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SS・臆病者の逃亡記/前編【蓮誕2013】
こにゃにゃちは。お久しぶりです。苔が生えそうな感じです。こんにちは。
全然書けなくなって二週間ちょっと。まさかの蓮誕もVDも音沙汰無しというびっくりをやらかしましたよ。本当びっくり←
とにもかくにも、出来たので全二話でお届けしたいと思いますです^^
二月頭から始めるつもりだったお話なので、時期を外した感もありますが。目を伏せてお願いしますーっ。


パスワードの方はちょこちょこ返しているのですが、一週間以上経過しても返ってきていないそこのあなた。
メールアドレス再チェックでどうぞなのです。←何人か返ってきました。







臆病者の逃亡記 前編






このままだと、敦賀さんを本気で好きになってしまう。


電流のように駆け巡る衝動に振り回されて、

好きだという感情に捕らわれて、

私はまた、愚か者に戻っていく。
むしろ、過去に覚えた初恋より、さらに激しく溺れてしまう予感がする。

どうしようもなくなってしまう。


敦賀さんを相手に恋をしたところで、私みたいなお子様には報われる可能性が万に一つもない事は誰よりも私自身が一番分かっていて。
想いの行き場を無くして途方に暮れる自分がやけに簡単に想像出来、酷い眩暈を覚える。

芸能人の端くれとして、私自身が忙しい日々を送る中では逃げられる場所もなく。
崖から転がり落ちる事のないようにと――間違っても恋などしていない。しないのだと言い聞かせる毎日が続いていた。

そんな中、ただ一つ幸運だった事は、会わない日が無いくらいに一緒に過ごし続けたヒール兄妹としての時間は、トラジックマーカーのクランクアップと同時に、夢か幻だったのだと思えるほど、跡形もなく消えた。

そもそも、多忙を極める敦賀さんとあれほど一緒に居た日々の方が不自然で、有り得ない日常だったのだから、悲しいなんて、寂しいだなんて思ってはいけない。

このまま遭わなければ、これ以上気持ちは育たない……はずだった。





(どうしよう……)

極力敦賀さんを意識しないように過ごし、偶然に出くわしてしまわないようにと細心の注意を払ってきた努力が実り、今年に入ってからは一度も、――つまりはもう1ヶ月くらいは敦賀さんに会ってはいない。
そういう意味では順調そのものに思えた日々だったのだけれど。1月が終わり、スケジュール帳のページを捲ったとたん、心の中を巨大な暗雲が立ち込めていくのを感じた。

(……今日から2月……かぁ……)

今年も忘れようのない特別な一日が巡ってきたのだと、否応なく気付かされる。

(2月10日……)

去年の誕生日を間違えるというドタバタ劇を思えば、忘れられる訳もない日付。

(でも、敦賀さんのスケジュール分からないし。遭わないままなら……)

去年のプレゼントはさして高価な物ではなかったけれど、しばらくしてから敦賀さんは大切にしているよという一言をくれた。

そんな一言に不覚にも胸を高鳴らせてしまった私がいるという恐ろしい現実。

(遭わないでいられるなら今年はプレゼントを渡さない……なんて……)

「……これって、ちょっと無理がある話しよね……」

演技に詰まる度に散々相談に押しかけた。共演だってした。
仕事の延長とはいえ、同じ部屋で一緒に生活までしていたのだから、きっと事務所の誰よりお世話になっているだろう。
自覚がある分だけ、敦賀さんの誕生日を素知らぬ顔でスルーするというのはどうにも躊躇われた。

「でも会うのは怖いのよね……」

(そもそも、一昨年のクイーンローザ様に続けて、去年だってプレゼントを貰ってしまっている訳だし)

私なんかの選ぶ物では金額的な釣り合いが取れているはずもないのだろうけれど。
だからと言ってなんのお返しもせずにやり過ごす事は心苦しすぎて、やりたくない。

見合うだけのお金がかけられないなら、手作りの物をとも考えなくはないけれど、手作りしてしまうと、自分の魂の欠片を渡してしまうような怖さがあって、出来れば避けたいと思う。

(そうだ……)

「社さんに預けてしまえば良いんじゃないのかな?」

要は、顔を合わせなければ心の平穏を守る事が出来る。

「それだったら……」

順調にお仕事を頂けているお陰でお財布に多少のゆとりは出来ているから、去年の物よりは間違いなく良い品物は買える。
それを敦賀さんに会わないようにしながら手元に渡るように考えれば良い。
敦賀さんのスケジュールを見計らえば預ける事はきっと出来るはずだ。

「うん。なんとかなるかも。よし!そうしよう」

あとは何を贈れば喜んでもらえるか。プレゼントの中身を考えなければならない。
喜んで貰えるに越した事はない。けれど、それを外したとしてもそれなりに、無難なものを。

お店を巡って選ぶような時間はあまり取れないけれど、残されている時間で色々考えてみよう。
これは恋なんて気持ちからじゃない。やらなくてはいけない義務なのよと唱えながら敦賀さんの誕生日についてのあれこれを考える事は、まだ許されるような気がして、どうにか私はほっと息を吐いた。




――――――――――――――




「……さっきから……一体なんですか?社さん」

「え?!!あっ、いやっ!!えっとぉぉ」

物言いたげな視線に溜め息を吐きながら理由を問えば、社さんからは少しばかり大袈裟なリアクションが返ってきた。

「すまん。あー。そのぅだなぁ……」

「はい?」

カリカリと頭を掻いた社さんは何か意を決したように口を開く。

「最近……っていうか今年に入ってからの蓮のコンディションが芳しくないなぁと」

「コンディション……ですか?」

そうは言われても、体調が悪い訳でもないですよと視線で問えば、社さんは体じゃなくてメンタル面かなと苦笑いをした。
普段の直感寄りな主観から面白がっている風でもなく、どこかに確信があるらしい。社さんの瞳は真剣そのものだ。

(観念するしかないか……)

「……顔に出てましたか?」

隠しているつもりだったのだが、ずっと側にいる社さんだからこそ、見抜かれたのかもしれない。
心の奥底に沈めている焦燥や苛立ちを。

「ふとした時の表情がな。ちょっと……いや、びっくりするくらい怖いんだよ」

プロにあるまじき公私混同なのかもしれないが、確かにここ最近の俺にはモヤモヤとした感情が渦巻いていて、表に出さないように気をつける日々が続いていた。


「やっぱりキョーコちゃんに会えてないからかなぁ」

「それは……」

歯切れが悪くなってしまったのは、図星だとしか言いようがないからだ。


「……ひょっとして、俺、……避けられているんでしょうか」

「え?キョーコちゃんに?」

そんなまさかと軽く笑いながら否定する社さんだったが、黙りこくった俺の反応から、一気に表情は真面目な物へと変わる。

「確かに広い業界ですけど、社さんのお陰でニアミス出来そうなタイミングはいくつかあったでしょう?」

「そりゃあ、まあ」

「どれもことごとく一歩の差で会えないとなれば、彼女が避けているのかな……と」

ついさっきまでここに居たのにというセリフを何度聞いた事か。

「確かにそう取れなくもない……か……」

ええと短く返せば社さんがふむとなにやらを考え込む仕草を見せた。

「お前、避けられる理由に心当たりは?」

何かしたの?と目で問いかけてくる社さんに、俺が教えて欲しいくらいだと肩をすくめて見せる。

「ありません」

「そか」

やれやれ困ったねぇと社さんが呟く。

「追いかけるにも、敦賀蓮の顔が邪魔……って?」

「少し……」

どこであろうと敦賀蓮としてのイメージを守らなければならないというのは、思いの他、足枷になっているのは否めない事実だ。

「なりふり構わずに追わせてやりたいとこだけど」

「いえ、大丈夫です。ちゃんと守ります」

社さんがどれだけ便宜を計ってくれているかは誰より俺が一番知っている事で、それ以上を望んではいけない。
敦賀蓮という商品は俺一人の物ではないのだから。

「悪いな。出来るだけキョーコちゃんに会えるように考えてみるから」

「すみません」

ただ。
彼の気遣いに甘えなければどうしようもないのも事実。

「よろしくお願いします」

素直に社さんに頭を下げ、彼女を捕まえる為の作戦を考える事にした。









逃げるキョーコVS追いかける敦賀蓮
今年の蓮誕は原点回帰したお話を書きたかったのですが、そもそもそやえもんの桃の橋を渡りたがっている頭が原点回帰を拒みつつある恐ろしい現実との戦いの幕開けだったのです←大げさな。
後編は明日!ぢゅわ!
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