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SS・白銀の狐11
めっきり寒いでございますね、こんばんは^^
気がつけば10月がもうあと一週間を切っている・・・だと!!  ・・・衝撃です。

拍手レスもやりたいなぁと思っているんですが、どうも、腰痛で死にかけているのでパソコンに向かえませんですぜ。・・・積みゲー消化によろしくない姿勢で椅子に座りすぎました。←あほか。むしろ消化したあげくにたぎりすぎてフルコンプしてるゲームをもっかいやりなおしてたとか、もうほんとどんだけ廃人。
どうしてこうなった!!クワッ!四季路ボイスがイケメンすぎる罪!!
関係ないけどスキビゲームもういっかい出ないかなぁ。いや、二期アニメでも、CDでもOVAでもいいんだけど。こんどは蓮でキョーコを落とすゲームをぜひ←









白銀の狐 11





――リン、リン、リン、リン

鈴の音だけが響く荒野にも似た空間が無限に広がっている。

そこは人の住む世界でなければ、強力な妖怪の多くが根城とする黄泉の国へも続いてはいない。

異界と呼ばれるこの世界は、かつて、神が気紛れに作り、忘れ去られていた空間で容易に立ち入る事は出来ないのだが、今、この異界には、珍しい事に人間が一人訪れている。
白と黒の二色で織りなされる陰陽師の正装衣を身に纏われているが、烏帽子などはなく、艶のある黒髪から整った面が覗く。
彼、安倍晴明こと蓮の真剣な眼差しの先には彼が持参した朴占の用具がいくつか置かれていた。
一つの棒の先には赤い紐と房のついた鈴が釣られており、蓮が唱えている呪文に呼応するようにリンリンと振り子のように揺れている。
普段ならば風一つ吹かない無音の空間に、まだ小さくはあるが、胎動のように脈打つ空気の波紋が広がりつつあった。



『蓮。とにかくこっちはこっちで調べを進めてみるよ。俺は姿隠しの術で警護に回るから、京子ちゃんたちの事は安心してくれていい』

(分かりました。くれぐれも怪我のないように)

呪文を途絶えさせる事なくひたすらに詠唱しながら、蓮は思念波で社と通信を行っている。

『しかし。あんなに面倒くさがって今まで式神を増やさなかったのに、京子ちゃんの一言でコロっと変わるんだもん。びっくりしたよ』

(社さん。俺でからかって遊びたいなら後にしてもらえますか?一応、最難度の術式の最中ですから)

『あっ、いやいや。邪魔するつもりはなかったんだ、ごめん。悪かったよ。……で……、あとどのくらいかかりそうだ?』

(十神将ですからね……順調にいっても10日はかかってしまうかと)

蓮の目の前にあるのは占いによく使われる占盤といい、12の方位を示す干支の名前と共に、12神将を指す漢字が円の上にぐるりと並ぶ。
神将の名の中で、青龍と朱雀を除き、それぞれの名前の上には透明のビー玉のような小さな10個の球体が置かれており、蓮はそれらをじっと見つめながら答えた。
これがもっと大きく育てば淡い光を纏うのだ。そして自然と人の姿を取り、十分な力を蓄えれば卵の殻を割るように彼らは生まれる。

『そんなに長い間飲まず食わずで術を使ってたら普通の人間は死んじまうと思うんだが。蓮ってやっぱり人外じゃないのか?』

(そこは異界の七不思議ですよ。あいにくと俺は人より霊力が多少強いだけの人間です)

『いや。お前の霊力は多少どころじゃないだろ……って……ちょっと待て!七不思議って事はあと六つは何なんだ!!?』

(冗談ですよ。ここにいると身体の中を霊力が循環してますからね。結構平気なんです)

社や奏江が生まれた場所もこの異界なので、言うならば生まれ故郷に自分が知らない不思議があるのかと驚く社だったのだが、蓮は社をからかえた事で満足げにクスリと人の悪い笑みを零した。

『疲れてるな、お前』

(いえいえ、大丈夫ですよ。まだ始めたばかりですしね)

少しばかりからかうつもりが、逆に自分が遊ばれてしまったと憮然としながらも、創造主に対する気遣いは見せる社なのだが、そんな社に向かい、まだ余裕があるとばかりに笑ってみせる蓮の様子に、社は安堵をしながらお返しとばかりに小さく笑い明るく言った。

『そっかそっか。だけどさ。帰ってきたらお前。京子ちゃんからのお小言の一つや二つ。覚悟しとけよ?』

心配してたんだぞと社が続けるのだが。

(そうですね。戻ったら寝台の中で彼女の気が済むまでいくらでも怒られますよ)

『おまっ、ばっ、何をっ!!』

軽口は早々にいなされ、蓮の返答に盛大に動揺をした社は二の句を継げず、顔を合わせずとも社が真っ赤であろう事を見通した蓮は、目尻をわずかに緩めて声に出さずに笑う。

(社さんこそ、何を想像してるんです?……覗かないで下さいね?)

『のぞぉ!!いつもいつもこれ見よがしに超特大の防音結界張って寝てるヤツが何言ってんだバカ!!』

(あ……。切れてしまった)

ブツンと勢いよく切られた通信に、この様子ならばまだ向こうは大丈夫らしいなと蓮は状況を推察した。

(万里亜姫が動いた……か……)

自分が異界に閉じこもっている以上、今回、鍵になるのは京子だ。

(彼女なら、大丈夫だろう……)

こうと決めたらやり遂げる精神力の強さを知っている以上、京子ならばきっと大丈夫だという信頼も湧く。

(こちらのこれも彼女の願い事だからな……)

京子に言われた雨を降らせて欲しいという願いは、言うならば陰陽師、安倍晴明でもある蓮の身を心配するからの言葉だ。
ともすればそんな可愛い気持ちに応えようと思うのは自然な事であり、叶える為には、雨、すなわち水を操る力が必要で、その為だけに蓮は今、力を求めている。

(……力が欲しいだなんて思うのは、久しぶりだな……)

蓮は静かな世界の中、唄うように詠唱を続けた。



――――――――――――――




「ここが内裏……なんか、すっごくいっぱい居ますね……」

貴族たちが闊歩している国の中心地であり、帝のおわす場所でもある宮廷は、京子が頻繁に訪れていた陰陽寮の結界に守られた清廉な空気とは180度違い、驚く程の小鬼、雑鬼、生き霊、地縛霊といった妖の巣窟と言えた。

「そうだねぇ。ここには色んな人間の思念が渦巻いているから、ああいうのにとっては居心地が良いんだよ。時刻も夕刻だから、連中が元気になる頃合いだしね」

「宮の方へ抜ければ数は減るのですが、確かにここは多いですわね。近寄ってくる気配はありませんから、先へ参りましょうか」

網傘をかぶった万里亜と京子、それに社が付き従う形で続いている。
小さな雑鬼たちは丸くぽっかりと穴があいたような瞳で三人を見つめていたが、社の神力に怯んでいるらしく、三人に近づいてくるような事は無かった。

次に万里亜は、あちらから宮への抜け道に入りますと建物の塀の隙間を指差すと、それは子供である万里亜だからこそ通れたのだろう広さしかなく、京子が通るのもやっとのように思われ、あまりの狭さに社はギョッとすると、降参とばかりに早々に両手を上げる。

「これは……俺には無理かな。別ルートを探すよ」

ちらりと屋根の上を見上げた事で社が能力を使って移動しようとしている事を悟った京子は分かりましたと頷き返す。

「では、私と万里亜ちゃんはここから中に入りますので」

「うん、二人共気を付けてね」

「はい、行ってまいります。社さまもお気をつけて」

二人分の網傘を万里亜が持ち、横歩きでそっと二人は建物の隙間を縫うように進む。
すると、道を逸れた事により、暗くなってしまった視界に京子が「ちょっと待ってね」とオレンジの狐火をひとつ灯した。

「温度は調整出来るから、燃えたりしないから、平気よ?」

心配そうに京子を振り返った万里亜にそう笑い返すと、「便利な力ですのね」と万里亜が感嘆の声を上げる。
万里亜の先導でジリジリと壁伝いに進んでいくと、突き当たった生け垣の切れ目に小さな穴があり、潜り抜けるとどうやら内裏とは別の建物の敷地内にたどり着いたらしいと京子は辺りを見渡した。

「ここからは帝がお住まいの宮になりますわ」

「ええ!?帝が!!?」

最高権力者の住む宮にこんなに容易く侵入出来てしまっても良いのかと驚く京子に、万里亜がクスリと笑った。

「先ほどの道は皇族の人間に伝わる、万一の場合の脱出口の一つなのです」

今の場所は基本的には女子供の為の物ですが、帝に仕える忍も使うようですわねと言いながら万里亜が脇にあった石を押して生け垣の穴をふさぐ。

「帝の宮の隣に建つのが東宮御所。そのさらに隣に私の秋桜宮があります」

「なるほど」

「宮の間に門番はいますけれど、抜け道もいくつかあります。こちらですわ」

「抜け道って結構いっぱいあるのね」

誰にも見つからないようにと辺りを伺いながら二人は壁伝いに庭を歩いていく。

すると、どうやら近くの部屋にいるらしい誰かの話し声が漏れ聞こえてきたので二人は反射的に足を止めると、京子は狐火を消し、万里亜と並んで木の影に身を寄せて気配を消した。

「絽織帝。今日こそは御真意をお聞かせ頂きたい」

「なんだ上杉。人払いまでして、ちっとは落ち着いたらどうだ?」

耳に届いた会話はどうやら帝と上杉という人物のものらしい。
御簾が下りている為に姿は見えないが、声はどちらも年配の男のものだ。

「(――上杉……)」

万里亜が少し考え込む仕草をし、ああと思い出したようにひそひそと京子に耳打つ。

「(上杉虎徹という右大臣がおじいさまの所へ来ているのですわ)」

「(なるほど)」

「(右大臣家の姫君、生羽目の宮様が私のお父様の弟君に嫁いでいますので、私にとっては縁戚という事になります。先帝の時代から長く大臣を勤めておられますので、おじいさまの信頼も厚い方なのですわ)」

「(そうなのね……。えっと、どうしよう、見つからずにこっそり移動出来そう?)」

「(今は少しお待ちになって下さい)」

見つかれば万里亜が怒られるだろう事は分かりきっている上、今の京子は不法侵入者として捕まりかねない。
じっと息を詰めた二人は、見つからないようにやり過ごしてから移動する事を選んだのだが、老人の声は鋭さを増しており、落ち着く様子は伺えない。

「これが落ち着いておられますかっ!……この日照り続きに民は苦しんでおりまする。今はまだ昨年の蓄えで堪える事が出来ておりますが、このままでは作物が不作になる事は必定。水は干上がり、餓死者が山となるでしょう」

「かもしれねぇなあ……」

あくまでのんびりと返す帝に右大臣が苛立ったように声をあららげた。

「落ち着いている場合では御座いませぬ!このままでは帝の御威光を疑われかねませんぞ」

「つってもなあ。俺には雨は降らせんし。陰陽寮にはもう依頼してるしなぁ」

帝は軽く笑うと近いうちに回復するだろうさと言い放った。
そこには陰陽寮への信頼が垣間見える。

けれど。

「その陰陽寮。どこまで信用できるのですかな?」

右大臣には納得がいかなかったらしく、訝しむ声色が響く。

「んあ?」

「聞けば、雨乞いの儀は日程すら定かではなく、ましてや、この一大事を陰陽頭や博士ではなく一天文生に任せているというではありませんか!おまけにその学徒は物忌みで欠勤しているという報告すらございまするぞ。これは、国の大事を陰陽寮が軽んじているという何よりの証拠です!」

京子の心臓がドキリと跳ねた。
右大臣の指す人物こそ、蓮に他ならないからだ。

「おいおい、まあ待てよ。耳が早いな。安倍晴明が物忌みに引っ込んだっつうのは俺もさっき聞いたばかりなんだぜ?」

「帝!そういう問題では御座いませぬ!私はこのまま陰陽寮などに任せておいて良いのかとっ!!」

「あー。それは大丈夫だと思うんだがなぁ?」

「帝っ!!!!」

ヒートアップを続ける右大臣に、どうどう落ち着けとばかりに絽織帝は笑ってみせたが、京子の心臓はやけに早く鼓動を刻む。

「僭越ながら、私は他にも力のある者を召しかかえるべきだと思います」

「他?誰か宛でもあんのか?」

「我が家にも召しかかえております呪術使いがございます」

「それで?」

「芦屋道満。彼ならばすぐにでも雨を降らせる事がかないましょう」

「うますぎる話しだが、確かか?」

「勿論。帝の御前にお目通りする事をお許し頂きたいのですが」

「ふーん。なるほどなぁ。ま、会うくらいならいいだろ。日取りは追って連絡をしよう」

「ありがたき幸せ。では私はこれにて御前を失礼致します」

右大臣が退室する足音が響き、京子はそっと万里亜に問いかけてみる事にした。

「万里亜ちゃん。お父様の事、本当にお忘れなのかおじいさまに聞きに行ってみる?」

今ならば帝にすんなり会えるかもしれないと思ったのだ。

「駄目……です……」

「え?」

蒼白になった万里亜がズルズルと地面にへたり込んだ。

「……芦屋道満という名前は……」

「万里亜ちゃん?」

「お父様が、いなくなる前の夜……訪ねてきた術者ですわ……」

「……え?……」

渦巻く闇に飲み込まれるように、見え隠れする陰謀が口を広げて襲いかかろうとしていた。




――――――――――――――


上杉邸のある一室。
雨戸という雨戸の全てが締め切られた部屋の中、ゆるく髪を結わえた男が乱暴に入り口を開け放ち、室内へと足を踏み入れた。

「道満。おい、道満……レイノ!起きろよっ、いつまで寝てるつもりだ」

「……弥勒……か」

布団を引き剥がされた事に不快感を滲ませながら、ひょろりとした薄い体ながら、どこか恐ろしく容姿端麗な男がのっそりと起き上った。

「上杉のじいさんが呼んでるぞ」

「…………面倒だな。お前が代わりに……」

「どこの世界に式神に代打させるやつがいるんだよ。さっさと支度しろ」

ぼんやりとした表情を見せる男をほらほらと急かし、弥勒は主の支度を整えにかかった。
力づくで着替えをさせる弥勒は慣れた手つきで、レイノもされるがままだ。

「お前が興味出してた安倍晴明の話に進展があったらしいぜ」

「……ほう」

弥勒の言葉でレイノは口角を上げ、瞳に輝きが宿る。それはまるで、新しいおもちゃを見つけた子供のようでもあり、そんな主の反応に、弥勒もそっとほくそ笑んだのだった。









忙しい設定の話でなんか申し訳なくなってきたヨorz
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