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SS・シング ず ウォーズ【後編】
おっはようございまーす!やきそばぱんおいしいよ!←ここから意識を飛ばす事二時間。すっかりお昼です。

さてさて、ツイッターでもお知らせしましたが、明日のインテでのR*Kお取り置きのコメント全件お返事致しました。
受け付けは本日23時までとなっております。ちなみにお取り置きのお申し出は多くなかったので、どうなるんだろうなーって感じです。

ということで、明日の値札作って来ますノシ





SS・シング ず ウォーズ  後編







ボスンという音を立てたのは、キョーコではなく、キョーコが持っていた筒状の袋の方だった。

「危ないよ。大丈夫?」

「ええと、その、あの……」

驚きも極地に至れば、人は的確な言葉というものを失うらしい。

「あっと……すっ、すみません!」

なんでよりにもよってこの松太郎(バカ)と一緒の現場で敦賀さんに出くわしちゃったのよ。
そんな事を思いながらも、それを口にして良いはずもなく。なんとか表情に出さずに絞り出せたのは、ありきたりな謝罪だ。

「ええと、あのっ、お怪我はありませんでしたか?」

「それを言うなら最上さんの方だね。痛い所はない?」

「私なら全然大丈夫です!おかげさまで」

蓮が咄嗟に掴み留めていなければ、今頃キョーコのお尻には大きな青あざの一つや二つ出来ていたに違いない。

礼を述べながら体勢を立て直したキョーコが距離を取ってペコリと頭を下げると、そんなキョーコの姿をマジマジと見た蓮の方もええとと遠慮がちな声をかけた。

「なんだかすごい荷物だけど、一体どうしたの?地方ロケ……じゃなかったよね?」

長身をかがめ、落ちていたマットレスの袋を拾い上げた蓮は不思議そうに筒袋を眺め、キョーコは慌てて手を伸ばす。

「ああっ、すみませんっ。これはついさっき現場で賞品として頂きまして……」

「賞品? ああ……」

そこまで聞いた蓮は、BOX-Rの番宣を兼ねたクイズバラエティーに出るって言ってたねと、訳知り顔で頷き袋を手渡す。

「トップアスリートの方もこぞって使っていらっしゃるような良いものだそうですよ」

「そう言われてみれば、確かにそのロゴ見たことあるね、へぇ……」

マジマジと見つめる蓮の反応にキョーコがあら?と瞬いた。

「敦賀さんもこういうのに興味あります?」

「それはまあ、ないとは言わないね。睡眠時間を快適に過ごせるようにするのは大切な事だし」

すると、まるで当たり前のように交わされた二人のやり取りに一時ほうけていた松太郎はハッと我を取り戻して割り込んだ。

「って、ちょっと待てコラァ!」

「いたっ!なにすんのよ!」

ビシイィと頭にチョップを入れられたキョーコが烈火のごとく怒り狂う寸前、蓮が「最上さん」と呼びかけると、注意を引き戻されたキョーコはビクリと脊髄反射のように飛び跳ね、バツの悪い顔で押し黙る。

「……えっと……その……失礼しました」

また松太郎のせいで我を失うところだったと恐る恐る蓮を振り返るキョーコだったが、そんな蓮の反応を伺うキョーコの姿が気にくわなかった松太郎は、オイと苛立ちも露わな声を上げた。

「不破くんも、ここは局内だよ。もう少し取り繕う努力をしてもらえると助かるんだけど?」

「ぐぬっ!」

確かに少しばかり地が出ていた松太郎は、悔しげ眉間に不機嫌を刻むと、周囲を見渡して人気のなさにほっとする反面、せっかくキョーコを捕まえたというのに、なぜよりにもよってこのタイミングでもって現れたのが敦賀蓮で、おまけに自分がやりこめられなくてはならないのだと、苦々しく思う。

「っていうか、そもそも、なんでここにアンタがいんの?ショータ」

「それ以上言ったらシメるぞ」

見事なまでに松太郎の心の内とシンクロしたセリフであるのに、向ける相手が違うだろうと思わずにはいられない。

「なっ!」

しかも、蓮はキョーコのスケジュールを多少なりとも把握しているというところも輪をかけて不愉快だ。

「ったく。おめーらはアスリートじゃねぇだろうが。つか、なんだってここにいるんだ?」

一方では格好をつけた佇まいを守りながらも、内心ではまさか、コイツ、キョーコを探していたんじゃないだろうな。つか、スケジュールのやりとりしてるってどういう事だよ。まさか夜な夜な電話しあうような仲?冗談じゃねぇ、ざけんなよ。などと、瞬時に考えが多方面に及んでしまうあたり、松太郎の思考回路もたいがい妄想力が高い。

言いたい事は多々あったが、駆け巡った様々な妄想劇を心の奥へ押し込んだ松太郎は、ハンと見下しを込めた視線を向ける。
けれども、険悪なそれを真っ向から取り合う事もない蓮は、一見ではにっこりとほほ笑んでいるようにしか見えない、けれど、向けれた人間には背筋がゾクリと凍るような笑みを浮かべた。

(コイツ目の奥が笑ってねーよ!)

松太郎がたじろいだ瞬間を見逃さないように蓮が言葉を紡ぐ。

「なぜと言われれば、俺は最上さんを探していたんだけど?」

「はああああ!?」

「えええ!?」

「って、なんでオメーまで驚いてんだ!」

「だってそりゃ驚くでしょ!普通」

「ハッ、意味分かんねー」

キョーコがこの反応という事は、やはり、蓮の一方通行な感情からの牽制球だったのだろう。となると、なんて滑稽なのだと込み上げる嘲笑を押し殺すのに必死になった。

「……って、待てよ……?」

ならばなぜ、キョーコまでが驚くような明らかな暴投で松太郎が牽制できると思うのか。チロリと怪訝な眼差しを向ければ、すかさず蓮が冗談だよと笑顔で前言を撤回し、松太郎は煙に巻かれるような手ごたえのないやり取りに苛立ちを募らせた。

「……――チッ。くだらねぇジョーク飛ばすなんざ、アンタ、マジでヒマなんだな」

動揺をかみ殺し、強い意志でポーカーフェイスを保つ。

「ショータロォォ!アンタなに敦賀さんに失礼な事言ってくれちゃってんのよ!」

「最上さん」

「うっ、すいません」

一言でキョーコを落ち着かせた蓮は、松太郎に向き直るとクスリと一層深い笑みを浮かべた。

「俺的にはくだらなくはないんだけどね」

「っ!!」

その視線は、君には彼女をこんな風に宥める事なんて出来ないだろう?という挑発が込められている。松太郎は瞬時にそう悟った。

「テ……メェ……っ!」

本来の松太郎ならば喧嘩を売られたと買い取ってしかるべき瞬間だったが、蓮の笑顔の中に薄ら寒いものを感じた松太郎は、すでに一度、敦賀蓮という男の中に鬼畜じみた本性を垣間見ている身の上であり、こうなると、いかに松太郎といえども、底知れないキャパシティを持つと判断した男を相手に無鉄砲に噛み付けるほど、おめでたくはなかった。

「……いや。ただ、最近アンタ露出減ってるじゃん?ひょっとしてマジで仕事減ってんじゃねーの?」

言葉尻が弱いのは、ここが公共の場で、誰に見られるかも分からないからだという理由をつけてようやく、自分は敦賀蓮に怯んでなどいないのだと松太郎は奮い立っているのだが、それこそが気迫負けしているのだとは意識的に理解しないように努めている。

「露出が減ってるって言われてもね。俺としては仕事は変わらずにこなしているつもりなんだけど。そう感じるほど君は多方面の媒体チェックをかかさない派なのかな?」

実際問題、蓮は裏でトラジックマーカーの撮影をしているので、松太郎の指摘はある意味正しい。
だからこそ、蓮には松太郎の言葉をはぐらかす必要があったのだが、そんな事は松太郎に知る余地もない話だ。

「ああん?バカ言うな。俺だってんなヒマじゃねーよ。アンタが今季の連ドラ、主演張ってねーって、嘆いてる女子アナをたまたま見かけたくれーだ……ってクソっ」

自分の口から蓮のファン層の状況を知らせただけだと気付いた松太郎が不愉快さを滲ませ、松太郎とは対象的に蓮は爽やかな笑顔を浮かべた。

「それはそれは」

「……ええと、あの。敦賀さん?」

このあまりにも胃に良くないトライアングルの空気に真っ先に音を上げたのはキョーコだ。

「なに?」

「次のお仕事、お時間大丈夫ですか?」

キョーコに言われた蓮はポケットから携帯電話を取り出して時刻を確認する。

「ああ、そうだね。まだ余裕はあるけど、そろそろ行かないといけないかな」

「ケッ、さっさと行きやがれ」

小声で毒づいた松太郎を、耳敏く聞き咎めたキョーコがギッと般若のごとき形相で睨みつけると、蓮は少し苦笑を浮かべて「最上さん」と一言でキョーコの注意を呼び戻す。

「はっ、はい!すみません!」

本日3度目の蓮から言外の注意を受けた状況に、慌てたキョーコは、はわわわわと冷や汗を浮かべている。

「荷物、大変そうだし。俺、今日車だから、乗せてくれて良いよ?」

「え?」

蓮の突然の申し出に目を丸くしたキョーコ以上に驚いたのは、松太郎の方だ。
まさかこのままキョーコを連れ去られるような事を許せば、先客である自分の格好がつかない。

「それは助かりますけど、本当によろしいんですか?」

「構わないよ」

「よろしい訳ねーだろ!」

まるで同じタイミングで真逆の発言をした蓮と松太郎は、互いに視線を交えると、蓮は余裕でもって、そして松太郎は忌々しさでもってキョーコへと向き直った。

「キョーコ。お前、いつから事務所の先輩を足に出来るほど偉くなったんだよ!」

「なっ!敦賀さんを足にだなんて、そんなだいそれた事っ考えてる訳ないでしょ!」

「というか、どの道、明日はまた一緒に仕事する訳だから、合理的な意見でしかないと思うけどね」

「敦賀さんっ!?」

蓮の口から飛び出したのはヒール兄妹としての仕事な訳で、慌てたキョーコをよそに、キーワードだけでは暴かれる事はないよという蓮の眼差しは、じっとキョーコを見据えており、そんな眼差しに促されればキョーコの腹も据わろうというものだ。

――キュッ

小さく握り締めた拳はキョーコの中でスイッチが入った証であり、その空気の変化の意味は蓮だけが正しく理解し、松太郎は違和感として受け止めた。

「では、お言葉に甘えてお願いしてもよろしいですか?」

「構わないよ」

「キョーコっ!お前っ!!」

「なによ、やかましいわね」

「そもそも俺が先に声かけてやったんだろーが!さくっと無視しやがって、失礼だと思わねーのか!」

「だから、アンタの世話にはならないって真っ先に断ったでしょうがっ!そもそも、人としての品性を説けるほど素敵な人間性、アンタいつから持ってたのよ。この最低男っ!」

取り付く島もないキョーコの態度に松太郎もぐぐうと唸るしかない。

「最上さん」

「はっ、はいっ!」

過去の松太郎の所業がもたらした傷口の膿み加減をキョーコ自身から突きつけられるという気まずい空気の中、松太郎の助け舟となったのは、意外にも蓮の存在だった。

「それじゃあ、預かるよ」

「そんなっ!私、自分で持って行きますから」

蓮に荷物を持たせられませんというキョーコだったが、蓮はいいからいいからと荷物を取り上げてしまう。

「フェミニストが聞いて呆れるな。いいっつってんじゃねーか」

止められないならせめて、と、そのあまりにも強引な手管を鼻で笑うと、キョーコはなっ!と息を飲み、松太郎と蓮は再び真っ向からにらみ合う形となった。

「君には関係ないだろう……」

「ない訳あるか。テメェこそ引っ込めよ」

「つっ、敦賀さんっ!?」

「いいから」

「ショータローっ」

「うっせぇ、黙ってろ!!」

「つうう!」

いちいち横槍を入れる松太郎に、もう!なんだって余計な事ばっかり!と苛立ったキョーコが松太郎を睨み付けるが松太郎は意図的にこれを無視し、蓮との眼光勝負を止めない。
これは先に逸らした方が負けという単純明快な男の戦いなのだ。

「もうっ、なんなのよっ」

なんで私がこんなに気疲れさせられなきゃならないのよ。
火花を飛ばし合う男たちの男心を理解出来るはずのないキョーコがキリキリとまなじりを釣り上げると、当然ながら、全ては松太郎のせいだと悪役を押し付ける事を決める。

「――あの。敦賀さん、良かったらこの寝具、お家で使われませんか?」

「え?」

きっかけはたかだか賞品だ。
こうなったらいっそなかった事にしてしまいたい。
そう意図したキョーコのセリフにより、にらみ合いは蓮からの離脱で決着を迎える。

「私、特別これが欲しかった訳でもありませんし、寝具に困ってもいません。敦賀さんは睡眠にデリケートでいらっしゃいますから、お試し頂ければと思うんですけど」

「最上さん……」

そういえばそんな設定にしたなぁと蓮がDARKMOON撮影中の一幕を思い起こしたその刹那。
蓮の中に悪魔が降りた。



「気持ちは嬉しいけど、俺のベッドにシングル(これ)じゃ、かなり足りないかな」

「あ……そう、ですね。はい、すみません」

「ああでも待って。ホテルの方ならちょうど良いだろうし、まだリザーブは効いてるから、そっちで使ってみようか。そうしたら最上さんも使えるよね」

「は……はい?!え?敦賀さん!??」

「じゃあ行こうか」

蓮が一体何を言い出したのか。松太郎には理解出来なかったが、あっけに取られているうちに、蓮は同じようにキョーコをスルスルとエスコートして歩き始めている。

「な、なにぃぃぃ!? ちょ、ちょっと待てこらぁぁぁ!!!」

バタバタと追いかける松太郎だったが、この時に生まれた一瞬のタイムラグが勝敗を分け、エレベーターという扉に阻まれる事となった松太郎はこの夜、さんざん眠れない時間を過ごし、とうとう深夜徘徊に繰り出す事となる。

ただより高いものはないとは言うけれど。こんな目に合うなら賞品なんていらない。
キョーコがそう実感していたのは言うまでもない。







コミカルってなんだろう。
たまにはドタバタしてるトライアングラーもいいかなーと思ったんですけど。あれれー。
あ、元ネタの寝具はなんかテレビみてたらそんなゲームして、寝具持って帰っていた人たちがいたんです。いや本当に。
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