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SS・名前を持たない恋物語9
本誌にもだもだーっ!珍しく手風呂に落書きをぽぽんとやってみたり、部屋に有る紙に落書きしてみたり、絵スイッチがポンしました。
本誌でスイッチ入ると妄想がはかどります^^
はい、風邪は一応、そこそこ治りましたーっ。あとは咳だけよ。キリ★

えーと、メルフォ事故ですが、その後6名様からご連絡を頂けました。ありがとうございます>□<そしてごめんなさいっ
ひょっとしなくても、今年に入ってからたくさんの方を無視していたのかと思うと、なんかもう土下座通り越してめり込みたいです。orz
見捨てずお付き合い下さる皆様本当ありがとうございますー!
そして感想系のコメントは軒並みお返し出来ておりませんが、いつも本当ありがとうございます!!
お返事必要系のコメントにメール返したりするのが精いっぱいになっている今日この頃です。それでも一週間以上時間かけてるとか本当何様だ私はorz
それでも新刊とか、更新とか、ちょっとずつ頑張って進めていこうと思います。いや、今ちょっとずつだとSCCに間にあわんので、やっぱり駆け足な訳ですがorz

ところで、のーんびり進めている名前を持たない恋物語ですが、本誌と絡めているようで全く別物方面へ進んでいます。敦賀さんはトラウマはもうふっきってるんだよ。いつの間に。っていう妄想の話なので、優しい心でお付き合い下さいませ。そろそろ終息しますので。はい。





名前を持たない恋物語 9








カインが駐車場に姿を露わせば、待ち構えていたらしい褐色の肌の執事は、ぺこりと頭を下げ、無言のままカインをパーキングエリアに停車していたリムジンまで案内をした。

バタン。

黒光るリムジンに乗り込めば、対面にいるのはローリィ宝田で、視線で挨拶をすれば、心得たる宝田は右手をあげ「よぉ」と笑う。

「近衛くんから電話を貰ったぞ。派手にやったらしいな」

ローリィは手元のグラスに真っ赤なワインを注ぎ、片方をカインに差し出した。

「……すみません」

このタイミングでローリィが出張ってきた意味を警戒している為にカインから蓮へと戻った表情は硬い。
そんな蓮の内心を見通しているローリィは目を細めてフフンと笑った。

「まあ、彼女絡みで爆発して、彼女の機転で収まったっつー話だし、いいんじゃねぇの?」

そうしてニヤニヤとした笑みに移った事で、蓮の背に悪寒が駆け抜ける。

(これは……)

「撫で回すくらいなら構わんぞとは言ったが、ラブラブバカップル出来てるようでなにより」

「バカップルってなんですか。俺たちは兄妹ですよ」

ローリィに遊ばれる事に対しては、ある種の諦めを持って現状に至る蓮は溜め息を一つ吐き、間を保たせようとワインを口にしようと口元に運ぶ。

「嘘つけ。キスしようとしたろ?」

と。ローリィにばっさり言い切られて思わずゴホリと咳き込んで胸元を押さえた。

「なんだ。図星か?ほー。思ってたよりはやるな、お前」

流石抱かれたい男ナンバーワン。と、語句に対し、さして賞賛していないトーンで誉められて柳眉を曇らせる。
そんな蓮の反応を楽しんでいる様子のローリィはクッと笑いながら言った。

「で?ペロリと頂いたのか?」

だが、いくらなんでもそこはまだ早いぞと言いながら、ぐいぐい確認を取ってくるローリィに、「やってません!」と叫ぶと、ローリィはつまらなさそうに「なんだ、未遂か。つまらんな」とのたまう。

(さっきからなんなんだ。適当に言って当ててくるところが怖すぎる)

ローリィの直感力もさる事ながら、かまにひっかかった自分に舌打ちしたい気分がこみ上げるも、これ以上何か言う事はやぶ蛇になりかねないとグッと言葉を飲み込む。

「お前と同じく、彼女にも荒療治が必要だと思ったからのヒール兄妹だからな。お前が頑張ってあの娘をドキマギさせてくれなきゃ俺のあてが外れちまう」

「荒療治……ですか」

トラジックマーカーの出演を引き受けるにあたり、ローリィはDARKMOONの時のように反対はせず、あくまで蓮の意志を尊重したかに思わせていたが、実際のところ、他に目論見があったという事だ。

「まあな。一石二鳥ってのも悪くないだろう?」

「結構真剣に悩んだんですよ?」

「分かってるさ」

三日間悩み抜き、やりますと言った蓮に、ローリィは砂時計を一つ置き、言ったのだ。

『時間は流れていくもんだって事をそろそろ思い出しとけよ』と。

「BJを演じる事で、止めるしかなかった久遠の時間を動かす決意を出来たんだろう?自分から腹を括ったなら、お前はゆっくりでも本来の姿に戻る心構えはちゃんと出来るはずだよな?」

自分で決めたなら、そこに俺の手は必要ないだろう?とローリィの視線が語る。

「…………はい」

蓮というより久遠は、過去に捕らわれ、時間を止めたままの状況が続いている。
つまり、敦賀蓮という役を入れ続ける事で久遠を切り離し、別人状態になった人生を送っている訳だが、それは絶望の闇に沈み、壊れる寸前の久遠の心に対する救済措置のような物だ。

「歯切れが悪いな。なんだ?お前は永遠に敦賀蓮でいたいのか?」

敦賀蓮は久遠が生きる為の避難場所として生まれたもので、自分が歪な時間を刻む存在である事は蓮にとて自覚があり、だからこそ、揺るぎない心の強さを、両親と並んでも恥じる事のない力を付ける。それこそが過去に対する贖罪であり為すべき事だと誓っている。

「いえ。俺の目標は変わっていません」

「だったら、しゃんとしろ。俺にはお前以外にも手のかかる問題児がわんさかいやがるんだ。いつまでもお前ばかりを構い続けてられん」

「すみません」

ローリィの叱咤は常に分かりにくいが、蓮の抱える闇を多少なりとも把握しているが故の激励と言えるのだという事を知っている蓮は、また心配をかけてしまったと苦笑した。
蓮からBJではなく、蓮とBJの間にカインという緩和材を作ってくれたのは他でもないローリィなのだから。

「腹は括った……はずなんです」

しっかりとカイン・ヒールを、BJを演じきる。それはとてつもない厚い壁だが、今の自分ならば出来るはずだと結論付けたはずだ。

「なんだ?スタジオで問題起こした事に凹んでんのか?」

「それもあります」

けれど、村雨に喧嘩を売るにしても、想定していた切り口はもっと別の、演技についての物であるはずだったのだが、蓋を開けてみれば、雪花に興味を示した男を叩き潰したいという衝動の結果だった。

「ふん。恋愛感情ってのはお前が考えてるみたいに簡単に制御出来るもんじゃねぇんだよ。トチ狂って当たり前だ青二才」

「耳が痛いですね」

結果的にはキョーコ自身に阻まれてしまったものの、尚の事を考えていたキョーコに堪えきれずに告白しようとしてしまったり、村雨にイラついてしまったり。ここ最近、自制心はどこへと自分でも失笑してしまう有り様が続いている。

「大丈夫なんだろうな?」

問いかける言葉とは裏腹にローリィの表情は蓮の様子を面白がっている節があり、今の自分が信頼されているのだと蓮は肌で感じた。

「大丈夫です。きちんと聞いてくれるまで伝え続けるつもりです」

ふっきれた表情で笑えば、ローリィは蓮の顔を見てほぉと嘯く。

「そんな顔で笑えるなら上等だ。これ以上は俺も介入せん。満足出来るまでやってこい」

「ありがとうございます」

誰かを大切に、恋しく思う力はこんなにも心を強固にさせる物なのか。
守りたい。自然に湧いたその気持ちは過去を悔やんでばかりだった蓮に前を向かせる。

「ただ、さすがに時間を無尽蔵には与えてやれんからな。頑張って彼女を落とせよ」

「社長?」

ローリィの口ぶりに不思議な物を感じた蓮は怪訝な眼差しでローリィを見やる。
すると、苦笑したローリィが一枚の紙片を取り上げた。

「言っとくが、俺は何もしてねぇぞ。向こうから転がり込んできた打診だ」

手渡された紙にタイプされた英字をざっと追えば、記された内容に目を見張る。

「これは……」

「敦賀蓮の努力の結果(かたち)だろうな。その監督の名前、記憶にねぇか?」

「……あります」

過去、クビを切られた仕事は数多くあり、紙片にある依頼主はその中の一人だった。

「向こうにいた頃、一番、久遠(おれ)の心を腐らせる言葉を浴びせてくれたひとですよ」

「ほう……また面白い巡り合わせだな」

「このオファー、やりたいです」

「そう言うと思ったよ」

紙片をローリィの手に返した蓮は、進めて下さいと口に出し、ローリィは分かったと頷く。

「……が、トラジックマーカーを無事に終わらせてこいよ」

「もちろんです」


それは、敦賀蓮に残された砂が残り少なくなっている事を示している――。





――――――――――――――





「おかえりなさい、兄さん」

「まだ寝てなかったのか」

ローリィと別れ、ホテルの部屋に戻った頃には時刻は日付を跨いでいた。

「だって……気になるし」

「悪い話じゃなかったよ」

「ほんとに?」

「ああ」

スタジオで派手に揉めた原因であった自覚から、ローリィの呼び出しが怒られる類いの物ではないかと気を揉んでいたらしい雪花……というよりキョーコはホッとした表情を見せた。

けれど、

「ねぇ、兄さん」

「ん?」

その表情にはどこか迷いや憂いが滲んでいて、蓮の心に一体どうしたのだろうという疑問が浮かぶ。

「……私……」

「うん」

それきり雪花は何かを言いあぐね、上下する長い睫毛が逡巡を表すように表情に影を落とした。

「私……」

たっぷりとした沈黙の果て、ようやく先を告げようと震える唇が動き出した。

「…………私……いらなくなったりしてない?」

「なんで?」

不安げにカインを見上げる雪花の表情は、これまでになく儚い物で、蓮の心に突き刺さるような痛みをもたらした。
キョーコを不安にさせた原因はなんだと真剣に自問する。

「今日、兄さんが日本語を喋れる事はみんなが知ったでしょう」

「……そう……だな」

そう言われれば、蓮はカインのまま日本語を口に出した上、日本語に対して英語で返すという行為に及んだのだ、カインが日本語を理解している事は知れ渡った事かもしれないと気付く。

「兄さんが真剣にBJを宿している事を知ったから、スタジオの空気も変わったわ」

「そう言われればそうかもしれないな」

だが、それは雪花に向けた笑顔も知り、カイン・ヒールの体温を感じた結果だろうと蓮は思っている。

「だったら、私は……雪花は必要?」

しかし、キョーコにはそう思えなかったようだ。

「セツ……?」

「私はもういらないんじゃないの?」

不安に瞳を揺らし、見上げてくる少女の肩は細く、頼りない。
最上キョーコという少女がこれほど不安に揺れている事があっただろうかと思わせる空気は張り詰めていて、蓮は息を飲んだ。

(最上さん……?)

「雪花は……なんの為に必要なんですか?」

それは、雪花・ヒールである間は頑なに最上キョーコを表に出さなかったキョーコが、初めて漏らした心の底からの想いだった。








一人称はやっぱりどうしても苦手なので、こっそり一人称から三人称に途中から変えたんですが、中途半端な事を
したので、根本からどうしようかなぁと悩みを抱えるはめになったどうしような問題作になり果ててしまったorz
 きちんと二人のごちゃごちゃした関係をくっつくまで行くお話にしたいのでがんばります!
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