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SS・続・臆病者の逃亡記/後編【キョコ誕2013】
前後編を同日アップ出来て良かったなりよー!!

ということで、改めましてこんばんは。
キョコ誕本当おめでとうございました!!!そして今年も他サイトさまをサーフィン出来なかった・・・ちーん。
今年は冬コミ落ちた分、サーフィンしたり更新したり、いっぱいしようと思ってたのに、まさかインテの原稿にマゴマゴしているだなんてっ。
いや、でも、けっこう長編書いてるので。。。というか、長編を二冊同時に書いてるんだけど、どっちかがサクッと上がったらもう一冊を春とかGWとかでのんびりで大丈夫だよねとか構えてたら、二兎を追いかけたからだろうね。どっちも上がってない・・・。あほですか。あほですね。
と言う事で、今から一本に絞ってゴリゴリゴリゴリ書いて行きたいと思っておりますですよ。

ところで、年内もう一回は更新したいなぁ!希望☆


たわいもない話で毎回すいません。本篇は追記よりどぞ。












続・臆病者の逃亡記 後編








「お、お疲れ様です、最上です」

『お疲れ様。ただの電話なのに、そんなに緊張しないでよ』

「と、おっしゃられましてもですね」

『うーん。まあ、ゆっくりでいいか……』

敦賀さんと交際が始まったからと言って、お互いのスケジュールもあるし、元々敦賀さんのスケジュールは分刻みで忙しい。
電話はこうして何度かしていたけれど、一日、二日と時間が経つほど、この間の告白自体がやはり夢か幻だったのかと思えてくる。

『おやすみ。愛してるよ』

「あっあぁ!? おおお、おやすみなさいませっ」

余韻も無く、耐えきれなかった自分が終了ボタンを押してしまうので、敦賀さんの望んでいるだろう台詞を言えた試しは一度として無い。
こうなると、次に敦賀さんと会う事はとても難しい事のように思えた。

(好きですなんて、今更どんな顔で言えって言うのよ)

「おはようございます」

「おはよう、最上さん」

この日は、椹さんに当面のスケジュールの確認をする予定で、朝一番に事務所を訪れた。
すると椹さんからちょっと来てくれる?と珍しく場所の移動を促される。

「あの、なにか?」

「最上さん、蓮と付き合ってたりする?」

「…………はい?」

一体全体、なんで椹さんが知っているのかと驚きすぎて声が出ない。

「あんまり社が最上さんのスケジュールを確認してくるものだから、てっきり。違うの?」

椹さんの察しの良さにパクパクと金魚みたいになった私を見た椹さんは、それで違わないと判断してしまったらしく、まだ社長には言ってないんだろう?と続けた。

「……はい」

ある意味では察しの良さに感謝したいけれど、出来ればもう少しだけそっとしておいて欲しいと思うのは、それだけ私の心が定まっていないという事だ。

「しばらくは俺も伏せておくから、社長への報告と、公表するかどうか。二人の希望は話し合っておいてね。出来るだけ協力はするから」

主に社長対策だけどねと笑う椹さんは、これで君もラブミー部卒業だねえと言う。

「あ……はい。ありがとう、ございます」

それだけ言うと、椹さんは話は終わりとデスクに戻って行ってしまい、私は一人、廊下に残される格好になった。

「敦賀さんが相手なのに……」

LMEが業界では類を見ないほど恋愛に寛容だと聞いてはいたし、社長のあり方を見れば分かってもいた。
だけど、敦賀さんはLMEの看板俳優なんだから、誰かしらから注意だとか、反対があるものだって思ってた。
最上キョーコは敦賀さんの相手には相応しくないと、誰かが言うんだろうって思っていたのに。

「反対されないんだ……」

「俺がなんだって?」

「ひいいいっ!!」

真後ろから囁かれた声に驚いて飛び上がると、私の悲鳴に逆に驚いたらしい敦賀さんが目を丸くして立っていた。

「そんなに驚かなくても」

「お、お疲れ様です!」

思わず礼を取り、深々と頭を下げると、心の準備なく会えてしまった偶然に、緊張で気を失いそうな自分がいる。

「ここ、誰もいないよ?」

「はい?」

恐る恐る敦賀さんを見上げると、なぜか敦賀さんの両腕が開いていた。

(まさか……)

「駄目?」

(『来い』リターンズじゃないのぉ!!)

「だだだ駄目に決まってるじゃないですか!ここは事務所ですよ!?」

そんな小首を傾げて尋ねるなんて卑怯だって思うのに、あろう事か、敦賀さんはあっさりと距離を詰めて、もう一度両手を開いた。

「誰も見てないよ?」

「そっ、そういう問題じゃっ」

人がいるいない。誰にも見られているいないの問題ではないのに、敦賀さんは何がいけないのと言わんばかりの不思議顔で私を覗き込んでくる。

(その目っ、その目はやめてぇぇ)

まるで捨て犬に請われているようでたまらない。

「ほら、怖くないから。ね?」

(……っていうか、この場合。むしろ私が野良犬なのかも)

「って、そういう問題じゃないんですってば!とにかく、こんな場所じゃ、絶対駄目なんです!」

「そう?」

あからさまにしょんぼりした顔をされると、私が悪者みたいで罪悪感が思い切り揺さぶられる。

「そうです!」

心を決めてそう言ったのに、けれど、目の前の捨て犬は、私の一瞬の躊躇を推し量ったかのように切り込んで来た。

「じゃあ、場所を変えたら……」

「そ、それはっ……ですね」

「やっぱり駄目なの?」

敦賀さんの事は好きだけれど、まさか敦賀さんからも好きだって言ってもらえるなんて思ってもいなかったし、とにかく自分からなんていけない。
敦賀さんから好かれるだけの人間である自信なんて、どこにもない。

(むしろ、敦賀さんに呆れられる要素しかないのに)

自分に自信がないんだから手が伸ばせる訳がない。

「だ、駄目……です」

「そっか……ふぅ……」

(……あ……)

小さな溜め息が胸に刺さる。

呆れられただろうか。
見放されただろうか。
嫌われてしまっただろうか……。

好かれる自信なんてないけれど、嫌われたかもしれないと思うだけで苦しくていられない。

苦しくて仕方がないのに、どうしたらいいのか分からなくて、敦賀さんを見上げる事も恐ろしくてじっと白い廊下を見つめた。

「ねぇ、最上さん」

「はっ、はいっ!」

「あのね。俺は君が思ってるより、ずっと君が好きなんだよ」

「……はい?」

驚きすぎて顔を上げれば、目の前にいる敦賀さんにじっと見下ろされていて視線が交わる。

「だからね。諦めて俺だけを見つめてくれないかな」

「……と……おっしゃられましても……ですね。私なんか……ですし」

「言ったろう?俺を失恋させられるのは君だけだって」

「それは……」

恋が信じられないと聞かれてそうですねと答えた。
だけど、自分の中にも敦賀さんへの恋心がある以上、その半分は嘘だ。
敦賀さんが信じられない訳でもなく。

ただ、私にそれだけ想ってもらえる価値があるのだと認められない。

「信じられません」

じわじわと滲んでくる涙で敦賀さんの顔が歪んでいく。

「……そう」

私の恋心は、私の自身の意気地のなさの前にあっけなく、諦めるべきだと両手を上げる。

恋を成就させたいと願うよりも、自分に価値がない事を認める方に傾いてしまったのだから。

(やっぱり私、天性の大バカ者なのよ)

「何回だって言うけど、俺は最上さんが好きだよ」

「あ……りがとう……ございます」

「分かりましたの次は、ありがとう?」

「え……?」

「信じてくれるまで何回だって繰り返す。だから、ね?」

決して触れず、じっと視線を合わせたまま言葉を重ねる敦賀さんの姿にまた涙が零れた。

「でも。私、馬鹿みたいに重いんですよ?」

「うん」

「妄想癖もあるし、すぐに嫌いになります」

「ならないよ」

「可愛くもないし」

「いや、君は十分可愛いけど」

「か、可愛くはないんです!」

満面の笑顔でそう言われても、自分で自分をかわいいとか思えた事がなさすぎて、例え敦賀さんの言葉でも、いや、フェミニストの敦賀さんの言葉だからこそ信じられない。

「困ったな」

すると敦賀さんは、するりと右手を上げた。

「抱き締めはしないから、君に触れてもいい?」

「え? あ……はい」

一体何をと戸惑いながらも、譲歩しているという姿勢に思わず頷いて、すると敦賀さんは大きな手で私の頭をさわさわと撫でる。

「色々考えちゃうのは分かるんだけど、全部とっぱらって考えてね」

「あの、敦賀さん?」

「今、俺が触れているこの手は不快?」

「え?あのっ」

「不快?」

戸惑う私に敦賀さんはもう一度問いかけた。

「……いいえ」

迷った末にいいえと言うと、敦賀さんは良かったと微笑む。

「この腕が最上さんを抱きしめたいと言うんだけれど、君は俺のこの腕は、別の誰かを抱き締めるべきだと、そう思ってるという事?」

「え……?」

唐突な質問に、胸が射抜かれたように痛む。

「敦賀さんが……他の誰かを……?」

私が拒むという事は、敦賀さんが他の誰かの元へ行く事なのだとは思い至らなかった。
伸ばした手のひらの先に、去っていく敦賀さんの背中を想像しただけで涙が一層止まらない。

「……ぁ……」

「ごめん。意地悪が過ぎた」

「う……っ……ひく……」

唐突に抱き締められて、背中を撫でられた。

「俺は、抱き締め返してもらう相手は最上さんが良い」

「わ……たし……も……」

ようやく伸ばせた手のひらが敦賀さんの背中を抱き返し、涙でぐしゃぐしゃな顔は胸の中にうずめた。
数日前には手のひら越しで感じた鼓動が、今は直に伝わってくる。

「……賀さんが……いいです……敦賀さんが、すき……です……」

ようやく好きだと口に出した途端、どうしてこれだけの言葉を言えなかったのかと思う程、すんなりと降りてきた自分に驚く。
それだけ、この優しい大きな手を失いたくない一心が、臆病な自分を奮い立たせる事が出来たのかもしれない。

「ねぇ、最上さん。もう一回言って」

あんまりにも嬉しそうな敦賀さんの声が真上から降りてきたもので、私の言葉だけでこんなに優しい声が聞けるものかと思うと、まるで幸せになる魔法にでもかけられたように心がギュッと鷲づかみにされる。

「敦賀さんが、好きです」

耳まで赤くなっているだろう顔が上げられないまま。二度目を口にした途端、敦賀さんの鼓動は速さを増した――。










キョコたんの好きっていうのは意味がきっと深くて重くて清らかなんだろうなぁって汚れた大人の私は思います。





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