スキップ/ビート二次創作のブログ。 二次創作に理解の無い方の閲覧はご遠慮下さい。初訪問の方ははじめまして記事を御一読ください

SS・恋迷宮
突然ですがホワイトデーネタです。

というのも、本誌の季節進行が冬で、ちょうどact.202がホワイトデーだという日にちが発覚したからであります。

なので、ちょこっとだけ、act.202、そのあたりの要素を織り交ぜてお話を作りましたので、
本誌続き妄想よりはちょっと逸れてるかなと思って普通にタイトル付けて短編扱いにしたんですが。

・・・コミックス派の方は追記の閲覧をご注意下さいますようお願い致しまーす。


あと。
このお話の続きをー!ってお声をたくさん本当ありがとうございます>□<
あっちもこっちも色々考えるところは色々あって、ちょっと書いてみた物もあったりするんですが、
携帯の中で書き散らかしてるレベルなので、完成したら完結マークついてる短編とか続き妄想とか、そのあたりので続きをお披露目出来る・・・かもしれないかもしれない・・・。とゆるくお返事させて頂きまーす。
それこそ蛹が蝶に孵るまでとか、実は続きが一瞬思いついてたはずなのに、綺麗に着地しなかったからかれこれ何年も下書きのまんま書き散らかされて表に出る気配がなかったりするので。残念なそやえもんですいません。
そんなこんなで世の中で私は私自身が一番信用なりません。←こんなんだからDVD1巻買ったのに特典ライブの申し込みをうっかり忘れたりするんだーっ。もったいないわあほー!










恋迷宮







見返りが欲しかった訳じゃない。

そもそも、今までだって私が何かをした事で、『お返し』された事はないのだから、期待しない事には慣れてる。

慣れていたから、ホワイトデーなんて存在、きれいさっぱり忘れていたんだと思う。

(社長さんのせいでまた一つ不必要な感情を自覚しちゃったじゃない)

『なんて事だ。バレンタインとはホワイトデーが済むまでがバレンタインだぞ』

だなんて。

(余計なお世話ってものよ)

それでも、いつもより携帯電話を開く回数が多い自分にハタと気づいてしまって、なんだかなぁと盛大な溜め息が出る。

「また無意識にパカパカやってる……」

(何を待っているの。女々しいわね)


「ああ、最上さん。来たね」

「お疲れ様です。椹さん」

呼び出された事務所で、緒方監督や、DARKMOONのキャストのみなさんからの宅配便がいくつか届いているよと教えられて。

「なま物がいくつかあるから、早い方がいいと思ってね」

「ありがとうございます」

開いてみたら、花籠とか、アクセサリーとか、お菓子とか。
ひょっとしなくても、私が渡した手作りチョコレートなんかよりもはるかに値が貼るものがたくさん入っていて。

(トリュフ二個に対してこのお返しは……うーん)

「逆に悪い事しちゃったのかも……」

「何を言うんだね。みなさん喜んでくれたようでなによりじゃないか」

じゃなかったら、わざわざ送ってまでお返ししようだなんて思わないから。
そう笑う椹さんは、知らん顔なんていくらでも出来る世界なんだから、人脈が築けたと喜んでいいんだよと言った。

(それはそうかもしれないけど)

「では、失礼します」

「うん。お疲れ様」


立ち止まる度に鳴らない電話を何回も何回も確かめて。


何を期待してるのか、なんて。
分かりたくない自分が一番よく分かってる。

「――――はぁ……」

あの人はとても律儀だから、なんにもない、なんて事、ないんじゃないか……なんて。

「あああ! 敦賀さんのお返しだーっ!いいなぁっ」

名前一つで体中の器官が一斉に聞き漏らすまいと反応した。

「朝、偶然会えたの。いいでしょ、いいでしょー」

「うらやましいーっ。私もお返し貰える時期の間に会えるかしら」

「こればっかりはねぇ」

「そうよね。いくらLMEだからって、敦賀さん、レアだもんねー」

そうそう、運次第よねぇと笑う女の人の声が遠い。

「それでそれで?生敦賀さん、どんなだった!?」

「えっとねー。『みなさんにいつお返し出来るか分からないので、カードだけで申し訳ないんですけど』って、優しく微笑んでくれてね」

その場で書いてくれたのよと明るく自慢する声に、ものすごく苛立っている私がいる。

「うんうん」

「でも、あの敦賀さんの直筆サイン入りの感謝カードよ!十分すぎるお返しよね。もうっ、益々ファンになっちゃうっ」

「そうよね。敦賀さん、今年もすっごい量貰ってたもの」

「トラック何台出たのかしら」

「詳しくは教えてもらえないけど、相当だったらしいわよ」

「へー」

遠ざかっていく足音と一緒に思考がぼんやりとしていく。

ああ、やっぱりものすごい量だったんだ。とか。
きちんとお礼をしてるところが敦賀さんらしいな。とか。

うらやましいな……とか。

だけど、


 会いたくないな……とか。


みんなと一緒。平等。そんなものの中に自分が入ってしまう事が嫌なのだと、恐ろしい考えが奥底でドロドロになって渦巻いている。

「……憂鬱だわ」

この気持ちの正体をどうして認められるだろう。

『何が憂鬱なの?』

もしあの人にこう問われたら、私はなんと答えればいいのか。

「…………鳴る訳がない。鳴らなくていいのよ」

だから、綺麗さっぱりと忘れてしまいたい。

こんな気持ち、気のせいだと――。




――――――――――――――




帰路についた頃には今日という一日はもう終わろうとしていた。

「あと五分……か……」

社さんと別れ、あとは家に帰るだけ。

ヒール兄妹として慌ただしく過ごしていたせい……というよりは、自分の事で手一杯だったせいでホワイトデーだというのにプレゼントの一つも用意出来ずにいる自分の情けなさに溜め息がこみ上げる。

「なにやってんだか」

社さんがホワイトデーのお返し用だと例年通りにカードを出してきてようやく、あ……しまったと思い至ったのだからどうしようもない間抜けだ。

今日、何度開いたか分からない携帯電話のディスプレイでまた一つ数字が進む。

あと、300も数えれば特別な名前の1日は終わってしまう。

「……っ」

散々思い悩んだこの一日分だけでも早く思い出していたら、彼女に何かを贈れただろうか。

「たら、れば。なんて今更か……」

あと60数えれば、今日という一日は、なんでもない日常に戻っていく。
そうして、数日過ぎてしまっても、彼女に何かを贈ったならば、このばつの悪さはなくなるのだろうか。

「……どうだろうな」

重たい気持ちのまま躊躇いながらも、どうしても募る彼女の声を聞きたい衝動には抗えず、指先は素直に彼女の名前を呼び出していて。

(そういえば、最近、おやすみを言うのが習慣になっているよな)

それは、俺と彼女の習慣ではなく、兄と妹のそれではあるのだけれど。やはり、彼女の声が聞きたいと思わずにはいられない。

(冷却期間が必要かとか、思ってから一日も経過してないんだけど……)

我ながら、自制心が緩んでいる。

(電話くらいなら、大丈夫か……)

最後の最後。0になったその時にとうとう繋がる為のボタンをゆっくりと押した。



「――――もしもし、俺……だけど」

『えっ?あっ、敦賀さん!?お疲れ様です!』

「お疲れ様」

丁寧な彼女の挨拶を耳にしながら「今日……いや、昨日はごめんね」と呟いた。

『な、ななななんで敦賀さんが謝るんですか!?』

驚いている彼女の声が、実は俺からの連絡なんて全く待っていなかったのかな……なんて、結構心をへこませてくれる。

「だって、ホワイトデーなのになにも渡せなかったから」

『ああ、でもお会いした方にカードを渡されているんですよね?事務所でお聞きました。ふふふ、また今度お会いした時に頂けるなら嬉しいです』

俺に散財させまいとした気遣いなのか、それとも、彼女の中では、俺はその程度しか返さないだろう存在だという事なのか。

「違うよ。君にはカードじゃない」

『…………え?いやっ、あの、みなさんと同じで構わないんですよ?』

本当になにも期待されていないのかと切なくなるが、だからといって単純に頷く事は出来なくて。

(いい加減、少しくらいは俺たちが近しい間柄だと自覚してもらえてもいいんじゃないのか?)

「だからね。最上さんへのお返しはカードじゃないよ」

他の誰かと同じものを渡すだなんて、俺が嫌だ。

『……そう、なんですか?』

「うん。最上さんをビックリさせるものがいいかなって」

『い、今、十分ビックリしておりますが』

「そうなの?」

『そうです。……あんまり無自覚にそういう事をおっしゃると……私は……いいですけど、大多数の方は普通、勘違いしてしまいますよ?』

ああもう、どうしてこう。

「少しくらい、勘違いして欲しいけれどね、君には」

『ええと……あの……』

「ああ……電話で言うセリフじゃなかったね」

『敦賀さん……?』

こういう事、顔を見ずに言うものではないと分かっていたのに。

「ごめん。今からそっちに行く」

『ええ!? つ、敦賀さん!?』

近頃の俺がどうしておかしかったのかとか、どうしてプレゼントを用意し損ねたのだとか。
情けない話だけは山のようにあって、なにも持ち合わせていない空手のままだという躊躇いが無いではない。

「ちょっと待ってて」

『え、ちょっ!?敦賀さんんん!!!?』

だけど、もう十分すぎる程に俺の酷い有様を眼前にしてきている彼女だから。
この情けない自分を彼女の前に全てさらけ出せば、さすがに君は俺の特別なのだと分かってもらえるんじゃないかなんて、都合の良い思考回路になれるくらいには俺は浮上していて。

俺が今、こうしてある事、これが全部君のお陰なのだという事を、どう伝えればいいだろう、なんて、考えながら、俺はアクセルを踏み込んだ。

願わくば、今日という日が特別な気持ちを抱いてもらえる一日となりますように――。












ホワイトデーに『まだ』お返しを用意していない。とのたまった敦賀さんへの衝撃が衝撃すぎて、びっくりです。←ボキャ貧。
私が書く敦賀さんだとそういうドジっ子みたいな事やらかさないような・・・・気がしたので、あえての挑戦。と思ったら、ものすごく難しかったので、多分、私、こういう話書くの苦手なんだなぁと。

しかし一つ思うのです。
「もしもし、俺だけど」→「敦賀さん?」ってなる関係は十分特別ですよねー。ですよねー。


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