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【再録】君のためにここにいる。後編
12月になりましたねー。ちょっと体調崩しておりました、くほ。
今が一年で一番仕事忙しい時期なので、がんばりすぎましたw

そんなこんなで、パス請求お返事は大変お待たせしておりますが、今しばらくお時間ください。
肩が痛すぎてパソコンにむかえませぬorz
梅こぶ茶がおいしいです^^

あ、1/8の大阪インテのスペース頂きました!
 6号館B き-08a 光の箱庭です
がんばって新刊作りたいなーと色々はじめてるのですが、分厚いのは五月に東京、大阪行きたいなと思ってるので、
インテは薄め・・・になるかなぁ。マンガペーパー描きたいのもあるので、ごそごそがんばります!はやくこい正月休みw





君の為にここにいる 後編





「ちょっと、あんた。ショーちゃんの幼なじみだからって何なのよ、あの態度」

「美森の言う通りよ。昨日ニワトリをここに沈めてあげただけじゃ理解出来なかった訳?」

「いや……あの……」

体育の授業で更衣室へ移動となり、蓮と別れて一人になった瞬間、キョーコは待ち構えていたらしい少女達に捕まり、人目につかない室内プールの一角へと連れて来られていた。

女子とはいえ、三人がかりで周囲をがっちり固められてキョーコには逃げ場が無い。加えて先の一件の現場に連れて来られた事で身の危険を感じているのだが、キョーコとて悪くもないのに下げる頭は持ち合わせてはいないという矜持もある。

「でも私から何か言ってる訳じゃないわ、松太郎に言えばいいじゃない。私にかまうなって」

いつだって絡みにくるのは松太郎の方なのだが、美森達にはそうは映らないらしい。

「なによ! 私達が間違ってるって言うの?」

「いや、だからっ……」

どう言ってもキョーコの言葉が届かないのは同じらしい。キョーコは思わず諦めの吐息を零してしまうのだが、それは少女達の怒りに油を注ぐ結果となってしまった。

「だいたい、昨日の今日で機種変までしてくるなんて生意気なのよ」

「え? いや、だって……」

「そうよ。だいたい男の携帯なんて、アタシ達へのあてつけのつもり?」

「いや、そんなの知らな……」

そもそもあなた達が壊したから機種変更しなければならなくなったのだと言いたいキョーコだったが、不穏すぎる三人の様子に言葉を飲み込んだ。

「目障りなのよ! さっさとショーちゃんの前から消えてよね!」

けれど、ボルテージが上がり続ける三人にはそんなキョーコの逡巡すら気に触ったらしく、美森の右手がキョーコを打つべく振りかざされた。


――パンッ

乾いた音が辺りに響く。

「いっ……たぁ……」

左頬を思い切り打たれたキョーコが痛みに頬を押さえ、後ろへよろめけば、キョーコをさらに追い込むように和美が詰め寄った。

「今度はアンタがそこに落ちればいいわ。身の程を知りなさいっ!」

「っ! やめっ!!」

力強く押され、キョーコの身体がバランスを失い空を舞った。

「きゃああああ」


***



「ちょっと和美っ、そっち行ったわよ」

「はいはーい、美森ー行くよー、そーれっ」

「オッケー!」

「って、美森。頭を狙うのはマズいんじゃないの?」

「やだ、直ちゃん。このぐらいで死んだりしないわよ」

「そうよ、このぐらいやらなきゃ。この子、しぶといんだから」

三人はまるで日常会話を愉しむように和気あいあいとした雰囲気でプールサイドにあったデッキブラシを手にキョーコがプールから上がれないように追いかけ続けていた。

室内プールとはいえ着衣のまま投げ込まれたキョーコは足がつくかつかないかギリギリの場所で漂う事を余儀無くされ、寒さに凍え始めている。

そしてそんなキョーコの様子に少女達は愉快だと笑う。

「ほら、次はそっちよ」

「っぷ……っ」

あがる飛沫に顔を歪め、キョーコは懸命に突きつけられる凶器から逃げているのだが、体力の低下から動作はかなり緩慢なものになっている。
そして少女達の放った一撃が頭部に命中し、その衝撃でキョーコの身体は透き通る水の中へ飲み込まれた。

(私……このままここで死んじゃうのかな……)

遠のく意識の中、キョーコはバシャンという大きな水音と、自分を抱える腕の力強さを感じ、意識を手放した。


***



「最上さんっ、最上さん!」

ペシペシという頬への刺激により混濁する意識が少し浮上したかと思えば、一気に流れ込んできた空気にキョーコは盛大に咳き込んだ。

「ごほっごほ」

「大丈夫?」

「っ……だい……ごほっ」

塩素で痛む目をなんとか開ければ、そこにいたのは蓮であり、キョーコは蓮が助けてくれたのだと悟った。

「良かった……時間になっても戻ってこないから探しにきたんだけど、来るのが遅くなってごめんね」

そう言った蓮はキョーコを抱きしめていた腕の片方でもってキョーコの濡れた前髪を優しく払う。

「っ……そんなこと……」

蓮の柔らかい物腰と優しく労る仕草に、キョーコは溢れ出る涙をこらえる事が出来ずに蓮の肩口に顔をうずめるように腕を回した。

「ひっく……」

キョーコの様子にほっと息を吐いた蓮はしゃくりあげるキョーコを優しく背中を撫でてから視線を上げる。

「君たち。少しやりすぎだよ――」

鋭い眼光で見据えれば、犯人である少女達は竦み上がる。
そして辺りには突如としてバチリと電流が走るような音が響き、竦む少女達に動揺が走った。

「な……なに、何の音!?」

鳴り止まない不気味な破裂音と目の前の蓮の怒りに満ちた雰囲気に少女達の顔色は蒼白になっていく。

「例え女の子でも彼女を傷つける人間を俺は許さない……」

蓮の怒気に呼応するかのようにバチバチと電流が弾けるような音が激しさを増した。

「君達も同じ目に合うかい?」

その言葉に三人はびくりと肩を震わせ恐慌状態に陥った。

「ひっ!」

三人が蓮の迫力に震え上がっていると、

「もう、いいですから。敦賀さん」

それを止めたのは他の誰でもないキョーコだった。

「最上さん?」

「七倉さん。もういいから私に構わないでくれる?」

「え……」

呼ばれた美森も驚きに目を見張る。けれどキョーコはそれに頓着せずにじっと三人を見上げたまま続ける。

「もういいのよ」

一方の美森達は許してもらえるのだろうかという期待を抱き、蓮は一体どういうつもりで……と不安げにキョーコを見つめていた。

「私は七倉さん達を許せる程大人じゃないし、自分が大切だからこれ以上あなたに関わって自分の心を汚したくないの」

「っ!」

「だからもう私に構わないで」

三人は静かな炎がくすぶるようなキョーコの迫力に息を飲み、逃げるようにその場を走り出していった。

バタバタという足音が遠ざかり静寂が訪れたそこで蓮はようやくキョーコに問いかける。

「本当に……良かったの?」

「……はい。私、大切なものを間違えたくないんです」

涙で濡れた瞳を拭いながらも強くあろうとするキョーコに蓮は微笑を浮かべる。

「君の携帯電話になれた事が心の底から誇らしいと思うよ」

「ほ、本当ですか?」

「もちろん」

そう言って微笑んだ蓮に先ほどまでの怒気はかけらも見当たらない。

「最上さんの為に生きられる事が嬉しいよ」

「っ! は、恥ずかしいですけど……その……嬉しいデス」

蓮の盛大な殺し文句じみた賛辞の言葉に、褒められ慣れていないキョーコが思わず頬を染めるのだが、この和やかな雰囲気に割り入るようにまたバチリという不気味な音が響く。

「ところで敦賀さん。これ……なんの音ですか?」

パチパチ。バチリ。静電気の音に聞こえなくもないそんな音にキョーコとて不安を抱いていたのだ。

そしてキョーコの不安な気持ちを悟った蓮は申し訳なさを込めた苦笑を零す。

「うーん。必要量以上の水分で蓄電しすぎたみたいだね。ちょっと回線がオーバーヒートしてショートしてる」

「……へ?  えっ!?  そ、そ、それって大変」

「うん。マズいね」

「な、なんでそんなに冷静なんですかっ! 大変じゃないですかっ!」

キョーコの言葉を継いで言う蓮の声には危機の色は含まれておらず、キョーコだけがアタフタと慌てる事になった。

「ああ、大丈夫だよ。体内で過剰に帯電している電気を放電しちゃえば自然に直る範囲だからね。後で――」

「って、そんなのんびりしてないで今すぐここで放電して下さい!」

「え……でも最上さん」

「いいですから、早く直して下さい! 敦賀さんが坊みたいに目をあけられなくなったらどうするんですかっ! そんなの、私っ、私っ」

詰め寄るキョーコの迫力に蓮は一瞬キョトンとした後に悠然と微笑んだ。

「そう? だったらお言葉に甘えようかな」

「え? は、はい」

蓮の反応の理由が分からず、蓮の笑顔にキョーコが鼻白んだ瞬間、蓮の端正な顔がキョーコの目の前に近づいた。

「んっ!!! っふっ……ぁ」

次の瞬間キョーコの唇は蓮により塞がれ、キョーコがジタバタともがいている隙にあろう事か口腔内を蓮の舌に蹂躙される。

「ぁ……んーっふ」

最初こそドンドンと厚い胸板を叩きつけて抵抗を示していたが、蓮の技巧により翻弄されるうちにその手は縋るようにシャツを握りしめる物へと変わる。

「……はっ……ぁ」

これでもかという程貪られ、ようやく唇が解放されたかと思えば、蓮はキョーコの唇に残る銀色の雫の名残をペロリと舐めてくすりと笑い、そんな蓮にキョーコの鼓動は痛い程跳ねた。

「な、なに……するんですかっ」

息も絶え絶えに呼吸するキョーコはもはや自分で立つ事もかなわないほどに腰を抜かしており、蓮はひょいとその身体を横抱きにすくい上げる。

「何って、放電だけど?」

「こ、れの……どこがっ! き、キ、キスなんてっ」

わなわなと震え、真っ赤になっているキョーコに蓮は笑う。

「過剰分を濃縮した唾液にして君に渡したんだけど……気持ち悪かった?」

人体には栄養になりこそすれ、無害なんだよと蓮が言えば、

「き……気持ち悪くは……なかったんですけど、いや……でも……ひゃっ!」

ごにょごにょと濁そうとするキョーコを逃がさないように蓮は腕の力を強めた。

「ほら。そんな可愛い顔してるともう一回するよ?」

「ちょっ!」

慌てふためくキョーコを抱えたままの蓮は優雅に足を踏み出した。

「つ、敦賀さんっ!?」

「ずっとここにいてもしょうがないからね。家に帰ろうか」

「へっ、て、あ、あれ!?」

そうしてキョーコが自分達がすっかり乾いていている事に気づいて衝撃の声を上げる。

「な、なんで!?」

「俺。多機能だからね」

「た……多機能っていう問題ですかっ!?」

けろりと何でもない事のように言う蓮にキョーコは翻弄されるままだった。

「大丈夫だよ。俺は簡単には壊れない。ずっと君を守る」

「つ……敦賀さん……」

「だから、これからよろしくね。ご主人様」

そう言って蓮はキョーコの額にキスをした。

「よ……よろしくお願いします」

キョーコはこれからも翻弄され続けるだろう自分を思い浮かべつつ、ずっと側にいると言う新たなパートナーに温かな気持ちを覚え、蓮の腕の中ではにかんで笑った――。



                                 ――END――








ほんと昔の寄稿作品なので、はずかしいですぞ!
ちなみにこれ、2も書いて寄稿してるのですが、需要あれば・・・再録考えます。ふひぃ。
しかし、携帯擬人化、今考えると、また新しいのが書けそうでいいなぁ・・・パラレルもたのしいなぁ。
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