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SS・晴れの日の憂鬱
おこんばんはこんばんは。新年度が始まってしまい、憂鬱なそやえもんです。一年早い・・・。
まあ、そんなことより、週末はいよいよスキビサイン会でありまして、私、昼の部に番号を頂けてしまいまして、ゼロ泊三日夜行バスなわけですよ!!
どうするどうする、とりあえず、なにをどうする。正直なところ、はじめましての先生相手に何を言えば。
某声優さまとのサイン会イベントを思い起こして心の準備をしておきたいと思います。まずはファンレターですね。
同会場でご一緒出来る方がいらっしゃいましたらぜひぜひお話してやって下さいね。

パスワード関係など、お返事滞りちぎっておりますが、今しばらくお待ち下さいませ。まいどそればかりで申し訳ありませんです。

さてさて。そんなこんなで、本日の更新はゆるく設定を持ち越して続いているお話です。






晴れの日の憂鬱







しばらく続いていた雨続きの日々も終わり、絶好の野外ロケ日和と言えるほどに晴れ渡ったその日。

迂闊にも写真週刊誌によるスキャンダルデビューをしてしまった男。敦賀蓮は、マネージャーの社共々、社長室に呼び出しを受けていた。

これは、そんな憂鬱から始まる一日の物語である。




コン。コン。コン。コンと万年筆の柄尻でもって重厚な社長室の机を叩いているのは部屋の主であるローリィ宝田であり、いつになく圧迫感のある空気は、この場に同席を余儀なくさせられた社が冷や汗を垂らしながら「誰か助けて!」と思うほどに緊迫した張りつめ方をしていた。


「ずいぶんと迂闊だったな。それとも、相手は最上くんだからとわざと撮らせたのか?」

ローリィが示したのは、キョーコとの記事が掲載された週刊誌だ。

「まさか。雨の中の車移動ですよ?つけられていたとは思いもしませんでした」

社長室のソファーに並んで腰掛けた蓮と社は、テーブルの上に広げてある文面を蓮は無表情で、社はこの事態を防げなかった後悔を全面にした苦い表情で追いかけている。

「思いもしませんでしたって、マスコミを舐めてんのかお前は」

「決してそんな事は」

呆れ顔のローリィに向かい、そもそも、追跡車なんてなかったはずですとはっきり言い切ると、ローリィはまあ確かに今回はお前をつけてた訳じゃなく、最上くんの小ネタ狙いで張り込んでた記者がいたらしいと溜め息混じりに真相を暴露した。

「小ネタ狙いだったはずが、蓋を開ければ蓮(大物)がかかってお祭り騒ぎ……って訳ですか」

社が口を挟むと、ローリィはそういうこったと頷く。

「海老で鯛。くじらが釣れたと界隈じゃ大騒ぎだ。ったく連中も余計な事をしてくれたもんだよなぁ。俺としては最上くんはもっと違う形で紙面デビューさせるはずだったってのに」

「あの、社長。さすがにくじらは言い過ぎでは……」

ぶちぶちと一人恨めしがっているローリィに、なにもそこまでと口を挟んではみるが、現時点での人気の差ってもんはお前も分かってるだろ?と切り返されてしまえばそれ以上言葉もない。

「それも仕方ない話だろうさ。なんせ、スキャンダル知らずだった敦賀蓮に出た初めての浮いた話だ。すっぱ抜いた記者からすりゃ良い儲けに化けただろうな。さしずめ初競りのマグロが降ってきたってとこか。まったく忌々しい」

「はぁ……」

嬉しくない例えだが、どうやら蓮に対してではなく、LMEに水面下の打診もなくすっぱ抜いた週刊誌記者に怒り浸透らしいローリィは、起きた事は仕方ねぇがなと鷹揚に嘆息すると、黒光りしている革製の椅子に頭を預けて天井を仰ぎ眉間を揉んだ。
どうやらかなりお疲れらしい。

写真に撮られているのは、雨の日、蓮がキョーコをだるまや近くまで送り届けた際のそれで、不鮮明な絵である事は否めない。
けれども、そこから数日分のキョーコが傘を差して歩いている姿。さらにその傘が蓮のものであるという検証画像を並べる事により、二人の関係がただならぬ仲であるかのように煽り立てているのは流石と言える。
お誂え向きな事に、DARKMOONの打ち上げ中のインタビューを異例のツーショットで挑んでいる姿は大衆の記憶に新しいのだから、説得力は抜群だ。

「火の気のない所に煙は立たんからな。で、蓮よ。お前、これからどうする気だ?」

「どうすると言われましても。まず事務所の対応はどうなる予定ですか?」

「どうなるもなにも、現実に付き合っちゃいねーんだろ?お定まりだが交際の事実はありませんしかねーだろうさ」

それとも、敦賀蓮の片思いだという報告を受けていますとでも返してやろうかと鼻で笑ったローリィに、それは構いませんが格好がつきませんねと苦笑し、慌てた社が社長、それはちょっとイメージに関わりますと止めにかかった。

「まあ、とりあえずは通常対応で様子見だな。しばらくせわしなかろうが、事務所としてはお前だからと特別に圧力をかけるつもりもない」

幸いな事にスポンサーからも苦情の類は上がってないしなと言ったローリィに、気を揉んでいた社がほっと安堵の息をこぼす。

「スポンサーの機嫌を損ねていないなら、なんとかしようもありますね、助かった。……って」

それではこの先の方針はどのようにするべきでしょうかと伺いをたてた社に、ローリィはある程度までなら好きにしろとだけ言いおき、ローリィは一枚のカードキーを取り出した。

「使え。当面の潜伏先だ。ウチの息がかかってる」

「ホテル滞在ですか?自宅に戻っても問題はなさそうに思いますが」

都内のホテルの鍵を受け取りながらも蓮は首を傾げる。
するとローリィは間髪入れずに切り返した。

「この馬鹿野郎。普段静かだからって本気でお前の住処は芸能レポーターに割れてないと思ってんのか?今頃、大挙して待ち構えてるはずだぞ」

「あ……すみません」

そう言われればそうかもしれないと蓮が素直に謝罪すると、やれやれと腕組みをしたローリィはそれになぁと続ける。

「最上くんにも当面はそこを拠点にするよう手配してある。直接会って謝るなり口説くなり、その辺は自分で考えろ」

「……ありがとうございます」

全てはローリィからの気遣いだったのだと気付いた蓮が感謝の言葉を述べると、まったく手のかかるヤツめと眉を顰めたローリィの電話が鳴り響く。

「もしもし、俺だ。――ん?ああ、その件か。いや、それについてはもう少し時期を見極めろ。――ああ、そうだ」

蓮の事もあり、かなり忙しいらしいローリィは、手の動きだけでシッシッと蓮と社に退出するよう合図を送ると、蓮の方も頭を下げてから社長室を後にし、社もそれに続く。

「――なんか、思ってたよりあんまり怒られなかったな」

結構覚悟してたんだけどと言う社に、蓮が頷いた。

「そうですね。もう少し厳しく怒られるものだと思ってました」

「だよな」

ああ心臓に悪かったと胸をなで下ろした社に、蓮がすみませんと再び詫びると、社は「ん?」と顔を上げる。
立ち止まった蓮の背が纏う空気は、やはり少し重い。
動揺を隠してはいるが、多方面にかける迷惑を考えると、ネガティブにならざるを得ないのだろう。

「あー。いいよいいよ。むしろ、今時、そっち系のトラブルが一回もなかったって事の方が珍しいくらいなんだし。そういう意味じゃ、俺はよそのマネより楽してきてたと思ってる」

「そう、ですか?しかし……」

「そりゃまあ確かに、起こってしまった以上、敦賀蓮はそんじょそこらのやつより反響もデカいだろうけど、これしきで潰れてやるつもりもないよ。しばらくは踏ん張るさ」

にっかりと笑った社は、んじゃ、頑張って気合い入れてマスコミをかいくぐって現場に行くかと拳を握る。

「だからな。お前はキョーコちゃんに逃げられないように頑張れっ」

「それは……はい」

こうなってしまった以上、キョーコから距離を開けられてしまうかもしれないという不安は大いにある。
けれども、決して怒らなかった社にかける負担に申し訳なさを感じる以上、蓮には弱音を零す事は許されなかった。




――――――――――――――




記事が出た直後から、京子の行動は社長が手配した運転手にホテルへの滞在、一時的な臨時マネージャーの同行とせわしない。

「ううう、疲れた……」

まだ一日目ではあるが、行く先々で誤解です、嘘っぱちです、付き合ってなんておりませんと声を上げる事に盛大な疲労感を覚えたキョーコはホテルのベッドの上で屍と化していた。
これでも、素顔が浸透しきっていなかった事が幸いして蓮のファンに出くわしてはいない。
明日、明後日と日が経つほど浸透し、騒がしさは増すだろうというのが事務所からの見立てであり、そういう意味ではまだまだ始まったばかりだというのにこの疲労感は末恐ろしいものがある。

「本当、敦賀さんの影響力って……」

ぐったりと脱力したキョーコは、携帯電話が震えている事に気づきモゾモゾとシーツの上を転がった。

本日は最上キョーコ史上、かつてない件数の着信があった為、また、例によって蓮との関係を問うものだろうかと思うといい加減うんざりもするというもので、気の進まないキョーコはモゾモゾと手探りで携帯電話を取り出した。

「もしもし……」

『最上さん?俺だけど』

「はいぃ!?」

俺とはどなたですかと問い返すまでもなくこの無駄に色気が溢れる美低音の持ち主は蓮だ。

慌ててお疲れ様ですと答えながら飛び起きると、誰にも見られていないというのにベッドの上で正座する。

『今、ちょっと会えない?』

「え?」

『俺もしばらく同じホテルだから、最上さんの部屋のすぐ近くまで来てるんだけど』

「えええ!!いっ、今すぐ開けますっ」

慌ててベッドから飛び降りると、部屋履きのスリッパを履く事すら忘れて扉の鍵を開ける。

ガチャリと扉を開いてみれば、扉の前にいるのは蓮のはずで、見上げた先で視線が合う――はずだった。

「マイナス10点だ」

「えっ?あの、ひゃっ!!」

すぐさま体が後ろへとのけぞり、足が宙に浮く。

景色が不自然な流れ方のまま、遠ざかり、扉が締まる音を聞いてようやく、自分が男の腕に抱きかかえられて部屋の中に引き戻されているのだと理解した。

ポスンと背中からベッドの上に着地すると、男が蓮である事にほっとする一方で、なぜこんな力業をくらったのかと困惑で思考がまともに動かない。

「いくら電話があったからとはいえ、違う人間が待ち構えていたらどうするの?」

ドアチェーンくらいかけてから開けようねと言いながらキョーコを見下ろした蓮は、ひどく真面目な顔をしている。

「す……すみません。その、敦賀さんだって思うと……つい」

ベッドに組み敷かれ、見下ろされている。そんな驚きの光景にキョーコの心臓はけたたましく爆音を奏で、辛うじて赤面をこらえた己の表情筋を褒め称えた。

「……まったく、油断ならないね」

一方。自分だからなのだというこの特別扱いを前に、思わず息を飲んで動揺をこらえたのは蓮であり、それに対して、小さく呟くように放たれた一言に、自分が呆れられているのだと受け取ったキョーコは、早く謝らねばと慌ててあのっと声を上げた。

「こっ、この度はワタクシめの為にとんだご迷惑を……」

見捨てられたくない。呆れられたくはないという衝動からの謝罪に、だめ押しとばかりに虚を突かれたのは蓮の方だ。

「二度とこのような誤解を受けないように注意致しますし、今回の事もきっちり釈明してみせますので、そのっ、これに懲りずに、これからも変わらず御指導頂ければ……と」

「……ああもう。本当にずるい」

「敦賀さん?」

逃げ出すどころか、変わらない距離をと希望されたのは完全に予想外で、蓮はここまでに抱いていた不安が杞憂に終わった現実に心底安堵の息を零し、そうしてこの距離ですら大して動揺してくれないキョーコの鉄壁ぶりに、心がじれた。

「変わらずに……は、少し無理かな」

「えっ?」

すううと細められた蓮の眼差しと、まるで夜の帝王が降臨したかのごとく、変わった空気にキョーコが目を見開く。

「今、ものすごく最上さんにキスをしてめちゃくちゃにしてしまいたい気持ちだから」

「……キ……ス?……へっ?えええ!?」

意味を飲み込んだ刹那、ボボボボボと真っ赤に熟れたキョーコを見た途端、理性の紙縒(コヨリ)が切れてしまった蓮は、有無を言わせず唇を塞いだ。

そうして後日、告白をすっ飛ばしてしまったが故の面倒くさい展開へと話が拗れる事となったのだが、それはまた改めて語る事としよう。







どうしてこう、まっすぐ告白出来ない男になるのか。
理性が蒸発中なので、赦してあげて下さい。←




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