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SS・魔女の憂鬱【飛→奏】
こんばんはー。魔女~なので、なんとなくお察し頂けるかなと思いますが、飛鷹→奏江話です。
魔女の条件とは違って、未来設定ではないので×にはならない所がポイントです。←しらんがな。
ただ、将来的に×にする為に、飛鷹君が奮闘している話っていうのも書きたいなぁって思っている物の中にあるので、よし、付き合うぜ!って方にお付き合い頂ければ幸いです^^
需要があったら思いだした頃に書くぐらいのシリーズにしたいなぁ。とか、勝手に思ってみたり。

さて。七夕を総スルーしましたが。七夕ネタは思いつきませんでした。きり。




魔女の憂鬱







朝、事務所に寄って受け取った分厚い台本。
撮影の合間を縫って出来たてのそれに目を通していたのだけれど。
お芝居が生きがいの私にとっては初めての、台本を読んだ直後に溜め息を吐くなんて貴重な経験が待っていた。

「はあーーー。本当にただのストーカーじゃないの……」

分かっていたつもりだったけど、予想以上に頭の痛い馬鹿女の役柄は、セリフを追うのすら苦痛になる破壊力を持っている。
ありえない。
憂鬱。
はっきり言えば、やりたくない。

……でもやらなくちゃならない事も分かってる。。
自分がまだまだ仕事を選べる立場の役者じゃないって事はちゃんと理解してるのよ。

だけど、思わず出てしまう溜め息は仕方ないと思うのよね。
美容に良くないでしょうけど。

「ーーーはあ」

「でかい溜め息だな。奏江」

「飛鷹くん」

「あの馬鹿がNG連発してるから一旦休憩だってよ」

どうしてここに。という疑問は飛鷹くんの口から語られる。
なるほど。あの勘違い男ならNG連敗しそうよね。セリフぐらいしっかり覚えて来て欲しいわ。

「んで?お前は次の仕事の台本(ほん)読みしてたってとこか」

隣のパイプ椅子に腰掛けながら、私の手の中にある台本を一瞥した飛鷹くんは言った。

「……ええ」

「気が乗らなさそうだな」

台本を読みながら溜め息ついてる時点で飛鷹君の目には私が乗り気じゃないって事がお見通しになってしまったみたいね。

「奏江」

泥臭い仕事という名目で振られた時代劇への出演。
そりゃあ、演じられるチャンスを貰えるなら何だって演じてみたいって思ってるのは嘘じゃないわよ。

「なんかあるなら聞くぞ?」

でも、だからって、ね。
……愚痴なんて吐き出すもんじゃないって事は分かってるけど、どうしてだろう。飛鷹君にだけはついつい本音が零れてしまう。

「……どうしても……やりたいと思えない役柄でね。贅沢言える身分じゃない事は分かってるんだけど」

役者としてスキルアップする為にも、好き嫌いを言ってる場合じゃない。そんな事、分かってる。

社長から直接言い渡されたオファーだから尚更拒否権は無い。
だったらこの台本をしっかりと演じきって『どうよ』『このぐらい簡単よ』って鼻で笑うくらいの強さを見せたいのよ。

「役者も人間だからな。役の好き嫌いはあって当然っつーか。普通だろ」

「飛鷹君……」

飛鷹君は、『普通』っていう一言で私の心を軽くしてくれた。こうやって考えてしまう事が悪い事じゃないんだって示してくれる。

「でも、奏江。分かってるだろうけど、現場でそれを悟らせるなよ?」

何が足を引っ張るか分からない世界なんだからなって心配までしてくれる彼がすごく大人に見えて。
思い悩む自分が情けなくも感じる。

「ありがとう、気を付ける」

とても自然に『ありがとう』が口から飛び出した。
……本当に、飛鷹君には敵わない。

「絶対、なにがなんでも完璧に演じきってみせるわ」

「そっちのが奏江らしいな」

「そうかな?ありがとう」

飛鷹君に私らしいって言われるの、なんだか面映ゆいわね。

「――でも何で私なのかしら」

「ん?」

「これ、うちの社長が回してきたオファーなんだけど、なんでまた時代劇なのかしらって」

「時代劇?」

「うん。さすがに時代劇の立ち回りなんて経験が無いのよね。……結局はお芝居だから、意地でも演じてみせるけど……ね」

一体何を企んでるのかという不安がずっとつきまとっている。

「お前んとこの社長は確かに変わってるけど、あのLMEの社長なんだ。目は確かだろ。出来ないと思ったら回してなんかないと思うぜ?」

「そう……かな」

「ああ。奏江なら出来る。大丈夫だろ」

私の不安を見透かしたように言う飛鷹君は、横にあった役者用の飲み物に手を伸ばして、紙コップ二つをオレンジ色の液体で満たした。

「何を不安がってるのかは知らないけど、お前の名前で指名されてる仕事があるだけ恵まれてんだぞ?……ほら」

「……そう」

紙コップを受け取り、じっと中を見つめた。

「……なのかな……」

厳しい芸能界の中で、名前の出ないような仕事だって沢山ある事は知ってる。
自分が歩いて来た道を間違ってるだなんて思わないけど。それでもこれで良いのかって不安になる事はあるわ。
あの社長関係の事は大体がそう思って来たような気がする……。恐ろしいまでに結果オーライばかりだった事も否定できないけど。

「そうそう。子役のヤツらなんて見てみろよ。常に控えが後ろにいるんだぜ?」

「控え?」

「セカンドスタンバイとか、下手したらサードスタンバイとかもあるな。グズったり、合わないって思ったら容赦なくクビ。替えられるんだ」

「……シビアね」

飛鷹君も……?と問いかけてみれば、俺は割と一番手だったから、セカンド、サードの奴らが出番無くなって帰ってく姿を見てる方だったな。と彼の事実を淡々と語ってくれた。

「その点ではお前も俺も、最初から大分楽な立ち位置にいるからな」

「そうね……」

「それだってうかうかしてたら持っていかれる。悩んでないで、腹括って頑張って来い」

「うん……そうよね……」

やるしかない。
そして結果を出して、次に繋げなきゃ。

理解して飛び込んだ世界だけど、自分の立ち位置の不安定さに、時々こうして怖くなる。でも、それを理由に足を止めて良い世界じゃないのだから。

「大丈夫だよ。お前なら」

「…………え?」

「奏江なら絶対大丈夫だ」

飛鷹君の声がする。

「だから、そんなに考えすぎんな」

そこまで顔に……出てたのかしら……。

「顔みりゃ分かるよ。お前の事ならな」

「……え?」

つまり。

「おい」

どういう……。

「はい?」

「今日の撮影終わったら飯付き合え」

「え?」

「奢ってやるから」

「え?でも」

仮にも年下の飛鷹君に奢らせるってどういう了見で頷けばいい訳?

「俺のが先輩だからな。こういう時は甘えてみろよ」

「……飛鷹君」

「あ。松田ー!ちょっと来い」

飛鷹君の呼び掛けで、松田さんが駆け寄って来た。

「今夜、奏江と飯に行くから手配しとけ」

「分かりました。えっと……」

スケジュール帳をパラパラと捲り始めた松田さんは何が食べたいですかと尋ねてくれた。

「琴南さーん、スタンバイお願いします」

「え?あ。はい、今行きます!」

「頑張って来いよ」

慌ただしく立ち上がった私に飛鷹君が激を飛ばしてくれる。

本当……。年下だっていうのに飛鷹君に頼ってばかりだわ。

「行ってきます」

飛鷹君が伸ばした手にパンとハイタッチをしてからセットに向かう。

よし。頑張ろう。

一つ深呼吸をして、セットに向かい、足を踏み出した。







小さな事からコツコツとポイントを溜めていく飛鷹君は、狙ったモー子さんは逃がさないタイプだと良いなぁと。
松田さんの財布には、こういう突発的なお食事用に、そこそこの額がお母さんから預かってます的に携帯されてると勝手に信じている訳です←
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