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SS・雨の日の楽しみ方
こんばんはーでございまーす!

日々、あちこちかけずり回ってたらちょっと体力赤ゲージでしたてへぺろ。お見舞い日参って体力使いますね。
おかしいな、私、時間あるはずなのにと言いながら、半分寝落ちながらとうらぶしてるのがいかんのか…。
太郎ちゃん可愛いです、かわいいです。
あ、衣装も作ったりしてるくらいには水面下でごろごろ色々活動してるので、本当に大変な訳ではないので、むしろレス亀というか、やってなくて毎度すみません。
こんなわたくしにコメントして下さる女神さま、本当いつも元気をありがとうございます。
そろそろ書く事もいいんじゃないかとか一瞬思ったりしたりしたとかなかったとかなんですが、やっぱり過去作とか、パス請求とかでご感想を頂戴出来ちゃったりすると、よし、まだまだやれるとか思う現金ぷりです。

そんなこんなで、久しぶりに一日で書きあげたお話なので、というか、こんな勢いで書いたのいつぶりだろう・・・。
どっか荒々しかったらすみません、心優しいお嬢様、お付き合い頂ければ幸いでございます。

あ、蓮→←キョです。

3/1 誤字修正しました。報告下さった貴方様、ありがとうございます^^







雨の日の楽しみ方





普段ならば自転車で通う事務所への道のりではあるのだが、この日はあいにくの雨模様であり、自然と移動は電車になった。

これはそんな雨の日の物語である。





「ふんふふーん」

外では一般的に大多数の人間にとっては憂鬱だろうと思わしき雨模様の中、楽しげな鼻歌まじりでLMEの事務所ビル内を歩いているのは最上キョーコ17歳。
実を言うと、彼女は今日という日を今か今かと心待ちにしていたのだが、それにはとても大きな理由がある。

「あめあめ降れ降れもーっと降れ~♪いくら触ってもへっちゃらへっちゃらーっ」

オリジナリティに溢れる即興曲を歌う彼女の足元には、雨の日特有の装備品『レインブーツ』が装備されている。

「うふふ、うふふふ」

うきうきルンルンといった様子の理由であるこのレインブーツは、サイドベルトが輝くライトブラウンのショート丈だ。

タイミングも良い事に大安吉日の本日おろしたてのこの一品。
つい先週、親友の琴南奏江と出かけた際に色違いで購入した品なのだが、それは普段のキョーコが高確率でお世話になっているアウトレットショップのセール品ではなく、奏江の愛用するセレクトショップ。つまりはブランド物だ。
お値段は普段の買い物よりもゼロが一つか二つは多いという冒険ものだったが、奏江と色違いのおそろいだという幸せに勝るものはない。

「モー子さんも今頃……うふふ、うふふふ」

ブラックのレインブーツを試着した時の奏江の華麗な佇まいを思い起こすだけでニヘニヘと締まりのない笑みがこみ上げる。
と、窓ガラスに反射した自分の姿に気付き、ピタリと足を止めたキョーコはマジマジと己の立ち姿を観察した。

「さっすがモー子さんセレクトよね!」

レインブーツであろうとヒールは絶対に必要だと譲らなかった奏江の選んだそれは、奏江のスタイルの良さに一層の花を添えていた。つまりは同じものを着用したキョーコのスタイルも良く見えて然り。

「ふふふ」

足元には親友と色違いのレインブーツ。鞄の中には先ほど椹から手渡された新しくオファーが届いたドラマの台本。
今日はなんて素敵な一日なんだろうと天候とは正反対に晴れやかな気持ちのキョーコは、今にも空を飛べそうだと思うほどには幸せに浮かれ、そしてもう一つの幸せの理由を掴むべく、あるべき場所へと手を伸ばした。


「……あれ?……えっ??うっそぉっ」

手を伸ばした先は鈍色の傘立て。
レインブーツと同じく、そこには奏江と色違いの傘があるはずだった。

「ないっ!うそっ、うそーっ!!」

隅から隅まで見渡そうとも、あるべき傘が見当たらない。
ないないないないと周囲の人々にギョッとされる勢いであたりを探し回り、やはりないと実感すると、これ以上なく肩を落とした。

「嘘でしょーっ、よりにもよって、どうして私の傘なのっ」

普通の傘より骨が多く、和傘めいた雰囲気のある小花模様の洒落た傘。キョーコが温かみのあるオレンジで、奏江が涼やかな水色を選んだのは、レインブーツの色との相性を考えたからだ。

「どこの誰よーっ!」

その大切な傘がまさかの一日どころか、一日たたずに盗難とは笑えないにもほどがある。

「っひゃああ、ひどい目にあった。土砂降りなんて聞いてないぞ」
「あーもう本当そうだよ。雨の日ってマジ最低だな」

「……え?」

聞こえてきた声に促され、ギクリとしながら外の様子を伺い見れば、確かに窓の外は完全なる土砂降りだ。
先ほどまではなんともなかった雨音が、一気に陰鬱の塊として押し寄せ、キョーコは絶望に突っ伏した。

「うううーっ、ひどいっ、ひどいわ、こんなのっこんなのあんまりよーっ」

傘に名前を書いておけば良かった。むしろ、傘袋を持参して持ち歩くべきだったと後悔に後悔を重ね、勝手に持ち去った犯人を八つ裂きにして呪い倒してやりたいと、キョーコの背中から黒い気配がゆらりと立ち上ろうとしたまさにその時だった。

「最上さん?そんな所で何してるの?」

「ひはあああ!?」

驚きに飛び上がったキョーコに、具合でも悪いのと問いかけたのは、言わずと知れたLMEの看板俳優、敦賀蓮だ。

「つっ、敦賀さんっ!お疲れ様ですっ!」

いくら事務所だからとはいえ、まさか蓮と遭遇できるとは全く……とまでは言わないとして、会えたら良いな程度に思っていた希望が叶ってしまい、心拍数は一気に上がる。

「あっ、キョーコちゃんお疲れ様ー」

「社さん、お疲れ様ですっ」

社がひょっこり顔を出し、なんとかドギマギする気持ちを反らす事に成功したキョーコは、この不意打ちの逢瀬により、落ちきった運気がV字回復していくと感じる己の現金さに、モー子さんごめんなさいと心の中で雄叫びを上げた。

「あれ?ひょっとしてキョーコちゃん、傘、なくなったの?」

「え……あ……はい。ここに入れておいたんですが……」

キョーコの様子から、あっさり事態を見通した社の眼力の前に、キョーコはただただ頷く。

「あー、慌てた誰かが間違えて持ってっちゃったのかな……」

「いえ、珍しい傘なので、正直あまり間違えようはないかと」

ビニール傘ならさて置き、キョーコの傘はどうお世辞に見ても珍しいはずだ。

「盗られたのか……。事務所内だっていうのに酷いな」

事態を受け止め、眉を顰める蓮に「あ、いえ、そんなに気になさらないで下さい」と強がってみせると、けれども蓮は「大切なものだったから落ち込んでいたんだろう?」とキョーコの心情を言い当ててみせ、蓮が理解してくれたという事実が心に沁みるようでキョーコは言葉に詰まった。

「……その、モー子さ……親友と……お揃いだったんですけど……」

一層ショボンとうなだれたキョーコに、蓮がきっと見つかるよと慰めの言葉を投げかけると、社もそうだよ、きっと見つかるよと言葉を重ねる。

「ありがとうございます」

二人の優しさに触れた事で、やり場のない悲しみとささくれ立った苛立ちが少しだけ癒えた気がするとキョーコは苦く笑う。

「最上さん。けっこう降ってるけど、今日は自転車?」

「いいえ。電車なので、いっそタクシーを捕まえて帰ろうかなと思っています」

話題を少しでも変えようとした蓮に感謝をしながらキョーコが首を横に振ると、蓮はじゃあ俺が送ってくよと事も無げに言い放った。

「え!?いや、それは申し訳ないですよ!」

運が悪かった事とはいえ、そもそも蓮にはなんの責任もない。慌てたキョーコに、蓮はそんなに固辞しなくてもと苦笑した。

「別にこれくらいで恩に着せるつもりもないんだけど」

「いえ、着る着ないの問題ではなくですね、そもそもこれは私の失点ですし」

そうだ。キョーコが傘立てにさえ預けなければ、傘が盗られる事はなかったのだ。

「うーん。でも、だからといって、このまま一人で濡れて帰ったら、最上さんは事務所の中にあるこの傘立てを二度と信じられなくなるんじゃない?」

「それは……まあ」

きっと、傘があれば濡れる事もなかったのに。お揃いだったのに。傘を初めて開いた瞬間はあんなにも幸せだったのに。
そんな事を考えた後に思うのだろう。
なんでこんな事になったんだろうと。
だが、それもこれも、キョーコがなんともなしに手放してしまったからだ。

「それって少し切ないよね」

「そう、でしょうか……」

思う事がありすぎて、きっと最後は自分の行動を責めて悲しくなるに違いない。

「うん。だからね。結果、俺に拾われてラッキーだった。傘はきっと見つかる。たまたま誰かが間違えたんだ。……そう思えるように、今日は俺の車に乗った方が良いと思うんだけど」

ね?と言う蓮の表情には単純にキョーコを心配しているのだと思わせる真摯さがあり、すとんと胸に響く引力がある。

「そうだよ、キョーコちゃん。そもそも事務所に用があるのは俺だけだから。蓮、俺はここで解散でいいぞ、お疲れさん」

「そうですか?じゃあ最上さん、帰ろうか」

「え、あっ、はい。ってあの……いや、でも……」

本当に良いのだろうかと迷うキョーコに、車の鍵を取り出し、キョーコを連れて帰るつもり満々な様子の蓮は、三歩先からキョーコを振り返って微笑みかける。

「ほら、早くおいで」

「キョーコちゃん。送ってもらいなよ」

俺なんか常日頃から蓮を足にしてるんだから、キョーコちゃんが一回くらい蓮を使ったってバチは当たらないってと笑う社の言葉に背中を押され、なんとか歩みを進める。

「では、あの。よろしくお願いします」

深々と頭を下げて、蓮の車へと二人で向かう。
今し方、痛みすら覚えた雨の音も、優しい記憶に上書きされ、キョーコは濡れずに済んだレインブーツに向かい、諦めなくてもいいのかなと呟いた。




――――――――――――――


「ああ、そうだ、最上さん」

「はい?」

だるまや近くの路肩に停車した蓮は、助手席の肩を抱きながら後部座席にあるらしい何かに手を伸ばした。
もちろん、そんな何気ない所作に死ぬほどドキリとさせられたキョーコは、必死で表情筋を引き締めていた事を言い添える。

「これ、代わりにはならないけど、使って?」

「えっ?あの……」

手渡されたのは透明のビニール傘だ。

「貰い物で悪いんだけど、俺は駐車場は地下だから濡れる心配もないしね。傘が見つかるまでしばらく使ってくれていいよ」

そう言われてしまえば、だるまやまでの微妙な距離があるキョーコが借り受けないのも妙な話だ。

「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて、傘が見つかったらお返ししますね」

「うん。きっと……、いや、絶対に見つかるよ」

言葉を選び直した蓮の気遣いに、キョーコはにっこり笑うとありがとうございますと答えた。
なんだかんだで蓮に会えたおかげでダメージが軽く済んでいる。
これは一体どんな魔法だろうか。

「なんだか、敦賀さんがそうおっしゃって下さると、本当に見つかるような気持ちになりました」

なら良かったと微笑む蓮に、送ってくれた礼を言い、キョーコは車を降りる。

遠ざかっていくテールランプを見送りながら、キョーコは蓮の傘の柄をギュッと強く握りしめ、フワリと微笑む。
胸が苦しくて嬉しいなんて、本当に恋っていうのは厄介なんだからという独り言は、雨音にかき消され、誰の耳にも聞こえはしない。








朝、雨だったのでつい。みたいな一本でした。
書き終わってから、都会の傘立てって、鍵ついてなかったっけ・・・と我に返りましたが、おいどん、田舎っぺやねん。






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