スキップ/ビート二次創作のブログ。 二次創作に理解の無い方の閲覧はご遠慮下さい。初訪問の方ははじめまして記事を御一読ください

SS・あなたのきすをかぞえましょう
私の風邪は喉からーノシっ。
ということで、こんばんは。一週間風邪っぴきのそやえもんです。
去年の夏に一か月喉が死んでいた前代未聞の風邪よりはマシというか、そこで学習したので、さっさと薬漬けルートを選んで仕事が落ち着いてる月中なので、思い切って休みちぎってやりましたら、なんとかそこそこ治りました。後は咳だけーっ。
みなさま風邪にはくれぐれもご注意くださ・・・←

【オフ関係】夏コミ発行の再録本「R*K」完売しました。ありがとうございました!!落丁などありましたら、対応出来る数には限りがありますので、お早めにご連絡下さい。

【通販関係】10/25までにお申し込みの方全件発送手続き完了しました。郵便屋さんで届きます。

【パスワード関係】9/21までにご請求の方お返事完了しました。あとの方、重ね重ね申し訳ありませんが、今しばらくお待ち下さい。年齢確認出来ない方、アドレス不備の方、トータル三行未満の方、お返事はしておりません。あしからず。再チャレンジをお待ちしております。

今夜はカイン雪花話ー。
※ちょっとだけ本誌で出た話の流れを持ちこんでありますので、完全コミックス派な方、ややネタバレになるかもしれません。一応ご注意ください。




あなたのきすをかぞえましょう





床に広げられたレザー製の旅行用トランク。
それに向かい淡々と荷造りをする少女を缶ビール片手に見下ろした兄、カイン・ヒールは手伝うでもなく声をかけた。

「忘れ物はないか?セツ」

「ないわ。っていうか、もしあったとしたら兄さんが持って帰ってきてくれればいいじゃない」

「それもそうか」

「そんな事より、明日からはアタシがいないからってご飯サボっちゃだめよ?ちゃんと食べて撮影なんかさっさと終わらせて帰ってきてよね?」

"アタシのところに"という言外の主張にカインはひっそりと笑う。

「そうだな。努力しよう」

「ああ、そうだ。アタシへのお土産はもちろん兄さんが買ってくるのよ?」

アタシ、荷物はこれ以上持たないからと買い物をする意思がない事を示せばカインの頬笑みは苦笑へと変わった。

「お前もグアムに来ていたのに、そこは必要なのか?」

「当たり前でしょ。っていうか、今回の帰国は今でも百パー納得してないんだからね。アタシが先に帰っちゃったら、どこぞの盛りのついたメス猫が寄ってきても追い払えないじゃない!」

「そう言うな。お前がああして見事な啖呵を切ったおかげで、ここ最近、俺の周りはとても静かになった」

見えない結界があるようなんだからと愉悦を滲ませて笑うカインに、雪花はチロリと見上げて唇をぶうと尖らせた。

「拗ねた顔も愛らしいが、最後の夜の思い出はそれでいいのか?撮るぞ?」

そう言うなり自身の携帯電話を取り出す素振りを見せたカインを「兄さん!」と一声で制すると、雪花は深々とため息を吐いた。

本当のところは、グアムから日本に戻り、ジェリー・ウッズのキャンピングカーで着替えをすれば、雪花・ヒールは体調不良からイギリスに帰る設定がなされている為、もう出番はないのだが、現在進行形で兄妹の時間を過ごす二人には、そんな実情は持ち込めない。
今過ごしている時間は、夏バテから一足先にイギリスに帰る荷仕度をしている雪花という流れなのだ。

「もー。アタシをからかった代償は高くつくわよ」

「やれやれ。一体何を持ち帰れば満足するのやら」

「さあ?そこは兄さんがちゃんとアタシの事を考えていれば何かしら思いつくんじゃないかしら」

パチンパチンと鞄を締め、さらに海外旅行用のロックをかけると雪花は引き起こした鞄を壁際に追いやる。

「集中しながら仕事をしつつ、セツの事ばかり考えるのか?なかなか忙しいな」

雪花のむちゃくちゃな要求にクククと喉を鳴らしたカインに、雪花もニヤリと微笑み、兄さんなら出来るでしょうとカインを見上げて言い放つ。

「当然だな、楽しみにしていろ」

「あ、言い忘れてたけど、お土産は50ドルまでだからね」

「50……?っておい、セツ!」

まるで遠足のおやつのように一方的に儲けられた上限額に、カインが不服を発するよりも先に雪花がしたり顔で微笑む。

「ちゃんと決めておかないと兄さん、加減を忘れちゃうじゃない。アタシが言いたいのは量より質ってコトよ」

「だが……」

ポンポンと汚れていない膝を払いながら立ち上がり、正面からカインを見据えた雪花はあざとく小首を傾げると人差し指をルージュの煌めく唇に添えた。

「それとも、限界が決まってちゃ、アタシには何も与えられないの?」

「……分かった」

不承不承という文字を顔面に並べたままカインが頷くと、雪花の顔にことさらやったぁという勝利の笑みが浮かび、そんな雪花の無邪気な顔にもう一度クスリと苦笑したカインは踵を返す。

冷静に考えれば、土産物に領収書の添付が必要なわけはないのだから、値段など言わなければバレやしないのだが。それを言ってしまえば雪花がまたむきになるのが目に見えているので口にはしない。
ソファーに腰掛け、缶ビールを煽ると、完全に負けを認めた白旗モードに移行した。

――ゴクリ……

片方はビールを嚥下した音であり、もう片方は男性的な喉仏の動きをじっと見つめた少女が息を飲んだ音だ。

「……ふぅ」

カコンという空の缶が卓上に触れる音に、ハッと身じろぎをした雪花は、「おかわりは?」と短く問いながら冷蔵庫へと向かう。

「じゃあ適当にくれ」

「適当?じゃあすっごい甘ったるいトロピカルカクテルにしちゃおっかなぁ」

「いつからエスっ気に目覚めたんだ?お前は」

「えー?」

クスクスと笑いながら冷蔵庫の中にあるものの中から一番アルコール度数の高いものを探す。

「はい」

「ああ……」

ジュースのようなそれではなかった事に少し笑んだカインがカシュンとプルトップを持ち上げた。

「ねぇ、兄さん」

「なんだ?」

ツイと向けられた眼差しに雪花がええとと言い淀む。

「……やっぱりなんでもない」

「なんでも?」

その明らかに不審な間にカインの双眸が剣呑を宿す。

「なんでもない事はないだろう?どうしたんだ?」

缶をテーブルに置き、雪花を手招くと、雪花は抗うわけでもなくカインの脇に佇み、そんな雪花の腕を引いたカインは自分の隣に座らせた。

「どうした?なにか悩み事か?」

クシャリと髪の毛の中に指を差し入れ、小さな子供にするように後頭部を撫でてやると、雪花は子供扱いしないでよと小さく唇を尖らせた。

「そうやって理由も言わずに臍を曲げているようじゃ、まだまだお子様だろう?」

「だってそれはっ!……ぅ……」

尚も言葉を濁す雪花に、いい加減カインも怪訝な表情を隠せない。

「…………その……」

目と目を合わせる格好となった二人はどちらとも視線を逸らせないまま、無言で見つめ合う事となり、じわじわと気恥ずかしさの増した雪花が最高潮まで赤らんでようやく、雪花からぷいと視線を逸らし、均衡は崩れた。

「……今夜が最後だけど、アタシに何かして欲しい事はない?」

「なにか……とは?」

雪花――もといキョーコの真意を謀りかねたカインが答えを求めて問う。

「……だって、日本じゃ一緒に寝た夜だってあったし、ハグだって……キスだってしたじゃない?でも、こっちじゃ特別なにもなかったから……本当にもう大丈夫……なのかな……とか」

「っ!?」

ツンツンツンと両方の人差し指を突き合わせながら言葉を探す雪花の姿は凶悪可憐。
思わず息を飲んだカインだったが、自分の発言による羞恥で耳まで赤くなった雪花はカインの動揺には気付かず、やっぱりなんでもない!と立ち上がり、もう寝るわ!!と脱兎を決め込んだ――はずだった。


「ひゃああ!」

後ろ手を思い切り引かれ、バランスを崩した背中は逞しい胸板に抱き留められ、肩口をくすぐる黒髪に、カインが自分を抱き締めているのだと悟る。

「例えば、キスしたいって言ってもいいの?」

「っ!!あ、ああああの、そのっ」

自分で問いかけたはずが、改めて相手方の口から聞くと、なんてとんでもない事を聞いたのだろうとおののかずにはいられない。

「えっと!そっ、そう!キスって童話でいうところの呪いが解けたりするくらいなんだから、お守りにもなると思うのよね!キスなんかが御守りになるんなら10でも100でも、キスマークだって、どんとこいよ!!ねっ!!」

「ねって……」

面白いほどテンパった状態のキョーコは、コーンとの逢瀬での出来事すらごちゃまぜにしたとんでも理論を繰り出した訳だが、そこをわざわざ突いて冷静になれるほど、蓮も優しくは無い。

「それは心強いな」

「っう!」

虚勢から声を張るキョーコとは対照的に耳元で囁くように呟く蓮の声がいちいち下腹部に響くようでたまらない。

「じゃあ、せっかくだし100回、お願いしておこうか」

「……へ……?きゃっ!」

くるりと体勢を入れ替えられたかと思えば、雪花がソファーに。カインは雪花を跨ぐようにソファーに膝をついている。

「に……いさ?」

大柄な男にのしかかられた状態に目を白黒させていると、カインはまるで猫科の動物のように背を丸め、見上げる雪花のそば近くまで顔を寄せた。

「はい。どうぞ」

「どうぞって!……んもぅっ!」

加減されているとはいえ、大の男の体重が乗せられれば逃げられるはずもなく、まるで優雅な黒豹に遊ばれているような気がする。

こうなったら腹をくくってキスしてやろうではないか。ここでそんな風に強気になったのは、すでにコーンとキスをした事を蓮に報告しているからかもしれない。

キスがどんなものか、なんとなく分からないでもなく、理由にこだわるほど自分が真っ白な訳でもない。

役柄にかこつけて目の前にいる好きな人にキスが出来る。そんな千載一遇のチャンスを全力拒否出来る程、キョーコも枯れてはいないのだ。

「ん……」

カインの首に腕を回し、降りてきた唇にせいいっぱいの伸びで口付ける。

触れただけのそれが最後の夜の幕開けの合図となった事を、キョーコはまだ知らない。








最後の夜の過ごし方・・・というか、グアムでも一緒の部屋に寝てたんですよね。
しょうみ何日滞在してたんだろうー。
スポンサーサイト

コメントの投稿

 管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL

Copyright © 光の箱庭. all rights reserved.