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SS・不埒者の宿業
へいへいへーい☆インテまでの間に一個は更新するぞーと思いながら書いてたのが一本出来たので投下にきましたこんにちは。たまにはこんにちは。

というか、予約投稿です。

さてさて。前に更新した恋迷宮もたいがい「ACT.202を意識した小話」だったんですが、
今回もACT.203要素が入った小話になってます。

コミックス派の方には本っっっ当に申し訳ないであります。

ストーリー的にはネタバレっていうのでもないと思うんですけど、言葉選びがそのあたりを引っ張ってきてますので、新鮮な気持ちでコミックスが読みたい方はやめた方がいいかもしれない。という注意書きですからしてよろしくお願いします。
さて。気付けば私もくじをすっぱりさっぱり更新してなかった事を思い出しました。ヒーハー!

そんなこんなでこのお話はR18でインテ合わせでコピー本にしてだそうかなとか一瞬考えたりしたものの、やっぱりサイト更新しとこうとなった代物であります。













不埒者の宿業




私はいずれ、地獄に落ちる。


抱いてはいけない恋心を胸にしているくせに、何食わぬ顔で敦賀さんの側にいる事。

奥底に秘めているだろう想いが相手に届いたりしませんようにと祈っている事。

敦賀さんが他の誰かと幸せを紡ぐ日が来ませんように……。

どれもが一方的で身勝手な、片思いのなれの果て。

自分の醜悪さには蓋をして、敦賀さんが想う『誰か』よりも近くにいられる喜びに浸る。

私の恋心は、どこまでも滑稽で幼稚な独占欲にしかたどり着けはしないのだと軽い絶望を覚えないでもなかったけれど、それでも、やっぱり私は、敦賀さんの側に居たいという願いは捨てられなかった――。





「ごちそうさまでした」

「お粗末様でした」

テーブルの上には食べ終わった二人分の夕食の食器達が並ぶ。
時間も深夜に近ったのだけれど、最近では私も敦賀さんも仕事が終わる時間が遅く、夕食が取れる時刻はどうしてもこのくらい遅いものになってしまっている。

「本当においしかったよ、ありがとう最上さん」

「どういたしまして。私が好きでさせて頂いている事ですから」

お食事はきちんとされていますか? 会う度に詰め寄るように聞き出して、そうして必ず困った顔をする敦賀さんに、全くもうと言いながら食事を作りに押しかけ続けていたら、時々、敦賀さんもコレが食べたいというメールをくれるようになった。

雪花ではなくなってしまった今ではカイン兄さんの面倒を見る事は出来なくなってしまったけれど、こんな裏技じみた行動で敦賀さんのお宅に来る事を許されている。
こんなやり方は狡いと、卑怯であると頭では分かってはいるけれど、一度知ってしまったこの距離は手放せない。

「あ、お湯が溜まりましたよ。敦賀さん、お風呂に入っちゃって下さい」

二人で並んで食器を洗っていると、キッチンに備え付けられている浴室の遠隔リモコンが、ピピピと作業完了の音を鳴らした。

「最上さんの手際が良すぎて助かるな。でも……」

「お皿洗いが終わったら、のんびり台本でも読みながらちゃんとお待ちしてますから、ゆっくり入ってきて下さいね」

お風呂に入っている間に私が夜道を一人で帰るかもと心配してくれる敦賀さんの優しさを利用して、なんの苦労もなくここにいる理由を手に入れる。

「じゃあ、お言葉に甘えて」

「はい。ごゆっくり」

敦賀さんがバスルームに入っていく姿を見送り、食器達を使い慣れた乾燥機に放り込むと、リビングのテーブルに台本を置いて、そうしてふうと息を吐いた。

ラグに腰掛けるでもなく、リビングを抜け出して、廊下を自動で照らすセンサー式ライトの灯りにも動じる事はもうない。

後ろめたさから足音を殺して歩く先には何度か泊めてもらったゲストルームへ続く扉があって、そこで足を止めた私はバスルームの方を振り向いた。

(大丈夫よ……)

兄さんはお風呂がとても長かった。
多少、作ったところもあるのだろうけれど、敦賀さんにも似た素養がなければお風呂が好きだなんていう突飛な役作りがカインになされる訳がない。

(湯船にはお湯、入ってるし)

だから、敦賀さんはまだしばらくバスルームの中だろう。

くるりと振り向き直し、また歩みを進める。

長い廊下の一番奥。
そこには敦賀さんの看病をした夜やDARKMOONごっこをした時に足を踏み入れた部屋。――寝室がある事を知っていて。
そう、知っているからこそ、私はゴクリと唾液を飲み込むと、そっと扉を開けた。

(いけない事だなんて、分かってるもん……)

部屋の電気はもちろんつけられなくて、中途半端に開いた状態の隙間から射す廊下の灯りを頼りに大きなベッドへと近付いて、手のひらをポスンとベッドに沈める。

何度触れても柔らかい上質のスプリングがまるで包むように受け止めてくれるそこに、静かに腰掛けてゆっくりと倒れ込んだ。

ふわりと鼻腔に香る敦賀さんの匂いを肺いっぱいに吸い込みながら、瞳を閉じる。

抱き締められたいと思うようになったのはいつだっただろう。

雪花でなくなった分、指を絡めて手を繋ぐ事も、間近で体温を感じる事もなくなって、寂しいと体が音を上げて、心は悲しいと泣いている。

だけど、それは絶対に告げられない。

口にしたら最後、僅かな不在を良いことに、こんな不埒な真似をしでかしている自分は軽蔑の対象と化すだろう。

(こんな犯罪者みたいな事してたら、いつか駄目になる日が来るのに)

分かってはいても、持て余す喪失感が大きすぎてどうしようもなかった。
せめてもの慰めと、ここで敦賀さんに抱き締めて貰った過去を思い返す回数は、そろそろ片手では足りない程になる。

きつく目蓋を閉じ、大きな溜め息を吐く。

そろそろ戻って台本を読む振りをしなければ、そう思って立ち上がろうとしたその時。真っ暗な寝室にパチリという電気を付ける音が響き渡った――。




――――――――――――――





「っ!!」

「最上さん?」

この部屋の電気をつける事が出来るのは、主である敦賀さんしかいない。

近付いてくる足音に身を固くし、身動きが取れない私に対し、湯上がりの部屋着姿で歩み寄った敦賀さんは具合でも悪いの? と至極真っ当な声をかけた。


(ど……うしよ……)

心音がやけに響く。
一気に血の気が引き、頭は完全に真っ白だ。

「最上さん?」

「……あ……」

真上から覗き込まれ、完全に目があってしまった今、寝たふりをするには遅すぎる。

(どうしよう、どうしようっ)

仮にゲストルームと間違えたと言い張るにしても、間取り的にこの一番奥の寝室とゲストルームを間違える方が難しい事は私自身が一番分かっていて、いくら敦賀さんが優しいからといって、プライベート空間を勝手に荒らされるのは気持ち悪さを覚えこそすれ、良い気分なはずがない。

「こ……れは、そのっ……」

明確に信頼を裏切ってしまった現場を押さえられてしまった恐怖に、体がどこまでも萎縮し、動かない。
部屋から叩き出され、縁を切られ、全てが終わる。
そんな最悪の想像に歯の根がカチカチと鳴った。

「困ったな……」

「……ぁ」

こんな状況で泣くのは卑怯だと分かっているのに、勝手にこみ上げた涙が視界をみるみる滲ませる。

敦賀さんは驚いた顔をして私を見下ろしていたのだけれど、私はただただ、自分の浅ましさに恥入り、今すぐ消えてなくなりたかった。

「ごっ、ごめんなさいっ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ」

ただ謝る事しか思いつかず、それでも面と向かう勇気はない。両手で顔を隠してひたすらに謝罪を口にすると、敦賀さんが腕をついてベッドが軋む感触に体が震える。

「君は……」

すると、次におりてきた敦賀さんの言葉はある意味で予想通り。けれど、言葉に含まれる響きは侮蔑ではなく、至極柔らかいトーンだった。

「いけない子だね」

「っ!」

静かな美低音が寝室にこだまする。
耳をくすぐる声に私が思っていたような軽蔑や呆れは見あたらなくて、予想外の反応が私の心を迷わせた。

「こんなに男を煽るようなコトをして」

ふううという敦賀さんの溜め息に、びくりとまた体が震える。ゆるゆると頭のてっぺんを撫でられて、心臓がドキリと跳ねた。
どうしてこんな時に優しい仕草で触れてくれるのか、理解が出来ない。

「俺の良いように受け止めて良いなら、10数えた後もこのままで居て?」

「……え?」

おずおずと両手をずらし、顔を上げると、私のすぐそばに横たわる敦賀さんがいた。
髪は滴をはらみ、白いシャツの襟繰りが僅かに濡れていて、たくましい肩の向こうには廊下へ続く扉が見える。
敦賀さんをぐるりと迂回するように逃げだせば逃げられる。それは敦賀さんの思いやりなのかもしれない。
だけど、じっと見つめる敦賀さんの真剣な瞳が私をこの場所に縫い止めて動けなくさせた。

「10数え終わってもここに居てくれるなら、俺は君を……」

「ぁ……」

10、9と刻まれる数字を迷いと期待に翻弄されながら、ただシーツの上で体を固くして迎える。

「――ゼロ」

最後の数字を刻み終えた敦賀さんが、改めて私の真上に覆い被さるものだから、敦賀さんに見下ろされる格好を不思議な気持ちで見上げた。
まさか、また、こうやって敦賀さんを見上げる日が来るなんて思っていなかったから。

「ねぇ、最上さん」

「はっ、はひい!」

艶めいた声がすぐ近くで囁くように告げる。
長い睫毛が数えられそうなくらいはっきりと見える至近距離に心臓が止まってしまいそうだ。

……私を、どうしてくれるというのか。
抱いてもむなしいはずの期待が胸を高鳴らせた。

「本当に、逃げなくていいの?」

「……逃げなければ、いけませんか?」

はっきりとその先を知りたいと思う欲深い自分にあっさりと負けて、小さく問い返せば敦賀さんの瞳が妖しく煌めいた。

(ああ……夜の帝王の時の敦賀さんだ……)

ギシリとスプリングが軋み、敦賀さんとの距離がさらに縮まる。

「本当に、悪い子だ」

魔法にでもかけられたように、とても自然に目蓋はおりた。

「ん……ぁ……」

交わす機会など一生ないと思っていた唇が触れた瞬間、いっそ今このまま死んでしまう事が出来たなら、私は世界一の幸せ者になれるのに……。そんな事を思う。

そうして、夢幻のような現実をまだ本当の事として受け止めきれないまま、敦賀さんの両肩に手のひらをかけた。


強く抱き締められて、めちゃくちゃにされていくのが嬉しくて、私はただ、与えられる熱を逃すまいと必死にしがみついて、そうして、初めての行為に翻弄されるまま、浸る。

最上さんと呼ばれる度に返せたのは言葉にもならない声だったのだけれど、この痛みも熱も幸せも、全部覚えていたい、そう願いながら私は敦賀さんに抱かれていた――。











ここまでなら表でセーフですよねキラリという自己判断。
キョコたんの顔を見ただけで気持ちを気付くといいのに!!!!
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くぅ~~~!
いっそ本作の続き、このSSを漫画に起こしてほしいと思うくらい素敵でした…!
あきら | URL | 2013/08/14/Wed 23:27 [編集]
Re: くぅ~~~!
もったいない褒め言葉をありがとうございますー!!!めちゃくちゃうれしいです><
惣也(そーや) | URL | 2013/08/26/Mon 00:21 [編集]
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