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SS・マネキンファイズ-後編-
はい、こんばんはー!!
更新してからパスレスしようとしてたのに、気が付いたらこんな遅い時間にorz
更新して寝ようと思うので、パスワードレスは明日…明日…っorz

ちょっといつもより長くなりましたが、後編であります^^
元ネタはあ●しのコーナーだったのですが、そんなにガッツリ見入ってる人じゃないので、
思いっきり突っ込んじゃ駄目なのよってことで、優しくどうぞw




マネキンファイズ 後編







「マネキン、ファーイズ!」

司会進行役の石橋雄生の声で収録は幕を明けた。

「今週のMCは俺、雄生の担当です。さてさて。今日はどんなマネキンが入荷してるかなって事で、早速登場してもらいましょう。マネキンの皆さん、どうぞー」

雄生の掛け声と共に拍手のSEと登場時のテーマソングが響く。
視聴者へ私服の披露を焦らすように、真っ黒なビニルポンチョにより、まるで黒テルテル坊主状態なブリッジロックの残り二人に続き、同じく黒テルテル坊主と化した蓮と尚がカメラ横からフレームインするところからまず始まる。

「おはようございます」
「よろしくお願いします」

マネキンとなる四人が口々に挨拶を交わす中、例えテルテル坊主もどきだろうとキラキラと輝く笑顔の蓮と、営業用の不破尚スマイルの尚が立ち位置へやって来ると、スタジオ内にいる女性スタッフから黄色い声があがった。

「さて。リーダー」

「ん?」

「不破くんと俺たちは二回目なんだけど。敦賀さんとは初めましてなんだよ」

「ああ、うん。そうそう!同じ事務所だけど会った事ないもんな、俺たち」

「はは、そうですね。よろしくお願いします」

雄生と光の会話に蓮が頷けば、光がいやいやこちらこそと頭を下げ、ぷっと笑った慎一が「それは楽屋でやっとかんと」と茶化しながら場を盛り上げた。

「ところで……雄生。今日、俺らめっちゃ不利違う?」

「せやな。敦賀さんなんてモデルさんやもんなぁ、このコーナーに本職出てきたんは初めてやで」

「ほんまやなあ……って、本職に勝てるわけないやん!スタッフ何考えてんねんっ」

俺、今日MCで良かったわあと喜ぶ雄生に、羨ましいよと二人の石橋ズが弱気な顔を見せる。
「いやいや。本職は俳優ですから」と蓮が笑ってみせると雄生が「そうそう、二人共っ、諦めたらそこで試合終了やで!」と何やらどこぞの漫画の引用らしいセリフを投げた。

「うーん。いつも家にある物を着ているだけなので、審査員の方から見てどうなのかな。不破くんの方がこだわりがありそうです」

審査が怖いなと謙遜する蓮に対し、「まあ、自分流のこだわりはありますよ」と、デビュー作がスケスケ衣装だった男がのたまう。
カメラが回っているので尚の表情こそ笑顔ではあるが、蓮を中心にスポットが当てられる現在の前フリに、多少腹を立てていた。

(つーか、俺様が一番に決まってんだろ。緊張感のない顔で笑ってんじゃねぇよ、タレント上がりのユニット歌手がっ)

そんな尚の苛立ちに気づかないブリッジロックの面々はほこほこと笑っている。

「んー。俺、二回目って言ってもこのコーナーは初めてですよ」

「へぇ、そうなんだ」

(役立たずのMC共!お前らが拾えよ!!この不破尚が子泣き爺みたいな酷い格好を我慢してやってるんだって分かってんのか!!!)

自分の方へ注目を向かせようとして発した言葉だというのに、蓮に相槌を打たれた事で、うまく話しを広げる事が出来ず、小さく歯噛みすると、そんな尚に気づかない光がにこにこと笑いながら言う。

「実は俺ら、ブリッジロック勢は最近ゲストに負けっぱなしなんですよ。そろそろ最下位脱出したいんですけどね」

毎回罰ゲームが俺たちなのは飽きちゃったよねと笑うとスタッフからも笑い声があがり、慎一がこらこらとたしなめるお約束的なやり取りが発生すると笑い声はさらに増した。

「今日はリーダーの気合いがめっちゃ入ってるな~。選んでもらえたらええなあ」

「せやなあ、って俺も負けられへんねん!」

今日のゲストにキョーコがいる事を知っていた雄生たちは、三人よれば文殊の知恵とばかりに事前に光の私服コーディネートをテーマに秘密会議を開いたりしていた訳だが、そんな事をおくびにも出さず、雄生は光の事を応援し、慎一は張り合ってみせる。

「さてさて、んじゃそろそろ今日のファッションの御披露目いくか~?」
「おう、受けて立つで!」
「じゃあリーダーから行こうか、オープーンっ!」

盛り上がるブリッジロックの面々が番組を進行するべく真っ黒なビニルポンチョに手をかけると一人ずつ順番に私服披露が始まった。



――――――――――――――



そんな五人の男の模様を端で伺い見る、四人の女性陣はというと……。

「あーんっ!どんな格好してても尚ちゃん格好良いーっ、いやーん、きゃっ脱いじゃった!あああっ私服も素敵ーっ!!あのベルトになりたいぃっ」

「あら、慎一くん結構良いかも。あの肌に触ってみたいわ」

恋は盲目。尚命な美森には黒テルテル坊主姿すら格好良く見えるらしく、また、美白、美肌をこよなく愛する瑠璃子はなんだか着眼点を間違えており、佇んでいるADが不安げに二人を見つめている。

「あの、京子さん。どなたが一番手なのでしょうか?そろそろプロデューサーに報告したいんですが……」

「あああ、す、すみません。もうちょっと待って下さいっ」

そんなこんなで二人がきゃあきゃあ黄色い声を上げる中、未だに審査の一番手は決まらないでいた。

「絶対私が一番に尚ちゃんをお買い上げするんだからっ」

「え?ちょ、ちょっと!七倉さん勝手に決めないでよ」

美森が尚を引き受けるのは構わない。むしろ熨斗(のし)やリボンだって付けてやりたい。

……だが。

(一番になるのは敦賀さんなんだからっ!っていうかそれ以外許せないのよーっ!!)

「何よ、文句あるの?あなたなんかに尚ちゃんは渡さないんだから!!」

「いやいや。あんなバカ、いらないわよ」

「嘘おっしゃい!さては私を油断させておいてしれっと尚ちゃんをかっさらう気ね!!!!」

キョーコとて負けるつもりは無いが、美森の勢いが凄まじく、思わず後退りをすると背中にドンと当たる感触から自分が壁際まで追い詰められた事を悟る。

「かっさらうって、なんでそうなるのよっ!!」

キョーコにとって問題なのは、尚に負ける蓮が見たくない。この一点なのだが、美森は自分の手で尚をお買い上げしたいらしい上、何故だかキョーコが尚を狙っていると勘違いしているようで、悪鬼よろしく。もの凄い形相でギロリと睨んでいる。

「あら。業界歴が一番長いこの松内瑠璃子さまが一番に決まってるでしょう!?譲りなさいよ」

「歴が長いだけじゃ意味ないわ!問題は密度よっ!尚ちゃんは私のなんだからっ」

「何?それって私のアイドル人生の密度がペライって言ってるわけ?脳みそ空っぽでグラビアしか出来ないくせに」

「なんですってぇぇ!!」

そもそも一番長いのは子役から活動している千織のはずだが、千織は呆れた視線を投げるだけで何も言わない。

(瑠璃子ちゃんが敦賀さんを選ばないかもしれないのなら、やっぱり順番は譲れないわよっ)

「二人とも待ってってばっ、さっきスタッフさんが言ってたじゃない!あいうえお順なら天宮さんからだって!」

「ちょっ!ちょっと!京子さん!?」

なんで私が巻き込まれるのと面を食らう千織をよそに、キョーコが声を荒らげると、美森はキョーコの言葉をフンと笑い飛ばした。

「だったら、若い順で私よ私っ」

自分が最年少だとアピールする美森が胸を張ると、身長の割に大きな胸がたわわと震える。

「ちょ、ちょっと!人気順でこの私に決まってるでしょう?」

瑠璃子も譲らないが美森の胸の揺れっぷりに若干の動揺をしているあたり、彼女のコンプレックスがあったりするのかもしれないが、それは脇に置いておこう。

「だから、待ってってばっ」

意見は平行線で折れる事は無い。
どうすればいいのよと内心で叫ぶキョーコだったが、出番の時間は遠慮なく迫っており、四人についていたADがオロオロとしている姿が視界に入った。

(じゃんけん、あみだくじ……どっちも不確実だわ。それで負けたら目も当てられないっ)

美森にだけは負けたくないのだけれど。

(どーしたらいいのぉぉっ!!)

蓮の運命はキョーコが握っているに等しいのだから、なんとかしなければならないのにとキョーコが心の中で悲鳴をあげた正にその時。

「では、一人目のお客様、ご来店です!」

「へ?きゃっ!!!!」

いつの間にか開始時刻になってしまったらしく、キョーコの真後ろで壁だとばかり思われていた場所がギイイイと開き、うっかりバランスを崩したキョーコは思わずつんのめり、ぐらりと後頭部から倒れ込んだ。

「……ひっ!!」

いやあああああという声の無い悲鳴と共に、傾げて行く景色はやたらスローモーションに感じる。

「……………………?」

反射的に目蓋をぎゅううと閉じたのだが、いつまで経っても痛みが襲ってこないので恐る恐る瞳を開く。

「大丈夫?最上さん」

「つ……るがさん?」

パチパチと瞬きをして助けてくれたのであろう人物を見上げた。

「え?あれ?」

「怪我がなくて良かった」

にっこりと笑う蓮は、いつの間にか私服披露をこなしていたらしく、Vネックの白いシャツに五分丈の黒いテーラードジャケットに黒のパンツを履いている。
ジャケットの襟についているピンブローチの鎖が胸元のポケットとの間でキラリと煌めいているあたりが蓮らしいスタイリッシュさを醸し出していて眩しい。

「え……っと」

柔らかな微笑みを浮かべキョーコを抱き止める蓮に、約一名を除いてスタジオに居合わせた人間がポーっと見惚れて言葉を失うという下手をすれば放送事故に間違えられかねない不思議な間が起こる。

約一名である尚はといえば、まるで瞬間移動だった蓮に『なんだありゃ!?ありえねぇぇ』と絶句し、固まっている訳だが。

(さすが……敦賀さんの魅力は老若男女なんにも関係ないのね……っていけない!私はナツよ!)

この番組の出演は千織と共にBOXRの番宣も兼ねている。素を晒してぶち壊してはならないと思い直したキョーコはヒュッと息を吸い込むと、ナツであるべく役を身体に下ろすとニッと口角を上げる。

「ありがとうございます」

わずかに乱れた前髪を指で撫で、蠱惑に満ちた視線で蓮を見上げるキョーコの変化に目ざとく気付いた蓮が瞬きを一つした瞬間だ。ようやく硬直が溶けた雄生が「え……っと。敦賀さん……ナイスキャッチやけど、これどないしたらええの?一旦カットします?」と困惑をありのままに口にした。

「あら?何か問題があるの?」

「京子ちゃん。俺らマネキンは動いちゃ駄目ってルールがあるんだよ」

不思議そうに首を傾げるキョーコに光があのねと口にする。
まあ、そもそも進行台本もへったくれもない展開の中で『動いてはならない』も何も今さらではあるのだが。

「って言われても、敦賀さんが助けてくれなかったらアタシ、頭をぶつける所だったしなぁ」

「そ……それは」

(敦賀さん、俺の横にいたはずなのに、気がついたらキョーコちゃん抱き止めてたんだもんな……ううう、俺の馬鹿っ)

自分の方がキョーコに近かったのにと内心でダメージを受け、思い切りうなだれる光の思いを知ってか知らずか、キョーコはクスクスと笑い、未だにキョーコを抱きかかえている蓮の腕に自分の腕を絡めた。

「選ぶなら、突っ立ってるだけのマネキンより、意思を持って動くロボットの方が面白いわ」

(ズッキーーーン!!!)

まるで助けられなかった自分が責められているような気分に陥り、真っ白になった光は灰になると、そんな光を残りの石橋ズが憐れみを込めた目で慰める。どう考えても蓮の身のこなしの方が異常で、動けなかった光は普通だったよとしかフォローが出来そうにない。

そうして、事の成り行きにうっかり驚いていた為に出遅れた尚がようやく立ち直りを見せ、「おい、キョーコ。俺を無視する気か」と声をかけるも、ナツであるキョーコは尚をチロリと見てフフンと不敵な笑みを浮かべた。

「アタシ。ゴテゴテテカテカした男、好きじゃないの。ごめんなさいね」

「なっ!!お前っ」

ゴテゴテ、とは尚の手首に輝くシルバーのアクセサリーであり、テカテカとは尚の纏う黒い革パンだ。

「ルール違反も二番煎じじゃ霞むだけよ?」

自信のある己のコーディネートも己の行動も、纏めて真っ向から否定された事に尚の顔に屈辱の朱色が走る。
それを見咎めたキョーコはさらにフフフと笑い、蓮に回した腕に力を込めた。

「ロボットさん、アナタをお買い上げしてもいいかしら?」

一連の事態に置いてけぼりとなっている人間たちを綺麗さっぱり無視をし、マイペースなナツは婉然と微笑んでみせると、蓮もクスリと笑んでみせた。

「ナツ嬢のお眼鏡に叶うとは至極の極みだよ」

「ふふっ。明日カオリに自慢しちゃお」

そう言って笑うナツに目を細めた蓮は腕の力を込めると華奢な身体を横抱きに持ちあげた。

「レジはあっちだよ」

そう言うと、蓮はマネキンファイズの勝者が出て行く用に作られている扉へと足を向け、ナツは楽しげな声を上げると蓮の肩越しからカメラを見つめ、ニッと笑う。

「BOX"R"は月曜九時よ、見ないと後悔するんだからね」

言い終わると同時に二人の姿は扉をくぐり、フレームアウトをすると、思わず固まっていたスタッフ達が呼吸をする事を思い出すかのようにハッとし、自分たちが飲まれていた事に気付く。

「え……っと、こ、こんな流れ……」台本にはある訳がない。
困惑が渦を巻き、誰もが満足な思考回路を取り戻せない中、はっきりとした少女の声が全ての人間の耳に届いた。

「京子さんと敦賀さんってダークムーンで共演してただけあって、アドリブの呼吸すごいですねぇ。まさかバッチリ番宣入れて来るなんて予想外でしたーっ」

(全く、面倒なフォローさせないで欲しいわ)

のほほんとした様子で話す千織の機転が功を奏したとも言えるのだろう。
そうしてようやくほっとした息を取り戻したスタジオでは、あちらこちらで「アドリブか」「すごいわねぇ」「びっくりした」と口々に声が上がる。

「……カット。こんな雑音ばっかりのブツ、使えないに決まってるだろうがっ!」

最後にとどめを刺したのは、ここまで無言を貫いていたプロデューサーであり、こうしてこの映像はお蔵入りしてしまう事となったのだが、仁王像よろしく、悪鬼に匹敵するオーラを纏ってしまった尚が『不破尚』の表情を取り戻す事はついぞ適わず、放送される頃にはマネキンの数が三体となっていたらしい。

また、この収録が噂となり、蓮とキョーコを指名したドラマが舞い込んだらしいというのは後になって流れた噂であるが、真相の程は定かでは無く。

蓮マネキンをお買い上げしてしまったキョーコであるが、その後、尚を動揺させることが出来たとひっそりガッツポーズを取っている所をバッチリ蓮に見られてしまい、壁際に追い詰められると、やはりまた扉が開いて蓮に受け止められ、そのまま自身がお買い上げもとい、テイクアウトされる羽目になったらしいのだが、その後のキョーコの身に起こった事は、彼女が一向に口を割らなかった為、以降の出来事は、誰も知る事が出来ない物語なのである。









長くなりました・・・orz
あと、うっかり前編で書くの忘れてたんですが、女子達は四人なんですが、キョコとちおりんはセット扱いで出てるんです、出てるんですっorz
MC1対マネキン4対審査員女子3になるはずだったんですーっorz
前編をの一文でのミスなので、直してあります。おおおorz

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