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ACT.241本誌続き妄想
こんばんは、トリックオアトリートやりそこねました、そやえもんです。どうして終わってからネタを思いつくのかw

さてさて、気付けば11月でございますよ。今年あと2カ月切ったとか・・・信じられない。早すぎて・・・orz

やりたいことも更新したいしネタもあるし、オフ本出したいんだけど、いかんせん、もろもろ付いてきません、どういう事!あ、ゲームのやりすぎですね、そうでした!知ってた!という中、とりあえず、本誌を読むと考えたくなるアレコレソレということで、
コミックス派の貴方様には大変申し訳ございません。
11月は寄稿作品の再録とかそこそこ頻繁に更新していきますので、していきますので!今度こそ狼少年にならないぞと。

241の続き妄想と言いながら、あれそれこれぶっとばして終わった所なのです、はい、どうぞー ←どないやねん。









ACT.241 本誌続き妄想





約束はしていなかった。
だからこそ、会えるその日を指折り数えるようなドキドキであったり、帰国した蓮とはいつ会えるだろうかというソワソワが待ち受けるはずではあったのだが、なぜか感じる暇もないままその日は訪れた。





「今日まで本当にお世話になりました。私が無事にオーディションを終える事が出来たのは、社さんにお力添え頂いたお陰です」

「いやいや、俺はそんなに大した事はしていないよ。むしろオーディションの結果が出るまでついてられないのが気がかりなんだけど」

日も暮れ、事務所に向かう車の中、キョーコは臨時マネージャー業務もいよいよこれで終了にさしかかった社に感謝の言葉を述べていた。

「いえっ!そこは最初から二週間というお話でしたし、お気持ちだけで十分です。明日からはまた敦賀さんとご一緒に忙しい日々を送られる事になるんでしょうけど、また結果のご報告はさせてくださいね」

「そこはもちろん。キョーコちゃんとの縁がこれで終わっちゃう訳じゃないんだし、良い報告、待ってるよ」

「はいっ!」

オーディションが好感触に終わった今、二人にとって、紅葉はほぼ確実に手に入れる事が出来ただろうという自信がある。
始終和やかな雰囲気の中、しかし、二週間ってあっと言う間だったねぇと社が濃密に過ぎた日々を振り返ると、キョーコも続き、そうですねと微笑んだ。

PIPIPIPIPIPI

「あっ、すみません、電話が……」

キョーコは鞄から携帯電話を取り出しながら社に断りを入れると、ハンドルを握る社は車内ラジオのボリュームをぐっと絞る。

「って、敦賀さん!?えっ、えっ?うそっ、なんで!!」

「えぇっ?蓮!?」

ディスプレイに表示されたのがグアムにいるはずの蓮の名前で、まさか国際電話かとギョッとするキョーコは、慌てて通話ボタンを押してもしもし!と声を張り上げた。

「――お疲れ様です、最上ですっ!はいっ、はいっ、えええっ!!」

一体何事だろうかと耳をそばだてはするが蓮の声は聞こえるはずもない。キョーコの反応に気を取られそうになりながらも社はとりあえず前を向いてハンドルを握っている。
けれども、電話の相手が蓮であればなおさら、社はこのまま他人ごとでは終わらないだろうと予感した。

「あっ、はい、では今から向かいますのでまた後ほど……」

通話を終えたキョーコが携帯電話を片付けるのを待った社は、蓮のやつなんだって?と素直に問う。
するとキョーコは敦賀さんがもう帰国されたそうで……と事の次第を説明した。

「えっ?本当に!?明日の朝のはずじゃ!!」

なにせ空港に車で出向いて驚かせてやろうと企んでいたのだから間違いない。

「現地での打ち上げをキャンセルしたら、最後の飛行機に間に合ったらしくて、監督には断って一日早く帰ってきちゃった……だそうなんです」

「あー……。まあ雪花抜きで打ち上げに参加するカイン・ヒールの図って……」

「ちょっと無い……ですよねぇ」

なるほどなるほどと理解した社だったが、それでも、いの一番にキョーコに連絡して来た理由を察せられないほど鈍くもない。

「で、どうしようか?どこに向かおう?」

蓮のヤツ、そんなにキョーコちゃんに会いたかったんだなグフフフフ……という残念な心の声を見事に眼鏡の奥に封じ込めた社は敏腕マネージャー顔で問う。

「あっ、いえ、敦賀さんも事務所に来られるそうなので、このままで大丈夫です」

「そうなの?」

社の期待をよそに、二人の逢瀬の約束には、色気のある雰囲気が皆無だったらしい。

「ミューズさまの移動型美容室(おくるま)でカイン・ヒールのカラーリングを直していたそうです」

「ああ、なるほどね。そういやそうか。いよいよカイン・ヒールも卒業なんだもんな」

「ですね」

敦賀蓮の仕事をウィッグでこなしていた日々が終わろうとしているのだ。
マネージャーとしてはイレギュラーが起こり得る種が一つなくなり喜ばしい。

「よしっ、それじゃあ安全運転で事務所に行くよー」

「はい、よろしくお願いします!」



――――――――――――――



「じゃあ、俺はデスクに戻るから、ここで」

「えっ?社さんは待たないんですか?」

約二週間ぶりの敦賀さんに会えるんですよ?とキョーコは、事務所に到着早々解散しようとする社を困惑した顔で呼び止める。

「うーん、まあ、どのみち俺は明日には会えるからね。蓮的にはオフなんだし、今日わざわざ押しかけなくてもいいかなと」

「それはそうかもしれませんけど……」

蓮が自分ではなくキョーコにのみ連絡したという意図を考えれば、その意思表示は大切にしてやりたい。
呼ばれてもいない自分がひょっこり表れるのは、蓮の恋心を知る数少ない人間である以上、不粋ってもんじゃないかというのが社の気遣いなのだ。

「でも……」

「なにせ俺の本命は、蓮を車で出迎えに行って驚かせる、だからさ」

だから今日会ってしまうと予定のリズムが狂う。

「ああ、それは確かに」

社にこう言われればキョーコには社を引き止めるだけの台詞はない。

「楽しそうですね。誰が誰を驚かせるんですか?」

「は……?」
「えっ!?」

勝手知ったる事務所の中。油断していたと言えばそれまでだが、後ろからかけられた声に、驚きのあまり、二人はガバッと勢い良く振り向くと、そこにはキラキラとした笑顔の蓮が立っている。

「つっ敦賀さん!?」

「お疲れ様、最上さん。あと社さんも」

二人の真後ろから声をかけるというまさかの登場をした蓮に、キョーコも社も思わず飛び上がった。

「れっ、おまっ、いつから聞いて!」

「? 社さんが誰かを驚かせたいとおっしゃっていたあたりですが?」

「あっ……そう」

一番のキーワードは聞かれてはいなかったようだが、しかしながら結果的に立ち去り損なってしまった社は、自分がキョーコについていた事を蓮に報告していないと思い至る。

あれ?これって俺、もしかしなくても蓮から見たら、なんでキョーコちゃんと一緒に?って、誤解を招き放題のシチュエーションにいるんじゃ?と、働きすぎる己の洞察力で冷や汗をかいていると、蓮は社には読み切れないにっこりした笑顔で最上さん、マネージャーがついたんだって?と問いかけた。

「あっはい、ご存知だったんですか?」

「今し方ミスウッズから凄腕でイケメンのマネージャーがついたって聞いたよ」

なぜか社は背筋にゾワゾワとする嫌な寒気を感じたが、キョーコはそうでもなかったらしい。

「そうなんですよ!ものすごく助けて頂いて……、あっ、ここで立ち話しもなんですから、良かったらうちの部室に行きませんか?」

「ありがとう、お邪魔するよ」

中途半端に切れてしまった会話を置いて、二人は部室へと向かい歩き始める。

「社さん?行きますよ」

「えっ、あ、……ハイ」

待って、そのマネージャーは俺だって言わせて!という社の心の内の絶叫は、誰にも察してもらえはしなかった。


――――――――――――――


「コーヒーお淹れしますね」

「ありがとう」

部室について早々。キョーコはちょこまかとお茶の支度を始める。

「蓮、キョーコちゃんのマネージャーの件なんだけど、それ、臨時でついてた俺の事だからな」

「えっ?じゃあ敏腕のイケメンマネージャーって社さんの事だったんですか?」

「おうっ!って自分で肯定するのもどうかと思わないでもないんだが、とにかくっ、キョーコちゃん、オーディションを控えて忙しそうだったからな」

やっと言えたと肩の力が抜けたと同時に、うっすらと、けれど確かに感じていた謎の負の圧力が和らいだ気がするのは社の思いすごしだろうか。

「オーディションというと例の?」

「まあ、そうだな」

暗に泥中の蓮のオーディションである事は伝わったが、それは同時にキョーコが恋するくの一、紅葉を演じる事だという公言でもある。
しまったこれも墓穴だったか!?と社が焦りを浮かべたそこにキョーコがカチャリとコーヒーが入ったカップを置いた。

「ありがとう」

三個のカップを囲み、キョーコも着席する。すると、蓮はそうそう、二人に渡す物があるんだと切り出した。

「……えっ?私にですか?」

「俺も?」

一体なんだと目を丸くした社にまず蓮は長方形の箱を手渡す。

「グアム土産です、どうぞ」

「あ……うん、ありがとう」

なんで俺に?と思わないではなかったが、グアム行きは極少数にしか知らせていない案件である事、また、社が知る限り初めての海外だからあえて土産があるのかな……とある意味で納得しながら包装紙を解いていく。

「ボールペン?」

「免税店で見つけたんですけど、軽くて良かったので」

「へー、サンキュー」

手に馴染む金属製のボールペンは海外の有名ブランドの名が刻まれており、社が長い事使っている物と同じシリーズの新作だ。
よく見てたな……と、改めて蓮の観察眼に驚かされた社は、ボールペンをまじまじと見つめていた。

「で、こっちは最上さんに」

「わっ……私も頂いていいんですか?」

社の箱よりも小さな正方形の小箱がキョーコに向かって差し出され、自分もグアムに行っていたのにとキョーコは目を丸くして受け取った。

「もちろん」

「ありがとう……ございます」

ピンク色のリボンがかけられた手の中にちょこんと収まる小さな箱。
これが自分の為に贈られた物である事がにわかには信じられず、これは夢?と心がざわめく。

「最上さんの分はホワイトデーも込みになってしまったんだけど」

「…………えっ?」

「遅くなってごめんね」

「でも……えっ?えっ?」

まもなく4月も終わろうかとする今、貰えるはずもないと思っていたバレンタインのお返しが込められているというフレーズに、リボンを解きかけたキョーコの指先が止まる。

「プリンセスローザに合うデザインの物を渡したかったんだけど、なかなかいいのが見つからなくてね」

敦賀蓮がお返しを渡すのはホワイトデーからひと月後までと決まっているようだ。そう、社から聞いたのだ。

「そんな……私のために」

蓮が時間を割き、自分の為のお返しを探していた。その事実だけで死んでしまいそうなほど嬉しい。

そもそも、お返しの期限のひと月など過ぎている。
何度も自分は貰えなくて当然なのだと言い聞かせてきたのだ。
諦めろと戒めてきたのだ。
なのに、敦賀蓮のルールから逸脱している現象が目の前にある。
これを奇跡と言わず、なんと言う。
感情の大波にさらわれてしまいそうな自分を必死にこらえようとゆっくりと息をした。

「開けてみて?」

「…………ぁ……」

蓮の言葉を合図にシュルリとリボンをほどく。
ドクドクと耳の奥で鼓動が響く度、誓いを守ろうと足掻き、築いてきた心の外殻がふるいにでもかけているようにパラパラと砕けていった。

「……可愛い……」

銀色の台座にピンクの石がついた小さなピンキーリングがそこにある。
プリンセスローザの結晶の半分ほどの大きさの石の放つ本物の輝きが眩しすぎて目がくらむ。

「サイズは問題ないと思うんだけど」

「蓮、お前、一体いつの間にキョーコちゃんの指のサイズチェックなんてしてたんだ」

遠くで社の声がする。

「カインをしていた時に何度か手を繋いだのでだいたいは」

「恐ろしい特技だな」

「いやいや、ここで間違えていたら格好悪い事は承知の上なんですから」

最上さん、つけてみてと言われても、キョーコは身動きが取れなかった。

「最上さん?」

プリンセスローザと合うものをと言った通り、デザインはキョーコが作ったフレームに似た曲線があしらわれている。

ゆっくりとビロードの布から引き抜いたリングにはkyokoという刻印が小さく刻まれている事に気付いた瞬間、もう、呼吸すら出来なくなった。

先に渡された社の物を見た事で、同じように売られていた土産物なのかと油断した。
一目で高価なものだと分かったが、それも土産とお返しと両方が込められているならキョーコに文句が言えないだろうと考えていたのかもしれない。
けれど、ここまで手が込んでいる品物が、免税店で簡単に買えるのだろうか。
考えすぎなのかもしれない。けれど、その可能性は十分にキョーコの心を大きく揺さぶる。

「っうう!!」

自分の為だけに考え抜かれたたった一つの贈り物。
もはや射抜かれたのは一点どころではない。

こらえる事がどうして出来よう。

相手は一瞬で全身を駆け抜ける稲妻のような衝撃だ。

「最上さ……えっ?」

体中の血液が沸騰するように熱い。

つまり、偽りようのない本心は、表情にさえ現れる。

「……あ。……」

燃えるように熱いそれは大赤面とでも例えようか。

「あっ!」

しまったと思ったその瞬間、キョーコの目の前は暗転した。


後の蓮の語るところ、社に見せる事さえもったいないと思う程、キョーコの顔は語ったのだという。








「おっ、俺、見てないっ見てないからっ!」とハグしてる二人を前に全力ダッシュで離席するマネージャー万歳。





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