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SS・蛹が蝶に孵るまで。8
ブログを確認したら自分が18000打でした。わー、初めてちょうど良い桁を見たなーw

って。ひょっとしなくても、もうすぐですか2万打!?皆様のご来訪に本当に涙が出そうです。
ありがとうございます!!けれども、まだクー絵の練習途中っていうか、エイプリルフールネタの仕込み真っ最中でして、2万打絵にまだ着手できとりません。いや・・・誰も大して、期待してないと思いますけどさ・・・orz


さて、蛹ですが、とうとう8までやってきました。
一応クライマックスに向けてそろそろ突入です。キョコ自覚編。


そんなわけで、追記よりどぞー!!

―――――――――――――

蛹が蝶に孵るまで。8

―――――――――――――



mission5




顔を真っ赤にしていた燿子を追いかけようとキッチンに向かうべく、立ち上がった黎であったが、その足は、鳴りだした携帯電話によって止められた。


「はい、四方堂ですが…」

ディスプレイに表示された見覚えのない番号に怪訝な表情を浮かべた黎であったが、電話の向こう側の相手から告げられた言葉に思わずその息を飲み込んだ。

「分かりました、すぐに…行きます。」


それまでの柔らかな雰囲気から一変、すっと表情を消した黎はキッチンの中にいて、顔の見えない燿子へ声をかけた。

「燿子ちゃん、すぐに"桜"になれる?」

「えっ??は、はい!」


「危篤だという話だからもう…必要ないかもしれないけど…」


黎の口から出たのは二人の関係を一変させるであろう一言。



……………………………………


「萎んでるな~、大丈夫か?」

所用で出かけていた社長が事務所に戻ってみれば、燿子は社長が出かける前と全く同じポーズで事務所のソファーに突っ伏していた。

「先生が実家に帰って一週間…か。連絡無いのか?」

社長の言葉に顔を上げた燿子のその顔色は冴えない。

「無いわ…学校も休みだし、メールも返って来ないもの…」

「そっか…意外だな。」

「何が?」

「あの先生なら、たとえ学校辞めてもお前を構い倒すと思ってたんだが…」

自分の事を名字では無く、名前で呼ぶようにしてほしいと社長へ追加条件の依頼をしてきた黎は、燿子に執着していると思っていたし、それは間違いではないだろう。


「このまま先生が学校辞めちゃったら、お祖母さまも亡くなったから、もう契約は解除だもの、きっと、会う事も無いわよ…」

今までにない切なげな表情を浮かべる燿子の様子に、彼女の恋心を悟った堀田はどうしたものかと思案にくれる。

「あ~っ、もう、やめやめ!!こんな時は仕事よ!なんか無いの社長!?」

堀田は、がむしゃらに振り切ろうとする燿子の様子に苦笑をしながらも彼女の希望を叶えるカードを提示する。

「無い事は無い、けど、お前で大丈夫かな?」

「私に出来ない役ってこと?」

「いや…分からん。」

「分からんって…どんな役?」

これでも事務所の看板なのだ…燿子のプライドがいたく刺激される。

「シスターだ、取り壊しされるかも分からん教会の…な。」



……………………………………


「カット、お疲れ様~!」

カットの声でキョーコは我に返った。

「お疲れ様でした、お先に失礼します。」

朝からずっと一緒だった蓮は、途中で別の現場へ移動するスケジュールであった為に、すでに移動してしまったので、キョーコは一人、事務所へ戻るべく、私服へと着替えた。

「はあ………」

スイッチの切れたキョーコの中に渦巻くのは、夕べ起こった自分の変化…
あの時感じた衝撃はなんだったのか…
蓮の鼓動を感じた瞬間、自分が感じた確かな動揺…。



『なぜ蓮と共にいると誰よりも安らぎを感じるのか…。』


『なぜ蓮に見つめられると鼓動が逸るのか…。』


『なぜ…蓮のそばにいたいのに、その顔を見るのが無性に恥ずかしいのか…。』



『なぜ…?』




その問いに答えは見つからず、
キョーコは気がつけばずっと蓮の事ばかりを考えている…。




「仮にも主演女優が何って顔してるのよ、アンタ。」

大きな溜め息をついたキョーコの背後から、聞き馴染んだ声がかけられた。

「モー子さん!」

振り返ったキョーコの視線の先にいたのは琴南奏江、彼女である。

「モー子さん!どうしてここに?」

「どうしてって……もうすぐ私の出番に入るから監督に挨拶に来たのよ。」

そういえば確かに、次の回からは奏江がドラマに途中参加する予定だった事を思い出した。


「それにしても、浮かない顔をしてるわね、何かあったの?」

奏江の言葉にキョーコはうるうるした瞳で彼女に抱きついた。

「モー子さああん~っ、もう、どうしたらいいか分からないよ~っ」



……………………………………


顔を見るなり半泣きの顔で抱きついてきたキョーコに面を食らった奏江は、キョーコを連れて、ラブミー部の部室へと戻ってきた。


「それで?どうしたっていうの?」

話を聞く為の体勢を作った奏江はキョーコからの言葉を待つ。

「…頭がゴチャゴチャで、私にも…よく分からないんだけど…」

「分からない…?」

話をするはずのキョーコが分からないとは何だ?

「…敦賀さんに…撮影シーンの練習に付き合ってもらったの…だけどね…その…」

「その?」

「敦賀さんのおかげで、結局は上手くできたんだけど…でも…」

社長命令で一緒に住んでいるのだ、共演ドラマの練習ぐらいしていて当たり前だろう、けれどキョーコは何かしらの障害に直面しているようだ。

「上手くできたんならそれで良かったんじゃないの?」

演技の障害は今まで、何度となく敦賀蓮の的確なアドバイスでクリアしている事は勿論奏江も知っている。

「いや…あのね……出来たから問題というか…」

今までの教えにより、蓮を崇拝するかのようなキョーコも知っている。
そのキョーコが蓮に対して何かがおかしい。

「何?押し倒されたりでもしたの?」

「おっ!押し!!!!!!」

奏江の言葉にキョーコは真っ赤になってしまった。

「違うの?」

「ち…ちっ…違うわよ!それに手を出したのはどっちかって言うと私だしっ!」

「はい!!!?」

予想外なキョーコの言葉に素っ頓狂な声がでてしまった。
キョーコは説明するよりも早いと鞄から台本を取り出し、問題のシーンを開けると、奏江に差し出した。




「…ふーん、自覚をして狼狽える…ねぇ。」

台本に目を通した奏江はこれを自宅で二人で練習していた時の蓮に少しばかり同情する。

(よくもまあ…二人きりでこんなシーンの練習をして、この子を押し倒さないように我慢したもんね…)

蓮の鉄壁の理性に内心で賛辞を送りつつ、奏江はキョーコに疑問を投げる。

「で、演技出来た事が問題って、なんでなのよ?」

「あのね、敦賀さんは完全に役になりきってて・・・本当に鼓動が早くて…その…」

「はあ…?」

「敦賀さんは…涙も鼓動だってなんだって役になりきって演じられちゃうぐらいすごい人なのに、私はやっぱり最上キョーコに戻っちゃったのよ…未熟にも程があるわ!!」

「いや…さすがに脈拍は演技じゃなくて敦賀さん自身の物じゃないかしら。」

冷静に突っ込む奏江をよそにキョーコは続ける。

「ドキドキして動揺したのが演技なのか、私自身なのか分からなくなって…もう、頭の中がゴチャゴチャなのよ~っ。」

キョーコの言葉に奏江は引っかかる物を感じた。

「つまり、アンタは敦賀さんにドキドキするのね?」

「うん。」

いっぱいいっぱいになりながら、目尻にうっすら涙を浮かべたキョーコが頷く。

「それって、あんたは敦賀さんの事が好き…なんじゃないの?」

奏江の言葉にキョーコは顔面をボボボボっと真っ赤に染め上げた。

「す、好きなんて、私が恋なんてするわけないじゃない!!!!」

「あのねぇ…その反応が恋じゃなくて何なのよ。」

「だ…だから自分に訳が分からないからモー子さんに相談してるんじゃないぃーっ!!」

「いや、だから、あんたは敦賀さんが好きになったのよ。」

「う…嘘ーっ!嘘よー!!困るっ!困るぅぅーっ!!」

ぶんぶんと頭を振って否定したがっているキョーコを見ながら奏江は思う。
『恋なんて愚かな事はしない』と誓うキョーコの事情は知っているが、今、奏江の前で頬を桃色に染めて動揺しているキョーコは、どう見ても恋する乙女でしかない。

「困るってアンタ…」

確かに、過去に不破松太郎に味合わされた痛手はまだ癒えていないだろう、恋を愚かだと、二度としないと誓うキョーコの気持ちは分からなくも無い。

「困るわよ!!!」

「でもね、あんた、私の事、好きでしょう?」

だから奏江に出来る事は、キョーコがゆっくりきちんと己の気持ちへ向き合えるように、そっと言葉をかけることぐらいだと感じた。でなければ、友達甲斐が無いのでは無いだろうか・・・と漠然と思う。

「え?勿論、モー子さんは大好きよ!!!?」

突然の奏江の問いかけにハテナマークを浮かべてキョーコが答える。

「はいはい、ありがとう。じゃあマリアちゃんの事は好き?」

「え?うん、勿論、好きよ?」

「社さんは?好き?嫌い?」

「嫌いなんてあるわけ無いじゃない!もちろん好きよ!!」

「そうよね?じゃあ敦賀さんの事は好き?」

「へ!!!!!!!?」

そう言ったキョーコは顔を赤くしたまま固まってしまった。

「何?嫌いなの?」

「そ、そ、そんな訳ないじゃない!!!」

ブンブンと首を振り力いっぱい奏江の言葉を否定するキョーコ。

「私達には簡単に好きだって言えるけど、敦賀さんは嫌いじゃないのに簡単に好きだって言えないぐらい特別なんでしょう?」

「あ、その…あぁ…あの、あの…」

パクパクとキョーコは意味のない言葉を発する。

「敦賀さんの事を考えるだけで幸せな気持ちになったり、ドキドキしたりしてるんじゃないの?」

「し…てる…かもしれない。」

「だったら、やっぱりアンタは敦賀さんが好きなのよ。」

奏江は落ち着いて言葉を選ぶ。

「最上キョーコは敦賀蓮に恋をしたの。ねぇキョーコ、アンタの親友の私の言葉は間違ってるかしら?」

「モー子さん…」

奏江の真剣な視線を、言葉を、キョーコはまっすぐ受け止める。

「間違って…ないかもしれないわ…絶望的だけど…」

「絶望的??」

「だってモー子さん!自覚した瞬間、失恋確定の恋なんてどうするのよ!なんで気づいちゃったのかしらぁぁ!!!」

「は?」

嘆くキョーコを前に、奏江はキョーコの言葉の意味が咄嗟に飲み込めなかった。

「アンタ…何言ってるの?」

「何ってモー子さん!言葉通りじゃない、私の失恋は確定してるのよ!そんなに何回も言わせなくたっていいじゃない!」

蓮の態度を見る限り、どう見ても両思いとしか思えないのにキョーコは何を言っているのだろうか…。
好きでも無い女に、素人目に見てもかなり高価と思われる宝石を渡したり、あげく、社長命令だからとは言え
自宅に住まわすなんて、あれ程にどこからも引く手あまたの男が、そんな酔狂な事をする訳が無い。

「いや…告白してあげたら敦賀さんは間違いなくアンタを抱きしめてOKすると思うわよ?」

「はいぃ?モー子さんこそ何を言ってるのー!?そんなことある訳ないじゃない!だって敦賀さんは…」

奏江の言葉にキョーコが異議を唱えようとしたその時、ラブミー部の部室がノックされ、返事を待たずして、その扉が開けられた。



「おはようございます…。」

部屋へ入ってきた天宮千織の声は、重く、どんよりとしており、そんな千織へと視線をやったキョーコも奏江もピタリと己の全てを停止した。

「あ…あなた……その格好…どうしたの!?」

「あぁ、京子さん、琴南さん、お疲れ様…。」

部屋へ入ってきた千織の頭と顔の右半分は泥まみれだった。

「天宮さん!?その格好…な…何があったんですか!!?」

「それがね……事務所に来る途中、道が渋滞していたから、少し歩いてたんだけど、自転車で追いかけてきた男に泥団子を投げられたの……」

「「なっ!!!!!!」」

二人は言葉を失う。

「結局犯人は逃げちゃったんだけど、さっきまで警察の人も来て話しをしたりね…怪我が無くて良かったけど……全く…ありえないわ…」

黒いオーラを巻き起こした千織は、悪態をつきながらも、自分のロッカーからラブミー部ユニフォームを取り出して、シャワー室へ向かった。

「全く…女優の顔を狙うなんて……なんて犯人なのかしら…」

「天宮さんに怪我が無くて本当に良かったけど…一体誰が…」

突然の事態に憤慨する奏江とキョーコは、そのあまりの衝撃に話しが途中で途絶えてしまった…。
けれどいつまでも止まっていられない。

「はあ…、邪魔が入ったわね…もう時間だから、続きはまた明後日、午前中は時間あったわよね?だから、例のカラオケボックスで話しましょう。」

「…う…うん。」

「アンタ、さっきの言葉だけど、敦賀さんはアンタの事、好きよ?私が保証してあげる。」

「え…あの…モー子…さん?」

「だから、アンタも敦賀さんを好きだって言葉に出して伝えてごらんなさい?それでアンタの悩みはきっと溶けるわよ。」

「え…えぇぇ!!!!?」

言うだけ言った奏江は次の仕事の為に部室を出て、残されたキョーコは奏江の言葉を反芻して、また一人、思考の渦に飲まれていった。


―――――――――――――


これでやっと恋愛モード突入・・・かもしれない。
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