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SS・魔女の誤算
おこんばんはでございますー。
ラブクエ再録完結へのコメント本当にありがとうございましたー!
色々お返事したいし、パスも返したいんですが、気が付いたらこんな時間!!
推敲にびっくりするくらい時間かかってたんですねこれ↓。

魔女~とタイトルを統一しているのですが、今回は飛鷹×奏江のお話です。
ついでに、未来設定ですが、魔女の条件とは別ルートだと思って頂ければ。

飛鷹奏江好きさんもチラチラいらっしゃるので、きっとこんなのも有だと言ってもらえると信じて投下しますですよ!ということで、おやすみなさい←









魔女の誤算






こんなはずではなかったのにと思う事は世の中には意外とたくさん落ちている。


それは、絶対に仲良くなるはずがないと思っていたあの子と、今ではすっかり親友であると自分でも認められる事であったり。
呪いの繋ぎを着て、オーディションを受けた過去であったり。絶対に取れると手ごたえを感じていたオーディションに落ちてしまった事なんかもそう。

そうして、心が熱くざわつくような感覚を覚えた相手が、出会った時には思いもよらなかった『彼』であった事――。

この感情こそが、今の私には一番の難敵なのだ……。







「おい、奏江。……奏江っ!」

「え?あ、はい!?」

久しぶりの休日は、家の中で撮り溜めた番組でも見ながら、のんびりと過ごすはずだったのだけれど。

「ったく。読書(それ)に夢中になりすぎ」

「ごめんなさい」

「ま。でも悪い。俺も待たせた」

同じマンションに住んでいるらしいどこかのアーティストに熱愛スクープが出たとかで、大挙して押し掛けたマスコミが連日門前で騒がしくしており、私は予定の変更を余儀なくされていた。

セキュリティーがしっかりしている事と、同業者が多いので目撃されても騒がれにくいという利点で引っ越してきたはずが、見つかろうものなら関係のない私までコメントを求められるだろうという寒々しい現実に、しばらくのホテル滞在を決断したのだ。
結果として、やり場のない気分のまま、昼間から小雨の降る暗がりを、カフェテリアの片隅で本を読んで過ごすという時間を送っている。

「飛鷹君だって忙しいんだから、無理しなくたって良かったのに」

迷わずホテルに滞在する事を選んだのは、最近また甥姪が増えたとかで騒々しさを増しているだろう実家に戻る気にもならず、数少ない友人とのスケジュールはもちろん合うはずもなかったからだ。
そんな中。

「阿呆。久しぶりに一緒に飯いくぞって誘ったのは俺なんだから、無理とかじゃねぇよ」

なら飯に付き合えと声をかけてくれたのは飛鷹君だった。

(いつからだったかしら)

保護者がなくてもいい加減平気だし、と。学校帰り、変装した彼は地下鉄を使って一人で移動するようになった。

「ったく。無駄にHRが流すぎなんだよな。おかげで着替えに寄る時間がなくなったつーの」

昔、あの子が……キョーコが通っていたのと同じ高校の制服は、カッターシャツの肩先が少しだけ色が変わった状態で肌に張り付いていて、傘では守りきれなかった体躯の逞しさが、少年から青年へと変わりゆく彼の成長を物語る。
ハンカチを手渡す瞬間。筋張った手が僅かに触れ合い、耳の奥でドクリと鳴る鼓動をまばたきで誤魔化した私は、なんでもない顔で横に立てかけてあったメニューへ手を伸ばす。

「真面目に通ってるのね」

「まあな。知識はあるに越した事はないし?」

一生この世界で生きていくと決めているからこそ、様々な教養は必ずどこかで役に立つ。
それを理解している彼は、名門の国立大学の受験にも太鼓判を押される程になっていて、その惜しみない努力は今も昔も尊敬の対象だ。

「つっても、こっちに関しては俺より奏江の方がジャンル広いじゃん」

それ、面白い?と私がさっきまで読んでいたハードカバーを指差す。

「そうね。最年少で文学賞を受賞したっていう話しだったから、どうかと思ってたんだけど、物語に深みもあって、結構好きよ」

「へぇ、じゃあ読み終わったら貸して?」

「分かったわ。読み終わったら連絡するわね」

こうやって『いつ』とは決まらない次の約束を交わす事が習慣になっている事に気付いたのはいつ頃だっただろう。

(『いつ』がいつなくなるのかなんて考えて、センチになった夜もあったわね……らしくない事に)

飛鷹君はメニューに軽く目を通すと、やって来たウエイトレスに飲み物を注文する。
年若いウエイトレスが私の待ち合わせ相手が飛鷹君だって事に気づいて動揺しているのが目に見えて分かってしまったのだけれど、そんな女の子の視線など一つも気にもならないというように飛鷹君は私だけをじっと見つめて「そう言えば」と会話の続きを始めた。

(こういうの、優越感っていうのかしら)

もちろん、彼女もプロフェッショナルなのだから、そもそも芸能人が二人座っているからといって、動揺すべきではなかったのだけれど。

(結構可愛い子だったけど、モデル系の女子なんて、飛鷹君だって慣れてるものね)

こちら側とあちら側にある境界線が明確である事に、どうしようもない満足感を得ている汚い大人。
そんな自分に辟易としないでもないけれど。

(こういうの、いつか飛鷹君に可愛い彼女が出来るまでは許されるかしら)

特別扱いしてもらっているという優越感にこっそり浸るのも悪くないと思えるくらいには彼を特別に思う自分がいる事にはとっくに気付いてる。
だからと言って、この感情は表に出してもいいような物ではないから、静かに消えていく日を待っているのだけれど。残念ながら、今のところ、それが叶う気配は一つもない。

「来週の土曜日の予定は?変更なしでいけそうか?」

「え?……ああ、もちろん空けてあるわよ?」

来週のその日は、飛鷹君の誕生日。まさかスケジュールを空けておけと言われるなんて思わなくて驚いたものだけれど、半年も前からの約束は、運が良い事に今もきちんと守り通せている。

「ん。ならいい」

短く頷いた飛鷹君は、店員が運んで来たティーカップを受け取ると、視線を落とし、香りと味を確かめるように一口嚥下した。

「……でも、せっかくの誕生日まで私と一緒に居たりしていいの?」

周囲に誰もいない事を確かめてから口にする台詞。
ここで否定されようものなら立ち直れないくらい落ち込むのだろうけれど、なんとなく言ってしまわずにはいられなかった。
軽く笑いながら、茶化す口振りで防波堤を築く狡さを合わせ持った私は、彼の瞳にはどう映っているんだろう。

「お前、何言ってんだ?」

「なにって……。だって……」

私を見据える双眸の鋭さは昔から変わらない。
彼が精悍な面持ちになった分、凛々しい眼差しは強さを増したかもしれない、だけど、飛鷹君は変わらない。
変わったのは、きっと誤魔化す事を覚えた私だけ。

「お前。次、俺がいくつになるか覚えてるか?」

「18……でしょう?」

飛鷹君と初めて出会った時の私の年齢を、彼が追い越そうとしている。
それだけの日々が積み重なったのだと思う反面、やはり、年若い彼がずっと私を気にかけてくれる理由を掴み損ね続けてもいる。

「そ。だから、結婚だって出来るし、まだ完全にではないだろうけど、だいたいの事は自分で責任が取れる。もう誰にも文句は言わせない」

「そ……うね……」

飛鷹君が一体何を言い出すのかと、緊張で喉が痛いくらい乾いた。

「だから、お前が滞在してるホテルの一番上の部屋を取った」

カチャリとソーサーに置かれたカップの音がやけに大きく聞こえる。

「部屋……?」

その言葉の指す意味は一つしか思い当たらなくて。

「俺の覚悟なんて、とうの昔に決まってんだよ」

「覚悟って……」

それでも、まさか、有り得ないでしょうと否定的な反面、突然やって来た曖昧にしてきた関係の終わりに、うち震える程の歓喜が奥底から湧いてくる。

「ちゃんと俺の特別だって、分かってたよな?」

「それは…………でも……」

それでも、飛鷹君が特別扱いしてくれるからといって、それで自信を持てる程、おめでたくはなかったから。

「でもじゃねぇよ。困らせるつもりはないけど、逃がすつもりもないんだからな」

「飛鷹君っ」

大人びていようと成人した私と未成年の彼との間にある現実的な壁は、意識しないようにしても心の片隅には必ずつきまとっていた。
年若い彼を迷わせるような事があってはいけない。自分は彼の背を押さなければならない。だから、一時の気の迷いを口にさせるような事があってはいけないとずっと思っていたけれど、どこかでずっと願ってもいた。

「あのなあ。これでも俺、結構アピールしてたんだぞ」

ジトリとした目で見つめられてドキリとする。

「出来るだけヘンなヤツがまとわりつかないように威嚇もしてきたし、主張もしてた。それをずっとスルーしてきたのは奏江の方なんだからな。自覚がないなんて言わせねぇぞ」

「うっ……」

「ここまで来てまだスルーするならマジで今すぐ既成事実作るかんな。腹括れよ!」

「ひ、飛鷹君っ!」

彼の口から飛び出したとんでもない発言に、一気に体中の血液が顔面にのぼったように熱くなり、慌てて声を荒らげた。
テーブルに手をついて、立ち上がると、勢いが付きすぎてグラスやデカンターがテーブルの上で跳ねるようにガラスの音が響く。
そうして初めて、私以上に、彼の耳朶が真っ赤になっている事に気付いてしまった。

「……っ……」

どうしようもない胸が締め付けられて、言葉なんて一つも出てこなくて。
陥落を示すように、赤い顔のまま私の体は椅子の上にへたり込んだ。

「もぉ……」


心が苦しいのに、嬉しくて、泣きたくなる。
こみ上げてくるこの衝動をどう表現すればよいのだろう。


ああ。……こんなはずではなかったのに。









年の差カップルもいいよね。うんうん^^

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飛鷹君もいいですね!!
今晩は!!今日もトキメキをありがとうございます‼︎

魔女シリーズは飛鷹×奏江とのことで、どんなもんかいな??と思いながら読ませていただいたのですが…そんな風に思ってすいませんでした!!
もうスライディング土下座する勢いです!
一途な飛鷹君…いい!!ツンデレ気味な奏江さんも可愛い♫
どんなカップリングだろうと惣也様の書く文章が好きなので、
このサイトにはハズレがないんだ!!と改めて強く感じました!
蓮キョ主義な惣也様なので難しいかもしれませんが、飛鷹君×奏江のその後(できれば夜の…裏を!!)も書いていただけたら嬉しいです!!

これからも素敵なお話楽しみにしています!
黒にゃんこ | URL | 2013/11/05/Tue 21:20 [編集]
Re: 飛鷹君もいいですね!!
黒にゃんこ様

こんばんはー^^
パスワードの方と並行して順番にコメントレスをしているので、お返事がまばらで申し訳ないです><
そして、すごい褒め言葉をありがとうございます!
は・・・はずしてなかったですか?なんというか、こんなにもったいないお褒めのお言葉を頂けるほど匠ではないと思いますので、なんというか、面映ゆいと言うか本当ありがとうございますー><
これからも精進してがんばります!
飛奏の裏・・・ですね。これは前から時々お言葉を頂けるところなのですが、一番に書きたいのが蓮キョで、最近それが思うように書けてなかったりだとか、飛奏は未来設定のだいぶ捏造が入ってるあたりで、今すぐには書く事は難しいなぁと思っておりますです。
公式でパーンとなるようなエピソードがあったら多分簡単に前言撤回すると思うんですが、はい、そんな訳なので、蓮キョ物の更新の方が優先的になりますので、お付き合い頂けるとうれしいです^^
惣也(そーや) | URL | 2013/11/12/Tue 23:05 [編集]
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