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SS・白銀の狐23
こんばんはでございます。
そんなこんなで、白銀の狐、完結話でございますです。

作品に関しての後書きはまた最後に^^

今年も残り少なくなってきましたね。紅白に閣下が御出演とかで、え?え?え?TVの前でいえーがー!って叫べばいいんですかね。
ところで、今のところ腹筋継続中なんですが、そろそろ心が折れそうです←早い








白銀の狐 23




エピローグ




一連の騒動も落ち着いたある日。京子は蓮に連れられて内裏を訪れていた。

「あ、あのっ、蓮様っ?! 私っ、擬態しなくて本当に良いんですか!?」

「編笠の中なんて誰も覗かないし、大丈夫だよ」

 言葉の通り、外出する女性のたしなみでもある網笠は被った状態で連れられてはいたのが、夏彦の姿に擬態していなければ、髪の毛も茶色い素の自分のままではどうしても落ち着けない。

「安倍晴明様、ようこそお越し下さいました。帝がお待ちです」

「きゃああっ!」

「これはこれは、近衛殿」

二人を出迎えたのは件の折、絽織帝のすぐそばに控えていた大陸の香りが漂う美男の近衛兵だ。
気配に気付かなかった京子が叫び声を上げた事など何も聞かなかったように、一つも表情を崩す事なく、けれども「失礼致しました」と深々頭を下げた近衛兵は、こちらですと奥の間へと道案内を始める。

「ぁ……はい」

蓮に手を引かれ、しずしずと歩くと、入り組んだ御殿の奥へ奥へと進んでいく事に気付き、京子は辺りを見渡した。

(……あれ? ここって)

なんとなく見覚えのある壁面へと色が変わり、こちらですと通された先にはこれまた見覚えのある人物が勢揃いしていた。

(えええええ!?)

最奥の一段高い場所にはくつろいだ顔で座椅子に座る絽織帝。一段下り、その右手に皇貴。向かい側には右大臣が座っている。

そうして一番の驚きは、彼らに対面するように下手で並び、座っている人間達の顔ぶれだ。

「おっせぇんだよ、安倍晴明。どんだけ待たせるつもりだ」

「確かに遅い。が、不破と同意見だなどと虫酸が走る。不破。真似をするな」

「は? 今、俺の真似したのはテメェだろうがっ!」

座布団にして十枚分ほどは余裕で距離を離した位置に松太郎とレイノがすでに着席しており、その隣には祥子と弥勒がそれぞれに座っていた。

(って、何!? どういう事っ!)

祥子は茶色い髪の毛もそのままで、自身があやかしである事を隠している様子もない。

「確かに後日改めてとは聞いていましたが、呼び出しが突然すぎるんですよ。お陰で彼女に何の説明も出来ませんでした」

松太郎とレイノ、二人の丁度真ん中に座り込んだ蓮が絽織に向かって苦言を呈しながら着席すると、京子も慌てて網笠を外して隣に座るが、どうにも落ち着かずにチラチラと辺りを見渡す。
すると、思いきり不機嫌顔の松太郎とバッチリ視線を合わせてしまい、ガラの悪さにギクリと体をこわばらせた。

「なるほどね。やっぱりあの偽晴明に化けてたのはお前か。つか本当にお前が晴明の番なの? ははは、あり得ねー」

「な……なによ! 失礼ねっ」

納得がいったとばかりの松太郎の反対側から今度はレイノが言った。

「安倍晴明ゆかりの女だから碌なもんじゃないだろうと思ってはいたが、まさか化け狐だったとはな」

明らかに馬鹿にしている松太郎の表情とは違い、京子が化けていた事に気付けなかったレイノの顔は悔しさから苦虫を噛んでいるかのようだ。

「ちょっ、ちょっと! さっきから化けた化けたって何なのよ、一体っ」

なぜまたこのメンバーが呼び出しを受けているのか、考えたくはないが、先日の顛末から、叱責の一つも受けない訳もないと思う不安から、蓮の袂をこっそりと握る。

すると、そこへ絽織が扇をパチンと畳む音と「さて」という声で一斉に静まり返った。

「全員揃ったようでなにより。ご苦労だったな」

そう言って鷹揚に一同を見渡す。

「先立っては、各人それぞれに思惑はあったであろうが、結果的にはここにいる全員の働きにより都は平定を取り戻した。大儀であった。誉めてやろう」

最高権力者の横柄にも思える物言いに京子が思わずはあ……という小さな相槌を打つと、今度は蓮が言った。

「それにしては他の陰陽寮の面々がいらっしゃいませんが?」

すると絽織は蓮の言葉を鼻で笑い、あいつらはただ騒いでただけだからな。もうちっと鍛えるように左大臣の方から伝えさせる。と言った。

「まぁ、なにがなし。なんでもかんでも安倍晴明頼りっつーアイツらの考え方も考えものだったって事だ。……なあ、上杉?」

すると、かたや芦屋道満頼りにしていた自覚のある上杉虎徹が左様ですなとバツの悪い顔で頷きながらも絽織に見えないように渋面を作る。

「んで。せっかくの機会だ。今日はお前らの裏方で働いていた奴らの顔も拝ませてもらおうと思った訳だ」

絽織は京子、祥子、弥勒の顔をじっくり見渡すとニンマリと笑った。

「晴明。お前については会わせろと再三せっついたのに、いつまでも嫁を見せたがらんのが悪いんだぞ」

「よ、嫁っ!?」

「と言われましても……」

恥ずかしさから動揺する京子をよそに、良い時節がなかったんですよとしれっとした態度を崩さない蓮に、絽織は口先を尖らせて拗ねた子供のような素振りを見せる。

「それで? 俺らの居場所を人質に手の内を見せろと要求した真意はなんですか?」

帝相手に恐ろしく強気の物言いをしたのは松太郎だ。
どうやらそれぞれに自分の力のあり方を知られてしまった以上、この世界で生きていけなくなる可能性を握られている。だからこうして渋々とはいえ、言われた通りに連れ立って来たのだろう。
あやかしと情を交わしている松太郎は特に捨て鉢になっている感が否めない。

「まあ、お前達の個々の事情に関しては、この場限り。以後不問に付しても良い……と思ってなぁ」

「ほう。それは興味深い」

禁呪を使った式神、弥勒を有しているレイノが食いつくと、絽織は将を得たりとニヤリとした笑みを零す。

「お前達。自分こそが術者として最強であると思っているんだろう?」

「当然」

「いや、俺は別に」

ふんと鼻を鳴らす松太郎の隣で蓮が言うと、さらに隣のレイノがすまし顔でさらりと言った。

「霊力だけでなく、知力も合わせ持ってこそ、初めて最強だろう」

と、暗に他の二人は自分以下だと馬鹿にしている。

「レイノっ、てめぇ!」

「ふん。対策もなしにこの場にいる訳がなかろう。馬鹿め」

「なにぃ!!?」

 松太郎がレイノの真名を呼んだものの、全く効果が無い事に目を見開き。松太郎にやり返す事が出来たレイノは小馬鹿にした表情で松太郎と睨み合った。

「やるかド畜生!」

「吠え面かくがいいさ、単細胞」

 立ち上がり、一触即発の空気で互いにずんずんと歩んでいくと、たまったものではないのが真ん中にいる蓮と京子だ。

「ちょっ、ちょっとやめなさいよ、こんな所でっ!」

 京子が声を上げるが聞き入れない男達は京子と蓮のすぐ正面で胸倉をつかみ合いやりあっている。

「貴方達も止めなさいよ!」

 翔子と弥勒になんとかしろと両者を交互に見やるが、弥勒はレイノが負けるはずはないから止める必要が無いと薄く笑う。

「私、狐って嫌いなのよ。話かけないでくれる」

 翔子に至っては京子に声をかけられた事すら苦痛だと言わんばかりにツンとしており取りつく島がない。

「だいたい! なんで番を連れて来いって命令に、連れて来たのが男の式神なんだよ。衆道かお前っ」

「余計なお世話だ。貴様の方こそ、連れているのは狐に職を奪われて社を無くした神使崩れの雌狼ではないか。馬鹿にされる云われはない」

「なっ、てめぇ。どこで嗅ぎ付けた!」

「ふん。貴様に教えてやる訳もなかろう」

「なにをーっ!」

 どんどん熱くなっていく舌戦に止まる気配はない。

「ちょ、ちょっとっ……れ、蓮様っ」

 どうしましょうと蓮に助けを求めると、蓮は京子の懇願でようやくしょうがないねと溜め息混じりに腰を上げ、パンと一つ両手を鳴らした。

「自分達が愚か者ではないと言うのなら、少し落ち着いてくれないか? なんの条件も無しに今上陛下が私達を不問に伏すとおっしゃる訳がないだろう?」

蓮が言い置くと、沸騰した血液が頭から下りたらしい松太郎とレイノは無言の睨み合いを同時にふんと逸らし、再び席へと戻っていった。

「お……お見事……」

一言で止めてみせた蓮の手際の良さに京子が感嘆していると、一連の騒ぎがツボに入ったらしい絽織は、肘置きに突っ伏して肩を震わせている。

「……父上」

みんなに見られてますよと、呆れ顔の皇貴が絽織に小声で呼びかけると、ようやく絽織は正面へと向き直った。

「あー。それでだな」

ごほんと咳払うがその瞳には笑い過ぎから涙がじわりと滲んいる。

「お前達の力が強い事はよく分かった。分かったからこそ、これからはそれなりの官位につけ、働いてもらおうと思うんだが」

「だが……?」

なにやら続く話に京子が瞬くと、絽織はすっと右手を出し、そこに静かに控えていた近衛が巻物を一巻手渡して下がる。

「この世の中。いくらなんでもただで出世出来ると思うな!」

「えええっ?!」

ドバンと言い切った絽織に思わず驚きの声が隠せない。

「それで? 俺達に何をさせるおつもりなんですか?」

一人、絽織帝の性格をよく知る蓮は、慌てる事も絶句する事もなく問いかける。
すると絽織はしゅるしゅるしゅると巻物を開いていく。

「お前達には一つずつ、物探しをしてきてもらう」

「物探し、ですか?」

 なんだよ、もったいぶっておいて、たかが失せ物探しかよと毒付く松太郎は、失せ物探しの術に相応の自信があるのだろう、そんなもん、すぐ終わるぜと安直に構えている。

「……帝のおっしゃる物がそう簡単に見つかるとは思えないけどね」

「え?」

 京子の横で蓮がボソリと呟くのと同時に絽織が、巻物を一つずつ読み上げた。

「不破松太郎は仏の御石の鉢を探せ。芦屋道満は蓬莱の玉の枝。安倍晴明は火鼠の皮衣だ」

「……え……えっと……あ、あれ?」

なにやら聞いた事のある名前の登場に京子がどこで聞いたかと思考を巡らせる。

「各自見つかった者から順番に官位を与えていく事とする。てっぺんに立ちたければ、早く見つけろよーっ」

「蓬莱の……枝?」

「は? 仏の御石の鉢って……」

おいおいおい、なんて物を探させようと言うんだこのおっさんは。とでも言わんばかりの男二人を尻目に、京子は思考が追い付かずに蓮にええとと問う視線を投げた。

「まさか、先祖が見つけられなかった物を探せとは……ね」

 ふぅうと深い溜め息を吐いた蓮はやれやれと腰を上げ、それに習い京子も立ちあがった。

「あ。竹取物語?」

 蓮の言葉を手掛かりに探し物の正体に気付いた京子が声を上げると、松太郎とレイノの耳がピクリと動く。

「では、帝。俺はしばらく都を留守にしますので、御前を失礼しますよ」

「おうよー」

 ひらひらと手を振り見送る絽織を後ろに、蓮は京子を伴い部屋を出ようとしてぴたりと足を止め振り返る。

「手掛かりは分けてあげたんだ。二人とも、命を落とす事のないように気をつけてね。ではお先に失礼」

 にっこり笑って言い置くと、パタンと襖を閉めて歩き出す。

「馬鹿にすんなぁぁ!」

 背後からは松太郎の怒声が轟くが、涼しい顔の蓮は何も聞こえていないように眉一つ動かさない。

「少し、スッとしたね」

 小走りで追いかける京子をゆっくりと振り返ると、蓮は企み顔でクスリと笑った。

「あの、蓮様? 帝の提示はそれ程に危険な事なのですかっ?」

「うーん。まあ、それなりにそれぞれ難易度は高い、かな」

 でも大丈夫だよと言う蓮に京子は言った。

「今度は、その、私もご一緒させて頂けますか?!」

 これで置いて行くと言われたらどうしようと心臓はいやにバクバクとしていたが、聞かずにはいられない。そんな京子の緊張の面持ちに蓮は何も言わずに右手を差し出した。

「連れて行くよ。一緒に」

「っ! はい!!」

 手を繋ぎ歩き出す。その足取りは軽く、京子の顔には満面の笑顔が浮かび、うっかり飛び出した三本の尾が喜びを表すようにふわふわと揺れている。

そんな二人の光景をじっと見ている者はただ一つ。それは都を燦々と照らす太陽であり、平穏を取り戻した青い空。そこには通り雨から生まれた七色の虹がキラキラと輝いていた――。





     白銀の狐  終








全23話でお届け致しましたが、本当に紆余曲折の塊で、お付き合い下さった皆々様には感謝の言葉しかございません。ほんっっっとうにお付き合いありがとうございました^^
白銀の狐と言う作品は、ノリと勢いと無謀から書き始めたシリーズだったので、私の力不足から、書いては止まり、放置。書いては止まり、放置。そんな日々を続けていたのはずっと引っかかっていた作品なのですが、これじゃいかんとオフ本化というアクセルを全開にして、大量の書き直しも入れてやっとここまでたどり着いた次第であります。
平安時代っぽい物語というのは本当に書くのが難しくてですね。だって私平安時代に生きてないもん!←子供か。
調べれば調べるほど間違ってる事とかいっぱいありすぎて、大幅に加筆修正したものをサイト再録をしていない時点で、サイト内で読んで頂ける範囲では特にいっぱい間違ってる知識が入ってたりするんですが、そのあたりはもう本当、すいません。
本当はちゃんとサイト連載できちんと形にしてから再録本とかにするくらいの勢いで行ければよかったんですけども、白銀の狐が一番実力不足が顕著に出てて、矛盾とか、つたないところがモロに出てしまった作品になってしまったせいか、公開ごとに裏側ではけっこうダメージを受けてたりしたので、どう書けばいいのかだんだん分からなくなってどんどこ執筆出来なくなっていったという残念な裏側もあったりなかったり。
今回再録する事も実は結構ハラハラどっきどきしてたんですが、好きだとおっしゃって頂く機会も同じくらいあった作品なので、こういう作品も有りだったかなと優しく受け止めて頂ければ本当幸いです。
今落ち着いて振り返ると、ここからなら、彼らはどう生きて行くだろうかとか、こんな話もあったら楽しいのかなとか、いろんな事を考える事も出来るので、私にもうちょっと良質な脳みそが備わったらまた時代ものに挑戦してみたいようなしたくないような(笑)というか、誰か本当書いてくれんか・・・。

とにもかくにも、完という文字を付ける事が出来たのは、この作品を好きだとおっしゃって頂けた皆様の一言一言が本当に励みとなりました。心からの感謝をしております。ありがとうございました!
次もがんばる!!!!
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