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SS・白銀の狐15
【白銀の狐】再開しました。

ということで、こんばんは。やるやる詐欺師そやえもんです。
さてはて。今日から白銀の狐を再開しようと思う訳ですが。再開の前に色々と再度のお願いとなってしまいますが、ご理解の上でお付き合い頂ければと思います。

白銀の狐の開始を辿れば2010年二月、光の箱庭開始してしばらくの初期作であります。
年数を跨ぎながら書いてはいましたが、なかなか題材の難しさから、何度も心が折れて放置放置が重なり、オフ本化決行をしてようやく完結まで至った作品です。
ですので、オフ本では、1話~14話までを相当ページ推敲し、加筆修正を加えております。

ここからお届けする15話以降はオフ本の再録となりますが、現在サイト掲載している1~14話に関してはあえて加筆修正した物への差し替えは行っておりません。

そのあたりはオフ本のみの方の特典ということにさせて頂いております。大筋は同じなので問題はないかなと思いますが、改めて調べ直したら色々間違ってる知識もあったので、だいぶ直しすぎてサイト掲載分まで直す程がんばれなかったので、申し訳ありませんです。オフ本よろしくです←いさぎよく宣伝…。

心広く付き合って下さる方のみ、お付き合い頂けますと幸いです。







白銀の狐 15







「晴明の真名を教えるだけで良いって言ってるんだ。簡単だろ?」

それは晴明への裏切りとも言える要求であり、京子は身体を強ばらせた。

「なんでそんな事……」

「芦屋道満は自分から真名を名乗りやがったからな。手っ取り早かったが、晴明の野郎の真名はお前しか知ってるヤツがいない。なら、お前に聞くしか無いだろう?」

「だからっ……なんで芦屋道満が私に真名を名乗っただなんて分かったのよ!」

『レイノ』が芦屋道満の真名であった事など、名乗られた当人である京子には全く分からなかったと言うのに。
そんな京子に対し、松太郎は呆れた瞳を向ける。

「お前。仮にも安倍晴明の家のモンだろ? なのになんにも知らねーのな」

「っ!」

奏江や蓮、社に色々な事を教えてもらったとはいえ、京子にはまだ知らない事、知らされていない事がたくさんあり、松太郎の言葉はことさら胸に突き刺さった。

「真名ってのは、ソイツの魂に刻まれたもんだってぐらいは分かるよな?」

それは出会った当初。京子も『真名は簡単に名乗ってはいけないよ』と教えられた理由なのだろう。
京子はそのくらいは知ってるわよと返す。

「弱いヤツの真名を力が強い人間が使えば、弱いやつには簡単に暗示がかけられるんだよ。つまり、真名を手に入れるだけで意のままに操る事が出来るって訳だ」

「意のままにって……」

けれどそれでは釈然としない。京子より強いはずのレイノが京子に自分から真名を教えた理由はなんだというのだ。

「逆に、弱い方に強いヤツが自分の真名を呼ばせる事で、隷属させる暗示も出来なくはない」

「っ……?」

つまり、レイノが名乗った事はこちらに合致する。

「やっぱ知らなかったか」

冷たい床に転がされている事も作用しているのかもしれなかったが、言葉を交わす程、京子の身体からは血の気が引いていった。
自分は安倍晴明の真名、蓮と彼を呼んでいる。
まさか、ありえないと言い聞かせるが、考えれば考えるほど、心は悪い方に傾いてしまう。

「この手法のえげつない所は、本人には操られている自覚がないまま。無意識下で暗示がかけられるって事だな」

いくら振り払おうとしても、松太郎の言葉の毒はジワジワと京子に疑心の種を植え付け、少しずつ心を蝕む。
そして、それは確かに京子の反抗心を削いでいた。

「つまり。芦屋道満がお前に真名を教えたのは、弱いお前に強い自分の名前を呼ばせる事でお前を従わせる暗示をかけようっー姑息な裏技だ」

「……へぇ……」

悟られてはいけないと驚愕する心をかみ殺すそうとするが、どうしても滲む動揺は隠しきれず、目敏く見咎めた松太郎はフンと口角を上げて勝ち気に笑った。

「これで分かったろ? 安倍晴明も芦屋道満も。お前を手に入れる為に真名を使ったって訳だ」

心臓がドクリと嫌な音を立てる。
京子の中で何かが聞いてはいけない、これ以上聞きたくないと訴えているのに、耳を塞ぐべき手が自由に動かせない。

「お前が晴明を慕うのは、晴明のかけた暗示があるからだ。だからアイツの真名を後生大事に守ってやらなくても良いと思うぜ?」

「違うっ! 私は暗示なんて」

「ほら。それが植え付けられた好意なんだよ。偽物だ」

「ちがっ」

暗示などかけられていないと言いたいのに、突き付けられた事実を前にするとなんの証拠もない。自分の言葉がひどく空虚に思えて最後まで口に出来なかった。
なんと惨めなのだろう。
信じている世界が壊れてしまうと押し寄せる恐怖に歯の根がカタカタと鳴った。

「チッ。強情だな。まだ言わないか」

それでもなお、晴明の真名を呼ばない京子の強情さに、松太郎は舌打ちをしてさらに言い募る。

「お前に黙ってこんな大掛かりな犯罪をやらかしている男に、なにを義理立てする必要があるんだ?」

「れっ……晴明様は悪い事なんてなさらないわ!」

蓮を信じるのは自分の役目だとありったけを振り絞った。

「じゃあこれはなんなんだよ」

これ見よがしに棺の五芒星を指先でカツカツと叩く松太郎にはレイノと同じく確信があるらしい。
京子に向かい更に言い捨てた。

「教えないならまあそれもいいさ。だが、そんなに信じてるなら、お前がコレを開けてみせろよ」

棺を開けた途端に雨が触りゃ、さすがに分かるだろうさと笑う松太郎に、唇を噛み締めた京子が問う。

「どうやればいいの」

蓮の潔白を証明する為ならばなんだってする。
それは蓮を慕う一心がそうさせた。
京子が平静であったならば、東宮を封印しなければならない理由があったかもしれないと考える事も出来ただろうが、立て続けに身に降りかかった事態が京子から知らず冷静な思考を奪ったのだ。

「俺が見るに。これを開ける事が出来るのは安倍晴明だけじゃない。東宮に連なる者の血でも開けられるはずだ」

「連なる者……? 血って!?」

「帝か偽東宮だって血縁者なんだろう? その辺はお前が考えてなんとかすればいいさ」

「なんとかって簡単にっ……」

まさか生贄にしろとでもいうのかとおののく京子に、松太郎はちげえよと返す。

「指先を少し切ってもらって、この星の外周をてっぺんから時計回りになぞる。ただそれだけだ。簡単だろ?」

とは言え、相手はみな皇族だ。そんな頼み事どころか、ここに連れて来る事さえも簡単に出来る訳がない。

「やれねぇの?」

「っ! なんとかするわよ!!」

ただ一人、父を覚えている万里亜。彼女の力を借りられれば、なんとかなるかもしれないが、京子にはなんとも言えなかった。

「ふん、生意気だな。まあいい。晴明の野郎は物忌みでひっこんでるって話だしな。少しくらいは待ってやるよ」

「少しって……?」

「さあ? 俺の気分次第だな」

「っ!!」

はっきりとしないまでも、期限が突き付けられた事に大いに焦る。

「なんだ。時間を引き伸ばして晴明に助けを請うつもりだったか? だが、どの道、アイツは今、都にはいないんだろう?」
言い当てられた事にギクリと身体を強ばらせると、松太郎はフンと鼻で笑った。

「俺の相方は気配に敏感でな。……で? やっぱ出来ないって?」

「や、やるわよっ! 私一人でだって晴明様の無実を証明してみせるわ! 日時をはっきり指定しないアンタが悪いんでしょ!」

「ふん。まあいいさ」

すると松太郎は柏手を打ち、『解』と唱え、京子の拘束を解いた。

「せいぜい急ぐこった。早くしないと晴明が雨を枯らした張本人だなんだって都中の人間が騒ぎ出すぜ?」

「っ! 卑怯者っ!!」

 精一杯の罵りであったが、松太郎ははあ? と呆れ顔で京子を見下ろす。

「なんとでも言ってろ。つーか、そんな噂も耳に入ってないのか? つくづくおめでたい女だな」

「え?」

「言っとくが、俺が流した噂じゃねぇよ。どうせさっきの野郎が画策してんじゃねぇの?」

 まあ、火の無い所に煙は立たねぇがなと言い捨てる松太郎に京子が言葉を飲み込んだ。

「で? ほら、急がなくていいのか?」

「くっ!!」

松太郎の言葉に簡単に従う事は業腹ではあったが、歯を噛んだ京子は、クルリと踵を返すと、すぐさま狐の姿に転じて駆ける。
まずは蓮にきちんと話を聞くべきだろう。
社の元に向かうべく、彼の気配を探したのだった。



***



「……社さん……」

すっかり日も暮れた中、社を探す京子だったが、見つかったのは柳の木の付近に残る、社の気配のする血溜まりが一つ。
それが社ではなく弥勒のものであればと願わなくもないが、残る匂いが社の血痕だと告げている。
安心出来る点は、式神である社は多少の怪我ではそう簡単に死なないはずだといったくらいで、京子は晴明の屋敷へと急いだ。

「一体どこにいるの……」

スピードを重視し、四つ足で駆け巡った京子はすでに披露困憊で、呼吸が荒い。
自分が気配を嗅ぎ取れていなかっただけかもしれないという微かな希望を込めて、人型に戻った京子は屋敷の部屋を一つ一つ改めていく。
最後の最後に晴明の寝室の襖を開けば、鼻孔をくすぐる蓮の香の残り香に胸をきゅううと締め付けられた。

「蓮様……」

どうして今そばにいてくれないのかという泣き言と共に、踏ん張り続けた両足からガックリと力が抜ける。
へたり込んでいる暇は無いと分かっていても、立て続けに襲いかかってくる謎に押しつぶされる寸前なのだ。

「早く、早く帰って来て下さい……」

けれど、京子の願いとは裏腹に、朝日が昇った翌日も、蓮、そして社が家に帰ってくる事は無かった――。









ここからは再録なので、テンポ良く更新していきたいと思います^^
お付き合い頂けますと幸いです!
ぜひ、優しくっ←
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