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ACT.250本誌続き妄想
お久しぶりの更新です。こんばんは^^
本誌展開にもうほんと毎回ドキドキしすぎてたんですが、ACT.250でピークを迎えておりました。
なんですかね、あの心臓に悪いの!!

ということで、act250はまだ新刊コミックス収録されておりませんでしたので、
コミックス41巻未読の方、結構ご注意ください。わりとちょこちょこネタバレで話がすすんでます。

そんなこんなで、今回はオーディション話のBADエンド方向ですが、そこからの大人展開なので、
なんでもいいよ、ばっちこーいな心の広い方は追記よりお付き合いくださいませっ

ではでは。どぞー。





ACT.250 本誌つづき妄想







悪いのは自分。

先に集中力を欠いたのが私だった、それだけの話なのだけれど。

「今回のオーディションの合格者は、森住さんです」

無理を言って力を借りて。
たくさんの練習をした。

絶対に穫れる。
そういう自信を手にして、万全の姿勢で挑んだ。

それなのに、オーディションに失敗してしまったのは、明らかに自分の弱さのせいで。

結果を出せなかった以上、なにも言えない。

恋心に振り回されている自分が誰より無様で。

ただ、唇を噛み締めて、俯いて。

(モー子さんとの共演の約束……果たせなかったな……)

誰にも顔向け出来ないまま、逃げるように会場を後にした。

「――――ちゃん、――だから――――ね?――は――――だよ!」

社さんがたくさん言葉をかけてくれたけれど、不甲斐なさが先に立って、なにも頭には入ってこない。

惨めで、ただただ情けなかった。

「――蓮が帰って来てて社長から緊急の呼び出し受けてるから、俺はどうしても事務所に向かわなくちゃならないんだけど、キョーコちゃん、本当に大丈夫?」

(敦賀さん……?)

ああ、そうか、敦賀さん、もう帰ってきたんだ――。

ままならない自己嫌悪に心が立ち止まってしまっていても、好きな人の名前一つで波紋が起きる。
それほどに今の自分は恋愛に振り回されている。そんな自分につくづく嫌気が差した。

「すみません、少しぼんやりしてました。大丈夫です。一人で帰れますからなんでしたら私はここで」

「いやいやいや、だるまやさんの近くまで車は回すから、ね?」

「気を遣わせてしまってすみません。今日のところはこのまま下宿先に帰って、頭、冷やして切り替えます」

表面上は取り繕って、社さんの心配を作り笑顔でやり過ごして。

車から降りたアスファルトの上で一人佇んで向き合うのは、なぜ?という疑問符の嵐。


指輪を贈られている以上、敦賀さんはきっと、森住さんの事が好きなのだろう。

(……それ……いやだ……)

どうしてあんな人が敦賀さんの想い人なの?

なんで私はあの人に負けてしまったの?

嫌い。
憎い。
狡い。

――羨ましい。

敦賀さんの愛情の向かう先があんな女(ひと)だって事が、なにより、悔しい。

ほんの数日前には手を伸ばせば温もりを感じられるほど近くにいられたのに。

(あのひとにだけは敦賀さんを渡したく……ない)

黒く渦巻く怨恨の感情。
心の底から誰かを憎いと思うのは、これで二人目だ。

(絶対に……)

自分の中に芽生えた衝動の醜さに吐き気がする。

(――渡さない)

それでも抗いきれない傲慢で暗い衝動に突き動かされるまま、足はふらりと一歩を踏み出した。



――――――――――――――



トラジック・マーカーの撮影を終えた今。社さんとこれからの方針について打ち合わせをするにあたり、この短期間で社さんが免許証を取得していたというのは、予想外の出来事すぎて、まんまと驚嘆させられた。

「悪いな、ほんとはキョーコちゃんとこに直行したいくらいだろうけど」

そうして今は、日本に居なかった数日の間に起きていた事の顛末を知らされて、俺だけが取り残されているような焦燥に駆られている。

「ははは。大丈夫ですよ。とりあえず連絡を取ってみて、必要そうなら自分で運転していきますし。俺の事より社さんこそ、本当に今から?」

「ああ、今日、明日のうちにもう少し社用車(コイツ)の感覚に慣れておかないと、本格的な仕事には差し支えるからな」

「了解です。俺の方こそ付き合わなくてすみません」

「いやいや、この時間帯に走っときたいってのは俺の勝手なんだから、蓮は蓮でちゃんと旅の疲れを取っておいてくれないと逆に困る」

気にしてくれるなという社さんの運転に送られて、一旦自宅へと向かってもらう。

(海外移動だからと車の鍵を部屋に置いて出たのは失敗だったな。一旦部屋まで上がらないといけない。いっそタクシーで直接向かえば良かったか……)

早く会いに行きたいという衝動を余裕ぶった笑顔で塗り固め、裏側では彼女への思いを募らせ続けた。

「んじゃ、明後日からは迎えにくるから、ゆっくりしてくれよ」

「はい、よろしくお願いします」

渡航用の旅行バックを後部座席から取り出し、社さんの車を見送る。
なんとなく周囲をクルリと見渡したのは、社長の所でアイツと彼女の写真を見せられたからだろう。

「……ふぅ……」

小さく息を吐き出して力を抜く。とはいえ、記者が隠れていたならば目視では見つからない可能性もある。
警戒はしておかなければと気持ちを引き締めて上階への直通エレベーターに向かう、その時だった。

「……最上……さん?」

生け垣に隠れるように膝を抱えてうずくまった少女の姿に驚かされる。

(どうしてここに……)

「あ…………お疲れ様です」

まるで生気が失せた相貌の彼女は立ち上がり、静かに頭を下げた。

「オーディション、落ちちゃいました」

顔を上げ、一息での報告。
変装用なのだろう。初めて見る焦げ茶色のフレームのメガネがかけられている。

「うん……」

社さんから知らされてすでに知っていたとはいえ、力なく笑う表情に胸を締め付けられた。

「とりあえず上がろう」

人目を引くわけにはいかない。
肩を抱き寄せたい衝動を堪えながら、三歩分後ろでうなだれる彼女を招き入れる為にカードキーを滑らせた。



――――――――――――――



敦賀さんの背を追って、部屋の中へと招き入れられると、適当に座っていてと言われた広いリビングの中で、どこに居場所を作ったものかと一人で逡巡したあと、毛足の長いラグの上へと向かい、自然に正座を選んだ。
しばらく帰っていなかったからだろう。なにも置かれていないテーブルの上でうっすらと光る埃をぼんやりと見やる。

「社さんからも聞いたよ。トレーニング頑張っていたのに残念だったね」

コーヒーの入ったマグカップを置きながら同じようにラグに腰を下ろす敦賀さんの気配にようやく意識的に上を向く。

敦賀さんだ……と待ち望んでいたひととの逢瀬に喜びを覚えると同時に、ここに来るまで抱え続けてきたどす黒い嫉妬心がいまだに胸の内でくすぶっている事実に、自己嫌悪が増した。

自分はこれから、最低の選択をする。

「最上さん?」

違和感を覚えたのか、心配そうに向けられる眼差しに、静かに首を横に振って、苦く笑う。
私に慈愛を向けられる資格はない。

「友人のコネまで使わせてもらって特訓してきたっていうのに、自分からヘマして落ちたんじゃ、世話ないですよね」

メガネのレンズ越しに映る敦賀さんの表情が曇ったように見える。

(かけなれない眼鏡(こんなもの)まで用意して、私は敦賀さんの親切心につけ込もうとしてる)

ぐっと握り締め続けた拳は、緊張で汗をかいていた。

(ああ、こういう悪女めいた真似事は私には向いていなかったのかもしれない)

それでも、どうしたって、敦賀さんの恋を応援に回れる気持ちは一ミリだって抱けやしない。

「やっぱり、お子様な恋しか知らない私が紅葉を演じようだなんて、そもそも無理な話だったんでしょうね」

「それは……」

本当は紅葉が抱く恋心なんて悲しくなるほど分かっている。
伝えれば最後になり、伝える事は決して許されない。その意味だって、今の私は誰より正しく理解しているつもりだ。

「敦賀さん……私……」

じっと見上げ、視線を交わす。
同情を誘う為の言葉を紡ぐはずだったはずのに、言葉は詰まり、彩るべき涙すらも湧いてこなかった。

「……私……」

演技を私情に利用する。
この胸に抱く恋心と同じだけ、いや、それ以上に軽蔑されてるだろう行為を選んだというのに、その選択を最大限にやり遂げることも出来ないのか。

(ああ……なんて中途半端)

「体だけでも大人になっていれば、少しは違った結果になったんでしょうか?」

「…………最上さん?」

ピタリと動きを止めた敦賀さんが、ややあって小さく息を吐き出した。

「年頃の女の子が、一人暮らしの男の家にやってきた上でして良い発言ではないよ?俺が悪い男なら、これ幸いと手込めにしてしまう流れだ」

(……ああ、やっぱり私は対象外なんだ)

胸はツキンと痛む。
ついさっきまでは出なかった涙はふいに溢れ出した。

「最上さん?」

情緒不安定な女を前に、敦賀さんは困っている。
他の誰でもない、私が困らせている。

「……でしたら」

それと分かっていて、私は敦賀さんの優しさにつけ込む。
そう、決めたのだ。

「お嫌でなければ、教えて頂けませんか?」

今度こそ息を飲んだ敦賀さんはたっぷりと時間をかけて沈黙した。
きっとかけるべき言葉を真剣に探してくれたのだろう。

「例えば、最上さんが本当に、そういう……大人の行為を望んでいるのだとして、相手は俺でいいの?」

「はい。他でもない敦賀さんにしかこのお願いは出来ません」

「……それは、とても光栄な事だけどね。でも、俺も長らくそっち方面は誰ともしてこなかったから、今、家にはそういった事に対する備えは何もないんだ。だから」

ああ、傷つけないように断ってくれようとしているんだと感じながら、敦賀さんの口から『なかった』と聞けた事にどうしようもなく喜びを覚えている。

「あっ、それなら買ってきました」

「……は?」

「さすがに良し悪しはよく分かりませんでしたので、ドラッグストアで値段が高いものから二つほど……ですけど」

ここぞと鞄から避妊具が入った黒いビニール袋を取り出してみせれば、敦賀さんの目はこれ以上なく見開かれていたと思う。
こんな事の為に別の店で眼鏡を買って変装したのだと言えば、さらに引かれるだろうか。

「最上……さ」

「母から避妊の大切さは諭されておりますのでそこはご安心頂ければ。それに万が一の事がありましても敦賀さんに一切の責任は」

畳み掛けるように退路を断っていく。
手を緩めれば最後、浅ましいと軽蔑される末路が目に見えていたからこそ必死だった。

「いや、そうじゃなくて!」

慌てた敦賀さんが大きな手で口元を覆って考え込んだ。

(ああ、絶句させてしまった。)

こんな破れかぶれの望み方では何一つとして叶わないのかもしれない。そう、諦めが滲んだその瞬間、敦賀さんは立ち上がった。

「敦」

「浴室の場所は分かるよね?」

「……はい?」

「とりあえず、お風呂に入って温まっておいで。俺は寝室にいるから。もう一度じっくり考えてご覧?やっぱりやめようと思うならそのまま帰ったっていい。それくらいで最上さんを嫌いになったりしないから」

「えっと……」

背を向けてリビングを出て行った敦賀さんの背に、困惑はありありと浮かんでいたけれど、拒絶の言葉ではなかったと理解するのにずいぶんと時間がかかった。

(わ……たし……)

今更ながら、手に入れてしまった扉の鍵の存在に心が震える。

(とうとうやってしまった……のだわ……)

無理やりに強奪したようなものだけれど。

(これで……)

嫌いな女を出し抜けた。
大好きなひとをひととき、振り向かせる事ができた。

嬉しい。けれど、同時にむなしくもある。

自分の恋が行き着いた結末を追いかける為にのろのろと立ち上がり、温かい雨に降られた夜、私は優しい腕に抱かれた。









一か月ちかく迷いながら書いてた代物であります。楽しんで頂けたら・・・いいんですけども・・・汗



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