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SS・シークレットパーティー・後編【蓮誕2016】
ハッピーバレンタイィィィィン!
バレンタインだから更新あるかなと思って頂いた貴方。正解です。おめでとうございました!←

そんなこんなで、コスプレ的な意味でプリンスの方のレンくんの誕生日も祝いつつ、敦賀の蓮さまのお誕生日も祝ってる贅沢なバレンタインです。煩悩万歳。

何回も話題に出してるんですけど、もくじが本当更新してなくて、かれこれ半年ぐらい触ってないような気が・・・しています・・・あ。あっ。
明日から本気だしますね!!!

あと、日々ご来訪くださるみなさま、拍手をくださる方、コメントを下さる方、みなさま、本当にありがとうございます。
感謝ボタンが足りませんが、感謝感謝です。













シークレットパーティー 後編







運命の2月10日当日。

晴天に恵まれたT県のとある海際のロケ地。その砂浜に立てられた待機エリアに構えた蓮は、隣に腰掛けている社に向かって怪訝な声をかけた。

「さっきからどうしたんです?社さん」

「え?あっ!?」

「俺の顔になにかついてます?」

一応隠そうとしていたようだが、なにやら思い悩んだ様子でチラチラと横目で見られている事に気づかない蓮ではない。

「いや、そういうんじゃないよ。ただ、良い天気で良かったなぁと」

社の言葉を受け、問いただそうかという気持ちがないではなかったが、撮影用の衣装に身を包んだ蓮は日焼け防止のテントからひょいと身を乗り出して空を見上げる方を選んだ。

「まあ、天気も良すぎたので、まさかの雲待ちですけどね」

「雲なぁ……いっそCGで対応してくれないかなぁ」

「それは……駄目なんでしょうね、スポンサーの意向という事ですし」

こればかりは仕方ないですよと肩をすくめる蓮は、この後に控える仕事がない為にゆったりと構えている。

「あんまり押すと困るんだよなぁ」

ぼそりと小さく呟いた言葉も間近にいた蓮は耳聡く拾い上げた。

「社さん、この後なにか予定を入れているんですか?」

だったら俺一人でも大丈夫なんで先に上がってもらっても構いませんけどと気を遣い始めた蓮に、いやいや違う、そういう事じゃないと慌てて首を振ると、蓮は一層不思議そうな表情を浮かべる。

「……俺、こういうの向いてなかったんだなぁ」

仕掛け人になる難しさを噛み締めながら天を仰ぐ。
やはり真っ青に晴れ渡る空に向かい、社は少しずれたメガネを直しながら、やれやれと息を吐き出した。

「早く雲来ないかなぁ……」

空は雲一つ浮かばない、すがすがしいまでの晴天だというのに、社の心中には暗雲が漂い始めている。




――――――――――――――


真上にあった太陽が傾き、水平線へと沈んでいくと、辺りには静かな薄闇が広がっていく。

街灯の少ないベイエリアのとある駐車場では、マリアが車外の気配に目を凝らしていた。

「……うう、遅い……遅いですわよ!蓮さまってば一体なにをなさってるんですのっ!!」

ロケが終わり次第この駐車場にやってくるはずの蓮をひっそり待っている……という割には社長用の黒塗りの外車に乗り込んで待ち構えているのだが。
そんなこんなでマリアは何度目ともいえない文句を吐き出していた。

「社さまからすでに少なくとも二時間は押すだろうという見立ての連絡が入っておりますから、今からですと、いらっしゃるまでにあと一時間はかかるものかと」

「あああんもうっ、それじゃあレストランは諦めるしかなくなっちゃうじゃない」

せっかく手配したミラクルコスタのスペシャルディナーコースですのにと嘆くマリアにも、サプライズという形を選んだからこそ、この状況になってしまったという事はよく分かっているので、なおさら怒りの矛先は持て余している。

「高速道を最大限に飛ばせば間に合う可能性もありますが」

「自分の都合の為にスピード違反はもってのほかよ!」

それで蓮さまに何かあったらどうするのというマリアは交通ルールに厳しいらしい。
出過ぎた事を申し上げましたというセバスチャンだが、内心でマリアのポリシーが喜ばしいらしく、そっとまなじりを緩めた。

「どうやら撮影が押した理由は、午前中の天候状況のようですね」

「こんなに晴れまくっていた日になにが天気待ちよ!もうっ」

描いていた計画通りにいかなかった事にキイイといらだっているマリアにセバスチャンが淡々と状況を伝える。

すっかり日が落ち、暗くなった駐車場で室内灯一つの明かりの中、マリアはこうして蓮の到着を今か今かと待ち構えていた。




――――――――――――――


お疲れ様でしたと挨拶をしながら片付けに勤しむスタッフに頭を下げる蓮を、社が急かして駐車場へと移動する。

「社さん?」

社の挙動不審ぶりにやっぱりなにか予定があるんですかと訝しい表情を浮かべた蓮に、社はいいから早く車に戻ろうと背中を押す。

「ああ、そうそう。明日は14時に富士だからな、遅れるなよ」

「だから、一体なに……」

そろそろ理由を説明してくださいという蓮の視界に見覚えのある外車が飛び込んだのは同時の事だった。

「マリアちゃん?どうしてここに」

車から降りた途端、一目散に蓮の元へと駆け寄ってくるマリアに目を丸くしていると、マリアは「蓮さま、お疲れ様でした」と半ばタックルじみた抱擁と「お迎えに参りましたわ」という熱烈な文句でもって蓮を出迎える。

ゴロニャンと喉を鳴らす仔猫のようなマリアの姿に、とりあえずいつものように、と小さな体を抱き上げる。すると、普段ならば懐いてくる所をハッとした様子を見せたマリアは、バッと蓮の両肩を押し返すようにして、蓮と視線を合わせにかかった。

「お疲れのところを大変申し訳ないのですが、蓮さま。マリアの一生に一回のお願いですからどうかこのままマリアを蓮さまのお車の助手席に乗せてくださいませ」

「えっ?それはいいけど、一体どうしたの?」

ここ最近では淑女たれという意識も芽生えつつあるように感じていたマリアから、弾丸のように放たれた懇願。

「一生に一回なんて言葉、そう簡単に……」

むしろ、一部の子供の間では一生に一度の願い事と言えば何度でも使われる常套句だったりするのだが、残念ながら『普通に育てられた』とは言えない育ちの蓮にはかなりの大事件として捉えられた。

「蓮さま、私には時間がないのです!」

「分かった。詳しい話は車の中で聞くよ」

自分を迎えに来たマリアが、以前、蓮がマリアの誕生日プレゼントにとオーダーしたリボンを身につけている事も、いつも以上に気合いが入った余所行きのドレスを着ていた事にも、蓮は勿論気付いてはいた。

うっすらと自分の誕生日を祝いに来てくれたのだろうと察してはいるが、マリアの口からまだおめでとうございますが出ていない以上、自分から言い出すのは自意識過剰であり、なにより不粋だろうと蓮は微笑みを浮かべてマリアの為に助手席のドアを開ける。

「ちょっと失礼致しますわね、蓮さま」

「ん?ええと……」

練習してきたらしく、手早くカーナビを操作するマリアは、何も言わずにこちらに向かってくださいませと蓮に運転を頼み、シートベルトを引っ張った。

「やはり到着予定時刻は20時をすぎてしまいますわね……」

画面を見ながらポソリと呟いたマリアの様子に、蓮が申し訳ない気持ちでいると、後部座席に乗り込むものと思っていた社がセバスチャンの車へと乗り込んだ姿が視界に入る。

「明日は14時……か」

なるほど、これの為に今日1日そわそわしていたのかと社の発言の意味を汲み取った蓮がアクセルを踏み込む。

「急いだら間に合うんじゃない?」

「いいえ、蓮さま、それはいけません。交通ルールは遵守した運転でお願いします!」

蓮さまにスピード違反なんて汚名は着せられませんからと言うマリアの迫力に従わざるを得ない蓮は、苦笑まじりに了解と頷くとカーナビの指示に従った。



――――――――――――――


とりたてて渋滞もなく、フェアリーランド近くまでやってくると、マリアの企みの概要をさらに推し量った蓮ではあるが、さすがにその会場がランド内にある直営ホテルだと気付くと、マリアちゃん、ここを押さえたの?とその行動力に驚かされた。

「はいっ、だって蓮さまと素敵な夜を過ごしたかったんですもの」

満面の笑みで肯定するマリアに連れられ、エレベーターに乗り込むと、小さな指先はなんとか届く高さにある最上階の数字を押す。

「さあ、こちらです」

ポーンと鳴ったドアの先には、フェアリーランドの妖精たちがふんだんにあしらわれた広々としたスイートルームが広がる。

その室内の景観には敦賀蓮という存在はミスマッチ極まりないが、マリアの方がまるで登場人物の一人であるかのようにピタリとはまっており問題はないようにも思われる。
部屋の奥へ駈けていくマリアの姿を優しく見つめた蓮は、さながら輝く妖精の軌跡を追いかけるように後に続く。

「敦賀さん、マリアちゃん、移動お疲れ様でした」

「えっ?……最上さん?」

先にキョーコの元にたどり着いたマリアが、キョーコと手をつなぎ、蓮の方へと向き直っている。

いたずらは大成功ねとばかりに笑顔のマリアが「せーの」とかけ声をかけると、二人からお誕生日おめでとうございますというフレーズが飛び出した。

「ありがとう。こんな素敵な妖精たちに祝ってもらえるなんてとても幸せだよ」

「よっ、妖精だなんて」

「やっぱり蓮さまもそう思いますでしょう?!お姉さまのドレスも私が選びましたのよ」

マリアと揃いのデザインらしい、レースがふんだんにあしらわれたドレス姿に赤面して恐縮するキョーコと、出来映えを誇らしがるマリア。「二人は姉妹みたいだね、本当にかわいい」とさらに賛辞を送るとそれは益々顕著となった。

「あっ、ありがとう、ございます」

面白いほどに赤くなるキョーコをニコニコと見つめていると、蓮の眼差し攻撃に慌てたキョーコが「そそそそうです!時間がありませんっ!」と声を荒らげる。

「あっ!そうでしたわ!急ぎませんと!」

なにやら気付いたマリアの手を引き、さぁ、敦賀さんも早くと言うと、からからとバルコニーへのガラス扉を開けたキョーコがひんやりとした外へと二人をいざなう。

――ボン、ボンボン、ボン

「花火……?」

視界に広がるのはランド内の妖精の泉から打ち上げられる花火の嵐。

「このお部屋、特等席なんですのよ」

「贅沢ですよねぇっ」

絶好の花火日和の夜空に浮かぶ、大輪の花。
遮るものはなにもなく、光の洪水は圧巻以外のなにものでもない。

「すごいな……本当に綺麗だ」

想い人の瞳に映る華やかな光の輪。
次々と肌を染める鮮やかな虹彩。

息を飲まんばかりの迫力の光景に少女たちが盛り上がる中、視線が奪われたのはその横顔だ。

――ボン、ボンボンボンボン

じっと見つめていたその熱に気付いたのか、ふとそれが交差した瞬間。驚いた茶色い瞳がくすぐったげに微笑みを浮かべる。

『お誕生日、おめでとうございます』

音に乗せる事なく発せられた唇の調べ。

『ありがとう』

秘密の会話を楽しむその耳には、確かに互いの声が響いていた。

『好きだよ』

きっとこれは届かないと動かした蓮の唇を、読み取れなかったらしくキョトンとした眼差しを浮かべるキョーコに、ああ良かったと思いながら笑顔で流し、花火へと向き直った。

キョーコの耳たぶが深紅に染まっていた事に気付いた者は残念ながらここにはいない。
残されたのは今の……ナニ!?と混乱の坩堝に叩き落とされた最上キョーコ、ただ一人である。








最上キョーコたるもの、読唇術のひとつもできずにどうします←いや、それもどうだろう。

願望が読ませる事ってあると思うんですよね。うんうん。



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