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SS・白銀の狐9
本誌が出ましたね、ランランルー!
もうここ三話分ぐらいの感想を一個も語りあかせてない消化不良が溜まりに溜まっているので、ちょっと奥さん聞いて下さいよ!って気分なので、これの投下が終わったらそっち記事に着手したいです。うんうん
なんかもう、本当、スキビ追いかけられる幸せをおいたんは噛みしめています←何かありましたか?

ところで、クレパラ愛蔵版1&2は皆様お買い上げになられましたですかー?
クレパラの完全版はいつですか?とハガキに書き続けた甲斐があったのかなかったのか、ほくほくしながらそやえもんは買いましたが、どこぞの書店でもらえたらしい六種類のコラボカードは貰えずにしょんぼりでした。結局どこの系列でそんなフェアやってたんだろ・・・。つか、その辺のインフォしてくれないよね、公式様。何のためのついったなんだろ・・・orz あ、情報は自分で集めろやっていうタイプのドSなんですね、分かりました。

んなもんで、私は買ったのですが、旧装版、スキビ、MVP文庫と合わせてどう並べようかと本棚をぼんやり眺めています。
その隣が最●記なんですが、これも旧装版と新装版でドエライ幅を取るのですよ。あ、お気に入り本に処分するという選択肢は皆無です。勿論。
と、ちょびっと脱線しましたが、クレパラ愛蔵版の1巻は書き下ろしイラストが二枚あるんですけれども、今の先生の絵+クレパラ時代のべた感が再現されていて、個人的には大変美味しかったです、竜ニがイケメンすぎました^^




白銀の狐9





「こちらが晴明さまの御屋敷です」

「ここが……」

こじんまりとした小さな邸宅。門番も見当たらない屋敷には人気がなく、静か。
万里亜はコクリと息を飲み、緊張の面持ちで京子に続いて門をくぐった。

「……なんだか空気が違いますわね」

ガラス玉のような輝きを映す瞳が敷地の中をぐるりと見渡した後、万里亜はそう口にした。
この鋭敏な感性に驚かされた京子には、よくお分かりですねと感嘆するより無い。

「ここは晴明さまの結界の中ですから」

蓮の式神が中心となって手入れをしている小さな庭に伸びている飛び石の道をたどり、砂利の音を立てながら万里亜に相槌を打つ京子は客間へと案内すると、京子が伴っている事に反応した結界が万里亜をつつがなく受け入れた事を肌で感じる。
どうやら万里亜の来訪は蓮に届いているらしい。

「万里亜さまは霊感をお持ちでいらっしゃいますか?」

只人ならば結界内に入ったからといえ空気が澄んだ事など気が付かないだろう。
そんな些細な変化にも気付いたという事はよほど鋭い人間であるか、妖の類であるかであり。
だからこそ、万里亜が霊感を持ち合わせている可能性が高いという考えに行き着いた訳だ。

「小さな頃から私の目に映るモノたちは、侍女たちには見えていませんでしたから、それが霊感だと言うのなら、私には霊感が有るのかもしれませんわね」

「なるほど……」

確かめた事はありませんからよく分かりませんけれどと言う万里亜に、京子は万里亜は生まれ持っての霊力がある人間なのだろうと内心で結論づける。

「晴明さまは物忌み中ですから、まずは扉の外からお話して頂けるかを聞いてまいりますので」

京子――夏彦がそう口にして客間へ案内した万里亜を残し、蓮がいるだろう物置へ向かおうと廊下へ足を向けたその時だ。

「あ、京子ちゃん。おかえりーっ」

「社さん?お帰りだったんですね。お疲れ様です」

陰陽寮にいるとばかりに思っていた社がすでに帰宅しており、京子に声をかけた。

「蓮から聞いたよ。お客様だって?」

さすがは青龍。晴明に連なる神将らしく、閉じこもっているはずの蓮から状況のテレパシーを受けてやってきたらしい。
ちなみに。結界内にやってきた客人の気配を悟り、社に連絡を入れるという離れ業をやってのけた蓮の力に最初の頃の京子ならば驚いただろうが、蓮と暮らし始めてしばらくした今、このくらいの事では動じない精神が身についている。

「あ、はい。晴明さまのお力をお借りしたいとおっしゃる、万里亜さまです。蓮さまとお話出来ますでしょうか?」

「うーん。それがちょっと今、蓮のやつ手が塞がってて動けないんだよね」

「え?」

実は以前、蓮が物忌みをした事があったのだが、その時には京子は扉越しに会話をしたので、今回も大丈夫だろうと思っての確認が、あっさりと却下され面を食らった。

「実は今、蓮のやつは異界にいてね」

「異界?」

「残りの十神将を仕上げている所なんだ」

「えええ!?」

京子がすっとんきょうな声を上げるのも無理はない。

今、蓮の元にいる神将は二人。青龍の社に朱雀の奏江だ。
陰陽の関係を考えるなら、二人という偶数はバランスが取れていると言えなくも無く、二人そろって人型を取り、陰陽寮やら内裏で働いていたりするので失念していたが、自然界の摂理を思えば、干支は12。それにならい時刻も12。占盤にも方位が12あるように、本来、神将も12人いてしかるべきはずなのだ。

「これまで面倒だからって俺達二人でごまかして、増やす事はストップしてたんだけど、やっぱり揃えないと氣に乱れが生じちゃうからって、蓮のヤツ。やっと腰を上げたんだよね」

朝にはそんな事言っていなかったのにと京子が驚くと、社がごめんねと詫びる。

「ちょーっと、飲まず食わずになっちゃうから、京子ちゃんには言えなかったみたいでさ」

「飲まず食わず!!?」

聞き捨てならない単語に京子が目を釣り上げる勢いで反応し、社が「ああっ、ほらっ、やっぱりこういう反応になるからっ」と大慌てに主人のやらかした事実を全力でフォローをする。これぞまさしく神将の鏡である。

「それって、差し入れは出来ないんですか!?」

「それが……うん。ごめんね……詠唱の中断は出来ないから食べられないと思うんだ」

心配する京子に社も申し訳なさそうに口にし、詠唱中の術者の邪魔をしてはいけない事はさすがに心得ている京子が言葉を飲み込んだ。

「その万里亜ちゃんって子には悪いんだけど……。俺も一緒に謝るからさ、そんなしょげた顔しないでっ」

「う……むしろすみません。私が勝手にお連れしたので……」

「いや、京子ちゃんが本能的に大丈夫って思って連れて来たなら大丈夫だと思うよ?俺だって京子ちゃんの立場なら同じ事をしたかもしれない」

自分の一存で万里亜をここまで連れて来たけれど、もう少しやりようがあったのかもしれないとしょげる京子に、社はそうではないと笑ってみせる。

「さ、お客様をあまりお待たせしてはいけないよね」

「はい」

しかし、さて万里亜にどう詫びたものかと頭を悩ませながら、京子は客間へと戻っていったのである。




――――――――――――――



「晴明さまはお留守……ですか」

「申し訳ありません」

深々と頭を下げて詫びる京子――夏彦に、万里亜はそうですかと短く答え、それ以上は何も言わなかった。
可愛らしい顔に浮かぶ落胆の色が京子の心をチクリと痛める

「主からの言付けですが」

「なんでしょうか?」

口を挟んできた社に向き直り、万里亜は目を瞬いた。

「主自身がお力添え出来るのは少し先の事になりますが、それまでこの夏彦をお側に置いて頂ければ、主に情報が通じます。よろしければ仔細をお聞かせ願えませんか?」

それはつまり、蓮が戻るまで京子に調べさせますがという事なのだが。

「それは……」

「万里亜さま?」

万里亜の逡巡の様子に、京子はやはり安倍晴明を訪ねてきたのだから、自分などには踏み入れてはならなかった機微があるのだろうかと受け止めたのだが。

「仔細をお話しすることはやぶさかではありませんが」

「はい」

「夏彦さまをお側にという事は難しいですわ」

「難しい……ですか?」

詳細は話せるが、側にいられる事は困るという体の万里亜に、社も不思議そうな顔をした。

「私の家は女官しかおりませんので、晴明さまの児童とは言え、殿方を連れ帰るのは……その」

言い辛そうに言葉を選ぶ万里亜に、京子と社ははてと聞き入る。家人に一人も男がいないというのはいささか不可思議だ。男手がないと不便な事もあるだろうし、警備の上でも不用心ではなかろうか。

「私は家の者には内密にこちらへ伺っておりますから」

「内密……ですか」

そう言われれば、見るからに姫君の万里亜が共の一人も付けずにここに居る事に納得は出来るが、やはり根本的な話しが読めずに中途半端な相槌しか返せない二人に向かい、万里亜は幾分か思い悩んだ末に、「やっぱりこのお話は無かった事にして頂いて結構です、帰ります」と勢い良く立ち上がり、踵を返した。

「え?万里亜さま!?」

「ちょっ、ちょっと待って!!」

突然ぱたぱたと走り去る万里亜を京子が、そして一拍遅れて社が追う。

一体万里亜は何を悩んでいるのか。分からない事だらけではあったが、京子は本能的に彼女をこのまま帰してはいけない気がする。そう感じていた。

屋敷の外へ出た京子は、社と二手に別れて万里亜を探しに向かう。
京子より大分小さく、着物を着ていたというのに随分と足が早い。京子は万里亜の気配を探る為に、必死に耳を澄ませた。

そしてそんな折り、塀の向こうから万里亜の悲鳴が聞こえた――。

「きゃああああっ」

「万里亜さま!!?」

地面を蹴り、土壁に沿った曲がり角を曲がる。
すると目の前には万里亜が焦げ茶色の野犬にのしかかられている光景が広がっており京子は息を飲んだ。

「……っ」

犬が怖いのは京子の本性が狐の妖であるから故で、本能に刷り込まれた恐怖は抗いようがない。

「グルルルル」

けれど、低く唸る野犬に組み敷かれている万里亜を助けなければという衝動の方がより勝った京子の身体は理屈よりも先に動いていた。

パンっと両手で大きく音を鳴らせば擬態が瞬時に解除され、女体に戻った京子の頭にあるのは半妖体である証しの狐の耳に、妖力の強さを示す三本の尻尾。
尾が増えるほどに力は強く、つまりは尾が三本しかない京子の力は決して強くはない。この姿でなければ妖力が使えないのだから。

「万里亜ちゃんをっ、離すのよ!」

もう一度柏手を鳴らすと京子の周囲にぽぽぽぽと青白い狐火が幾多に浮かぶ。

「行けっ」

二本に揃えられた指先が野犬を示せば狐火は勢い良く飛跳ねた。

「キャインキャインキャイン」

襲い来る狐火が激しく顔にぶつかった事で犬が飛び退ると同時に京子は万里亜の元へ走る。
守らなければ、その想いだけに駆られた京子は再び襲いくるだろう野犬から万里亜を守るように小さな身体の上に覆い被さった。

「夏彦さま!!?」

京子の意図を察した万里亜が悲痛な叫びを上げる。
地を蹴り上げる野犬の気配に京子は覚悟を決めてギュウと目蓋を閉じ、万里亜は目を見開いた。

「駄目っ、逃げて下さいませっ」



身体を固くする二人だったが、次に襲って来るだろう衝撃がいつまで経ってもやって来ない事に気付き、そろそろと辺りを伺うように顔を上げた。

「…………助かった……のですか……?」

なぜだか感じる冷気に、身体の強張りが解けない万里亜は京子の袂を握り締めたまま、その身を起こす。
すると、

「大丈夫!?二人共!!」

「社さん」

続いてかけられた社の声が駆け寄って来ている事で、社が助けてくれたのだと気付いた万里亜は、そこでようやく周囲の事態を飲み込んだ。

自分と京子のいる場所以外、辺りは一面氷の輝きを放っているのだ。

「……なんですの?……これ……」

それは社の青龍としての力、つまりは青龍の凍った炎なのだが、社が神将である事を知らない万里亜からすれば、奇跡を見ているとしか思えない。

「あ……、あの、万里亜ちゃん……万里亜ちゃぁぁんっ」

可哀想なほどうろたえた京子の声にようやく意識を取り戻した万里亜は、自分の右手が起こした事態に真っ赤になって恥じ入る。

キツく京子の袂を握り締めた為に、京子の着物は力いっぱい乱れ、万里亜の目の前には、京子の柔らかい膨らみが二つ。哀れに晒されており、社は必死に背中を向けて「蓮、見てない、俺は何も見てないからなっ!」と空に向かって弁解をするという謎な光景が広がっていたのだった。











社さんは、無罪です。←
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