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ACT.212本誌続き妄想3
六月がもう半分終わったらしい現実にガクブルしています、こんばんは。
一年あっという間すぎて早すぎて辛い・・・。

【オフ関係お知らせ】夏コミスペース頂けました。
二日目の8/16(土)東2-R44b 光の箱庭です。ピンクつなぎにサングラスで参上する所存←

【パスワード関係】5/14までご請求の方への返信完了しました。

やっぱりまだ本調子ではないので、ぼちぼち作業ですいません。
あと、一か月の間の更新回数が3回っていう切なさよ・・・orz もっと色々書きたいんですけども。ふぬぬぬ。
コミックス派の方には面白くもなんともなくて本当すいませすいませ。






ACT.212本誌続き妄想 3






繰り返す波の音を聞きながら、かける言葉を幾通りも考えた。

嘘をついている自覚がある分、何を言ったところで偽りの上塗りになる現実には後ろめたいものがないではなく。

優先すべきは罪悪感か、探求心か。

すでに引きかえせない道の上にいるというのに、最後の最後でこのまま進む事に躊躇いを覚えてしまうのは、真横に腰掛けている彼女の、憂いを帯びた表情を見てしまったからかもしれない。

開いてはいけない扉がそこにある予感がしていた……。





「キョー……」

「ねぇ、コーン」

「なに?」

俺が呼びかけるより先に、彼女の方が俺を呼んだ。

「やっぱり、ちょっと歩こっか」

返事を待たずに立ち上がった彼女は迷う事なく先を歩き、そのどことなく重苦しい空気の前では横に並び立つ事は躊躇われ、ただ華奢な背中を眺めるに留まった。

うっすらと射す月明かりの中、砂浜を歩くたおやかな後ろ姿に、消えてなくなってしまいそうな儚くも危うい雰囲気を感じ、この腕で抱き締めてしまいたい衝動がこみ上げると同時に、一体俺は何を考えているんだと拳を握る。
なんとか情動はこらえたが、かみ殺せなかった嘆息は至極簡単に零れ落ち、慌てて彼女の様子を窺うが、幸いにも、波のさざめきのお陰で不埒な感情は伝わらなかったようだ。
こみ上げた安堵にほっと息を吐く。そんな自分の器の小ささがどこまでも情けない。

「洋服、着替えたんだね。可愛いよ」

コーンとして出会った昼間の装いでなければ、敦賀蓮として出会った姿とも違うのだから、不自然な流れの会話ではなかったはずだが、彼女の肩は何かに応えるようにピクリと跳ねる。
振り向いたその頬が、うす暗い闇の中でもほのかに紅潮して見えたのは錯覚ではなさそうだ。

「可愛い……かな……?」

ここにいるのが敦賀蓮だったなら、こんな時間に出歩くなんて危ないだろうなんて説教地味た文句で怯えさせもしたのだろうが、コーンである今、そんなしがらみはない。

「うん。すごく、――可愛い」

「あっ、……ありがと……」

いつだったかの逢瀬では、すごく綺麗だと言いかけて音にはならなかったものだが、今夜の彼女には可愛らしいの方が相応しく、そしてそれはきちんと言葉に出来た。

密かな達成感を覚えつつ彼女を見つめていると、俺の方を見上げて気恥ずかしげにクスリと微笑む。

「なんか、照れちゃう」

スカートの端を摘むようにして俯き、照れ笑いを浮かべる姿に、釣られるように俺の口角も上がった。

(なんだろう、このかわいい生き物は……)

本当に、俺という男は完全に彼女に墜とされているのだと再確認するしかない。

「これ。本当はね、今日着ようと思ってこっちに来る直前に奮発したんだけど、途中で勇気がなくなっちゃって。結局、部屋着にしちゃったんだ……」

「勇気?」

砂浜を足先でいじりながら、小さく呟かれた内容に、思わず首を傾げると、彼女は苦笑混じりに砂浜の上に見つけた貝殻を拾おうとしゃがみこんだ。

「うん。……だって、いくらなんでもね……」

「どういう事?」

けれど、彼女はその問いには答えず、苦笑を一つ零した。

「――コーンはどうしてまた出て来てくれたの?もしかしなくても、私があからさまに浮かれきっていたから心配かけちゃったのかな?」

「いや、浮かれきってって……?そもそも、今回はキョーコちゃんにとっては初めての海外だよね?それも南国の島な訳だし」

旅行の為に新しい服を買うだなどと、割りとよくある話ではないのだろうか。
深刻そうな彼女に問いかけると、彼女は驚きのままに目を丸くする。

「あっ。それもそうか。そうよ!そうよね!!コーン頭良い!私は旅行を楽しみにしてたから買い物しちゃったのよ!それよそれっ!決して敦賀さんのせいなんかじゃないのよ!!」

「キョーコちゃん?」

その理由があった!と見るからに後付けの理由付けで元気を取り戻した彼女に面を食らう。

(むしろ、なんでそこで『俺』……?)

「ねぇ、何か隠してない?」

「隠してなんかないのよ?初の海外だもの。楽しみにしてたのは本当よ。本当に……いつもなら買わないようなモノだし、これで良かったのよ……」

「キョーコちゃん……」

貝殻で砂浜に丸を描きながら、彼女は自分自身に言い聞かせるように続けた。

「……敦賀さんにバレるかもって思うと恥ずかしくなっちゃったのよ。だから、コーンが見てくれて……可愛いって言ってくれて嬉しい」

ドクリと鼓動は大きく高鳴り、芽生える期待は爆発的に膨らんでいく。

「……ひょっとして、」

ふと、一つの可能性を見出してしまった。

「つまりキョーコちゃんは久しぶりに敦賀さんに会えるから、つい新しい洋服を買っちゃった、……とかそういう事?」

「っうう!!?コッ、コーンんんっ!!そういう恥ずかしい事をその敦賀さんのお顔でポンと口にしないで頂戴っ!?」

「ええ?!いや、だってっ」

彼女が俺を――敦賀蓮をそれほどに強く意識してくれているという事だ。

「いやもだってもないの!ダメったらダメっ!もーっ!!」

耳まで赤く染めた彼女が羞恥を隠すように座り込んだ状態で顔を隠し、コーンはデリカシーがないんだからと詰る声を上げる。

「ごめんごめん。謝るから、顔を上げてよ」

そんな姿が微笑ましく。
いまだかつて感じた事がない大きな喜びが全身を駆け巡る。

「無理ーっ、コーンのバカバカっ!もう知らないっ」

全てが遠まわりな告白だったと気付いてしまった以上、破顔する自分を止められる訳もない。

「バカはひどいな……」

座り込んだ彼女の正面に俺もしゃがみ込むと、苦笑混じりに言葉を重ねる。

「俺はこんなに好きなのに」

彼女を好きだという言葉は、こんなに簡単に口に出来るものかと、我が事ながら内心で驚いてもいたけれど、それもこれも、目の前にいる愛らしい存在が始まりなのだからもうどうしようもない。

「っ!!好きなんて、軽々しく口にするものじゃ……な……っ!」

「うん?」

顔を上げた彼女は、俺があと頭一つ分でキス出来るだろうくらい間近に来ていた事に驚きを隠せなかったらしく、まるでリトマス試験紙のようにみるみる赤くなり、言葉を失っている。

「本当に好きなんだよ、最上さんが」

「なっ!!……ぁ…………っ」

『最上さん』がよほど強い衝撃だったらしく、パクパクと開閉する唇は音を成さない。
彼女はペタリと砂浜にへたり込み、俺たちの距離は頭三つ分だけ開き直した。

「言って良い冗談と悪い冗談が……っ」

震える声が俺をなじり、動揺した瞳が俺を責める。

「冗談でこんな事、言えないよ」

誰かを思う温かい気持ちも、愛おしく思う感情も、過去への後悔の前で雁字搦めになり、身動きが取れなくなってていた心に再び息吹を与えたのは君なのだと、どう伝えれば良いのだろう。
じっと見つめ合う時間が永遠にも思えるだけ続き、しばらくして、耐えかねた彼女の瞳がくしゃりと歪む。

「……本当に……コーンじゃなくて、敦賀さん……なんですか?」

「うん」

「ひどいっ!!」

溢れるように浮かぶ涙が、俺のせいなのだと思えば、胸が痛むと同時に、俺のものなのだという歪んだ独占欲もここにある。

「ごめん。……本当にごめん。何回だって謝るから、俺から離れていかないで」

砂を蹴り、逃げ出そうとする彼女の腕を掴み、後ろから羽交い締めにするように抱き締めて、何度もごめんねと繰り返した。


「――狡すぎです、敦賀さん」

次第に脱力する彼女の身体を抱き締めたまま、重ね続けた俺の嘘を一つずつ詫びる。

彼女の口から彼女自身の告白を聞けるまでには、ここからしばらくの時間を必要としたものだった。




――――――――――――――




始めに思った事はと言えば、『は?』で。
二番目に考えた事はと言えば、『コーンはなんて悪い冗談を言うのだろう』という現実逃避。

だけども、結局、目の前にいる、このどう見ても敦賀さんが、魔法で姿形が変化したコーンであると考えるよりも、やはりこの南国で出会った妖精は敦賀さんだったのだと考えた方が色々としっくりきてしまう。
けれども、敦賀さんの腕の中で様々な『告白』を聞かされた私は、いわゆる、容量オーバーというものだろう。
きれいさっぱり放心してしまったのだ……。


「最上さん最上さん。そろそろ出て来ませんか?」

「無理です。例えそれが神様からの思し召しだろうと、引き換えに地球が滅亡しようとも、もう私には見せる顔がありませんからっ!放っておいて下さいっ!」

どうしようもないいたたまれなさに、のたうち回るとはこの事で、頭からかぶったシーツを両手できつく握り締めたまま、私はホテルの部屋の隅で小さく丸くうずくまっていた。

「見せる顔って、いやいや、だから何度も話したけど、悪いのは嘘をついていた俺の方で、最上さんは悪くないんだよ?」

「良い悪いの問題じゃありません!私はただ、自分のバカっぷりに激しく羞恥を覚えているだけです!ええもう今すぐ穴を掘って埋まりたいくらいですよ!」

思考力や判断力が帰ってくるよりも先に敦賀さんの部屋に連れてこられた今、ここには隠れる場所なんてどこにもないのだから、こうやってシーツをかぶるくらい許して欲しい。切実に。

(というか、いくら放心していたからって、のこのこ部屋に連れて来られてちゃダメでしょうに。どうして逃げられなかったのよぉぉっ)

あの敦賀さんが何度も何度も謝罪して、この私程度に許しを乞う日がくるなんて、あるはずもなかった光景の到来に、全力で戸惑っているのだけど、そんな私を敦賀さんは逃がしてはくれない。

敦賀さん側の積み重ねた過去と現在の気持ちを知ってしまった今、私がこれまで抱いていた秘密の数々の方がとてもちっぽけな物に思えてしまう事に困り果ていた。

(そもそも、敦賀さんの正体がコーンで久遠で私の事が実は好きだ。なんて、エイプリルフールがこれからの人生一生分纏めて大放出されてる気分よ)

真摯に告げられた敦賀さんの言葉を信じていない訳ではないが、喜べば良いのか、にやければ良いのか、悲しめば良いのか、告げられた話の内容が忙しすぎて、取るべき正しい反応が分からないのだ。

「最上さん、最上さん」

「なんですか?」

「こっち向いて?」

「まだ無理です」

何度も同じ言葉で拒絶し、背中を向けている。
殻に閉じ込もった所でなんの進展もしない事なんて分かりきっていたけれど、感情は割り切れないのだからどうしようもない。

「……本当にもう無理?」

それでも、

「だって……そんなの……」

敦賀さんの声が今までで一番弱りきっていて、まるで私の方が意地悪をしている気持ちになって、心臓がズキリと痛んだ。

「ほんとは……無理じゃ……ないです……よ?」

ただ、きっかけの作り方が分からないだけで、敦賀さんと気持ちが通じ合っている事は心底嬉しい。

早く私もと好きなのだと言わなければと思うのだけれど、口にしようとする度、尻込みしてしまい、覚悟は定まらなかった。

「――ああ……もうダメか……」

「えっ!?」

本当に残念そうな敦賀さんの声に、ひょっとして私は敦賀さんから簡単に諦められたのだろうかと驚いて思わず背後を振り返ろうと身構えたその一瞬を狙い済ましたように、被っていたシーツは敦賀さんに奪われた。

「あ……あの……ええーと……お、お久しぶりです」

見上げた先に申し訳なさそうな敦賀さんの顔があって、恥ずかしさやいたたまれなさでカカカカっと赤くなった私からとっさに出たのは間抜けな挨拶だ。

「もう少し時間をかけたい所ではあるんだけど、そろそろ行かないと、また遅刻してしまう」

「……え?あっ!もう朝ですか!?」

一睡もしていないというのに、壁時計の時刻はミューズとの待ち合わせに迫っていて、目を丸くしていると、背後からぎゅうと抱きすくめられて、その腕の強さに目を白黒させた。

「本当に愛してるんだ。だから、俺から逃げていかないで」

お腹の上にある敦賀さんの手のひらが緊張からか少し冷たい。

「……わかり……ました」

手の甲の上にそっと添えて、返した言葉が今の私の精一杯で、これ以上の想いを告げられたのは、しばらく後の、東京の冬空の下での出来事だった――。










若者は一日二日寝なくてもお仕事出来る出来る。オールでがんばれw
お付き合いありがとうございましたー!!
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