スキップ/ビート二次創作のブログ。 二次創作に理解の無い方の閲覧はご遠慮下さい。初訪問の方ははじめまして記事を御一読ください

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

SS・続・臆病者の逃亡記/前編【キョコ誕2013】
こんばんはこんばんは。
大掃除の進捗状況ゼロのそやえもんです。

続きをというお声を頂いてたんですが、どうにもタイミングとか、ストーリー的にちょっと出しそびれていたんですが、キョコ誕生日だしなにか更新したいよねっていう勢いで、完成させたので出してみました。

「続」ってついてるあたりでお気づき頂けるかと思うのですが、今作は今年の蓮誕2013。臆病者の逃亡記・前編後編の続きとなっております。

きっとよそさまがキラキラしい恋愛ものを書いて下さってると信じて我が家シリアスですいません。
あれですね、最近の私・・・勢い足りてないね。おやーん。と思いながら日々が軽く過ぎておりますよ。
もっと脳みそ使おう。うんうん。


パスワード到着連絡、感想などの拍手を下さったみなさま、いつもありがとうございます!








続・臆病者の逃亡記 前編






恐ろしく真剣な瞳が私を貫く。

――俺を失恋させる事が出来るのは、君だけ。

掴まれた手首はどれだけ力を込めても全く振り解けない。
痛いはずなのに、この力強さこそが敦賀さんが私を求めている証しなのだと訴えかけてくるようで、なぜだか、私の心はこの痛みを無性に愛おしいと感じた。
嬉しいと感じた――。


――俺を幸せに出来るのも君だけ。

捕まえられた手のひら越しに伝わってくる敦賀さんの心臓の音に触発されて、私の鼓動が激しく爆音を轟かせていて、まるでこの辺りだけ酸素がなくなってしまったのだろうかと思う程、呼吸が苦しい。

「だから、俺を好きになって?」

「っ!!……っぁ……」

睫毛の長さがはっきりと分かるほど近くに敦賀さんがいて、勝手に上がっていく体温は冷めるはずもなくて。

「わ……わかりましたっ、もうっ、わかりましたからっ」

餌を求める魚のように唇は意味なくわななき、力が抜けた体は冷たい床にへたり込んだ。
本当に……なんという破壊力を持った人なのだろう。

「うん。ありがとう」

降参の白旗を掲げざるを得なかった私はこんなにも前後不覚だと言うのに。
目の前のこの人は憎らしいくらい綺麗に笑う。

「――あのーっ。取り込み中、本っ当に、本当に申し訳ないんだけど、ちょっといいかな」

「……へ?」

思わず見惚れていたから、まさかこの部屋に他の誰かがいるだなんて全く思わなかった。
というか、気付けなかった。

「ああ、社さん。いたんですね」

「えっ!?あ、えっ……え!!?」

二人きりだと思っていた会議室の中にはいつの間にか入ってきていたらしい社さんが困り顔で所在なげに立っていて。

「居ましたよ。ノックしたけど返事がないから仕方なく入って来たの」

「そうですか」

驚きのあまり、声も出ない私とは完全に正反対で、にっこりと笑う敦賀さんを社さんは胡乱な目で見上げている。

「全く。つーか、蓮。お前は確信犯で俺を無視しただろ!?」

「……さあ。なんの事だか」

「すまして誤魔化すな!!」

「いやですね。誤魔化してなんていませんよ」

社さんならこのどうしようもない状況を落ち着かせてくれるんじゃないかと思って、助けを求めようと必死に眼差しで訴えたのだけれど。

「全く。どうしてそんな目で社さんを見るのかな」

社さんを見ていた事をなぜだか怒られた。

「え?あ、その……」

(そんな事言われても、実際問題、この逃げ場が一つもない状況をなんとかしてほしいと思うのはいけないこと!?)

「れーん。あんまキョーコちゃんを追い込むなよ」

困り果てた私を見かねたのか、社さんが注意してくれたのだけれど。

「人聞きが悪いですね。追い込む……だなんて」

(いやいやいや!追い込んでますっ!追い込まれてますっ!!鰯の群に口を開けたシャチの如く追い込み漁してるじゃないですかっ!!)

「というか。俺は外で待っていて下さいってお願いしましたよね?」

「確かにそうだけどな。悪い男に加担しちゃった身としてはキョーコちゃんがソイツにいじめられてないか、結構心配だったから、扉の側でこっそり控えてたの」

やりすぎは良くないんだぞという社さんに、敦賀さんは大きく溜め息を吐いた。

「酷い言われようですね。本気を出しただけなのに」

心外だと敦賀さんが大きく肩をすくめてみせて、今度は社さんが深々と溜め息を吐く。

「その本気が本気すぎて、全弾向けられる方は怖いって分かってやれよ」

「はい?」

「お前の共犯者になった以上、お兄さんには責任があるの。好きな子を虐める小学生じゃあるまいし。だいたい、いくら事務所内だからって通りがかりの人間に聞かれたらどう弁解するつもりだよ」

どうやら私たちのやり取りは社さんに心配をかけていたのだと理解した。

「俺に介入されたくないなら、こういう秘密の話をする時は、ちゃんとドアを施錠するとか、もう少し気を使って欲しいね」

「すっ、すみません社さん」

社さんの言葉に珍しくトゲがある事に驚いて慌てて謝ると、すぐに社さんはちがうちがうといつもの優しい表情に戻る。

「キョーコちゃんは良いんだよ。蓮に言いたいだけから」

「はあ……」

「覚えておきますよ。それで?なにかご用があるのでは?」

「あ。そう。申し訳ないんだけど、時間切れ。次のスケジュールが詰まってるからそろそろ移動するよ」

「了解です」

すると、もう一度私の方へ向き直った敦賀さんの両手が、床にへたり込んでいた私の身体をひょいと持ち上げて。
そうして、敦賀さんの纏う香水がふわりと鼻孔をくすぐった。
……なんて心臓に悪い。

「ねえ、最上さん」

「はっ、はひいいい!!」

「確認しておくけど、君は『分かりました』って答えた意味。ちゃんと分かってるよね?」

(分かりましたの……意味?)

「え……っと……それはどういう?」

「もう君は俺の恋人で、俺は君の恋人って事。分かってる?」

「えっ!!?えええ!!?そんなっ!!?」

「……そんな?」

キラリと光る眼差しにビクリと跳ねた。

「い、いえ、なんでもないです!分かりましたっ!!分かってますっ!!!」

敦賀さんを私の恋人呼ばわりしてしまうだなんて、恐れ多いにもほどがある発言に、気が遠くなりそうながらも、神々しく光り輝く笑顔に無言の圧力を感じて慌てて何度も頷き返す。

「うん。ならよかった」

「は……はい……」

なんとか圧力が和らいでくれたと、ほっと胸をなで下ろしたのだけれど。

「じゃあ、最上さん。一つ宿題をあげる」

「宿題……ですか?」

一体何をと問いかければ、敦賀さんはまたにっこりと笑い、ちょいちょいと手招きの動作を見せた。
恐る恐る近付くと、敦賀さんがそっと耳打つように囁く。

「次に会う時は、分かりましたじゃなくて、俺をどう思っているか、ちゃんと教えて?」

「……どう……?」

それは一体どういう意味ですかと問かける間もなく、時間に追われた敦賀さんは、じゃあねと神々スマイルを残して社さんを連れて部屋を出ていってしまった。

「え……っと」

『俺が今一番欲しい言葉。当ててみて?』

後に残された私は、目の前に現れた、高すぎるハードルに、声もなく唸り続けたのだった。




――――――――――――――




「アンタの口から好きだって言って欲しいだけなんじゃない?」

「すっすすすすき!?」

「ススキじゃないわよ?」

分かってるわようと唸りながら机に突っ伏すと、後ろからモー子さんの声が追いかけてきた。

「それかさっさと一線越えたいとか」

「一線?」

「キスして下さいとか言えば、好きですって言うより遥かに喜びそうね」

「キキキキキ!!?」

真っ赤に染まる私の顔を、ゆでたこみたいねと言ってのけたモー子さんは、どこまでもクールだった。

「っていうか、私にはどう考えてもそうとしか取れないわよ」

「そ……そうかな」

「違うと思うなら私に相談してないで、自分で答えを探しなさいよ」

「ごめんなさい。相談させて下さい。見捨てないでぇ!」

本当は、モー子さんの言う通りなんじゃないかって自分でも分かっていたのだけれど、どうしても自分の口で「好き」だなんて事が言えるとは思えなくて、盛大な溜め息が零れた。

「なんで言えないの?好きなんでしょう?両想いでめでたしめでたしで良いじゃない」

「そう……なのかな……」

けれど、敦賀さんの相手が本当に私なんかで良いのかなっていう疑問符がずっと心の奥でちらついている。

「……全然実感がなくて」

「実感?」

出会いは最悪で、いつから好きになってしまったのか。
いつから好きになってくれたのか。

「ドッキリだったりしないよね……」

思わず零れた呟きに、モー子さんはバカねと笑い、そうして、良かったじゃないと言う。

「勢いで頷いちゃったけど、本当に良かったのかな……だって、私だよ?」

「別にいいんじゃない? なんにも考えずに付き合ってるバカップルなんて、世の中にいくらでもいるじゃない」

「モー子さん!そんな適当な人たちと敦賀さんを一緒にしちゃだめよ!」

「つまり敦賀さんはなにも考えずに告白してくるような人間じゃないって、思ってるんじゃない」

「そりゃ思ってる……けど、でも……」

やっぱり、分不相応だという思いが拭えない。

「アンタみたいなポヤポヤ娘。敦賀さんみたいな人がついてて丁度良いと思うけど」

「どういう意味?」

「さあね」

すると、モー子さんはそこから先は自分で考えた方がいいわよって、何をどうも教えてはくれなかった。









まだ逃げるのかってまだ逃げますよ。逃亡者なので。
スポンサーサイト

コメントの投稿

 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL

Copyright © 光の箱庭. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。