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SS・白銀の狐19
【パスワード返信状況】11/17までに請求の方への返信完了しました。

おなかが痛いですこんばんは。
ちなみに、腹痛ではなく筋肉痛である事がポイントです←なんの。
いい加減、自分の努力が足りないという現実に気付いたので、ちょっと次の次の本誌読むまで毎日腹筋しようと決意して18日から願掛けです←だからなんの。
だいぶ昔の通販の産物らしい腹筋マシーンを使ってるんですけど、10回した翌日、すでにもう朝からお腹がずっと痛くて今日、二日目にしてなんかもう、辞めようかと思いました←ところてんの決意。
腰痛再発もせずお腹がスリムボデーになれたらいいよね。ダイエットなんて成功したことないんだからっ。
・・・宣言したので一週間もたなかったら笑ってやって下さい。

あと、関係ないですが、ついったーってフォローしても良いんですか?ってお声頂いたんですが、そっちはスキビ話だけではなくて、いろんなジャンル雑食だったりコスプレ写真だったり、私の残念な人格がどっぷりになってる上、リプとか気まぐれすぎて、返事したりしなかったりしますので、心が広いと自負されてる方はお気軽にどうぞです。@hakoniwa_souyaで探して下さい。ですです。










白銀の狐 19






***


室内に入れば、夏だというのに外よりもぐっと低い室温に体はフルリと震え、思い思いに天井の高いそこをぐるりと見渡した人々の視線はガラリとした殿内の中央へと集約する。

こうした社の中央に鎮座するのは御神体のおかれた祭壇だと相場は決まっているのだが、御神体と思わしき観音開きの木製箱の前には件の透明に輝く棺がある。
無言のまま、迷いなく棺のすぐそばへと歩み寄るのは松太郎とレイノの二人だけだ。

「あ、あれは人ではないのか!?」

中に人間が入っている事に気付いた見物人が騒ぎ出した頃、最後に入ってきた帝が一同に追いついた。

「…………この男は……」

眠っている男の姿を瞳を眇めて見極めようとする絽織の近くで、陰陽寮に所属する人間達が総じて棺に刻まれた五芒星の意味に気付いて息を飲む。

「どこかで……」

思考のどこかで霞みかかっている自分に気付き、額を押さえた絽織が唸る。

「……どこかで……」

「お父様!!!」

棺を囲む人間達の後ろ風を切り、駆け寄るのは、この神社内にただ一人だけ居た少女、万里亜だ。
走る勢いで外れた網笠が床に落ちてコロコロ回る。

「お父様っ! お父様!!」

「万里亜? お前、なぜここに。……お父……様……?」

駒のように回る網笠と棺の前にへたり込み、すがりついて叫ぶ万里亜を交互に見やり、呆然と呟く。

「さて。安倍晴明。何故このような事をし出かしたのか。説明をして貰えるか?」

静まり返った殿内において、蓮をじっと見据えたのはレイノ。
まずは蓮を追い落とそうとする二人を前に、それでも微笑みを崩さない蓮はクスリと笑い。そんな蓮の笑みにカチンとした松太郎は「てめぇ、ふざけんな」と語気を強めた。

「まさか、ここにきて知らないとかすっとぼけた事、言うつもりじゃねぇよな?」

さらに咎めたのは松太郎。

「とぼけるつもりはないが、私の行いではないよ」

けれど、そんな男二人の迫力を前にしても、やはり蓮は微笑を絶やさなかった。

「何すっとぼけてんだ。コイツはてめぇの紋だろうが!」

松太郎が棺に刻まれた紋を指差せば、勿論全ての人間の視線はそこに集まる。

「だから、知らないと言っている」

それでも知らないと言う晴明に、これでは話が進まないと陰陽寮の一団の中から椹が言った。

「不破君、芦屋殿。お前達にこれが安倍晴明のした事であるという証明は出来るのかな?」

「んなの、ここに紋が残っている事が何よりの証明っ!」

「……この棺に触れさせればいい」

噛みつくように声を荒らげる松太郎とは対照的にレイノが静かに口にする。

「棺を開ける事が出来るのは、この封印を施した本人か、中に封じられている本人の血族であるならば可能だ」

「ほう」

「紋の位置。それが中の人間の生命器官を一時的に停止させている力の流れの入り口だ。この入り口になんらかの力の波紋が起こればいい」

するとレイノは棺にすがりついている万里亜の右手を握り、五芒星をなぞるように触れさせる。

「あっ」

万里亜が触れた途端、室内にフワンと風の波紋が起きた。

「なっ、なんだ今のはっ」

驚く一同に、レイノは淡々と告げる。

「封じられている本人に近しい氣の巡りを持つ者でもこうして波紋は起きる。最も、近しい者は完全に同じではないから、もう少し強い力を起こす為には血でなぞる事が必要となってくるが」

「血だと!?」

生け贄を連想して青くなる一同に、レイノがさらに続ける。

「少量で構わんさ」

そう言うと、レイノは胸元から房の付いた小刀を取り出して棺の上に置く。そうして自分の人差し指を出し、五芒星をなぞる。

「それ以外の人間ならば、この通り。なんの反応も起こらない」

「さあ、安倍晴明。お前がこの術を行使した本人でないならば、今ここで証しを立てろ」

「……やれやれ。全く」

溜め息混じりに一歩ずつ歩み寄ると、居合わせた全員が蓮を警戒し、緊迫感が張り詰める。

「私ではないと言っているのに」

そう言いながらも蓮は五芒星に向かって長い指を伸ばし、指先はスルスルと五芒星をなぞるが、皆の恐れにまみれた妄想を裏切り、棺はなんの反応も示さない。

「なんだと……?」

何も起こらなかった事に驚いたのはレイノと松太郎だ。

「ほら、この通り、私ではない。……が、万里亜姫、貴女ならば目覚めさせる事が出来る」

万里亜に視線を合わせるように腰を落とし、貴女の指先に傷を負わせる事は本意ではないが、お願い出来るだろうかと問うと、万里亜は目を見開いて蓮を見つめ、そうして何かを言いかけた唇を決意に引き結んでコクリと頷いた。

「ありがとう」

フワリと柔らかい笑みを浮かべ、懐から小さな包みを取り出した。

「その小刀では傷も大きいものになってしまう」

そう言って取り出したのは、針山に刺さった一本の針だ。

「ありがとうございます、晴明様」

蓮の気遣いに、見物人からはさすが安倍晴明だという声が湧いた。
やはり安倍晴明は当代一。どこまでも見通しているに違いないと人々は確信する。

「――待て」

万里亜の指先が針へと触れる寸前に室内に響いた制止の声に動きは止まる。
ゆるりと体を起こす蓮、そして阻んだ事に驚いた一同は声の主の姿を追った。

「万里亜に反応したという事は、俺にも連なる人間だという事だな」

声の主は絽織帝である。

「……おじい様?」

「それだ」

「え?」

瞬く万里亜に絽織は言う。

「万里亜は孫娘。そんな事すら俺はたった今思い出した」

飛鷹はお前の孫息子だったなと言った絽織に右大臣が渋い顔で頷く。

「そこにいるのが俺の息子であり、万里亜の父親である皇貴だという記憶を奪ったのは一体なんだ」

「おじい様……」

ここに来て完全に思い出したらしい絽織は蓮をじっと見据えた。

「そんな事が出来る有能な術者を、俺はお前以外には知らんぞ。晴明」

一気にザワリとした動揺が、拝殿の中を駆け抜け、得体の知れない恐怖が一同の心を染め上げようとしていた。




***




「さて。私の無実は先ほど、この棺が証明してくれたと思いますが?」

涼やかな表情をなおも崩さない蓮を挟むように立つレイノと松太郎が柳眉を寄せる。

「それとこれとは話は別だろうが」

「それは、不破君。君も俺が元凶だと言いたいという事なのかな?」

「たりめぇだ」

「ふむ。困ったな」

苦笑を浮かべた蓮はやれやれと肩をすくめ、勝利を確信した松太郎は口角を上げた。

「王手だ。……安倍晴明。潔く認めろ」

蓮に注がれる疑惑の眼差しがもはや拭い去れないレベルまで高まっている事は蓮自身が一番感じている。
思わず嘆息を零し、蓮はじっと松太郎と睨み合った。

「そんな事っ、どちらでも構いませんっ」

「は? っておい!」

唐突に声を上げたのは松太郎、レイノ、蓮、この長身の三人に埋もれるように座り込んでいた万里亜だ。

「万里亜!? やめなさい!」

絽織が制止するも、万里亜は棺の上に置かれていた小刀を手に取り、素早く自分の右の人差し指に滑らせると、血に濡れた指先で五芒星をなぞった。

「なっ! 万里亜ちゃんっ!」

勢い余って深く傷を付けたのか、万里亜の指先からの出血が多い事に慌てた蓮がすぐさま手持ちの手拭いを裂き、万里亜の指先に巻き付ける。

「万里亜っお前、なんて事をっ」

誰か、医師を呼んでこいという椹の指示で、見物人の貴族の一人が青い顔で外へ向かって走り出し、また、心配顔の面々は万里亜の傷口の深さを窺う。

「指は曲げられる?」

「え、あ……はい。大丈夫ですわ」

鋭い痛みはある。けれど、幸いにしてそう深くはなかったらしい様子に一同がほっと息を吐く。
けれど、万里亜は自分の傷以上に着目せずにはいられない一言に捕らわれ目を見開いていた。

「……万里亜……ちゃん?」

安倍晴明には今この場で初めて顔を遭わせた間柄だ。
なぜ、このとっさの瞬間にその呼び名が飛び出したのか。自分をそうやって呼ぶのは京子だけだったはずだ。

「全く、お前というやつはっ」

心配をかけてと叱る絽織の言葉もまるで入ってはこない。

「……あなたは、まさか」

けれど、万里亜が次の言葉を発するよりも先にドクンと室内に風が起こる方が早く、レイノの言う封印の解けた兆しの脈動に、一同は一斉に棺へと注意を向けた。

「お父様……?」

もちろん、万里亜も例外ではなく、父親の元へすがる。
すると、透明の棺の蓋は万里亜の力でも簡単にガコンと滑り落ち、万里亜は驚きに目を見張るも、すぐさま父親の頬に指先を伸ばした。

「お父様っ、お父様!!」

白い頬にはゆっくりと赤味が差し、何度となく呼びかければ、棺の中で死んだように眠っていた皇貴の目蓋が軽く動く。

「……ぅ……」

「お父様っ!!」

「…………万里亜?」

ゆっくりと瞳は開き、皇貴は自分を必死で呼ぶ万里亜の姿を視界に捉える。

「皇貴っ、俺が分かるか?」

皇貴に駆け寄った絽織帝が万里亜の後ろから問い、二人の姿を視界に収めた皇貴がくっと呻きながら上体を起こした。

「帝……」

「一体誰がお前をこんな目に合わせたっ!」

「こんな目……?」

問われた意味がまだ今一つ飲み込めないのだろう。よく分からないとぼんやり瞬き考える皇貴だったが、次第に意識がはっきりした彼は今自分のいる状況を思い出し、はっと息を飲んで建物の中にいる人間の顔をぐるりと見渡した。

「……空、空はっ!?」

絽織の詰問に答えるでもなく空模様を問う皇貴に全員が不審を抱きながらも松太郎が拝殿の扉を開ける。

「おーおー。良い感じに雨雲が集い始めてんな」

外は暗くなり始めており、厚い雲が集まっている。

あと数分の時間があれば間違いなく雨は降り出すであろうと思われた。

「なんて事をっ……」

 雨が失われていた都にとうとう待ち焦がれていた雨雲の来訪。
 歓喜に湧いた見物人達とは裏腹に、皇貴は先ほどまでとはまた違った青い顔で空を見ている。

「お父様?」

けれど、立ち上がった皇貴は万里亜の声には答えずに、蓮の前へと歩き口を開いた。

「晴明殿。なぜ封印を解こうとする皆を止めては下さらなかった」

「東宮様……?」

 皇貴の言葉に虚を突かれたような蓮の表情。それに違和感を覚えたのは万里亜だけではない。

「皇貴、それは一体どういう意味だ!」

 絽織が鋭い口調で問えば、皇貴は自分の発言がもらたしたであろう火種に気付き小さく息を飲む。

「お前がここに閉じ込められていたから都が干上がった。なのにお前は封印されたかったとでも言うつもりか!」

それは都における壊滅的な打撃を、継承者たる東宮自身引き起こした事を意味する聞き逃せない一言だ。

「お父様……」

事態の推移に万里亜が不安を滲ませた声を吐露したが、万里亜を見る皇貴は唇を引き結んだまま何も言わずに絽織へと視線を移した。

「説明をしなかった事は謝ります。けれど、僕はこれでしか都を……守る方法を知りません」

「お前、一体何を考えて……」

絽織の知る息子の皇貴は物静かで思慮深い人間だ。まるで反逆とも取れる行為を計るなど誰が想像出来ただろう。

「もうじき、ここには鳴神がお越しになるでしょう。早くお帰りになった方が良い」

「待て皇貴っ、説明をしろっ!」

けれど、皇貴は無言で首を横に振った。

「皇貴!!」

「鳴神に命を捧げる覚悟のない方は今すぐお逃げなさい」

「なっ!」

淡々とした皇貴の言葉尻を待つかのように拝殿の外で大きな落雷が一つ。人々の鼓膜をつんざいた。








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