌てように、蓮は思わず苦笑した。

「君に二度キスをしたい」

「……困ります」

「君のこれからの」

「っ……」

過去のやり取りを思い出させる言葉選びにキョーコの顔はぶわわわわと次第に真っ赤になっていった。

「時間と身体」

「……ぅ……」


『二度目はないよ……?』

『今夜の君の時間と身体、貸してくれないか?』

これまでの言葉に蓮の本心が散りばめられていたとでも言うのだろうか……。

「それから、心ごと、俺に貸してくれないかな?」

「…………ら」

「返す予定は無いけら、永久貸し出しになるんだけど」

「もう分かりましたからーっ!!」

見事なまでに真っ赤な顔でへたり込んだキョーコの目尻には、盛大な照れと、感涙と、いろんな感情が綯い交ぜられていて、そんな顔を隠そうと覆われた両手の指の震えすら愛おしいと思う蓮は、へたり込むキョーコの身体をすくい上げるべく両の手を差し出した――。


〈hr〉



エピローグはまた改めて(^O^)
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