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SS・フォトグラフエモーション
タイトル難民そやえもんです、こんばんは。
一日考えても二日考えてもさっぱりタイトルが思いつきませんでした。ぎゃふーん。
そんなことをしていたら、やっぱり作業する時間が削られ削られで、パスワード関係は手つかずです。本当すいません。。。
明日(土曜日)にはなんとか少しくらいは・・・。
もうちょっとこう、きれのある脳みそが欲しいものです。

あ、そうそう、横のツイッターで叫び散らして失礼しましたが、ヨナ関係でちょっと本当、嬉しい事が色々あったりでした。
ハクヨナも書いてみたいんですけれども、私、本当・・・時間の使い方が下手すぎてですね。
とりあえず、ここをそろそろ切りあげて、作業に戻りたいと思います。







フォトグラフ エモーション







その日、最上キョーコはどこまでも不機嫌に陥っていた。

「なにが不敗神話続章よ、なにが新伝説の開幕よっ!」

朝方、たまたまつけたテレビ。ワイドショーが報じていたのが、あろうことか不破尚の写真集発売。そしてその売り上げがミュージシャンの発行書籍としては歴代最高部数を記録したという話題だったのだ。

「写真集がベストセラーってなんなのよっ、アーティストだっていうならCDだけ出してなさいよ、厚かましいったらないわ!」

チラリと見えた写真集の内容は、悪魔のコスプレに始まり、オフショットらしい素顔もどきな代物やライブ姿までが美しく纏められるという不破尚のビジュアルを大いに生かしたものであり、キョーコは不覚にもその作品としての完成度の高さに思わず見とれてしまったのだが、自分を額を拳で殴りつけて理性を呼び戻した。
つまり、そんな自分の失態こそが最も面白くない訳なのだ。

「悔しいぃいっ」

さらに言うならばキョーコの方はいくら当たり役を掴んだとはいえ、写真集どころかまだまだ駆け出しに毛が生えたような存在の状況で、こんな風に朝一番から宿敵の輝かしい功績を突きつけられれば機嫌良くいられるはずもない。
ズモモモモと怒気を振りまきながら事務所の廊下を歩くキョーコからは殺気すら立ち昇っている。

「ビリビリに破り捨ててやりたいけど、だからってそもそもアイツの写真集なんて買いたくないし触れたくもないわ!!もおお!このやり場のない怒りはどうすればいいのよーっ!!」

「うん。そこで買っちゃったら本末転倒だよね」

「ひいい!!ってきゃああ!」

「危ないっ!」

唐突に後ろからかけられた声に飛び上がって驚くと、まるでお約束のように足を滑らせたキョーコは、声の主に後ろから抱きかかえられて難を逃れる事となった。

「お……お疲れ様です、敦賀さん」

「お疲れ様。最上さん」

マズい所を見られてしまったと表情を引きつらせて見上げるキョーコをよそに、蓮はキラキラしい笑顔を浮かべている。

(これは……もしかしなくても怒ってらっしゃる……)

いますぐ全力でこの場を逃げ出したいが、そんな事をすれば後が怖い。

「あのっ、危ない所をありがとうございました」

「いや、後ろから声をかけて驚かせたのは俺だし。……ごめんね」

「い、いえ……その、私の方こそすみませんでした」

まず勇気を出して謝罪し、体勢を立て直そうとはかるのだが、なぜだか未だに蓮によりガッチリホールドされているために離れる事が叶わないキョーコは困惑した。

(あ……あれ……?)

「ここだけずいぶんワックスが効いてるみたいだね。危ないな」

「そ、そうですね。ちょっとやり過ぎですよね。ハハハ。注意喚起の貼り紙でもしましょうか」

(滑っちゃうくらいにワックス撒いたのはどこのバカよっ!……って……なんか心が痛くてあんまり言えない、ぐぐぅ)

過去の自分がやらかしたワックス掃除事件を思い出してしまい、乾いた笑いを零すキョーコだが、そんなキョーコを抱えた蓮はスルスルとその場から連れ去るように歩を進めた。

「あ、あの。敦賀さん?」

「このままじゃ目立つだろう?」

「あ、はい。そうですね……」

(ってこの状態も誰かに見られたらどう説明するんですかっ!?)

ひょっとして、今日は最上キョーコの命日となる日だったのだろうか。
遠い目になったキョーコを連れた蓮は、廊下のどん詰まりまでやってくると、ピタリと足を止めた。

(なっ……なんだってこんな奥まで?)

まさかここで本気のお説教!?と恐れるキョーコをよそに、蓮はここにきてようやくキョーコを解放した。

「さて、実はね」

「申し訳ありませんでしたっ!!」

「えっ?」

先手必勝とばかりに頭を下げたキョーコに面をくらった蓮が驚きの声を上げる。

「私っ、ついつい内言語を丸出しにしてしまっていた……と、思います」

「え?ああ……まあ、うん、そうだね」

ややあって蓮もキョーコの言わんとした事を汲み取り、苦笑混じりにもういいからと顔を上げるように促す。

「別に責めようと思って呼び止めた訳ではないし、移動した訳でもないよ」

「そうなんですか?」

「こっちに呼んだのは、ちょうど内緒で渡したいものがあったからだし」

「内緒?私にですか?」

はてはてとよく見れば、蓮は片手に大きな茶封筒を持っている。

「さっき初版が刷り上がってきてね。ちょうど最上さんが事務所に来てるって聞いたから、せっかくだし一番に見てもらおうかと」

「えっ?私が一番なんですか!?」

「そうだよ。はい、どうぞ」

「は、はぁ……」

何が何だか分からないが、どうやら自分が一番最初なのだという恐ろしく甘い優越感を必死で押し隠しながら茶封筒を受け取ると、紐をくるくると解き中身を漁る。

「まさかタイミングが被るとは俺も思ってなかったんだけどね……」

「タイミング?……って、これ!?」

茶封筒から出てきたのは一冊の冊子。

「写真集……?」

表紙を飾るのは、真剣な眼差しで正面を見据えた蓮のドアップだ。

「敦賀さんっ、写真集出されたんですか!!」

「うん。来週発売なんだよ。情報解禁は明日」

だからまだ秘密だよと人差し指を立てる蓮の仕草を至近距離で見てしまったキョーコは、反射的に頬を赤らめるものの、誤魔化すように周囲に人気がない事をオーバーアクションで確認する。

「あ、あのっ!中を見せて頂いてもいいですか?」

「もちろん。むしろ、あげようと思ってのものだし」

「うわあああ!嬉しいです!」

礼を述べながら満面の笑みでパラリとめくる。するとそこには海辺に佇む蓮が写っており、その切なげな表情に息を飲むが、それには気付かなかった蓮が沖縄の海で撮影してきたんだよと笑った。

「うっ、わぁ……綺麗……」

どこまでもセクシーなそれは、様々な表情や景色がテンポ良く綴られており、釘付けになったキョーコは目の前に本人が立っている事も忘れて写真集へと没頭した。

ペラリ、ペラリと順繰りに現れるたくさんの蓮を食い入るように見つめる紙音がさざめく。けれどもそんな終盤戦である。

「すごい素敵……って!ひううあ!?」

「あ。」

「なっ、なっ!!?」

海に入り、シャツに張り付いた肌はなまめかしく、滴る雫と掻きあげられた髪からは、壮絶なセックスアピールが漂う。
こういった内容になる事を予想出来ないはずでもなかったが、立て続けの出来ごとの中で失念していたキョーコは真っ赤になり、その画面から逃れたい一心でさらにページをめくる。

「ふわあああ!!」

めくった先のページには、これが写真集のメインディッシュだと言わんばかりに蓮の裸の上半身をあますことなくおさめた見開きがあり、その隆起した筋肉や、伝う汗。まるで匂い立つようなオスの躍動感にキョーコはとうとう赤面を隠しきれる事なく廊下に崩れ落ちた。

「えっ?……最上さん?!」

「なっ、なんでもありません。びっくりした……だけで……」

どう見ても普通ではないキョーコに驚く蓮をよそに、キョーコは大丈夫ですを何度も繰り返し、これ以上は恥ずかしいのでお家でじっくり見させて頂きますねと冊子を閉じて立ち上がる。

「本当にありがとうございました!」

「いやいや、構わないよ……っていうか本当に大丈夫?顔真っ赤だよ?」

「大丈夫です!大丈夫ですとも!!」

そう、大丈夫だと必死の自己暗示を繰り返しながら、ヒトヒトヒトヒトヒトヒト!と頭の中で人の漢字を想像して唱えてみるが、蓮は追い打ちをかけるようにキョーコの努力を吹き飛ばす問題発言を繰り出した。

「俺の裸なんてカインで見慣れてるし、そこまで動揺すると思わなかったんだけど……」

「敦賀さぁあんんん!!?」

こんな場所で何を言い出すのだと慌てたキョーコはとっさに、右手の平を蓮の口元に叩き付ける勢いで発言を封じにかかった。

「なっ、なんて事をっ、こんなっこんな場所でえぇっ!!」

「ふぉふぇんふぉふぇん、ふい」

「ついじゃありませんよ!!…………ってスミマセンっ!!」

般若のごとき形相のキョーコに文字通り口元から押さえ込まれた蓮は、くぐもった声でのごめんごめんから一転、そこら中の人間を誑し込めるのではないかという美声で一言、俺の方こそごめんねと詫びた。

「人気もないし、キーワードだけじゃ誰にも分からないって思ったんだけど。でもこれも油断だね。気をつけるよ。……って、いけない。社さんからだ。ちょっとごめん」

「あ、はい、どうぞどうぞ!」

(社さんグッジョブです、ありがとうございます!)

キョーコにとって運が良かったのか、このタイミングで鳴り出した携帯電話を取り出した蓮は横を向き、通話を始めた。

「――はい、俺です。……はい。ええと、西フロアの第五会議室のあたりに……ええ、最上さんと一緒です」

(ふー、やれやれだわ。これで一旦落ち着くのよ。なんとかいつも通りを取り戻して……)

社に現在地を説明している蓮の横顔を見つめながら安堵の息を吐いたのもつかの間。

(って……待って待って待って!)

最後の問題は自分の右手の平にこそ存在していたのである。

(いっ、今さっき、私ってば敦賀さんの唇にっ!!)

とっさの口止めに、手のひらは確かに唇に触れた。

(私ったらなんて大胆な事をぉぉっ)

「――という訳だから、ごめん、最上さん。俺はそろそろ次の現場に向かわないと」

「え!?あっはいっ!お疲れ様でした!」

最上さんの一言で呼び戻されたキョーコは反射的に声を上げ、敬礼のポーズを取ったが、気付いてしまった自分の行動に対する羞恥心で声色は完全に上擦っている。

(いやあああ!今の声、なかった事にしたいぃいっ!)

「ははは。元気が良いのもいいけど、女の子なんだからほどほどにね?」

「はっはい、了解しました!あの、敦賀さん!」

「ん?なに?」

踵を返した蓮を呼び止めたキョーコは落ち着け、落ち着いて誤魔化すのよとさらなる自己暗示をかけながら次の言葉を探し当てる。

「コレっ、ありがとうございました!発売されたら自分でもちゃんと購入させて頂きますので、そうしたらサインを頂きに伺いますね!」

「別にいいのに」

断りつつも、綻んだ表情を見せる蓮の様子に、キョーコも嬉しくならない訳もなく、心拍数はみるみる上がる。

「じゃあまたね」

「はい!」





「――――――よし」

蓮の背中を見送った後、誰もいなくなった廊下でキョーコはキョロキョロと周囲を見渡す。

「………………ちょっとだけなら……」

後ろめたさを感じながら、けれど抗いきれない衝動のままに。
そっと自分の右手のひらに唇を寄せ、そんな自分自身に、なんて打つ手がない愚か者なのだと苦く、けれど甘い幸福に酔いしれて呟く。

「――間接……よね……」

後には頭を抱え込んでしゃがみ込む。そんな最上キョーコの姿があった。






のおおおおおっ!って羞恥に転げるキョーコさんが見たい。そんな話でした。

多分後日談。

「お?ちょっと祥子さん停めて」
松太郎がキョーコの姿を見つけたのは彼の写真集発売から1ヶ月は経とうとしたある日の事だった。
「おい。ずいぶんデカい袋だな、何買ったんだよ」
「なッ!なんでアンタがこんな所にいるのよっ!」
「ご挨拶だな。俺が公道を歩いてるからって、なにか問題があるか?」
「う……ぐぅ……」
「で?それ、本だろ?えらい大事に抱えてんじゃねーか」
松太郎の頭にあったのは、そのサイズは写真集だろう、ひょっとして俺のじゃねぇかという俺様思考の自惚れだ。
「って、オイ、隠すなよ、見せろ」
「ちょっ!やめてよ、触らないで…きゃっ」
バサバサと音を立て、落ちたのは確かに冊子、写真集だ。
けれども、それは松太郎の思惑とは反し、不破尚の写真集ではなかった。
「……敦賀……蓮……」
「いっ、いやぁぁぁぁぁ!!!!!!」
脱兎の勢いで地面に落下した写真集をひったくるようにかき集めたキョーコは走り去り、後には呆然とした松太郎が残される。
「って、これ、レシートだよな。マジかよ……アイツ……マジか!!!?」
キョーコが持ち去った写真集が3冊を超えていた。そのあまりにもな衝撃を裏打ちするようにキョーコが落としていったレシートには5冊の写真集の購入がはっきりと記載されている。
「何に使う気だよ!馬鹿野郎!!!!」
敦賀蓮の写真集が男性芸能人部門、歴代一位の記録を叩きだしたのは、最上キョーコ。彼女の貢献も大きかった……のかもしれない。


おわり。

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