スキップ/ビート二次創作のブログ。 二次創作に理解の無い方の閲覧はご遠慮下さい。初訪問の方ははじめまして記事を御一読ください

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

SS・白銀の狐14
寒すぎませんかこんばんは。
風邪はひいてないけど毛布と親友を通り越して結婚した勢いで引きこもっています惣也です。

一年も残すところあとちょっとという日程に恐れおののきながら、せこせこ新刊執筆しておりますです。
漫画は恐ろしいほど遅筆というか、下手なので、思考錯誤の連続すぎるのですが、文字には出来ない物は漫画にするしかないと思うので、今ある荒ぶったこの魂をたたき込んでおりますですよ。

さてさて、ハタと気付くと、もうすぐ一大イベントですね!
なーにーしーよーうーかーなーっ。
まだ何にもネタはないし、ノープランなんだけれども、何かあると思うのでがんばろう。うんうん^^

拍手ぽちりや拍手欄コメント、コメント欄へのコメント、また、パスワード請求、通販到着&感想とみなさまいつもありがとうございます^^
最近はどうやらツイッターやらあめばのなうやらも見て頂いてる方がいらっしゃるようで、大した事は叫んでないんだけれども奇声をあげてる私にお付き合い本当ありがとうございます><

でもって、白銀の狐はそろそろいい加減佳境に入ってるので、きっちりしっかり着地できるように頑張ります!







白銀の狐 14






蓮が紡ぐ呪文に呼応し、淡く小さい光であった煌めきが少しずつ大きくなろうとしていた。

どくん、どくんと脈打つ十個の玉は、始まりこそ雀の卵にも似た大きさだったが、すでに両手でなければ掴めないほどに大きく、そして無色透明からそれぞれの色を手にしようとしている。

順調に育つそれらを見つめながら蓮はいつになく物憂げな表情を浮かべた。
彼らを誕生させると覚悟を決めてこの場にいるものの、実のところまだ僅かに捨てきれない躊躇いが残っていたからだ。

そもそも、陰陽などの力のバランスを考えるならば、十二神将は全員生み出しておかねばならなかったところを、ここまで保留し続けていた理由は蓮の心の内にある『しこり』のようなものなのだが、それは有能な晴明をもってしてもどうにもならない。むしろ安倍晴明として生きる蓮だからこそ抱える事になった悩みとも言える。

(とはいえ、今更か……)

呪文を唱えながら、何度となく押し寄せているさざ波のような感傷を、やりすごすように目蓋を伏せて見ないふりをした。
すると刹那、蓮の声以外には静かだった異界に、激しい熱風が巻き起こり、風をはらんだ布地はバサバサと音をたてて地面の上をたなびく。

(これは……琴南さんか)

覚えのある波動におやと驚いていると、続けて大音量での思念波に襲われる。

『一体どういう事ですか!あの子が来るかもしれないだなんて聞いてません!!』

(彼女が東宮御所へ?それは、想像以上に早いな)

社から京子が万里亜と出会い、秋桜の宮へと向かった時点で、いずれは京子が東宮御所へたどり着くと分かってはいたが、まだ数日かかるだろうと見ていた。
自分の先読みが久方ぶりに外れた事に内心で驚きは隠せない。。

(やはり彼女だけは読めない。特別だな……)

先を見通す目が鋭すぎる為、普段から人の遥か先をいく事が多い蓮だが、京子の事に限ってはうまくいかない。
それこそが蓮にとって京子が特別である証でもあり、不可欠の理由なのだ。

『おかげで危うく術が破られそうになりましたので、仕方なく追い払う態度を取りました。これであの子に嫌われたらどう責任取って下さるんです?』

第一声は激情のままに怒鳴り込んだ奏江だが、蓮の思念を感じ取ってしまった奏江は、冷静さを取り戻し、二声目は多少の嫌みに留めて通信を続ける。

(事情を説明すれば、彼女が君を嫌う訳もないだろう?)

それに、社さんもついている、だから心配はないだろうと答えると、奏江は呆れたようにため息をついてから問いかけた。

『なんで最初に説明しておかないんですか?!』

(厳しいところを突くね)

『貴方は分かり易いようで分かり難いですから。安倍晴明。私はこれでも一応心配してるんですけれど?』

(そう?ごめんね)

『そんなにご自分の力がお嫌いですか?』

蓮が現在、東宮御所を起点としてある術を発動させている事については奏江しか知らされていない事で、蓮がそれを京子に悟られないようにしていた事は奏江も気付いていた。
奏江の言葉に蓮は何も答えず、その沈黙こそが肯定だと受け取った奏江は今度は至極真面目に呟く。

『貴方が人間として生きる事を第一に望んでいる事は分かっています。私や社さんに自我……個性をふんだんにつけた意味も理解しているつもりです。でも、だからこそ私たちは貴方を主に生まれる事を選んだんですよ?晴明』

(……俺の方から君たちを無責任に放り出すつもりはないさ)

社も奏江も独立した個体であるからこそ、安倍晴明が主の器では無いと判断した時には自ら契約を解除し、去る事が出来る。
それは、安倍晴明が式神の主たるに相応しくなくなる日が来るかもしれないという考えからの保険なのだが、そんな蓮の深慮を知る神将はまだ二人しかいない。

『俺の方から、と言う事は私たちに見限られる事はやむなしという覚悟をお持ちという事でしょう?』

(否定はしない)

あっさりと認めた蓮に奏江は心底呆れたように大袈裟な溜息を吐き出した。もちろん、蓮に聞こえるようにというのが目的だ。

『そういうところは気に入らないと何度も言っているのに、貴方も覚えて下さらない方ですね。そもそも、あの子だって妖の端くれです。貴方の力が大きかろうと小さかろうと、さほど気にしないと思いますけど』

(そうかもね。それでも、自分の番が化け物なのは、嫌になる日が来るかもしれない)

蓮の中にはいつか、京子の伴侶に相応しくないと言われるかもしれないという恐れがある。
だから、自分がしている事を京子には言えないと蓮は苦く笑う。

『晴明……』

(嫌わられるくらいなら、嘘を吐く方が遥かにマシだからね)

ろくに説明もなく置いてきた事を怒っているかもしれない。心配しているかもしれない。
それでも、蓮は自分がこれ以外の道を選べないのだから仕方がないと呟いた。

『……でしたら。私は今の生活が気に入っていますから、頑張って維持して下さいね。あの子ごと』

とうとう晴明を言いくるめる事を諦めた奏江は、今の彼女がかけられる精一杯のエールを送った。
諦めたのは、自分の言葉では蓮の不安を拭うのに足りないのだと分かってしまったからだ。

(ああ……分かっているよ。飛鷹君によろしく)

『了解です』

巻き込んでしまった少年には申し訳ないが、もうしばらくは彼に東宮でいてもらう事で無用な混乱を避けなければならない。

(もう少し。もう少しで力が手に入る……)

奏江との交信を終え、目の前の式神の卵へと意識を集中させようとしたその時だった。

『蓮っ!大変だっ!!』

社の声が蓮の元へと届いた。



――――――――――――――




不破松太郎が二本に揃えた指で九字を切ると、その指先から白い雷撃がバチリと音を立て、レイノへ向かって大気を切り裂いた。

「……物騒だな」

レイノも自らの懐から数珠を取り出し、松太郎の攻撃の軌道を歪める事で稲妻をかわす。

「ちっ、外したか」

(詠唱破棄……性格は二人とも最低だけど、霊力はとんでもないわ)

間にいる京子は二人の男を交互に見つめ、冷や汗を流した。
レイノは道具を使っているとはいえ、強い力を持っている事は今の防戦でさえ分かってしまい、そして最もな問題は松太郎だ。もはや一般的な陰陽師の力とは比べ物にならないほどに強い。

松太郎に向かいレイノが懐から取り出した房のついた小刀を連続して投げるが、柱にタンタンタンと刺さるだけで、松太郎には当たらない。
自分の攻撃が見事によけられた事に目をすがめながらレイノが問いかける。

「どうやって力を手に入れたかは知らんが、それは妖の力だ。きちんと手懐けられたか?」

「ああ。相性が良くてな。お互いに力が増幅出来るんだよ。心配すんな」

利用されているんじゃないのかとレイノがうそぶけば、松太郎は助け合いってやつだと笑う。

「ここを見つけたのは俺が先だ。今回は手を引いてもらおう」

新たな小刀を取り出したレイノが松太郎を追い払うべく再び投擲の構えを見せた。

「残念ながら、俺も雨を降らせる手柄が欲しいんだよ。道満、お前が消えろ」

緊迫した睨み合いが続き、男達の睨み合いを京子が伺い見る。
戸口に松太郎がいる以上、この狭い境内の中では逃げ道もない。彼らに巻き込まれないように上手く立ち回らねばと出来るだけと壁に背をつけて小さくなった。

(こいつらがやり合っている隙を突けば逃げられるかもっ)

松太郎が扉からわずかにずれた事で、一か八か、一気に駆け抜けようかと視線だけで戸口を伺う。

「京子。逃げられると思うなよ」

「あっ!」

間髪入れずにレイノの小刀が京子の動きを縫い止めるように足元にビイインと突き刺さった。
ビクリとひるんだ京子を横目に、対峙する男たちはジリジリと間合いを取りながら次の術を発動させる瞬間を計り合っている。

「女を気にするなんざ、ずいぶんと余裕だな」

「ふん。お前ごとき片手で十分」

「やってみろよ。芦屋道満。――いや」

そうして松太郎がニヤリと笑い、レイノが怪訝な表情を浮かべた。

「レイノ、だったな」

「なっ!!!?」

瞬間、レイノの足元に黒い円が浮かび上がり、そこからぬうっと伸びた漆黒の手がレイノの下半身にまるで蔦のようにまとわりついた。
レイノが持っていた小刀が音を立てて床に落ち、レイノの唇から圧迫による苦悶の声が小さく零れると松太郎は勝利の笑みでレイノを見やる。

「女を口説く為とはいえ、真名は簡単に名乗るもんじゃないぜ?」

「きさまっ!」

身動きが取れなくなったレイノに向かい、松太郎の指が九字を切り雷の閃光と爆音が社の中で響き渡った。




――――――――――――――




視界を真っ白に染める閃光に、思わず目を固く閉じ、身を竦ませた京子だったが、次に目蓋を持ち上げれば、目の前に倒れている筈のレイノは見当たらず、白煙が未だ立ち込める室内を見渡した。

(まさか、直撃で木っ端微塵……じゃないわよね)

恐ろしい想像に思わず小さな身震いがこみ上げる。

「チッ。式神使って逃げたか」

松太郎の言葉で自分の想像が杞憂だった事に京子はほっと息を吐いた。

(弥勒って人が来たのかしら。という事は社さんは無事……?)

「で、これが元凶か……なるほどねぇ」

ザッザっと棺に歩み寄った松太郎が、しげしげと中に眠る東宮を見下ろしている。

(今なら逃げられるわね)

松太郎は京子に背を向けているのだから、ここは一度逃げるべきだと本能が訴えており、京子はそっと後方の戸口に向かい後ずさった。

「で?面白い話ししてたじゃねぇか。これが本当の東宮……なんだって?」

「っ!!」

ゆっくりと振り返った松太郎と目が合った瞬間、京子の身体は固く強張り、駆け出そうとしていた足が動かせなくなった。

(これ……は……)

陰陽寮で初めて松太郎と相対した時と同じ現象である事はすぐに気付いた。

(蓮さまがもう大丈夫だって言ったのに!)

松太郎からの威圧により、本能的に怯み、動けなくなった京子の元へと松太郎は悠々と歩み寄り、へぇ、化けるもんだなと呟く。

「いや、陰陽寮で会った時のが化けてたか」

フフンと笑う様子に、夏彦が京子であるとバレている事を悟る。

「んで?お前をどうすればコレが解けるんだって?」

完全に勝利を確信しているのだろう。ニヤニヤと笑いながら松太郎は透明の棺の上に遠慮もせずにどっかりと腰かけた。

「知ら……ないわよ」

レイノが自分をどうしようとしていたか等、おぞましいと考える事もできない。

「へぇ……」

吐き捨てるように知らないと言い張る京子を楽しそうに見上げる松太郎は、棺から立ち上がるとスッと二本の指を揃えた手を上げる。

「――縛っ!」

「きゃっ!!」

一文字の言霊だけで松太郎は社の片隅に落ちていた荒縄を操ると、京子を後手に結んでしまい、突然自由を奪われた京子は反動で前のめりに倒れ込んだ。

「ま。晴明の野郎の術は今からのんびり解いてやるさ。芦屋道満の言う方法をそのままパクるなんて俺のプライドに障る」

「だったら、私に用はないでしょ、離しなさいよ!」

顔を上げ、気丈に声を張る京子を松太郎はふんと見下ろして言った。

「俺はさっきの男と違って、晴明の穴兄弟になるつもりは毛頭無い。お前には他に用があるんだよ、まだな」

一体何を言うつもりだと見上げる京子に松太郎は続ける。

「安倍晴明の真名。それを教えるのなら逃がしてやってもいいんだぜ?」

「……なんですってっ!?」

松太郎の要求に京子は身を固くした。












レイノが弱すぎた気がしなくもないけど、ある意味公式じゃないかとも思う←

スポンサーサイト

コメントの投稿

 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL

Copyright © 光の箱庭. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。