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SS・白銀の狐21
ぶりっつんでーげん!こんばんは!革命機的なアニメを18話まで一気見してたら目がシパシパしています、そやえもんです。
やっぱろぼっと良いよねロボット!敦賀さんもパイロットになってしまえばいいんだ←唐突にもほどがある。

日夜、悪の秘密結社アカトキと闘うLME戦隊。
エースパイロットの敦賀蓮はLME総帥、ローリィ宝田に呼び出しを受けた。
「今のお前じゃコイツの性能を半分も発揮できてねぇ」
「なっ!」
「お前はコイツを起動する為に一番必要な感情を理解出来てないからな……」
自分が理解できていない感情とはなんなのか、悩みながらも襲い来る不破軍団との死闘を続ける蓮。
じりじりと強力になっていく敵の攻撃に少しずつ後退を余儀なくされる日々は続き、これまでにない危機に瀕したその時だった。
一陣の風と共に、運命の出会いが訪れたのだ。
「親方、空から女の子が!!」←強制終了。

みたいな冗談はさておき。
そんなこんなで、白銀の狐もいよいよ21話目であります。

お付き合い下さる皆様、いつも拍手などなど、本当にありがとうございます^^






白銀の狐 21








「さてと、意識を失ってもまだ立っているのは誉めてやるってもんだが、そろそろ終わりにしようぜ」

松太郎がニヤリと京子を見下ろした。

「君っ。やめないか」

皇貴が制止するものの、松太郎は一瞥し、慇懃に口を開く。

「東宮様には様々な嫌疑がございます。あまり不利益になる行動はなさらない方が御身の為かと思いますが?」

そうして揃えた指先が京子の眉間を狙いピタリと添えられた。

「まっ、待って下さい! その方は安倍晴明様御本人ではありませんわ!」

「……なに?」

松太郎を止めたのは万里亜の声だ。振り返り窺えば、万里亜は拘束する絽織の腕から逃れようと必死にもがいている。

「その方は晴明様の、晴明様のっ」

「なんだって言いたいんです? 姫君」

けれども、ここで京子を晴明の番なのだと言ってしまうのも、京子の正体が三尾の狐のあやかしだと知れた以上、良くない事なのかもしれないと思わず言い淀む万里亜に、松太郎はやれやれ、狐は姫君にも何かし出かしたとみえると呟いた。

「そんな事っ!? ぁ……っ」

ありませんわと続く筈の万里亜の声は思わず途切れ、その愛らしい瞳は驚きに目一杯見開かれる。

「ん?」

万里亜の表情に訝しいものを感じ、胡乱に振り返った松太郎の前には、気を失った狐姿の京子を抱き上げようとしている蓮の姿があった。

「晴明っ!!」

思わず術を行使するべく携えていた指先を蓮へと向ける。すると蓮はすいと右手の手のひらを松太郎に向けて差し出し言った。

「物騒なものを彼女に向けないでくれ」

「なに!? っうぉわああ!!」

蓮が言い終わるや否や、松太郎にだけ暴風が吹き荒れ、松太郎の体は広くない、とはいえ十分に距離のある板間を一気に押し戻し、壁にしこたま背中を打ちつけさせた。

「げほっ、っ、なにするっ! っていうかどっから現れた!」

松太郎は気配など感じなかった。
そして、外は激しい雷雨だというのに蓮の着衣には一つも雨粒がついてはいない。

「どこと言われても。扉を開けて……ね」

「嘘つけ!」

この拝殿の扉は表に一つきり。蓮がそこから来たならば間違いなく雨に晒され今頃は濡れ鼠。気配とて分かるはずだ。

「ああ、失礼。そこの扉ではなく、一条戻橋から異界を通って来たものだから、雨には濡れなかったんだよ」

「なんじゃそら!!」

 至極もっともらしい顔をして発言しているが、蓮の言っている事は常人には理解不能である。

「んなとこが通れるって事は、やっぱりお前、普通の人間じゃねぇっ。あやかしの類なんじゃねぇか!」

一条戻橋とは、都の北部に位置し、いつの頃からか現世と死人の世界を繋ぐという曰わくのある橋であるが、陰陽師の中にそれが事実であると証明した者はもちろんいない。安倍晴明の邸宅の近くにある文字通り、木製の橋である。

「失礼だな。コツさえ見つければ通れるものだよ。意外とね」

柔らかい微笑のまま吠える松太郎をやり込める蓮であるが、やはり、室内に居合わせた人間達は総じて急に現れた蓮に恐れを抱かずにはおれず、怯えた視線を向けた。

「晴明様っ、お姉……京子様はご無事ですか!?」

ただ一人、真っ直ぐな視線を投げる万里亜は京子を心配して声を上げる。
すると蓮は腕の中で浅い呼吸を吐く京子と万里亜、二人を交互に見やり、力を使い過ぎているが大丈夫だよと微笑んだ。

「時に。事情はおおよそ把握しておりますが、皆々様におかれては議題がすり替わってはおられませんか?」

「……なに?」

「そもそも。こちらにお越しになられたのは、雨乞いの為。違いますか?」

「た、確かに……」

「そういえばそうだ」

涼やかな顔の蓮に問われ、一同は確かにと当初の目的を思い出し、同じくして再び激しい雷鳴が轟き響いた。

「きゃあっ」

万里亜は絽織にすがり、絽織は万里亜を抱き締める。そんな二人の姿を皇貴はなんとも言えない表情で眺めている。

「確かに東宮様をこの神社で封印したのは私に相違ない」

「やっぱりお前がっ!」

己の所業を認めた蓮に、松太郎が敵の大将首を押さえたかのような顔をした。

「だが、それはこの激しすぎる嵐の訪れを止める為でもあります」

「……どういう意味だ?」

絽織が蓮に問うと、蓮は皇貴に視線を向ける。それは貴方の口から語られるかという無言の問いだ。
けれど皇貴は瞳を伏せ、首を横に振った。

「父上。申し訳ないが時間がない。このまま都に深刻な水害が出る前に私は嵐を止めねばならない」

「皇貴!?」

絽織の声には答えずに、皇貴は決意の眼差しを蓮に向ける。

「私は東宮様の願いを叶えて差し上げると契約しましたのでね。申し訳ないが、方々の記憶に介入させて頂く」

爽やかな顔でさらりと言い放つ蓮に全員が硬直した。

確かに安倍晴明ならばそれだけの強大な力があるとしても、今ならば納得がいく。

「や、やめろ! 晴明!」

「お前というやつは! 目にかけてやった恩をっ」

陰陽頭や椹が叫ぶが蓮に答える気配はない。

「安倍晴明。貴様の好きにさせる言われはない」

「全くだ。てめぇのいいようになんざさせるかよ!」

けれど、この状況で能力値の底が見えない安倍晴明に対抗しようと立ち上がったのはレイノと松太郎の二人だけである。

「おやおや。ずいぶんと息の合った事だ。友人にでもなったのかい?」

「なるか!!」

「気持ちの悪い事を」

ふふふと笑う蓮に松太郎とレイノが思わず互いの距離を開ける。
すると蓮が二人の顔を順繰りに見比べて笑みを深めた。

「バカにしてんのかっ!」

「いいや、全く」

視線一つで簡単に激高した松太郎だが、蓮に翻弄されている己に気付き、ぐっと言葉を飲んだ。

「東宮様のおっしゃった通り、時間がないのでね。ここは引いて欲しいんだが」

「ざけんなよ」

自分達を真面目に相手にしようとしていない蓮の態度に、松太郎の頬は引きつり、また言われた通りにすごすご引き下がるなどと出来はしない。

「得体の知れないあやかしが人間を気取るなんざ片腹痛いっつーんだよ。その狐と合わせて黄泉路に送ってやる!」

「――……ほう」

戦闘体制を取る松太郎に、すううと笑みを消した蓮がふわりと目蓋を閉じ、開く。

「お前は……」

先に気付いたのはレイノ。

「その目っ!」

蓮の持つ漆黒の双眸に青い焔にも似た煌めきが宿り、室内の気温はみるみる冷えていく。
明らかに常人ではない変化にたじろぐ松太郎に、蓮はすいと右手を上げ、人差し指で宙に五芒星を描いた。

「あまり乱暴な事はしたくないのだけど……」

すると、一同の背後にドサリという物音が二つ落ちる。

「な……なんだなんだ!?」

驚きに背後を振り返ると、そこにいるのは倒れている弥勒と祥子。そして二人を倒した張本人らしい奏江と社だ。
翔子と弥勒、二人は完全に気を失っており、その姿には戦いが発生したのだろう、傷ついた痕が見られる。

「やられたらやり返すってね」

腰に手をやり誇らしげに笑う社がレイノを見やると、社を退治したものと思っていたレイノの表情に忌々しい色が浮かぶ。

「くっ」

「……弥勒」

気を失っているらしい二人が視界に入ると、今度はレイノと松太郎が顔色を悪くする番だった。

「さて。俺が人間ではないというならば、君達はどうなのだろう」

外の嵐が激しさを増しているく、閉じられた扉からは隙間風が吹き抜け、蓮の黒髪がさらさらと揺れる。

「あやかしと肌を合わせ、能力の波長を高める行為は果たして正義なのか」

「はっ。なんの話だか分からないな」

「禁呪法を用いた式神の作製は忌むべき外法ではないのかな?」

蓮の問いに反応を見せた松太郎、そして沈黙を貫いたレイノ。真逆の反応ではあったが、普通の人間である者達にとっては蓮が嘘を言っているようにも思えず、今度は松太郎とレイノに対しての恐れが募る。

「頼むから、邪魔をしないでくれないか」

青い瞳に見据えられる迫力と、それぞれの弱みが暴かれた現状は、松太郎、レイノの形勢が一気に不利になった事を示していた。




***




睨み合いによる硬直状態が続く三者ではあったが、最も激しく流動するのは外の嵐の変化だ。ガタガタと扉は音を立て、建物の建てつけ自体もゆらゆらと揺れ始めている。

「晴明殿」

残された時間が少なくなってきたと皇貴が呟くと、蓮は拝殿の御神体である木箱の方へと向かい、透明の棺の元へとしゃがみこんだ。

「まだ使えそうかな?」

「ええ。問題ありません」

問う皇貴に頷く蓮。それは皇貴が再びそこに戻ろうとしている事を意味する。

「お父様、どうして?」

真意を問う万里亜に皇貴は柔らかく笑う。

「待って……」

棺へと歩いていく皇貴の姿にすがるように声をかけるが歩みは止まらない。

「行かないで、行かないでっ!」

愛おしい人が失われていこうとする様は、幼い万里亜には酷な光景で、絽織が思わず抱き締め、その視界を塞ごうとしたその時だった。

「……京子?」

蓮の腕の中で気を失っていた京子が人型を取り戻し、蓮の体を抱き締めるように立っている。

「こんなの駄目です。ちゃんと抱えているものは伝えてあげないと、後には苦しさだけが残ります」

「お姉様っ」

もはや目蓋を開ける気力もないのだろう。京子は瞳を閉じたまま、立つというよりも蓮に寄りかかっていると言った方が正しい。

「何も言わずに守ろうとするんじゃなくて、少しでもいいから分けて下さい。どうか、重たい物を一人で抱えないで」

「京子……」

言葉一つ。けれど、その優しさに溢れた想いの塊は言霊としての力を宿すだけの深みがあった。

「お姉様……ぁっ……」

心の奥に秘めた想いを持つ者全てに響く言霊。

それが心に傷を持つ人間の深淵に触れた時、流した血液が傷口を癒やす瘡蓋となるのと同じように、瞳から溢れる一筋の涙となって煌めき、落ちた――。










残すところあと二回。よろしくお願いします><
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