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ACT.248 本誌続き妄想
6/21 追記  前編を18日夜にアップしていたのですが、後編の長さを考慮して、一本にまとめさせていただきました。
 たくさん応援のコメントを頂きました、更新ほんとに少なくなったのですが、お越し下さるみなさま、本当にありがとうございます。
お楽しみ頂ければ幸いです。

あと、8/20の大阪インテックスのスペース申し込みしてきましたので、久しぶりに本を作りたいです!



こんばんはでございます。気がつけば6月半ばorz
本誌続き妄想をちまちま書いてたんですが、気がつけば明日フラゲ日やないかいorz
ってことで、とりあえず、前編(蓮サイド)だけそっと投下していきます。
続きは明日にでもっできるはずっ・・・とか言いながらちょっとバタバタしているので更新できず申し訳ございませ・・・

本誌未読の方はご注意ください





ACT.248 本誌続き妄想 






眼前の写真がねつ造されたものではないと頭の中では理解している。
けれど、これが事実だと受け入れる事を嫌がる心が「良くできた合成ですね」なんて、どこまでも陳腐なセリフを紡がせた。



「ほんまもんだよ。今朝方出版社に持ち込まれたヤツだ」

「っ!!」

出版社という単語に息が止まる。

すぐそこに出されているカクテルに手を伸ばす事も忘れ、動きだすはずもない写真をただじっと見つめた。

自分がなんの告白もしていない以上、相手が不破に限らず、いつかこういった光景を目にする可能性が存在している事が全く頭になかったかといえば嘘になる。

けれど、これは『違う』。


「こちらの方でもこの夜、不破と接触があった事は把握していたし、日付が日付だ。この時の最上くんの心理状態は察するに余りある……が……」

不破もあのテレビ放送を見て、彼女の元を訪れたのだろう。
生きる事に絶望しきったような彼女の異変を見て、不破は気付いたはずだ。
彼女は母親の発言を見ていたのだと。

だが、それでいてなぜこんな愚考を犯せたのか。
湧き上がる怒りを拳を握りしめて飲み込む。

「出回りますか?」

ともあれ、まずは彼女を守らなければならない。
本人の意思がどうであろうと、マスメディアはどこまでも残酷なほど踏み荒らしにかかってくるのは業界の常だ。

もしもLMEが守らないのならば『敦賀蓮』を切り札にしてもかまわない。自然とそう思えるほどには自分は彼女に執着している。

「そうおっかない顔で力むなよ。安心しろ、出回らねーから」

クックックと喉を鳴らしながら酒を煽る社長は酔いが回っているのか、ずいぶんと楽しそうに笑う。
もしかしてまた試されていたのかと思うと不愉快にもなるが、同時に、流石に事務所としても彼女を守ってくれたのかという安堵も湧いた。

「まあ、残念ながら、止めたのはウチじゃなく、アカトキ側なんだがな」

「アカトキ?」

「一応、俺んとこにはアカトキの社長直々に詫びの電話が入った。自分とこのが迷惑かけたってな」

「そうなんですか」

「あちらさんの言い分じゃ、『自分は呆けた幼なじみに喝を入れただけ』だとよ」

「……勝手な理屈を」

「全くだ。乙女の唇をなんだと心得ているんだか」

不破本人の意思がどうであれ、理解出来るとも、理解したいとも思わないので、最上さんに危害が及ばないなら構わない。
一度はぶん殴ってやりたいと思ってはいるが……。

「ともあれ、俺だってハナから最上くんの合意があっての事だなんて思ってねーさ」

「ええ。不破がどうなろうと知った事ではありませんが、結果的に彼女が晒されないのなら安心しました」

「……そうでもない」

「社長?」

ガラリと表情を曇らせた社長に嫌な予感を覚える。

「残念ながら、こういう記事で致命傷を貰うのは総じて受け身の側なんだよなぁ」

「え……?」

困惑する俺に、話はまだ続くんだとばかりに社長は、もう一通の封筒を受け取ると、新たに写真を取り出してみせた。

「これは……」

「とりあえず、今後の事もある。最上くんにも事情聴取させて貰わにゃならん」

もう一枚存在するあの夜の写真。

それは、俺が彼女をだるまやへ送り届けたまさにその瞬間を写した代物だった。



――――――――――――――


サアアアアという音が部屋中に響いたんじゃないかと思えるほど、分かりやすく引いていったのは、俺とキョーコちゃんの血の気。

「これって、えっ?蓮とキョーコちゃんに……不破?ちょっと待って下さい。一体どういう事ですか!?」

社長に呼び出しを受けてやってきたらそこにはすでに蓮がいた。それだけでもわりと驚いたっていうのに、突き付けられたのは不破尚とキョーコちゃんがキスしているように見える写真に蓮とキョーコちゃんが下宿先の居酒屋に入っていく瞬間を押さえた写真だ。
このダブルコンボ……。なんてひどい悪夢なんだろう、ああ、なんだか目眩がする。

「もっ。申し訳ありませんっ、私のせいでよりにもよって敦賀さんにご迷惑をっ!」

すぐさま土下座しようとしたキョーコちゃんをすかさず蓮が大丈夫だからと二の腕を掴んで制止すると、いやいや、でもでも、だから落ち着いてといった具合に二人のやり取りは忙しい。
そんな二人の様相をバーカウンターを背にした社長がどう見てもニヤけたゲスい……否、悪い顔で眺めている。

そんな社長を『なに考えてるんですか、この非常時に』と視線で非難しているのは俺で、あとは巷のバーテンよろしく、表情の読めないルトさんがカウンターの中にいるだけなんだが、軽く眉を上げた社長はやれやれといった具合に咳払いで二人の注意を引いた。

「事情は蓮から軽く聞いてるし。最上くんが悪い訳じゃないのは理解しているから、まずそこは安心してもらっていい」

今にも泣き出しそうなキョーコちゃんは、でも、私のせいで……と、考えうる悪い予感で頭がいっぱいなのだろう。すっかり顔面蒼白だ。

「最上さん。大丈夫だから。不破との写真は出回らない」

「そう……なんですか?」

「ああ。先に連絡を受けたアカトキが、早々に圧力をかけて出版社を差し止めている」

蓮のセリフを社長が肯定したが、マネージャーとしては聞き逃せない言い回しに引っかかりを覚える。

「あの、でも、アイツとの写真『は』出回らないっていうのは、敦賀さんとの写真は出回るって意味じゃないんですか?」

俺が違和感を覚えたのと同じく、キョーコちゃんもそこに気付いたらしい。冷静さを取り戻したキョーコちゃんは社長に問う。

まさかアカトキが差し止める事が出来る記事をLMEが出来なかったとは思えないんだけど。

「んー。そっちはウチから本人に事実関係の確認を取って回答するまで待ってくれって事で止めてある。なにせ現状コイツは『敦賀蓮』の初めての色恋沙汰だからな」

「色恋っ!!?私ごときとですかっ!?」

いや、キョーコちゃん、なんでそんなに目を白黒させて……。

「そりゃまあそうだな。んで、話を戻すが、そもそも、アカトキのやったもみ消すってのはうまい方法じゃない」

圧力をかけるってのは、敵愾心を育てる行為だからなと言われれば、その通りだった。

「それはそうですけど、社長。この場合は圧力も仕方ないんじゃですか?」

「蓮よ。お前もまだまだ青いなぁ。こういうのは、無理やり潰さなくても、問題のないストーリーで上書きすりゃいいだけだとは思えんのか?」

ですけどと尚も食い下がろうとする蓮に取り合わず、物は言い様っていうだろうと手を上げて制した社長は「社」と俺を呼んだ。

「はっはい!」

唐突に話を振られて背筋が伸びる。

「敦賀蓮のマネージャーとして、お前の考えを言ってみろ」

「はい、ええと。まず少しひっかかったんですが、今回のその写真、わざわざ分けて持ち込まれていますよね?」

同じ出版社の封筒なのに、写真は一枚ずつ別々の封筒に入れられていて、そこにも違和感を覚えていた。

「ああ。そうだな」

「なぜですか?」

「それぞれで提示された意図が違うからだ」

「提示された意図?」

不思議がるキョーコちゃんは分かっていないようだが、つまり、これらの写真は、共通する人物――キョーコちゃんが中心なのではなく、『不破尚』と『敦賀蓮』それぞれがメインなのだという事だ。

「それって、つまり、まだキョーコちゃんの素性が割れてないって事じゃないんですか?」

「えっ?そうなんですか?社長」

初耳らしい蓮が驚いた声で社長を見やる。
すると、社長はニッと口角を上げた。

「御明算。うちに持ち込まれたのは、敦賀蓮のスキャンダル掲載の打診と、このスキャンダル相手は不破と二股してるみたいですよ、大丈夫ですか?っつー、ご丁寧な情報提供なんだよ」

これというのも普段から雑誌記者相手にも愛を持って接している姿勢があるからだな!とLMEの理念に胸を張る社長に、蓮とキョーコちゃんの目が大きく見開かれた。

「という事は、今頃、キョーコちゃんの素性を探ろうとしている記者が下宿先の周辺を張り込んでいるものと思われますが」

「ああ。十中八九、うろついているだろう」

「それじゃあ今頃女将さんにご迷惑がかかってるんじゃっ!」

「まあまあ、少しは落ち着け。最上くん」

慌てるキョーコちゃんに対し、放置しておけばいずれは最上くんが働いていた事にもたどり着くだろうが、それより先に道筋をつくってしまえばいいんだから。と社長は言った。

「道筋ですか……?」

それってどういう?という蓮の問いを、社長はまた人の悪い顔で答えた。

「アカトキが差し止めた時点で不破との件についてはなかった事になってるんだ。なら、蓮、お前は後輩の下宿先に飯を食いに行っていた。でいいんじゃねぇか?ちょうど店ののれんくぐってる写真なんだし」

「いや、でも、社長。そんな説明で雑誌社側は納得しますか?」

「そりゃお前、表向きには納得せざるえんだろうさ。アカトキが圧力をかけている以上、この話題は不破側のネタとしてはもう価値がつかないどころか世に出せば不利益を生む。そこにこっちからはこれは京子で、この店は京子の下宿先で一般の店だから過剰な取材は遠慮してもらえるように話を通せば、一応の筋は通る。今回の件で京子は下宿先を出たと合わせて広めれば張り込みもたいしてせんだろう」

こういう時の社長の慧眼は恐ろしく冴えている。
なるほど確かにと納得しながら頷いた。

「LME公認の下宿先だからと配慮を要請すれば、だるまやのご夫妻への迷惑行為は防ぐ事が出来ますね。……って、それ、キョーコちゃんはどうすんですか?!今の話じゃ、ネタを掘り下げたいなら京子をマークして新しい証拠を探せと言ってるようなものじゃないですかっ!」

大事な所がすこんと抜けている提案に声を上げると、社長はまあ聞けと手を上げた。

「だから、ここからの行動が大事なんだ」

落ち着いた眼差しでぐるりと全員を見渡していくと、社長の視線は蓮の元で止まった。

「そこで俺は、社にはしばらく最上くんのマネージャーを継続してもらい、蓮とのマネージメントと兼任させようと思う」

継続?と首を傾げた蓮に、社長がお前聞いてなかったのか?お前がグアム行ってる間は社は最上くんについてたんだと軽く説明してしまい、あ、報告してなかったと慌てた俺に蓮がそうだったんですねとなんとも言えない笑顔を寄こす。

「確かにそれは心強いですから俺はかまいません」

暗黙に説明を要求する眼差しを送ってくる蓮だが、俺にだって社長の思惑がまだよく分かっていない。

「当然ながら、しばらくは最上くんを下宿先に帰す訳にはいかん上、一人で行動させるのもリスクがある。最上くん的には、不破との恋愛関係のあるなしを探られるのは不本意だろうが、とりあえず当面は社について動いてもらう事で順次対策を講じていく」

「社長、具体的にどう動けばよろしいですか?」

「不破もしばらくは不用意に出ては来んだろうし、どうという事もないさ。目下、不破とも蓮ともこれ以上、決定的なツーショットを押さえられなければ記事にはできん。それに社が共通のマネージャーだという事実関係があれば、万一、蓮との写真が撮られたとしても理屈は立つ」

「社さんは保険ですか……」

蓮は社長の方針を理解すると、よろしくお願いしますよと目配せしてくる。
うーん。責任重大でお兄さんは胃が痛いぞ。

「まあ、お前たちが記事に便乗して交際宣言をしたいというなら話は変わってくるが……」

「敦賀さんと交際宣言だなんてっ、そんな恐れ多いっ!しっ、しませんよ!私、まだ死にたくありませんしっ」

「死にたくないって、俺のファン層はアサシンかなにかなの?」

「いえ、そういうつもりでは!」

「ほら、そこ。一々話しを脱線させてくれるな」

「はいっ、すみませんっ!!」

「ええと、社長。キョーコちゃんを下宿先から連れ出すとして、当面の潜伏先はどうしましょう?ホテル押さえるべきですかね?」

「社よ。それはそれで『やましい事があるから潜伏している』と取られかねんぞ」

「ですよねぇ……」

俺がキョーコちゃんのマネージャーも兼ねる事は問題ないとして、蓮との接触を記者に悟られないようにしながら二人をいい感じにしていきたいと思うのは、相当にハードルが高そうだ。
さてどうしようかと考えを巡らせていると、社長がぽんと手を打って、この手があったとばかりにのたまった。

「ああ。なら蓮の家なら部屋が余ってるんじゃないか?」

「は?」
「えっ?」
「へ?」

三人揃って意表をつかれる中、社長はいいこと思いついたとばかりにニンマリと微笑む。

「そうすりゃ社が面倒見るにもセットで打ち合わせが出来るから、なにかと楽だろう?」

「いやっ、ちょっと待ってください!未成年の女の子を成人男子の家にほうりこむとか、何考えてるんですか!」

いくらなんでもなんだその雑な提案は!と思ったのだけれど。

「いやいや。さんざん同じホテルで生活した事もあるんだ。今更だろう?」

「あーーー。ソウデシタネ」

むしろ、ヒール兄妹としてのホテル生活より、部屋数があって独立している蓮の家の方が安全だろうに、なんて言われた俺は、今度こそ頭を抱えた。
ああ、なんて働きがいのある職場なのだろう。
これ以上騒動が起きませんように、と願いながら、俺はこの先に待ち受ける苦難の壁の高さに心の中で涙を流した。





社さんベースにすると、思いのほか不憫になってしまった・・・(笑)

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