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【再録】君のためにここにいる。前編
こんばんはー^^気がつけば11月も終わろうとしていますね。一年早い・・・。
なんかこう、ソシャゲ廃人になって一年が終わろうとしています←

さてさて。
本日は過去にゲストとしてお招き頂いたパラレル物の再録でございます。
いつのだろうって保存年月日見たら2011年だったよ。戦慄が走るね!ざわっ

ということで、パラレルです。再録です。パラレルです←大事なことなので二回言いました。
携帯電話擬人化の敦賀さんのお話です。よろしくどうぞ。






君のためにここにいる。





世界中の人口が激減し、生きていく為のパートナーにと人型ロボットを一人一台所有するのが当たり前になった時代。
それは様々なコミュニティーツールを所持した万能PCなのだけれど、その原点を手繰れば、根本に有るものは人と人を繋ぐ為のツール、電話の進化の形であった。


「お客様、申し訳ございませんが、ここまで浸水してしまうと、この携帯電話の対応年数自体も大きく過ぎておりますので……もう……」

「……そう……ですか……」

少女に告げられたのは、幼い頃から彼女のパートナーであった携帯電話の修理が不可能であるという残念な事実で、透明のガラスケースの中、無数のコードに繋がれている長年付き合ってきた片割れが、もう目をあける事は無いという現実だった。

「あの……それでですね、この坊タイプの機種は現在かなりの希少価値がついておりまして」

「え?」

「よろしければ、アンティークとしてですが、当社の博物館にお譲り頂けないでしょうか?」

少女の持っていた機種は、昨今、一見しただけでは人間なのか携帯電話なのか区別出来ない人型の物が主流な中、どうみてもブリキ製のニワトリの形にしか見えない、要はかなりの年代物だったのだが、それにより希少価値が高く付いていたようだ。

掘り出し物を見つけたと目を輝かせている店員の様子に少女は戸惑いの声を上げる。

「えっと……でも……」

「もちろん、ただでとは申しません。我が社の最新機種と交換……という事でいかがでしょう?」

「あ……でしたら是非」

少女は世に言う苦学生で、高校へは奨学金で通っている。その為にいくら連れ歩く事が常識になっているとはいえ、高級品である携帯電話をポンと買える裕福な身分には無い。
母親から譲られた物で愛着もあった為に一度として不満を表には出さなかったが、周囲の人々と比べ自分だけが時代遅れな携帯電話だった事を年頃の少女が気にしていない訳もなく、けれど明日の食費も節約に励んで学ぶ身としては、この店員からの申し出は正直な所、とてもありがたい物だった。

「では本日開発室から送られてきたばかりの最新機種、ヒズリ社の蓮をご用意させて頂きたいと思います。使用者の名前を登録致しますのでお客様、お名前をよろしいですか?」

「あ、はい! ありがとうございます! 最上キョーコです!」

「最上さまですね、かしこまりました」

少女、最上キョーコの返答を受けて店員は書類をさらさらと記載していく。
書面に書かれた〝蓮〟という文字を見たキョーコは、花の意味を持つ名前に『美人なお姫様のような子だといいな……』と、うっとりと妄想の世界の住人と化していたのだが、うかつにもこの時、名前の語感だけで携帯電話が女性型だと思いこんでいたキョーコは、いざその携帯電話と対面したその時に衝撃の悲鳴を上げる羽目に陥った。


***


「おはよう、最上さん」

「……お……はよう……ございます」

これまでの朝ならば、旧式の携帯電話がけたたましい鳴き声を上げて叩き起こしてくれていたものなのだが、この日は今までと180度違い、静かな美声でしっとりと……、けれどもキョーコの人生の中で一番心臓に悪い目覚めとなった。

うとうとと瞳を開けた瞬間、ベッドに片肘をついて見下ろされていたのだ。悲鳴を上げなかった己をキョーコは内心で誉めながらほっと息を吐いた。

「最上さん。朝食は和食でいいのかな?」

「え……あのっ」

敦賀蓮と名乗ったこの携帯電話は、最新機種という話しの通り、高性能である事は勿論。キョーコがこれまで今まで見たことの無い端麗な容姿をしており、これまで出逢った携帯電話の中で誰よりも美人という形容詞が似合う男前だ。

「わ、私、自分でやりますので、敦賀さんは充電でも……」

中学卒業までを男子厨房に立つべからず、そんな古風なしきたりを掲げる旅館で育てられたキョーコは、携帯電話といえど男性を厨房に立たせる事は出来ず、大慌てで蓮の行動を制したのだった。



「別にいいのに……」

「いえ、台所周りは私がやりますから。って、ところで充電はコーヒー一杯で本当に大丈夫なんですか?」

二人が囲むテーブルにはキョーコ用の朝食と、蓮にはブラックのコーヒーが用意されている。

「前の子は電気でしたけど……」

「今の時代、電気は高いからね。俺は水分で蓄電出来るようになってるんだ。さ、早く食べないと遅刻するよ」

「へー、便利ですね……って、いけない、もうこんな時間っ!?」

蓮に促されて時計を見れば、家を出なければならない時間が近づいていて、キョーコは大慌てで朝食をかき込んだ。


***


「おはよう、モー子さん」

「ああ、おはよう。キョーコ。なんだか疲れてるわね」

「あー、うん。まあね……」

朝の一連のやり取りだけで見事に疲労困憊なキョーコが教室に入れば、親友の琴南奏江がロッカーにもたれかかるように立っていて、キョーコはそこで足を止めた。

「あんたの席、また使われてるわよ」

奏江の言葉にキョーコが自分の席の方を見れば、そこには見知った顔ぶれが我が物顔で座っている。

「また七倉さん達、松太郎の所に来てるのね……」

キョーコの隣は幼なじみの不破松太郎の席であり、松太郎に向かい、満面の笑顔で話かけているのは七倉美森を始めとした和美、直という三人の女子生徒だ。
松太郎はといえば一応の相槌は返しているものの、見るからに退屈そうにしており、そんな松太郎の反応にもめげる事無く、話しを続けている様子はさすが恋する少女の胆力と言った所だろうか。

「隣のクラスからわざわざ。本当に飽きないわよねぇ……あんなののどこがいいのかしら」

クラスの席は携帯電話が学習の必須アイテムとなっているので二人一つになるように、二人分の大きさの長机が並んでいて、松太郎の隣にも彼の携帯電話、安芸祥子が座っていて、松太郎の手は祥子の腰へと回されている。

「さあね。七倉さん達にしか分からないでしょうよ。私は分かりたくもないわ」

高校入学した今でこそキョーコは一人暮らしをしているが、それまでは松太郎の家に世話なっていたので、嫌と言う程その横暴な性格を知るキョーコには、松太郎に夢中になる美森達の気持ちはどうにも理解出来なかった。

「っておい、キョーコ。お前、携帯は? あの鳥は一緒じゃないのか?」

「え、あ、おはよう飛鷹君」

「おぉ」

キョーコに声をかけてきたのは奏江の携帯電話である上杉飛鷹だ。

眉間に縦皺を刻み、常に気難しい表情を崩さない彼は、小さいながらもスペックが非常に高いのだが、他の携帯電話よりも省エネで、キョーコと同じく苦学生である奏江としては家計的に色々助かっているらしい。

「うちの子、昨日壊れちゃって……新しい携帯になったから、今事務室に機種変更登録に行ってるの」

「坊が壊れた?」

「ちょっと水をかけられて……」

「かけられた?」

「おい、キョーコ」

キョーコの発言に怪訝な表情で問い返した飛鷹だったのだが、キョーコの言葉は割り込んできた松太郎に阻まれた。

「今日の数学、当たるんだよ。お前のノート貸せ」

「って……はぁ? そのぐらい自分でやんなさいよ」

横柄な態度に、松太郎の我が儘に巻き込まれて苦労させられ続けたキョーコはツンとした拒絶の態度を取る。けれどキョーコのそんな態度はもう慣れたものである松太郎は、諦めずにノートを回せと言い募る。

「ショーちゃん。美森のノート貸してあげるよ?」

「いや、お前のクラスとウチのクラスじゃ進度が違うだろ? それにキョーコのやつは、地味で色気の一つもないけど、頭だけは学年で一番良いからな」

「うーっ」

不服そうに唸る美森に「そうブスくれるな、可愛い顔が台無しだぜ?」と、松太郎は宥め、尚もキョーコへ向き直る。

「なら、地味で色気の一つもない私からじゃなくて、派手で色気のあって頭が良い人間を探して教えて貰いなさいよ!」

いつもの事ながら、何故こうも馬鹿にされなければならないのかとキョーコの怒りは増していく。

「教えろって言ってない。写させろって言ってんだ。さっさとノート出せよ」

「はあぁ!!?」

学校のアイドルである松太郎を全く敬わないキョーコの様子に取り巻きの女子達の空気が一気に冷える気配を感じたが、キョーコも引く事はできず、松太郎を拒もうと声を荒げるのだが、

「何を怒ってるの?」

「つ……敦賀さん……」

突如として教室に現れた蓮に教室の空気がザワリと揺れた。

「最上さん。可愛い顔が台無しだよ? ほら、笑って?」

怒り浸透だったキョーコのそばに歩み寄り、すっとその頬を取る。

「ひゃっ」

するとそういった事に免疫のないキョーコは瞬時にボンと真っ赤に茹で上がり、最上級の美形と言っても過言では無い蓮のそれにクラスの女子が総じて見惚れた。
この所作に親の敵を見るような目で蓮を睨んでいられたのは美森達三人と松太郎だけで、キョーコを大切そうに扱う蓮に松太郎は嘲るように口を開く。

「キョーコなんかのどこが可愛いんだよ。お前、視覚センサー壊れてんじゃないか?」

「君、不破君だよね?」

「あ?」

蓮はキョーコの頬に手をやったまま松太郎を振り返り、氷のような微笑を浮かべて言った。

「彼女の頭が良いのは公然の事実だし、可愛いのも事実だよ。君のそれは大好きな女の子を苛める小学生男子みたいだから感心しないね」

「っ!」

蓮の言葉で松太郎の顔に朱色が走り、そんな松太郎の様子を軽く一笑しながら蓮は続ける。

「ああ。でも本気で分からないなら、君に女の子を見る目も磨き上げる才能も無いって事だね。俺はどっちでも良いけど。……だけどノートを丸写しなんて馬鹿丸出しだからやめた方が良いよ。格好悪いから」

「て……んめぇっ! 携帯電話ごときがっ!!」

「ちょ、ちょっとショウ! 駄目よ!!」

今にも蓮に掴みかからんばかりの松太郎を制止したのは祥子の声だった。

「なんで止めるんだよ、祥子さん!」

「止めるに決まってるでしょう! 緒方先生、もういらしてるわよ!」

「え……」

「盛り上がっている所申し訳ないけれど、授業、始めても良いかな?七倉さん達も教室に戻って下さいね。麻生先生が待ってますよ」

「っ!!!」

困ったように微笑む緒方に、松太郎は目を見張った後、苦虫を潰したような顔でドカリと大きな音を立てて自席につき、美森達は慌てて自分達の教室へ戻っていった。

「さ、最上さんもおいで」

「え? あ?」

ヒートアップしていた勢いを中途半端に遮られたキョーコは蓮のスマートなエスコートで席へと連れられる。
ストンと着席すれば、咳払いをひとつした緒方が授業の開始を告げた。






お持ちの方には懐かしい話になるかとも思います、後半はまた来週!
再録OKくれたMちゃんありがとーですよー><
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